年中行事の春闘から労使とも脱却せよ。

中小企業の「賃上げ原資」は空っぽ…大企業の価格転嫁が進むどころか逆に後退していた!
 今年の春闘が事実上始まった。物価上昇を上回る賃上げが最大の焦点だ。労使のトップが賃上げ方針などについて講演する「労使フォーラム」が24日、開かれ、労使は「昨年以上」で一致。「6%」「7%」と、大企業を中心に大幅な引き上げが続々と打ち出されているが、問題は中小企業だ。
「少なくない大企業は取引先の中小企業の値上げ要請に対し、十分に応じていません。その結果、大企業の賃上げの原資が生まれ、大幅な賃上げを可能にしている面があります。中小企業の犠牲のもとに、大企業の大幅アップが実現しているのです」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
 日経新聞が昨年12月に大企業の社長100人にアンケートを実施したところ、取引先の原材料費や労務費の上昇分を購買価格に反映すると回答したのは5割弱にとどまっている。
 中小企業庁は毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定。中小企業の価格交渉・転嫁状況を調査しているが、最新の調査結果は衝撃だ。
 コスト全体の転嫁率は昨年3月(回答企業数1万7292社)が47.6%だったが、9月(同3万6102社)は45.7%とわずかに減っている。
 大企業は価格転嫁を進めるどころか、後退させているのである。
「9月は調査対象が大幅に増え、より実態を表していますが、微減は苦戦している企業も加わった影響もあったとみられます。より高い比率での価格転嫁が大きな課題です」(中小企業庁取引課の担当者)
 中小企業は昨年の春闘で無理をして賃上げを実施した。しかし、この時の賃上げ分(労務費)を価格転嫁するのは難しい。9月調査では、原材料費の価格転嫁率が45.4%なのに対し、労務費は36.7%と10ポイントも低い。
「原材料費と違い、労務費はエビデンスを示しにくい。また、人件費は自助努力で解決すべきという“慣行”が存在する業界もあります。ただ、労務費の価格転嫁が進まないと、中小企業は賃上げの原資を十分に確保できないことになる。労務費の転嫁が進むよう取り組みたい」(前出の担当者)
 中小企業の賃上げなくして、春闘の成功はあり得ない>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




 断っておくが、春闘開始日の年中行事になっている経団連を訪れて、首相が賃上げ要請で決まるのではない。マルクス経済学では労働分配率で決まる、というが、それは近経でも大して変わらない。近経では労働生産性の向上によって生じた剰余利益配分によって賃上げが可能になる、という理屈だ。
 首相が打ち出の小槌を持っていて、経営者たちの頭の上で振ると利益がザックザックと出る、というのなら、岸田氏が経営者たちの団体を訪問して賃上げパフォーマンスを演じる価値もあるだろう。だが、それは経済政策の貧困を補うためのパフォーマンスでしかなく、バカな政府広報マスメディアが年中行事を報じているだけだ。

 長年に渡って政府は「構造改革」と称するグローバル政策を推進した。グローバリズムの骨子は企業の国際分業論であって、労働力の廉価な地域や国へ企業を移転させる、というものだった。その政府主導の「国際分業」策によって、日本企業の多くが製造部門を海外、主として中国へ移転させた。最盛期には、その数六万社に及んだというから主要メーカーの大半が中国へ生産部門を移転させたことになる。
 それによって、国内製造工場への新規投資が減少し、国内企業の生産性が一向に向上しなかった。そこへ技術実習生と称する外国労働移民策が実施され、国内労働者は外国移民労働者賃金と競わされることにもなった。そうした二重三重の労働環境の悪化によって、日本の労働賃金は30年間も上昇するどころか減少してしまった。

 日本の労働者賃金がなぜ先進諸国と比較して低賃金なのか。上述したような政策的な側面が大きいことを、まず理解しなければ首相の賃上げ要請パフォーマンスに騙されてしまいかねない。首相は断じて経済団体に赴いて賃上げ要請などしてはならない。彼がすべきは経営者が賃上げせざるを得ないような政策を展開することだ。つまり生産性向上を各企業経営者が図るように仕向けるのが首相の仕事だ。
 もちろん法人税率の引き下げが何をもたらしたか、を検証すべきでもある。徒に内部留保を増やしただけで、企業利益の労働分配率を引き上げる方向に作用することはなかった。そうすると、政府がなすべき仕事は法人税の本税を旧に復して、生産性向上の投資に対して減税する、といった経済政策を果敢に実行すべきではないか。

 中国から多くの企業が撤退したが、未だに約二万社の邦人企業が中国で生産しているという。またつい数日前にも日中友好団体と経団連が約400人もの親善団体を組んで中国を訪問した。バカもいい加減にして欲しい。中国経済の拡大に日本は充分に支援したが、その結果は中国が手にした富で日本を攻撃する艦船を建造し、ミサイルを開発したではないか。
 だから「日中友好だ」と愚かな連中は叫んでいるが、艦船を建造しミサイルを配備して日本を脅している相手国に、いかなる「友好関係」が存在するというのだろうか。一日も早く中国と手を切り、すべての邦人企業を国内回帰させるべきではないか。それとも日中友好の団体旅行をすれば嬉しい御持て成しでも受けられるというのか、と勘繰らざるを得ない。

 引用記事では素材価格が高騰して下請け中小企業は大企業に値上げ要請をしているが、なかなか受け入れられず経営は苦しい、という。従来通りの製造過程と従来通りの顧客相手の下請けに甘んじていては利益拡大など望めない。中小企業にこそ懸命な経営者が必要だ。彼らは特殊な技術を持ち、大企業が企業内製造できない部品や素材を製造して提供しているケースが多い。だからヒト手間かければ、立派に製品として通用するモノもある。
 下請け中小企業にいつまでも甘んじるのではなく、独立独歩の企業に脱皮すべきだろう。もしくは下請け関係企業が横の連携を取って、大企業に対して値上げ要請を団結して行うなどの下請け関係から協力企業関係に変化させることも必要だ。中小企業も戦略的な経営を展開すべきだ。いや中小企業だからこそ、従前の経営から脱皮すべきではないか。

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