米国政府はアルトマン氏の野望に無関心ではいられない。
<サム・アルトマンの途方もない企て
OpenAIのサム・アルトマンCEOが、AI向けの新たな半導体を開発すべく、総額5兆~7兆ドル(750兆~1000兆円以上)もの資金調達を計画していると、先週、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
同氏はこの計画の実現に向け、主な資金源となるアラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資ファンドや、実際の半導体製造を担う台湾のTSMCなどと協議を進めているとされる。
OpenAIのサム・アルトマンCEOが、AI向けの新たな半導体を開発すべく、総額5兆~7兆ドル(750兆~1000兆円以上)もの資金調達を計画していると、先週、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
同氏はこの計画の実現に向け、主な資金源となるアラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資ファンドや、実際の半導体製造を担う台湾のTSMCなどと協議を進めているとされる。
繰り返すが、同氏が調達しようとしている資金総額は最大7兆ドル。何と比較すべきかもよく分からないが、たとえば米国で2023年に発行された社債の総額1兆4400億ドルの約5倍となる。
また現在、企業価値(株式時価総額)で世界1、2位のマイクロソフトとアップルとを足しても約6兆ドルだが、それをも優に上回る。あるいは日本のGDP(国内総生産)が約560兆円(3.7兆ドル)だから、そのほぼ2年分と見ることもできるだろう。
いずれにせよ(本当にWSJの記事に書かれている通りなら)途方もない企てだが、同氏とOpenAIが最終目標とする「AGI(人工汎用知能)」、つまり人類全体の知能を凌駕するような「スーパー・インテリジェンス」を実現するには、それくらいのお金が必要になるのかもしれない。
半導体産業を根本的に塗り替える規模
AGIのような先の話はさておき、当面の動機はChatGPTなど生成AIの開発に不可欠とされる半導体製品「GPU(Graphics Processing Unit)」の不足と見られている。
昨今、GPUの需給は世界的に逼迫している上、その市場の約8割は米Nvidiaに握られている。半ば独占状態に近いと言えるだろう。これが気に入らないアルトマン氏は、自らイニシアティブを発揮して(GPUにとって代わる)AI向けの新たなプロセッサを開発し、生成AIの基盤となる半導体産業でも主導権を奪いたいと考えているようだ。
が、ここでも最大7兆ドルという投資総額は桁外れだ。
2023年の世界の半導体売上は約5270億ドル(約79兆円)を記録したが、2030年にはそれが約1兆ドル(約150兆円)に達する見込み。つまりアルトマン氏が調達・投資しようとしている資金総額は、(現在のペースで行けば)今から約7年後に世界の半導体メーカーが販売する製品総額の約7倍になる計算なのだ。
アルトマン氏がいつ頃、この計画を実現したいのかは不明だが、そう先の話ではあるまい。となると、現在の投資額の方が将来の売り上げよりも遥かに大きい、ということになってしまう。逆に、そうでないとすれば、2030年頃の市場予想を自分で勝手に、しかも大幅に上方修正してしまうことを意味する。
これは単に業界の主導権を握るというより、たった一人の意志によって、世界の半導体産業を根本的に塗り替えようとするような試みだ。
ビッグテックもAI半導体を自主開発
もっとも、Nvidia(のGPU)に対抗して生成AI向けの新たなプロセッサ(論理演算やデータ処理用の半導体製品)を開発しようとする試みは、アルトマン氏(OpenAI)だけに止まらない。
GPUなどAI向けのプロセッサ市場は、2027年には現在の2倍以上となる約1400億ドル(21兆円)の売上が期待されている。この巨大市場に狙いを定めて、従来のCPU(中央演算処理装置)市場を牛耳ってきた米インテルや米AMD等の伝統的な半導体メーカーが最近、新たにGPUのようなAIプロセッサの開発に注力している。
が、恐らくそれ以上に注目すべきは、グーグルやメタ(旧フェイスブック)、マイクロソフト、アマゾンなど、生成AIを開発・提供するビッグテック自身が独自にAI専用プロセッサの開発を進めていることだろう。
その主な目的は、生成AIの開発・運用に必要な巨額コストの削減と見られている。
OpenAIのChatGPT、あるいはグーグルが先日提供を開始したGeminiなど、いわゆる「基盤モデル」と呼ばれる大型の生成AIには、その機械学習やその後の運用などに何万個とも言われるような多数のGPU、あるいはAIプロセッサを必要とする。
NvidiaのGPUは平均で約1万5000ドル(230万円)と高額だが、グーグルが生成AI用に内製するTPUと呼ばれる半導体チップ(プロセッサ)の開発費は約2000~3000ドル(30万~45万円)と比較的安い。つまりグーグルは生成AI用のプロセッサを内製化することで、そうしたプロセッサの調達コスト、ひいては生成AIの開発・運用コストを大幅に削減することができる。
このグーグルと競うように、メタは昨年5月に同社初となるAIプロセッサの開発に着手したと発表した。またマイクロソフトも同年11月、「Maia」と呼ばれるAIプロセッサを発表。さらにアマゾンも最近、独自のAIプロセッサを開発中とされる。いずれのケースも、当面は生成AIの開発・運用コストを抑えることが主な目的だ。
が、将来的に、これらのビッグテックは自社以外の企業にも各自のAIプロセッサを提供していく方針と見られている。実際、アマゾンは昨年9月、生成AIを開発するスタートアップ企業「アンソロピック」に最大40億ドルの投資を決めたが、そのための条件の一つは同社がアマゾンが開発する独自のAIプロセッサを採用することであったという。
アマゾンに限らず、マイクロソフトやグーグルなどビッグテックは自社のクラウド・サービスを介して生成AIサービスをクライアントに提供している。これら生成AIのクラウド基盤に搭載されている多数のGPUを各々、自社製のAIプロセッサで置き換えてしまえば、結果的に現在のGPU市場を牛耳っているNvidiaの牙城を崩すことができる、と考えているようだ。
ここからは単なる憶測に過ぎないが、アルトマン氏がAIプロセッサ開発に向けて5兆~7兆ドルという途方もない資金総額に言及したのは、これら手強いビッグテックに対抗して新たな半導体市場を開拓していく決意、あるいは心意気を示すためであったかもしれない。
中東経由で中国への情報流出を懸念する米国政府
アルトマン氏は最近、こうした巨額の資金調達に向けて、アラブ首長国連邦の権力者シェイク・ターヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤン(Sheikh Tahnoon bin Zayed Al Nahyan)に面会したという。
ちなみに「シェイク(Sheikh)」はアラビア語で「指導者」等を意味する言葉だが、一般的にはイスラム社会における敬称や称号として用いられる。
シェイク・ターヌーンはアラブ首長国連邦の現在の「President(大統領)」であるシェイク・モハメド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤン(Sheikh Mohammed bin Zayed Al Nahyan)の弟として、同国の産業を従来の石油依存から脱却させてAIなど次世代産業へと移行させる上で大きな役割を担っているとされる。実際、2017年には同国政府に世界初となる「AI大臣」が設けられている。
他方でアラブ首長国連邦は最近、中東進出を加速させる中国とも結び付きを深めており、これが米国政府の懸念を呼んでいる。
そうした中でOpenAIは昨年10月、アラブ首長国連邦のIT・AI開発企業「G42」と提携関係を結んだが、同社のCEO(最高経営責任者)は中国出身だ。必ずしもそのせいではなかろうが、米CIA(中央情報局)はG42を経由して「AI半導体」など国家安全保障に関わる先端技術情報が米国から中国へと漏洩することを危惧しているとされる。
アルトマン氏がシェイク・ターヌーンに面会したのも、恐らくは最大7兆ドルとされるAI半導体開発の資金調達に向けた交渉が主な目的と見られる。シェイク・ターヌーンはアラブ首長国連邦の政府系ファンドの要職を務めると同時にG42の会長も兼務しており、これが米国の政府関係者から問題視されているようだ。
こうした懸念を払拭すべく、アルトマン氏は最近、米国のジーナ・レモンド商務長官ら政府関係者と面会して状況を説明したと報じられている。
ちなみにアラブ首長国連邦には世界最大級とされる「アブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Authority:ADIA)など主に3つの政府系ファンドが存在する。これらのファンドが運用できる資金総額は公式には明らかにされていないが、推定で1兆ドル程度と見る向きもある。
つまり世界最大級のアラブの政府系ファンドをもってしても、アルトマン氏が述べたとされる「5兆〜7兆ドル」投資の確保には遠く及ばないことになる。となると同氏は一体どこから、残りのお金を集めてくるつもりだろうか>(以上「現代ビジネス」より引用)
「日本のGDPの約2倍!「最大1000兆円」を投資するサム・アルトマンの「AI半導体開発計画」その背景と内情を探る」とは実に刺激的な見出しだ。小林雅一(作家・ジャーナリスト)氏がAIを巡る熾烈な開発競争を描いているが、果たして現実問題として、それほどの投資をアルトマン氏が実行するだろうか。
また現在、企業価値(株式時価総額)で世界1、2位のマイクロソフトとアップルとを足しても約6兆ドルだが、それをも優に上回る。あるいは日本のGDP(国内総生産)が約560兆円(3.7兆ドル)だから、そのほぼ2年分と見ることもできるだろう。
いずれにせよ(本当にWSJの記事に書かれている通りなら)途方もない企てだが、同氏とOpenAIが最終目標とする「AGI(人工汎用知能)」、つまり人類全体の知能を凌駕するような「スーパー・インテリジェンス」を実現するには、それくらいのお金が必要になるのかもしれない。
半導体産業を根本的に塗り替える規模
AGIのような先の話はさておき、当面の動機はChatGPTなど生成AIの開発に不可欠とされる半導体製品「GPU(Graphics Processing Unit)」の不足と見られている。
昨今、GPUの需給は世界的に逼迫している上、その市場の約8割は米Nvidiaに握られている。半ば独占状態に近いと言えるだろう。これが気に入らないアルトマン氏は、自らイニシアティブを発揮して(GPUにとって代わる)AI向けの新たなプロセッサを開発し、生成AIの基盤となる半導体産業でも主導権を奪いたいと考えているようだ。
が、ここでも最大7兆ドルという投資総額は桁外れだ。
2023年の世界の半導体売上は約5270億ドル(約79兆円)を記録したが、2030年にはそれが約1兆ドル(約150兆円)に達する見込み。つまりアルトマン氏が調達・投資しようとしている資金総額は、(現在のペースで行けば)今から約7年後に世界の半導体メーカーが販売する製品総額の約7倍になる計算なのだ。
アルトマン氏がいつ頃、この計画を実現したいのかは不明だが、そう先の話ではあるまい。となると、現在の投資額の方が将来の売り上げよりも遥かに大きい、ということになってしまう。逆に、そうでないとすれば、2030年頃の市場予想を自分で勝手に、しかも大幅に上方修正してしまうことを意味する。
これは単に業界の主導権を握るというより、たった一人の意志によって、世界の半導体産業を根本的に塗り替えようとするような試みだ。
ビッグテックもAI半導体を自主開発
もっとも、Nvidia(のGPU)に対抗して生成AI向けの新たなプロセッサ(論理演算やデータ処理用の半導体製品)を開発しようとする試みは、アルトマン氏(OpenAI)だけに止まらない。
GPUなどAI向けのプロセッサ市場は、2027年には現在の2倍以上となる約1400億ドル(21兆円)の売上が期待されている。この巨大市場に狙いを定めて、従来のCPU(中央演算処理装置)市場を牛耳ってきた米インテルや米AMD等の伝統的な半導体メーカーが最近、新たにGPUのようなAIプロセッサの開発に注力している。
が、恐らくそれ以上に注目すべきは、グーグルやメタ(旧フェイスブック)、マイクロソフト、アマゾンなど、生成AIを開発・提供するビッグテック自身が独自にAI専用プロセッサの開発を進めていることだろう。
その主な目的は、生成AIの開発・運用に必要な巨額コストの削減と見られている。
OpenAIのChatGPT、あるいはグーグルが先日提供を開始したGeminiなど、いわゆる「基盤モデル」と呼ばれる大型の生成AIには、その機械学習やその後の運用などに何万個とも言われるような多数のGPU、あるいはAIプロセッサを必要とする。
NvidiaのGPUは平均で約1万5000ドル(230万円)と高額だが、グーグルが生成AI用に内製するTPUと呼ばれる半導体チップ(プロセッサ)の開発費は約2000~3000ドル(30万~45万円)と比較的安い。つまりグーグルは生成AI用のプロセッサを内製化することで、そうしたプロセッサの調達コスト、ひいては生成AIの開発・運用コストを大幅に削減することができる。
このグーグルと競うように、メタは昨年5月に同社初となるAIプロセッサの開発に着手したと発表した。またマイクロソフトも同年11月、「Maia」と呼ばれるAIプロセッサを発表。さらにアマゾンも最近、独自のAIプロセッサを開発中とされる。いずれのケースも、当面は生成AIの開発・運用コストを抑えることが主な目的だ。
が、将来的に、これらのビッグテックは自社以外の企業にも各自のAIプロセッサを提供していく方針と見られている。実際、アマゾンは昨年9月、生成AIを開発するスタートアップ企業「アンソロピック」に最大40億ドルの投資を決めたが、そのための条件の一つは同社がアマゾンが開発する独自のAIプロセッサを採用することであったという。
アマゾンに限らず、マイクロソフトやグーグルなどビッグテックは自社のクラウド・サービスを介して生成AIサービスをクライアントに提供している。これら生成AIのクラウド基盤に搭載されている多数のGPUを各々、自社製のAIプロセッサで置き換えてしまえば、結果的に現在のGPU市場を牛耳っているNvidiaの牙城を崩すことができる、と考えているようだ。
ここからは単なる憶測に過ぎないが、アルトマン氏がAIプロセッサ開発に向けて5兆~7兆ドルという途方もない資金総額に言及したのは、これら手強いビッグテックに対抗して新たな半導体市場を開拓していく決意、あるいは心意気を示すためであったかもしれない。
中東経由で中国への情報流出を懸念する米国政府
アルトマン氏は最近、こうした巨額の資金調達に向けて、アラブ首長国連邦の権力者シェイク・ターヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤン(Sheikh Tahnoon bin Zayed Al Nahyan)に面会したという。
ちなみに「シェイク(Sheikh)」はアラビア語で「指導者」等を意味する言葉だが、一般的にはイスラム社会における敬称や称号として用いられる。
シェイク・ターヌーンはアラブ首長国連邦の現在の「President(大統領)」であるシェイク・モハメド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤン(Sheikh Mohammed bin Zayed Al Nahyan)の弟として、同国の産業を従来の石油依存から脱却させてAIなど次世代産業へと移行させる上で大きな役割を担っているとされる。実際、2017年には同国政府に世界初となる「AI大臣」が設けられている。
他方でアラブ首長国連邦は最近、中東進出を加速させる中国とも結び付きを深めており、これが米国政府の懸念を呼んでいる。
そうした中でOpenAIは昨年10月、アラブ首長国連邦のIT・AI開発企業「G42」と提携関係を結んだが、同社のCEO(最高経営責任者)は中国出身だ。必ずしもそのせいではなかろうが、米CIA(中央情報局)はG42を経由して「AI半導体」など国家安全保障に関わる先端技術情報が米国から中国へと漏洩することを危惧しているとされる。
アルトマン氏がシェイク・ターヌーンに面会したのも、恐らくは最大7兆ドルとされるAI半導体開発の資金調達に向けた交渉が主な目的と見られる。シェイク・ターヌーンはアラブ首長国連邦の政府系ファンドの要職を務めると同時にG42の会長も兼務しており、これが米国の政府関係者から問題視されているようだ。
こうした懸念を払拭すべく、アルトマン氏は最近、米国のジーナ・レモンド商務長官ら政府関係者と面会して状況を説明したと報じられている。
ちなみにアラブ首長国連邦には世界最大級とされる「アブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Authority:ADIA)など主に3つの政府系ファンドが存在する。これらのファンドが運用できる資金総額は公式には明らかにされていないが、推定で1兆ドル程度と見る向きもある。
つまり世界最大級のアラブの政府系ファンドをもってしても、アルトマン氏が述べたとされる「5兆〜7兆ドル」投資の確保には遠く及ばないことになる。となると同氏は一体どこから、残りのお金を集めてくるつもりだろうか>(以上「現代ビジネス」より引用)
「日本のGDPの約2倍!「最大1000兆円」を投資するサム・アルトマンの「AI半導体開発計画」その背景と内情を探る」とは実に刺激的な見出しだ。小林雅一(作家・ジャーナリスト)氏がAIを巡る熾烈な開発競争を描いているが、果たして現実問題として、それほどの投資をアルトマン氏が実行するだろうか。
アルトマン氏はNvidiaが独占しているGPU製造に参入しようと云うのではないようだ。AI専用半導体製造を内製して、ビッグテック三社マイクロソフトとグーグル、アマゾンの寡占の輪内に割って入ろうとしているという。そのための投資額が5~7兆ドルだという。
確かにAI半導体を内製してAI業者にも販売する企業戦略に巨額資金は必要だが、果たしてそれほどの巨額資金が本当に必要だろうか。そして巨額資金の調達に要する金利支払いに見合うほどAI半導体が爆発的な需要を生み出すだろうか。
今後AI市場が拡大するのは間違いない。まだAIを利用した商業モデルが開発されていないが、殆どあらゆる物にAIが組み込まれるのは間違いない。それはモーターが自動車や飛行機に無数に組み込まれているが、スマートウォッチにすら微小なモーターが組み込まれているのと同じ理屈だ。AIも多くの場合、画像処理を伴うからGPUの内製化も避けられないだろう。Nvidiaの株式総額がアマゾンを抜いたのも、そうした将来性に投資する意味合いが大きいのだろう。そうするとアルトマン氏はGPU開発にも、必然的に乗り出さざるを得ないし、巨額化するAI産業の未来にビックデック三社もGPU参入を放棄したままでいるとは思えない。
ただアルトマン氏は資金調達でオイルマネーと組もうとしているようだが、中東の王族たちは名だたる商売人だということを忘れてはならない。しかもアブダビなどのオイルマネー投資機関は世界戦略に裏打ちされたファンドではない。それらは王族の極めて個人的なファンドだということだ。そこには投資する規範なども存在しない。儲かりさえすれば良い、という危険なファンドだということを忘れてはならない。
そうした意味では王族が運営するファンドは中共と結びつきやすい。ただ中共が国家存亡の経済危機を自ら招来して、経済崩壊の泥沼に自ら足を踏み込むという大失態を演じている最中だ。彼らもまた中華思想を世界で実現する、という時代錯誤の妄想に憑りつかれた独裁者だ。中東の王族たちと酷似しているとは云えないだろうか。
そもそもOpenAIはAIを研究し、活用可能なAIを提供するのを目的として2015年12月にサム・アルトマン、イーロン・マスクらによって設立された。非営利団体として出発した企業だが、サム・アルトマン氏は、2023年11月に突如OpenAIの取締役会から退任を促され、CEO職からの退任とOpenAIからの退職を発表しました。 その後アルトマン氏は一時的にマイクロソフトに籍を置いた後、OpenAIのCEOに復帰した。当時の退任理由は「(アルトマン氏は)理事会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直ではなく、責任を行使する能力に支障をきたしていると結論付けた」と説明されていた。
アルトマン氏はスタンホード大学を卒業した英才で、まだ38歳と若く野心的だ。だからこそ、彼の若さを危惧する。おそらくアルトマン氏はNvidiaが独占しているGPU業界の牙城を突き崩そうとしているのだろう。それは自由競争社会にとっては良いことだが、技術や知的財産の保護にとっては監視しなければならない厄介の目が一つ増えることになる。米国政府はアルトマン氏の野望に無関心ではいられないだろう。