日本の株式は30年間も眠っていた。
<新NISAでは世界株投信が人気という。この種の投信は世界中の株式に分散投資しリスク分散がうたい文句で、その代表格が「eMAXIS Slim全世界株式」。この投信の投資対象の62.3%は米国で、日本は5.5%に過ぎず、上位組み入れ10銘柄はアップル、マイクロソフト、アマゾン、エヌビディア、アルファベット、メタ、テスラなど全て米国企業である。
日本の投資資金が大量に流れて、NYダウの史上最高値を支援と理解できる。この全世界株式、販売額から解約額を引いた純設定額が1月は3428億円と過去最高に達した。
NYダウの動きに連れ高したように2月に入り、日経平均株価は34年ぶりの高値へ上昇も起きている。今後は「ババ抜き」の段階、誰が高値掴みをするかの局面に入ったように思え、投資家は注意が必要だろう。
株高の背景を国内ファンダメンタルズで見るとどうか。日本の2023年の経常収支は20兆6295億円の黒字となり、黒字額は前の年よりも9兆9151億円増と倍増。このうち貿易収支は6兆6290億円の赤字だが、赤字幅は前の年よりも9兆円余り縮小した。
上場企業の決算発表は2月9日にピークを迎えたが、SMBC日興証券が旧東証1部の上場企業を中心に、8日までに発表を終えた全体の7割近い957社の決算を分析したところ、最終利益は56%にあたる537社で増益、最終損益合計は、前の年の同じ時期より22%増えていた。これは1株利益の増加を示し、明らかに株高要因である。
■倒産件数の増加や、日銀の動きに注意
東京商工リサーチによる24年1月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、件数が701件(前年同月比22.9%増)、負債総額は791億2300万円(同39.9%増)だった。件数は22年4月から22カ月連続で前年同月を上回った。どうも上場企業の大企業と中小零細企業には温度差があるようで、春闘での賃上げも中小零細企業には厳しいだろう。
2月8日に、内田日銀副総裁は、奈良県内の金融経済懇談会で大規模金融緩和策について、賃金と物価データなどを「丹念に点検」したうえで「修正を検討することになる」とし、上場投資信託(ETF)などの買い入れについては、緩和修正時に「やめるのが自然だ」「(買い入れを)終了し、市場の価格形成に完全に委ねることとしても、市況への影響は大きくない」との認識を示していた。
日銀がETF購入を中止し、価格形成を市場に委ねる、すなわち日銀のセーフティーネットがなくなれば、日経平均株価は急落するかもしれない。新NISAの資金が日本株というより、全世界株式、米連邦準備制度理事会(FRB)の市場介入なしに値上がりする米国株に流れるのも至極当然に見える>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)
「日経平均株価は「ババ抜き」の段階へ…高値掴みするハメになるのは誰だ?」と題するような投資関係の論評が目立つ。なぜならNISAなどで国民個々人が「みんなで投資家」になっているからだろう。
日本の投資資金が大量に流れて、NYダウの史上最高値を支援と理解できる。この全世界株式、販売額から解約額を引いた純設定額が1月は3428億円と過去最高に達した。
NYダウの動きに連れ高したように2月に入り、日経平均株価は34年ぶりの高値へ上昇も起きている。今後は「ババ抜き」の段階、誰が高値掴みをするかの局面に入ったように思え、投資家は注意が必要だろう。
株高の背景を国内ファンダメンタルズで見るとどうか。日本の2023年の経常収支は20兆6295億円の黒字となり、黒字額は前の年よりも9兆9151億円増と倍増。このうち貿易収支は6兆6290億円の赤字だが、赤字幅は前の年よりも9兆円余り縮小した。
上場企業の決算発表は2月9日にピークを迎えたが、SMBC日興証券が旧東証1部の上場企業を中心に、8日までに発表を終えた全体の7割近い957社の決算を分析したところ、最終利益は56%にあたる537社で増益、最終損益合計は、前の年の同じ時期より22%増えていた。これは1株利益の増加を示し、明らかに株高要因である。
■倒産件数の増加や、日銀の動きに注意
東京商工リサーチによる24年1月度の全国企業倒産(負債額1000万円以上)は、件数が701件(前年同月比22.9%増)、負債総額は791億2300万円(同39.9%増)だった。件数は22年4月から22カ月連続で前年同月を上回った。どうも上場企業の大企業と中小零細企業には温度差があるようで、春闘での賃上げも中小零細企業には厳しいだろう。
2月8日に、内田日銀副総裁は、奈良県内の金融経済懇談会で大規模金融緩和策について、賃金と物価データなどを「丹念に点検」したうえで「修正を検討することになる」とし、上場投資信託(ETF)などの買い入れについては、緩和修正時に「やめるのが自然だ」「(買い入れを)終了し、市場の価格形成に完全に委ねることとしても、市況への影響は大きくない」との認識を示していた。
日銀がETF購入を中止し、価格形成を市場に委ねる、すなわち日銀のセーフティーネットがなくなれば、日経平均株価は急落するかもしれない。新NISAの資金が日本株というより、全世界株式、米連邦準備制度理事会(FRB)の市場介入なしに値上がりする米国株に流れるのも至極当然に見える>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)
「日経平均株価は「ババ抜き」の段階へ…高値掴みするハメになるのは誰だ?」と題するような投資関係の論評が目立つ。なぜならNISAなどで国民個々人が「みんなで投資家」になっているからだろう。
引用した論評は中西文行(ロータス投資研究所)氏のものだが、誰であろうと日本の株式に投資して損はない状態だ。なぜならダウ平均が4万円に迫っていたバブル崩壊直前まで、やっと戻した段階だからだ。
今後4万円の壁を突破するのか、それとも反落するのか、といった記事が株式専門誌に出いるが、突破するに決まっている。なぜなら日本の株価格は30年間眠っていたからだ。その間に先進諸国は2~3倍も株も物価も所得も上がっている。日本だけが無能な政府・官僚の経済政策により経済成長しなかったからだ。
だから株が4万円の2~3倍になったところで驚きはしない。平均国民所得が1,000万円を超えようと、別に驚きはしない。本来ならそうなっていたはずだからだ。マトモな財務官僚がいて、マトモな政治家が政権を執っていたなら、日本経済は今でも世界二位の規模を誇っていたはずだ。
だから株が4万円の2~3倍になったところで驚きはしない。平均国民所得が1,000万円を超えようと、別に驚きはしない。本来ならそうなっていたはずだからだ。マトモな財務官僚がいて、マトモな政治家が政権を執っていたなら、日本経済は今でも世界二位の規模を誇っていたはずだ。
ただ中西氏のような「春闘で賃上げが行われたなら…」といった論理には賛成できない。春闘に関係なく、企業が労働者を確保するためにたとえ赤字になってでも賃金を引き上げるような情勢にならなければ、労働者賃金は上がらない。たとえ春闘で5%賃上げがあったところで、それは正規雇用者だけのものであって、非正規雇用労働者には厳しいシワ寄せが来るだけだ。
だから産業界は深刻な人手不足にならなければならない。そのさい、愚かな政府が技能実習生と称する廉価な外国人労働移民策など決して実施してはならない。ただただ産業界が自発的に賃上げをせざるを得ない状況に追い込まなければ、彼らは本気で生産性向上のための投資を行おうとはしないからだ。現に、安価な労働者を雇用して手にした莫大な利益を「内部留保」しているではないか。
さらに一言云わせて頂くなら、投資信託は配当率が極めて低い資産運用だ。投資利益の大半は信託会社の取り分になっている。しかも投資損失が生じた場合に損失を信託会社が負うこともない。つまり投資信託は投資した者が儲けるのではなく、投資を預託された者が儲ける仕組みになっていることだ。
もちろん個人で株式投資をするリスクは大きい。しかし余程時流から見放された業界に投資しない限り、日本株が大暴落することはない。むしろ下手な鉄砲でも打てば獲物が取れる状態にある。それでは時流から見放された業界とは何か、その一つは道端営業と云われる販売業者であり、トラベラーズといった旅行斡旋業界ではないだろうか。その理由はここでは述べないが、物販はネットへ移行し、旅行などの娯楽は個々人がネットで選択して自由に行動する時代になっているしその傾向はますます強まると思われるからだ。