脱炭素は無意味どころか国民を貧困化させる愚策だ。

<川勝知事の論理的でも客観的でもない主張
 まず、「リニア新幹線」について語るとすれば、まさに世間で揶揄されるように「陸のコンコルド」である。
 マッハ2の飛行が可能な超音速旅客機であるコンコルドは時代の寵児であったが、あまりにも「経済性」に欠けた。そのため1962年に商業運航が開始されたものの、結局のところ2003年までに全機が引退した。
 私が見る限り「夢の超高速」を実現するリニア新幹線も、まったく経済性に欠ける。例えば4月9日公開「トヨタ生産システムの根源『なぜなぜ分析』はバフェット流にも通じる『外野の意見に耳を傾けるな!』という鉄則」で述べたトヨタやバフェットのように、「根源まで5回『なぜ』を繰り返していれば」、このような計画は実行されなかったであろう。
 さて、そのリニア中央新幹線の静岡工区着工を認めていない静岡県の川勝平太知事が、読売新聞 4月6日「静岡・川勝知事が『職業差別』発言を撤回…県に意見2571件、大半が苦情」の結果、中日新聞 4月8日「【独自】静岡県の川勝知事、10日にも辞職願提出の方針 知事選前倒しへ」となった。
 この「職業差別発言」も大問題だ。しかし、この「辞任騒動」が日本経済新聞 3月29日「JR東海、2027年のリニア開業断念 静岡着工メド立たず」と報道された直後に起こったことや、中日スポーツ 4月4日「さらなる衝撃発言…川勝平太・知事、『リニア一段落で辞表』が火に油 『遅らせるのが目的か』『環境問題どうでもいい?』非難殺到」と伝えられることはさらに大きな問題だと考える。
 もちろん「トンネル工事で南アルプスの地下水が漏れ、県内を流れる大井川の水量が減少するという『水問題』」が、川勝知事がリニア中央新幹線の静岡工区着工を認めない理由だ。だが、それは単なる「表向きの理由」だと考える人々が多数である。
 実際、東スポWEB 4月4日「高橋洋一氏が川勝知事のリニア開業延期の内幕暴露」との話も浮上している。真偽のほどはわからないが、川勝知事が「本当は県民を守るための水(環境)問題には興味が無く、何らかの『別の目的』を持っていた」と感じる読者は多いのではないだろうか。
 このように、「人権」や「環境」始めとする他人が反論しにくい「大義名分」を声高に主張しながら、実は「私利私欲にまみれた『本当の目的』」を成し遂げようとするのが、私が「人権・環境全体主義者」と名付ける人々である。
 そして、そのような人々が社会の中で増殖して、世界的に様々な問題を引き起こしている。川勝知事の「リニア問題」は氷山の一角に過ぎないといえよう。

EV化による甚大な被害
 最近、「人権・環境全体主義者」による被害が明らかになっているのが「全面EV化推進」である。
 このEV化推進も「(ハイブリッドやガソリンエンジンでは、日本勢に全く歯が立たない)欧米の国々(メーカー)の日本車潰しが『本当の目的』」だと言われる。
 実際、たとえ百万が一脱炭素が実行しなければならないことであったとしても、電力のおおよそ7割が化石燃料で発電される現状ではほとんど意味を持たない。さらには、工場での自動車製造などのすべての過程を考えれば、「EV車の方がガソリン車よりも二酸化炭素排出量が多いだろう」とのレポートも出ている。
 その上、ガソリン車よりも(バッテリーの関係などで)重いEV車は道路を傷め、その結果多量の粉塵をまき散らす等々、EVの「欠点」は膨大だ。
 このように科学的根拠が欠如した「人権・環境全体主義者」の強硬な主張により、多額の血税が「EV化」につぎ込まれた。しかし、その結果が昨年9月11日公開「ドイツを見よ! EV化の惨めな結末~フォルクスワーゲン減産、結局、脱炭素は『三流国』への道?」である。
 例えば、倉庫内で走行し換気の問題があるフォークリフトや、一定の配達地域だけで活動し、発進・停車を繰り返す配送車などのEV化は確かに合理的だと思う。
 だが、すべての自動車をEVにするなどというのは全く馬鹿げた話であり、そのために補助金などとして無駄に投入された巨額の血税のつけは結局一般国民に回ってくる。
 さらに、「人権・環境全体主義者」のプロパガンダにまんまとのせられたホンダにおいては、2021年8月24日公開「長いものに巻かれるホンダ、総合自動車メーカーをあきらめるのか」副題「早期退職2000人の裏側」のように、従業員が大きな犠牲を強いられた。さらに、時事通信 昨年9月23日「スト背景にEVの普及 労働力余剰で雇用不安―米自動車労組」という問題も生じている。
 2021年5月5日公開「菅政権が『邪魔』ばかりするから『トヨタが日本を捨てる日』がやってくる…って本当か?」昨年2月27日公開「日本はこのままトヨタを失ってしまってもいいのか!?」でも、このような雇用問題について触れた。
 化石燃料で発電する電気で走行するEVが「環境に優しくない」ことはすでに述べたが、「EVの周りの空気さえきれいであればよい」という、視野が狭く利己的な考えが「人権・環境全体主義者」の特徴である。
 例えば、玄関先のごみを隣の家に掃き出し、自分の家の玄関先の「環境が改善された」と叫んでいるというわけだ。「特定の人々」の「人権」や「環境」のことしか考えず、社会全体(「最大多数の最大幸福」)に無関心ということである。

無意味な脱炭素の費用を善良な国民が負担
 また、明確かつ科学的な根拠を示せない「脱炭素」も「最大多数の最大幸福」に甚大な被害をもたらしている。
「脱炭素」の問題点については、2019年10月9日公開「『地球温暖化騒動』の『不都合な真実』に目を向けよう」、2021年8月22日公開「脱炭素・EV推進、『合理的な科学的根拠が無い』この方針は、もはや『宗教』だ」、昨年9月30日公開「EVバブルに続いて『脱炭素バブル』も崩壊するのか? とうとうノーベル賞科学者も『気候変動』を否定」など、過去多数の記事で述べてきた。
 特に、2020年9月23日公開「環境保護はそんなに儲かるのか?――膨大な対策費が闇に消えている」は、彼らの「本当の目的」を知るうえで参考になると思う。
 また、ガソリン、エネルギー価格高騰の大きな原因の一つが脱炭素であることは明白だ。化石燃料を採掘する企業への融資の締め付けなど多数の「嫌がらせ」の結果、彼らは開発投資をあまり行ってこなかったのである。ひとたび需給がひっ迫すれば価格が高騰することは避けられない。
 そして、おおよそ7割が化石燃料で発電される電気代も値上げされる。アゴラ 3月29日「5月に負担軽減措置が終了する電気代が再エネ賦課金増でさらなる値上げに」が詳しいが、我々の払っている電気代には、実のところ「再生可能エネルギー賦課金」がかなり上乗せされている。
 再生可能エネルギーと呼ばれるものがどれほど「役立たず」なのかは、EV同様再生可能エネルギーが「補助金無し」ではやっていけないことからも明らかだ。
 実際、基本的に晴れの日のしかも昼間しか発電できない太陽光発電や、風が吹かなければ無用の長物である風力発電は、「需要と供給をピッタリと合わせる必要がある電力供給の現場」では、「無用の長物」どころか「邪魔者」扱いされるとも聞く。
 その「無用の長物」、「邪魔者」とも呼ばれる存在に我々は、多額の「再生可能エネルギー賦課金」を支払っているのだ。「最大多数の最大幸福」がないがしろにされているのは明白と言える。

ゴア元副大統領、グレタさんはどうするのか?

 アル・ゴア米元副大統領の「不都合な真実」がベストセラーとなり、「地球温暖化論」を世界に広げたことは明らかだ。
 だが、彼が76歳になった現在「『地球温暖化論』の『不都合な真実』」が次々と明らかになっている。バイデン氏の大統領就任時より2歳だけ若いだけの「高齢」であることからこのまま「逃げ切る」のか。それとも、「自分の行ったことに責任をとる」のであろうか?
 また、「地球温暖化論」の象徴的偶像として世界的に有名になったグレタ・トゥーンベリさんは、担がれていただけかもしれない。しかしその担いでいた人々も含めて「最大多数の最大幸福」に与えた被害に向き合うべきであろう。

「不法侵入者」、移民問題も同じ
「人権・環境全体主義者」の「環境」に関する問題をこれまで論じてきたが、「人権」に関しても似たような構図である。
「人権・環境全体主義者」が「不法侵入者」や移民たち「だけ」の人権を守っているのに対して、最大多数である国民の人権がないがしろにされている。
 2月5日公開「無断で自宅に侵入する人々を許すべきか、テキサス州国境問題は他人事ではない」の通りだ。
 もちろん、国際交流、異文化受け入れなどは重要であり、「不法侵入者」は別にして、海外からの(合法的)「移民」受け入れはむしろ賛成だ。ただし、それが「安くて便利な労働力」であってはならないというのは、前記記事でも述べた通りである。
「不法侵入者」や移民たちの問題にも「隠れた目的」がある。人手不足だから「移民を!」と叫ぶブラック企業とその仲間たちは、日本人の給料を上げて人材募集をしようという気などさらさらない。まさに「彼らは安くて便利な労働力」が欲しいだけなのだ。
 そのような「特定の人々の目先の利益だけ」を追求した結果がどのようなものであるのかは、昨年8月20日公開「移民を『安くて便利な労働力』と考えるのは誤り、移民大国の惨劇に日本も直面するのか」7ページ目「日本は移民の『欧米化』への入り口に立っている」で紹介した英国の例で明らかである。
 英国への移民が増加し始めたのは第2次世界大戦後である。当初「安くて便利な労働力」と歓迎された移民たちが、長い歳月の間に英国社会にどれほどの負の影響をもたらしたのかは、「暴動」などを含めた多数の事例で明らかである。他の欧州諸国も同様だ。
「人権・環境全体主義者」が大手を振って歩く欧州諸国は、「特定の人々」の「人権」ばかりを守り、自国民の「人権」をないがしろにした結果、社会が崩壊寸前にまで至っている。
 日本は欧州諸国を他山の石として、「正しい選択」を行うべきだ。
 我々は「人権」や「環境」という「立派な言葉」の背後に隠された「本当の目的」に気づかなければならないのである>(以上「現代ビジネス」より引用)




 現在の日本でCO2地球温暖化に逆らうにはかなりの勇気が要る。ことに研究者や公的機関に籍を置く学者にとって、研究費の削減や職を失うことすら覚悟しなければならないからだ。
 大原浩(国際投資アナリスト・人間経済科学研究所・執行パートナー)氏が「「やめれば済む」問題なのか? 静岡県川勝知事の無責任な辞任と人権・環境全体主義者「後始末」問題の類似性」と題する論評で批判している。それは川勝氏がアルプスの地下水が枯渇するから、という理由でリニアモーターカーに反対していたが、2027年開通をJRが断念した途端に県知事を辞すると発表したことの裏に隠された意図があると睨んだからだろう。

 世間には絶対的に反対できない事柄にかこつけて、自分たちの利権を手に入れようとする輩がいる。その一つは太陽光発電による「環境破壊」が大規模に行われ、なおかつ再エネ賦課金が電気料金に上乗せされる、という不合理な事実を一般国民は我慢しなければならない、という現実が私たちに突き付けられている。
 川勝氏は「中央アルプスの地下水が枯れる」と誰も抵抗できない、しかし科学的には荒唐無稽な主張を繰り返してリニア新幹線の開業を2027年よりも延長させた。その決定がJRより出されると、さっさと辞任を宣言した。彼にとって問題だったのは中央アルプスの地下水ではなく、リニア新幹線の2027年開業だったのではないか。

同様なことは国会でも起きている。内閣府のタスクフォースで民間構成員が提出した資料に中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題で、それは公益財団法人「自然エネルギー財団」の事業局長を務める大林ミカ氏が2020年10月に開かれた国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の政策対話、21年12月に開かれたEU経済社会評議会(ESC)の会議で使用した資料に入っていた。
 その透かしは「中国国家電網」のロゴで、大林氏が発表したスライド資料の最終ページ右上に入っていたもので、ESCで使用した資料の最終ページは、金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議」の資料の最終ページと同じものとみられる。

 もちろん内閣府タスクホースは再エネを議論する会議で、太陽光発電を推進する機関だ。だから世界的に問題になっている中国製の太陽光パネルを売り込む先兵として大林ミカ氏は内閣府の委員会に送り込まれたものと見られている。
 大林ミカ氏を委員に任命したのは当時再エネ担当大臣だった河野太郎氏だ。だから河野氏はいかなるパイプから大林ミカ氏と知遇を得て、委員に任命したのかが問われている。ここでも「自然に優しい」という誰にも反対できない「自然エネルギー財団」という名称を用いて、再エネ推進機関に「中国国家電網」が推進していた中国の電力戦略に日本を引きずり込もう、とする意図が透けて見える。

 大原氏が指摘している通り「我々は「人権」や「環境」という「立派な言葉」の背後に隠された「本当の目的」に気づかなければならない」。当然ながらCO2地球温暖化という危機感を煽って石炭・石油エネルギーを排除しようとする勢力の背後に潜む「本当の目的」に気
付かなければならない。
 このままCO2を排出すると数年後には地球気温が1℃上昇する、などと荒唐無稽な話干しているが、恐竜がいた白亜紀の地球気温は現在より10℃も高かった。しかし、それで地球が滅亡しただろうか。だが多くの気候変動学者は、間もなく地球は寒冷化して「小氷期」に入ると予測している。そうすると食糧生産が減少して地球規模の飢饉が到来するの出来ないか警鐘を鳴らしている。ドンパチ戦争している場合ではない、食糧増産の国際会議を開いて「寒冷化する地球で」食糧増産する対策を立てるべきではないか。


<私事ながら>
 この度、歴史小説「蒼穹の涯」を出版するためにCAMPFIREでクラウドファンディングをはじめました。既に電子版では公開していますが、紙媒体としても残しておきたいと思います。ちなみに電子版の「蒼穹の涯」を読みたい方はこちらをクリックして下さい。

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