エマニエル大使は「菊と刀」を一読してはどうか。

<米国の現駐日大使ラーム・エマニュエル氏は率直な物言いで知られる。だが、驚かされたのは、そのターゲットだ。
 オバマ政権でホワイトハウス首席補佐官を務めた同氏は今年1月、大使就任前に日本では急がずかつやんわりと物事を進める必要があると指南されたことに触れ、「ワシントンにいる専門家の皆さんにメッセージがある。あなたたちは今の日本を知らない」と東京都内での記者会見で言い放った。
「日本の未来がどうなるかという彼らの予測は通説だった。日本はその通説をことごとく打ち破った」というのがエマニュエル氏の見立てだ。
 普段は在日米国大使館に行くことはない私だが、エマニュエル氏に連絡を取ったのは、彼の考えに共鳴したからだ。日本に住んで21年目となる私の大きな不満の一つが、日本に対する外からの見方だ。
 日本はステレオタイプでしか捉えられないか、あるいは単に無視されている。私はこれを「理解力のギャップ」と呼んでいる。
 日本の 「失われた30年」が終わったと宣言するコラムを執筆するにあたり、エマニュエル氏に見解を求めると、同氏は「これまでとは違う日本だ」と同意し、「米国は日本についての考え方をアップデートしなければならない」と述べた。
 米政府が日本に以前送り込んできた大使は、その多くがそれほど知名度もなく、しばしば日本に対し何をすべきかを指示することに多くの時間を費やしていた。日本は米国の占領下にあったという歴史があり、日本政府は対等なパートナーとして扱われることを望んでいる。

称賛
 最近の米駐日大使でエマニュエル氏と同程度に知られていたのがキャロライン・ケネディ氏だ。同氏は和歌山県太地町でのイルカ漁を批判。また、米国大使館は2013年、ケネディ氏が大使に就任からわずか数週間後、安倍晋三首相(当時)の靖国神社参拝を非難する異例の声明を発表した。
 対照的にエマニュエル氏は日本への称賛の言葉を惜しまない。時にはそれが岸田政権を強く後押ししているようにも見える。もし自民党が政権を失うかもしれないという現実的な見通しがあれば、もっと物議を醸すかもしれない。
 私は東京・赤坂にある米大使公邸で、シカゴ市長でもあったエマニュエル氏に4月19日の午後遅く会った。以前は静かだった虎ノ門地区は、この10年の間に大規模な再開発によって変貌を遂げた。1945年に昭和天皇がマッカーサー元帥と会見した歴史的な低層の公邸は、今ではガラス貼りの高層ビルに囲まれている。
 岸田文雄首相の米国公式訪問のため一時帰国していたエマニュエル氏は日本に戻ったばかりで、疲れを感じているようだった。それにもかかわらず、同氏は岸田首相が進めた国家および地域の安全保障を強化するという成果について語りながら、顔を輝かせた。もちろん、成果というのは少なくとも米国側の見方だ。
 岸田首相は「20年どころか2年で、抗議も一切受けず、最も急進的な改革を実施した」とエマニュエル氏は指摘。岸田政権下の変化として、防衛装備輸出規制の緩和や防衛費の対国内総生産(GDP)比2%への引き上げ、反撃能力の整備計画、韓国との関係改善などを挙げた。
 安倍氏は歴代最長の政権を率いたが、ずっと小さな変化ですら実現する難しさに直面した。エマニュエル氏は民主主義国家における政府の方針に国民が示す反応の違いに言及。東京の街頭での静けさと、フランスや韓国、米国の大学での抗議行動を対比させ、「元首席補佐官として、私はある種の感銘を受けている」と打ち明けた。

外国との対比
 米中関係の劇的な変化の恩恵を受けているのが岸田首相だ。米国と中国は今や戦略上の敵対関係にある。中国の話題になると、エマニュエル氏の駐日大使就任が最初にメディアに取り上げられた時、日本が期待していたかもしれない闘争的かつ強硬で明らかに外交的でない同氏の姿を見せる。
 エマニュエル氏は時に日本よりも中国について饒舌(じょうぜつ)になるように見え、中国をやゆするのを楽しんでいるかのようだ。2011年の東日本大震災で被災した福島第1原子力発電所の処理水放出に強硬に反対し続ける中国の「偽善」を非難したのはその一例だ。
 バイデン米大統領の側近が昨年、エマニュエル氏に発言を控えるように求めたと伝えられたことが事実だとすれば、その要求は効果がなかった。同氏は中国の競泳選手がドーピング検査で陽性となりながら東京五輪に出場したとの報道や、欧州企業に対するスパイ疑惑に関する「中国の略奪パターン」についてX(旧ツイッター)に投稿したばかりだ。
 エマニュエル氏はまた、母国を日本に投影し、米国がどこで間違った方向に進むようになったのかを好んで話す。そうした具体例として頻繁に挙げるのが、幼い子どもたちが一人、あるいは集団で、暴力におびえることもなく学校から自宅まで歩いて帰る姿だ。
 エマニュエル氏の発言が論争の的となる分野があるとすれば、同氏が打ち出すLGBTQの権利への強い支持だ。
 ナショナリズム色の強い「ネチズン」たちは、同性婚の合法化を日本に求めるエマニュエル氏が日本の主権に干渉していると批判。同氏はLGBTQ差別を防止することを目的とした23年の「LGBT理解増進法」を支持したが、皮肉なことに、骨抜きの法案に賛同したとして一部のLGBTQ側からも非難を浴びた。
 エマニュエル氏の駐日大使としての今後は、日本で「もしトラ」と呼ばれていること、つまり11月の米大統領選をトランプ前大統領が制するかどうかにかかっている。16年の米大統領選では予想外のトランプ氏勝利を受け、当時の安倍首相がトランプ氏の歓心を得ようと緊急訪米する必要があった。
 今月は元首相でもある麻生太郎・自民党副総裁がニューヨークを訪れトランプ氏と会談した。政治任用の大使は政権交代があれば退任するのが一般的で、20年の選挙期間中に政治コメンテーターとしてトランプ氏を批判していたエマニュエル氏が例外的に駐日大使を続ける公算は小さいと思われる。
 同氏は今のところ、日本人が必要としている世界的なチアリーダーだ。エマニュエル氏は日本の多くの政治指導者よりもうまく日本について世界に語ることができる。同氏が言うように、ホワイトハウスの主が来年誰になろうとも、米国は最も重要なアジアの同盟国、日本に対する見方をアップデートしなければならない>(以上「Bloomberg」より引用)




 引用したのは「米国の対日認識、米大使がアップデート求める-リーディー」と題して、Bloombergコラムニストのリーディー・ガロウド氏が書いたコラムだ。米国は対日観のアップデートが必要だ、というのには賛成するが、日本に対する余計なお世話に対しては「控えるように」と注文を付けたい。
 米国大使は米国外務省を代表するのかも知れないが、米国政府の代表部ではない。その大使が日本の伝統行事に口出ししたり、左翼活動家が性差別を隠れ蓑にしているLGBTq法の促進に賛意を表するのは内政干渉だ。ことにエマニエル大使は余りに行き過ぎている。

 コラムには「岸田首相は「20年どころか2年で、抗議も一切受けず、最も急進的な改革を実施した」とエマニュエル氏は指摘。岸田政権下の変化として、防衛装備輸出規制の緩和や防衛費の対国内総生産(GDP)比2%への引き上げ、反撃能力の整備計画、韓国との関係改善などを挙げた」とあるが、2%防衛費増額はまだ本決まりではない。なぜなら今度の総選挙で岸田氏の政治が問われるからだ。
 物事には作用と反作用がある。岸田氏は安倍氏の手法そのままに、防衛費を遮二無二膨張させた。しかし国民は必ずしも膨張する防衛費を容認しているわけではない。ただゴロツキのような中国が日本を恫喝しているため、防衛兵器を揃えなければならないのではないかと思い込んでいるだけだ。

 しかし現在の中国に戦争など出来ない。第一、備蓄しているはずの食糧すらないことが判明している。兵器もポンコツ揃いだと云うことがウクライナ戦争で露呈している。習近平氏が重視した宇宙軍がトップをはじめ幹部連中が腐敗していたことが判明し、総入れ替えと云っても良いほど軍幹部たちが逮捕されたばかりだ。
 さらに戦費調達すべき国庫が払底し、そこにあるのは返済期限が迫った借入証文ばかりだ。このような状態でも、習近平氏は「台湾を(武力)統一する」と叫ばざるを得ず、国際的な対中支援を望むべくもない。全く馬鹿げた政策を習近平氏は展開している。

 エマニエル大使は日本政府と日本国民を御しやすし、と軽く見ているようだが、彼は誇り高い日本国民の本質を知らないようだ。日本国民は面と向かって反発しないが、面従背腹、日本国民を余りバカにして誇りを傷つけない方が良い。歴史上、米国に決戦を挑んだ国は日本だけだと云うことを忘れてはならない。今度は前回のように善人・日本国民として真正面から挑むことはしない。
 今年六月にもあるという総選挙で、野党連合が勝てば防衛費爆増も反故にされるだろう。国会で決定したことは国会で否定すれば良い。専守防衛兵器開発を日本は全力で進めて、敵基地攻撃など不要だと世界に宣言するだろう。日本は決して米国の「槍」にはならない。エマニエル大使は日本に対して、あまり高慢な態度を取らない方が良い。



<私事ながら>
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