財務省といい日銀といい、日本の金融政策当局はポンコツ揃いだ。

マイナス金利解除、市場は冷静に受け止め 日銀一巡で関心は米政策に
 日本銀行は19日、マイナス金利の解除などの政策修正を正式に発表した。金融市場では、事前の観測報道におおむね沿う内容として、冷静な受け止めが目立つ。総裁会見も無難に通過したとの見方は多い。関連イベントが一巡したことで、市場の関心は米金融政策に移る。
 日銀は、マイナス金利の解除のほか、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の撤廃、上場投資信託(ETF)の新規買い入れ停止などを決めた。市場では、観測報道を受けた政策修正の織り込みが進んでいたことから「おおむね織り込み済みで、出尽くしの反応」(国内運用会社のファンドマネージャー)となった。
 日銀が政策金利を引き上げるのは17年ぶりで、07年2月以来となる。政策の大転換の局面にありながら、相場変動は限られた。市場では「事前に十分に周知された上での決定で、市場は混乱を避けることができた。日銀のコミュニケーション力が強力だった」(サクソバンクグループのチャル・チャナナFX戦略責任者)との見方が聞かれた。
 日銀の会合結果を受けて、国債先物は一時小幅マイナスに沈んだ後、上昇に転じた。「緩和的な金融環境の継続や国債買い入れの維持など、金利の急上昇を回避するという日銀の方針が示されたことが要因だ」と、ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは指摘する。
 ドル/円は発表を受けて上下。その後、節目の150円を上回った。大和証券の多田出健太チーフ為替ストラテジストは「日銀が今後、円安を修正するほどタカ派色を強めていくことはないとみている」と話す。政策修正を継続するという方向感は円高要因だが「そのペースは極めて鈍い。日銀側の要因で円相場が水準を切り上げていくのは難しいと思う」という。
 日経平均は、前日終値を挟んだ上下動の後、高値引けとなり4万円を回復した。三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは、イベント通過の安心感はあるものの、目先の日経平均は高値圏でもみ合いが続くとみている。
「年初からの上昇による過熱感がまだ完全に払拭されたわけではなく、しばらくは底堅さを維持しつつも積極的に上値を追う展開にはならないだろう。次の上昇基調に向けての値固めの動きとなりそうだ」と予想する。

<総裁会見は無難通過>
 為替の円安基調が強まる中、植田和男総裁の記者会見はタカ派イベント化が警戒されたが、会見中のドル/円の変動は限られた。
 りそなホールディングス市場企画部の石田武ストラテジストは「ニュートラルな利上げ」と指摘する。1度も「利上げ」とは言わず、一方で新たな枠組みの名称を問われた際には「普通の金融調節」と説明し、「緩和」との言葉は使わなかった。
 今後の利上げ時期を巡るヒントとしては、基調的なインフレ率の上昇が一つの目線として示された。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは、足元のインフレ率を分解すると輸入物価が過半となり、基調的なインフレ率は1%に満たないとの試算もあるとして「まだ距離がありそうだ」との見方を話す。
 日銀を巡るイベントが一巡したことで、市場の関心は19―20日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)に移る。FOMCではメンバーによる政策金利見通しで年内の利下げが2回に減って早期利下げ期待が後退すれば米株安となりかねないが、その場合でも「日本株にとっては円安がある程度、下支えになるだろう」と、しんきんAMの藤原氏は話している>(以上「Reuters」より引用)




 これほど酷い日銀の金融緩和策の発表があっただろうか。日銀発表の前に、既にゼロ金利政策の転換を報じるニュースが流れ、その後から日銀が異次元金融緩和策を転換する記者会見を開く、という体たらくだ。
 日銀の金利政策は発表時まで極秘事項として、日銀関係者にも緘口令が敷かれるのが通常だ。しかし今回は早々と情報が日銀から漏れた。これも民間出の日銀総裁の脇の甘さなのだろうか。こんなことなど決してあってはならないことだ、という危機感がマスメディアにすらなかったことも大問題だ。

 いわば株式取引のインサイダーに限りなく近い状態だ。なぜなら金融緩和がなされる、と分かっていれば円高に振れることが事前に解っているから、短期FXで大儲けできるだろう。果たして円為替相場はそのように動き、利食いして逆に円安に振れた体たらくだ。
 日銀の金融政策は銀行のためにするのではない。国家経済のために日銀の金融政策は政府から独立して存在している。しかしコストプッシュインフレが2%あるだけで「デフレ脱却」と判断した日銀は金融政策に関してポンコツそのものだ。

 日本が30年余もの間経済成長ゼロだったのは、日本政府の無能無策と金融当局の無能に原因がある。政府の無能無策は、正しくはデフレ脱却よりも財政緊縮(=プライマリーバランス)を優先させたからだ。政治が国民生活に目を向けるよりも、財務官僚たちの顔色を窺ってきた。
 金融当局・日銀が異次元金融緩和策を継続したのは正しいが、ゼロ金利からマイナス金利へ踏み込んだのはやり過ぎだ。マイナス金利の金融機関を痛めつけるだけだ。その政策は多分に金融再編成を目論む財務官僚の思惑が日銀に浸透したのかも知れない。そうした金融政策を後押しするかのように御用評論家が地方銀行不要論を煽っていた。

 しかし地方の中小零細企業を支えてきたのは地方銀行や信用金庫だ。そうした金融や産業の毛細血管の役目を果たしている地方銀行を潰してどういうつもりだったのだろうか。しかも地方を衰退させて、日本という国家をどうするつもりだったのだろうか。都市部が栄えているのは人材供給する地方が健全ならこそではないか。
 さて日銀の金利引き上げに論点を戻すなら、日本経済は確かに名目成長2%を維持しているが、それは円安によるコストブッシュインフレに過ぎず、実質的な経済成長2%とは云い難い。春闘の満額回答が出揃ったからデフレ脱却だ、と判断するのは愚の骨頂だ。春闘でベアがあるのは大企業の正規社員だけだ。労働者のほんの一握りだけの話で日本経済を占うなど愚かと云うしかない。米国では物価上昇5%に達して、やっとFRBが金利引き上げを判断した。日銀が2%程度の物価上昇で金利を引き上げるとは何事だろうか。それは経済成長の足を引っ張るだけだ。金利引き上げはデフレ政策でしかない。財務省といい日銀といい、日本の金融政策当局はポンコツ揃いだ。

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