トランプの「Make America Great Again」とは米国を「引籠りニート」にすることではない。
<多摩大学長で日本総合研究所会長の寺島実郎氏が25日、TBS「サンデーモーニング」に出演。ウクライナ侵攻から2年たったロシアについて「いよいよ追い込まれてきている」と私見を述べた。
西側諸国からの軍事支援で、一時はウクライナの優勢が伝えられたが、最近はロシアが攻勢を保っていると報じられている。
そのような状況で、寺島氏は、「昨年のロシアの実質GDPの成長率は、3・0%だったんです。意外に持ちこたえているなとか、ロシア経済は大丈夫なんじゃないか、孤立していないんじゃないかと思う人がいるかもしれないが、実はロシアがギリギリうまくいっているように見える理由は、石油価格が上がっているから。ロシアの経済はエネルギーモノカルチャーという言葉があるように、外貨を稼げる産業は、化石燃料くらいなんですよ」と指摘した。
続けて「ロシアがうまくいっているのかといえば、経済的にもものすごくまずいことになってきている。たとえばルーブルの下落ですね。侵攻前に比べて、一旦、持ちこたえていましたが、いま2割落ち込んで来てます。要するに世界からロシアに対する投資なんて一切向かわなくなってきた。先端的な技術なんて一切入らなくなっている」と実質的には孤立化が進んでいると見解を述べた。
「強権、専制は国民が支持しているように見えますが、強い指導者への願望が潜在意識にあって、この国は常に大ロシア主義への願望を国民が常に持っているが、危うい」という寺島氏。「構造的には10年たっても20年たっても、ロシアが世界経済のセンターラインに登場することはないだろうという見方が出てきている。いよいよロシアもすごく追い込まれているとみるべき」と主張した>(以上「ディリー」より引用)
日本の左派はロシアを支持しているのかと思っていた。しかしサンジャポの寺島氏が「ロシアが追い込まれている」と論評しているから驚いた。
サンジャポなる番組を私は視聴していない。なぜから視ていて不愉快になるからだ。異口同音に偏向した発言をするコメンテータを並べた「時事報道番組」など視聴しても、百害あって一利なしだからだ。
しかしディリーの記事を読んで、寺島氏の見解に賛同すべきと思ってブログに取り上げた。ロシアはウクライナ戦争に勝ってはならないし、何が何でもウクライナが負けてはならないからだ。
21世紀で独裁者の政権国家を地球上から一掃するための一里塚として、プーチンの墓標を立てなければならない。プーチンの次は習近平氏の墓標を立てなければならない。この二人が失意のうちに生涯を終えることによって、地球上から独裁専制国家が消え去る「始め」になるはずだ。
私は長らく「サンジャポ」を視聴しなかった。番組に登場する人々の「中国推し」「韓国推し」の論調が目に余ったからだ。左派の意見を無視すると云うのではない、ただ左派のみを登場させるテレビ番組は如何なものかと強い憤りを覚えていたからだ。
寺島氏は経済コメントなどでしばしばグローバリゼーションを世界の流れだと断じていた。グローバルゼーションが国際金融で「一儲け」したいハゲ鷹たちが仕掛けた経済世論だということを看破すらしない暗愚な論調に終始していた。そうしたコメンテータたちに嫌気がさしたから、テレビのスイッチを切ってしまったのだ。
昨年のロシア経済が3%成長した、というのも名目での話だ。確実な経済統計数字が手元にないから断定できないが、実質的にロシア経済が成長していたとは到底思えない。そして戦時経済で軍需産業がいかにフル操業していようと、それで西側諸国が撤退した経済活動の穴をすべて埋められるわけではない。どう見ても、昨年のロシア経済はマイナスで、ロシア国民の暮らしは逼塞している。
しかも今年に入ってインドは対ロ原油取引を縮小すると云っているし、経済崩壊の進む中国の習近平氏は「ほぼトラ」の影に怯えて対ロ取引を縮小すると明言している。そうすると衰亡するロシア経済のカンフル剤の役目を果たしていた地下資源バーゲンセールも店仕舞せざるを得なくなる。そうするとプーチンがいかに弾薬を調達しようと、ロシア軍は継戦能力が尽きて頓挫せざるを得なくなる。
この段階でウクライナ支援から手を退くことなど断じてしてはならない。それは米国も同じだ。いかにトランプ氏が独自の考えを持っていようと、ウクライナ支援から手を退くことがどれほどの損失を西側諸国にもたらすか、商売で伸して来た男なら直感で分かるはずだ。彼の「Make America Great Again」とは米国を「引籠りニート」にすることではないはずだ。