ブラタモリの終了を心から惜しむ。

NHK「ブラタモリ」終了に惜しむ声 過去に訪問先が災難に遭う〝呪い〟が話題、タモリが地盤の弱さを指摘すると陥没事故

3月末で放送終了
 3月末でのレギュラー放送の終了が決まった「ブラタモリ」(NHK)。昨年3月に終了した「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)と並んでタレント、タモリ(78)の多才ぶりがうかがえる番組だっただけに終了を惜しむ声も少なくない。
 2008年に単発で始まり、15年4月からレギュラー化された。桑子真帆アナ(36)、元アナの近江友里恵さん(35)らアシスタント出演をきっかけに人気を集めた女性アナも多い。
 何より専門家の出すクイズにさらりと正解するタモリの博学ぶりが面白いのだが、「タモリさんは、クイズに正解しすぎるのはテレビ的にいかがなものかと関係者から注意されたことがあったそうです。タモリさんはどこ吹く風だったそうですが…」と芸能関係者は話す。終了を受けて、ネット上でも「遂にこの日が来ましたか」「タモリさんに知的好奇心をくすぐられた」と惜しむ声が飛び交う。
 訪問先がなぜか災難に遭う〝ブラタモリの呪い〟がネットを騒がせたことも。博多の回ではタモリが地盤の弱さを指摘したロケ地の近くで陥没事故が起き、パリ特集では訪れたノートルダム大聖堂がその後の火災で尖塔などを焼失するという事態も。それだけ多くの地をめぐってきたということだ>(以上「夕刊フジ」より引用)




 ブラタモリ・ロスを早くも味わっている。殆どテレビを視聴しない私にとって、ブラタモリは数少ないお気に入り番組の一つだった。引用記事では〝ブラタモリの呪い〟などといった下らないことを取り上げているが、本質はそんなところではない。
 地域の研究者や地味だが必要な地質学者などを表の晴れ舞台に出て頂く貴重な機会を提供した番組だったことを忘れてはならない。そして先人がどのような知恵を用いて町を造り城を築いたかを学術的な面から論証する番組でもあった。

 おそらくNHKの番組の中でも下準備の手間取る番組だったに違いない。ブラタモリが番組として成立するには綿密な打ち合わせが不可欠だったろうと推測できる。近頃の「食べ歩き」番組の安直さと比べれば雲泥の差ではないだろうか。
 そうした手間暇の掛かる番組はNHKのような視聴料で成り立っているNHKならではだろう。民放各社は広告宣伝料がネットに流れていることから、番組の予算カットの嵐に見舞われているという。もちろん番組制作に携わる人数もカットされているだろうから、ブラタモリのような番組は編成会議の議題にも乗らないだろう。

 全国各地で地域の伝承や歴史を掘り起こしている「郷土史家」は必ず存在している。しかし彼らに研究成果を発表する機会は永遠にやって来ないのが大半だ。地方の大学でその地域の断層や地理や地勢について研究している学者も、彼らの成果が日の目を見ることは生涯に一度もない場合が殆どだ。細々と維持されている専門小冊子に論文を発表して世に問うている機会があれば幸運な方ではないか。
 そうした全国各地の地方で頑張っている研究者たちを励ます番組でもあったことを忘れてはならない。なぜブラタモリが静かな人気番組だったのか、それは女性アナウンサーの控え目で知的な受け答えもさることながら、タモリ氏の博識とその知識欲を満たす地方の研究者の存在を知る喜びではなかっただろうか。

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