「もしトラ」から「ほぼトラ」になって、日本に不都合なことは何もない。

<今年の11月に行われるアメリカの大統領選挙が、早くもドナルド・トランプ前大統領の再選になるのではないかと心配されている。いまや、「もしトラ(もしかしたらトランプ)」から「ほぼトラ(ほぼトランプ)」に変わりつつあり、最近は「確トラ(確実にトランプ)」と言われる状況にまで事態は進んでいる。
 実際に、トランプ氏が再選されるかどうかはわからない。「ブルームバーグ」が報道するように「トランプ氏、選挙開戦7月に軍資金枯渇の見通し-弁護士費用で綱渡り」(2024年2月15日配信)のように資金の枯渇で苦戦する可能性があるかもしれない。
 将来のことはわからないが、ここではトランプ氏の大統領再選が実現した場合、世界はどうなるのか……、アメリカや日本の国民はどうなるのか……。トランプ再選後の状況を、最近の彼の言動や8年前の行動などを参考に、いくつかのシナリオを検証してみたい。

シナリオ① ウクライナ戦争がロシア勝利で終わる?
 もともとトランプ氏は、ロシアとの関わりを指摘されてきた人間だが、つい先日もロシアに有利になるような発言をして、世間を驚かせた。「相応の資金を負担しないNATO加盟国に対しては、ロシアに好きにするように言う」として、アメリカはロシアに侵略されても、防衛しない趣旨の発言をして、バイデン大統領やNATOのトップから批判されている。
 かたやロシアのプーチン大統領は、「バイデン大統領のほうが予測可能で、ロシアにとっては再選が望ましい」とコメント。プーチンの本音は「コントロールできるトランプより、できないバイデンのほうが嫌だ」と言っているのではないか、とさえ指摘されている。
 もともとトランプ氏が当選した2016年の大統領選挙では、ロシアが重要な役割を果たしたと指摘されている。
 トランプ氏とロシアの関係については、英国オックスフォード大学の「Computational Propaganda Project(コンピューターによる政治宣伝研究プロジェクト)」と、ソーシャルメディア分析企業の「グラフィカ」による共同研究の報告書が、アメリカの上院で発表された。
 報告書にはロシアは政治宣伝拡散のためにFacebookやTwitter(現X)など、ソーシャルメディアを駆使して(大統領選挙に)介入した」とある。「発信のすべてが、特にドナルド・トランプに利益をもたらそうとしていたのは明白だ」と、報告書は主張している(BBCニュース、2018年12月18日)。

トランプが公表した「アジェンダ47」

 実際にトランプ氏は、プーチン大統領の盟友である富豪の「オレグ・デリパスカ」とつながりのあるロシア企業3社の経済制裁を任期途中に解除している(BBCニュース、2019年1月28日)。トランプ氏は、自分が大統領に返り咲いたときの政策に対して、公約集として「アジェンダ47」を公表しているが、外交に関しては次のように明言している。
・ウクライナは、ただちに停戦(アメリカ・ファーストの外交政策の復活)
・第3次世界大戦の防止のために、圧倒的な戦力を整備する(防衛費の大幅増強)
・NATOなどの同盟国に対しても同等の負担を要求する
 ロシアと戦争をしているウクライナの戦況がどうなるかは不明だが、はっきりしていることは日本を含めた同盟国が、それ相応の負担をしなければならなくなるということだろう。前回の在任中は途中で諦めた感があるトランプ氏だが、ここで返り咲けば、前回以上に強権的な姿勢が目立つ政権になることは確実で、米軍を駐留させているNATOや韓国、日本に対しても、これまで以上の高い負担を求めてくることになるはずだ。
 今でも他国に比べて莫大なコストを負担している日本だが、さらなる負担を求められる可能性もある。何よりも、多額の財政赤字を抱える日本にとっては、防衛費の大幅増強を求められるのは大きな負担になる。政府による財政支出に頼りすぎている日本経済にとっては、大きなブレーキになるはずだ。
 ちなみに、ガザ地区に侵攻したイスラエルに関しては、アメリカ国内にいるユダヤ人の献金と票がトランプ氏にとっては最重要課題であり、むしろイスラエルを強く支持する側に回るとされる。「アメリカ・ファースト」ではなく「トランプ・ファースト」が彼の政治的信条の根幹だ。

シナリオ② インフレの再燃から株価暴落へ?

 トランプ氏の大統領再選は、同時にインフレの再燃でもある。というのも、トランプ氏の掲げる政策の大半は、インフレの原因になるものばかりだからだ。アメリカ経済に再びインフレをもたらせば、金利がまた上昇に転ずることになる。ドルが高くなり、世界中の通貨がまた安くなる。
 アメリカだけではなく、世界中が再びインフレの波に襲われることになる。これまでにトランプ政権がとってきた政策や新たに公約として掲げているものをチェックすると次のようになり、その結果としてインフレの圧力が高まる。
●保護貿易政策
 中国からの輸入品に対して60%の関税を課す、というトランプ氏の発言が注目されているが、輸入品の価格上昇につながることになり、インフレ再燃の要因となる。
●大幅な規制緩和
 トランプ政権の誕生は、前回もそうだったように大幅な規制緩和が実施される。規制緩和によって景気が良くなり、株価が上がる。個人消費も拡大し、景気が一時的に良くなることは間違いない。経済が意図的に成長に転ずれば、自然にインフレが始まる。その結果として、インフレは再度の利上げを招き、株価低迷、個人消費の低迷をもたらす。
●減税による個人消費の拡大
 関税引き上げや規制緩和による増収などを背景に、先行して行われるのが「減税」だ。ポピュリズム(大衆迎合主義)政治の典型的なパターンだが、大幅な減税は個人消費を押し上げて、一時的には景気が良くなりインフレが再燃する。トランプ氏は、減税=国民の支持率が上がることを信じている。
●移民政策強化による賃金上昇
 今回の選挙でもトランプ氏が強くアピールしているのが、移民審査の厳格化だ。移民に対する審査を強化することで、移民人口を大幅に抑えてしまう可能性が高い。アメリカの経済成長の源とも言える人口増加をストップすることになり、短期的には影響が出ないものの、中長期的には賃金が上昇することになり、飲食や運送などのサービス価格が上昇し、やはりインフレを招く。
●金融緩和政策への大幅転換
 アメリカの中央銀行であるFRB議長の任期(2026年5月)が、大統領の任期中に終わるため迫ってきているが、現在のパウエル議長よりハト派=積極的な金融緩和への転換が予想される。必要以上に金利を引き下げて、景気を刺激する政策に転換することが予想され、景気の押し上げ=インフレを招くことになる。
 インフレは、ドル高を招くために、日本を含めた海外でのインフレも深刻化する。インフレは、金融引締め、株価の下落などを招くため、最終的には景気が低迷していくことになる。 

シナリオ③ 大統領権限の強化

 トランプ氏と言えば、さまざまな裁判を抱えていることで有名だが、この2月16日にはニューヨークの司法当局が、トランプ一族企業に対して約3億5400万ドル(約533億円)の支払いを命じる判決を下している。トランプ氏は「バイデンの政敵に対する魔女狩りであり、選挙妨害だ」と主張することで選挙戦に有利になるように演出。その選挙スタイルが成功しているとはいえ、今回の民事訴訟に加えて議会襲撃など4つの刑事事件でも起訴されている。
 トランプ氏は大統領に再選されなければ、犯罪者として収監される可能性が高いと予想されており、亡命するか、あるいは自分が大統領になって、自分自身に恩赦を出して免責するしか道が残っていないとも言われている。さらに、トランプ氏が大統領に返り咲けば、大統領権限をフル活用して強大な権力を獲得しようとすることが予想されている。
 たとえば、大統領権限を制限した1974年の「執行留保統制法」についても、トランプ氏は合憲ではないと疑問を呈しており、大統領権限を大幅に強化することが考えられる。大統領権限で、予算執行をストップさせ歳出削減を強制的に可能にし、その財源で減税を実行するかもしれない。ウクライナ支援などアメリカの利益にならないような予算は大幅に削減してくるはずだ。
 行政に限らず、共和党に有利になるような司法制度や議会運営に対してメスを入れてくる可能性も高い。もともとトランプ氏は、前回の選挙戦でも陰謀論の「ディープ・ステート(闇の政府)」を打倒するとして、国家統治の本質的な部分にまで踏み込もうとしたものの未遂に終わっている。たとえば、情報機関や連邦政府の要所を占めている官僚を解雇し、汚職を排除すると称して主要な政府職員を一掃する可能性もある。
 トランプ氏は、日本製鉄がアメリカの鉄鋼大手「USスチール」を買収する構想について「絶対に阻止する」と発言して注目されたが、大統領権限の強化によって、さまざまな面でアメリカ有利のビジネス体制となり、アメリカとビジネスをするのに大きな時間とコストがかかるようになってしまうかもしれない。
 このほか、内政に対しては大統領権限を大幅に強化させる可能性があると報道されている。その範囲は政府内部に限らず、マスメディアなどに対しても支配権を握ろうとしている節がある。たとえば、日経速報ニュース「高関税・脱中国から陰謀論まで『トランプ公約集』要旨」(2024年2月10日配信)などを参考にまとめると、次のような政策が考えられる。
●大統領が予算執行を停止できる「没収権」を復活させる
●国防総省や国務省、CIA(中央情報局)の人事は忠誠心で判断し支配下に置く
●反トラスト法を監視するFTC(連邦取引委員会)、放送通信事業を所管するFCC(連邦通信委員会)を大統領指揮下において管理する
●多様性を重視した教育を否定、「トランプ大学」の設立構想
●ジェンダー教育や批判的人種理論(白人至上主義の批判)を強要する学校に対しては補助金カット

リスクだらけの「トランプ2」

 トランプ政権が誕生するかどうかは、まだまだ微妙だ。そもそも民主党のバイデン大統領も高齢で選挙戦を最後まで戦えるのかさえも疑問だ。そんな状況の中で、はっきりしていることはトランプ氏が共和党の候補者に正式になった場合、11月に行われる大統領選挙後も混乱が深まるということだ。最悪の場合、再びトランプ氏が選挙で負けても敗北を認めず、アメリカ国内で内戦になる可能性も完全には否定できない。つまり、トランプ氏が勝っても、負けても大混乱が避けられないということだ。
 内戦が始まらない場合でも、トランプ政権の誕生はリスクだらけの日常になりそうだ。たとえば、株式や為替といった金融市場も、確かに最初は投資家の期待を受けて株価も上昇したものの、新型コロナになってからは大きく下落した。なぜ、前回のトランプ氏が選挙で負けたかと言えば、新型コロナというパンデミックの発生によって、十分な対応力を見せられなかったからだろう。
 史上最高値を更新し続けているような、現在の株高の中で、今後もその勢いを維持できるかは甚だ疑問だ。超ワンマン体質では、不測の事態に直面したときに、エビデンスに基づいた正しい選択ができない可能性がある。自分の周囲をイエスマンだけで固めようとする独裁者は、いずれ馬脚を現す。
 そんな状況を覚悟のうえで、与えられた時間の中で、トランプ政権の返り咲きという、これまでにない途方もないリスクに対応する方法を考えるしかない>(以上「東洋経済」より引用)




 「トランプが大統領再選したときの「危険シナリオ」「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつある」と岩崎博充(経済ジャーナリスト)氏は檄を飛ばしているが、岩崎氏は果たして何の勢力の手先なのだろうか。
 岩崎氏の論評を一読させて頂いたが、とてもマトモとはいえない代物だ。トランプ氏は選挙公約をいろいろ発表しているが、その根本は選挙スローガンの「Make America Great Again」だ。決して米国を「引籠りニート」にしようと云うのではない。

 確かにトランプ氏は「米国ファースト」とも云っている。米国民の雇用と安全を守ると主張している。それは米国を事実上支配しているDSと対決して、米国民の政治を米国が取り戻すためのスローガンだ。
 ではDSたちが支配していかなる政治を行っているのか、それはグローバリズムだ。米国など無くなったって構わない、世界連邦国家が存在すれば良い、という考えだ。それは即ち金融連邦国家とでも云うべき「金儲けのための仕組みを世界規模にしよう」というものでしかない。だから米国民の雇用が中国によって奪われようと、大量の失業を中国が米国に輸出しようと構わなかった。しかし、その構想は習近平氏が「もしかしたら中国は世界最強じゃネ?」と勘違いしたことにより崩壊した。

 独裁専制主義国が世界の覇権を握る方が良い、と考える評論家がいれば、よほどお目出度いと云わざるを得ない。それは軍事力による国境線の変更が盛んに行われる暗黒の世紀に21世紀が逆戻りすることを意味する。現にロシアはウクライナを軍事侵攻してロシアに併呑しようとしているではないか。現に、中国はウィグル人の地を併呑しチベットを併呑し、そしてモンゴルを併呑しているではないか。
 そのような国々の支配による世界が人類の望む平和な地球だろうか。私たちは米国が自由主義諸国の盟主の座を降りて、米国一国に引き籠るとは思わない。なぜなら現代では一国だけで成り立つ国などないからだ。米国が米国一国に引き籠るなら、それは中国かロシアの家臣に自らなることを意味する。

 ウクライナは負け戦を戦っているのではない。誇り高い自主独立の戦争を戦っている。前回の大統領選挙でロシアとコミットしていたのはトランプ氏ではなく、ヒラリー氏だったことは彼女のメールによって証明されている。中国とコミットしていたのはバイデン氏だったと、FBIが隠蔽した倅のハンター氏所有だったPCデータが証明している。
 前回のトランプ氏の治世下で米国は深刻なインフレに見舞われたか。米国の社会保障を食い荒らし社会秩序を破壊する難民が大量に押し寄せたか。バイデン氏の四年間で米国民の暮らしは良くなり世界は平和になっただろうか。結果はすべて「ノー」だ。

 トランプ氏が勝利したら米国は二回目の南北戦争に突入するのではないか、と荒唐無稽な予想をする愚かな評論家がいる。価値観の相違はどの国も内蔵している。だから民主主義国では政権交代が起きる。
 トランプ氏は反・DS、反・グローバリズムを掲げている。米国主要マスメディアやビッグSNSはグローバリズムに支配されているから、必死になって反・トランプのプロパガンダを宣伝している。

 米国がマトモなら、ウクライナ戦争はもっと早くウクライナの勝利で終わっている。なぜならロシアを支援するインドと中国を徹底的に締め上げていれば、ロシアはとっくに物資不足に陥り、怒れる国民がプーチンを政権の座から追放していただろう。
 しかしバイデン氏の米国はインドの三角貿易を見逃し、中国のロシア原油の爆買いと中国の対ロ貿易を見逃した。よって、ロシアの戦費は枯渇することがなかった。本来なら、韓国並みのGDPしかないロシアにウクライナ戦争を二年も維持できることなどあり得ないからだ。昨年のロシアの対中貿易額は過去最大を記録している。中央アジアで行われる貿易を米国の偵察衛星が見逃すはずなどないではないか。中央アジアの平原を大量のトラックや鉄道貨車が行き来するのが米国の偵察衛星で把握できないことなどない。

 かつてオバマ氏が南シナ海の岩礁を中国が埋め立てて軍事基地化するのを見逃したように、バイデン氏も中国が大量のトラックや鉄道車両で対ロ貿易を拡大しているのを見逃した。それは自由主義諸国に対する裏切り行為ではないか。それでも日本のポンコツ国際政治評論家はトランプ氏が当選するリスクを書き立てるのは、なぜだろうか。
 彼らもまた世界を支配するウォールストリートのDSたちに支配されているからなのか。DSたちは一面では戦争屋でもある。戦乱は彼らにとって相場で稼ぐ好機でしかない。しかも軍需産業は彼らと深くコミットしている。トランプの勝利によって、住み慣れたウォールストリートから追い出されるのは御免だ、とDSたちは考えている。米国が「Make America Great Again」になれば、DSたちは米国を出て行くことは出来ない。彼らは常に世界覇権の地に巣食っている。最初は欧州イタリアに、次に英国シチーへ、そして現在はニューヨークだ。彼らに愛国心などない。稼ぎの場に移動するのを常としている。それがグローバリズムの本質だ。米国民は米国のために「Make America Great Again」を掲げるトランプ氏を支持すべきだろう。

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