日本は全力を尽くしてゲームチェンジャー防衛兵器の開発を急げ。

中国は現代のソ連に向かっている!? 「第2次冷戦」の構図、そして世界のパワーバランスはこうなる

2024年は『大乱』がさらに激化する
 昨年12月28日公開「『地政学リスク』『インフレ第2波』『米大統領選挙』『台湾総統選挙』……2024年は『大乱』がさらに激化する」において、今年の「見通し」について触れた。この記事で述べた内容は、「今年」というよりも今後数年・数十年にわたる大きな流れになるのではないかと考える。
 その中でも、拙稿ZAKZAK 1月9日「2024年は3つのリスクが導く「超弩級の波乱の年」へ 「経済の時代」から「政治・思想の時代」への大転換期」で取り上げた「インフレ」「選挙」「地政学」という「三つのリスク」に特に注目したい。
「インフレ」については、「第2波」がやってくる。
 今回我々が直面するインフレは一過性のものではなく、構造的なものであり、今後少なくとも30年はインフレ基調が続くと考えている。
「選挙」については、NHK 1月1日「2024年は世界的な『選挙イヤー』 アメリカやロシア 台湾など」のように、重要な選挙が続く。
 3月のロシア大統領選挙は重要ではあるが、現在のところプーチン氏の再選が確実視されており、「波乱」要因とはならないであろう。
 最も注目されるのが、11月の米大統領選挙である。2020年の大統領選挙は、2021年2月25日公開「テキサス州が『大統領選挙不正との戦い』を牽引しているのはなぜ」で述べた「疑惑」が大問題となった。だが、バイデン氏および民主党政権がこの問題に「蓋」をしたまま3年以上が経過している。

2024年米大統領選挙は大混乱!?

 そして、2022年8月31日公開「外交、軍事、内政、何をやっても『まるでダメ夫』なバイデン米大統領」が大領領の座に居座ったことによって、過去3年間で米国の外交・内政はがたがたとなった。
 その結果、(反トランプ派にとって)「トランプではないことだけが取り柄」のバイデン氏への支持も大きく低下しており、「トランプ優位」の論調が多くみられるようになった。バイデン民主党の「忠犬」ともいえる新聞やテレビが必死にトランプたたきを行い、「スラップ訴訟」(嫌がらせ等の目的で法律上認められないことが明らかな訴訟を提起すること)としか思えない訴えが相次ぐのも「トランプが強敵」だからである。
 この状況下で、「トランプ対バイデン」の戦いが2024年の大統領選挙でも繰り広げられる見込みだ。
 このように、1991年のソ連邦崩壊以降「唯一の超大国」として君臨してきた米国が悲惨な状況である。米国の病根については、昨年12月23日公開「アメリカン『ドリーム』と『ナイトメア(悪夢)』の落差、『夢』を与えられない人々の怒りが爆発する」や昨年9月19日公開「米国は製造業を蔑ろにしたから疲弊した…金融・ITでは結局国家を支えられない」なども参照いただきたい。

米国が没落する中で……

 2020年11月3日の前回大統領選挙の直前、10月27日公開「第2次南北戦争も―選挙結果がどうなっても米国の分断は避けられない」との予想は、悲しいことに正しかった。
「トランプ対バイデン」(より正確には「トランプ対『反トランプ』」あるいは『民主主義』対『反民主主義』)の対決が2024年の大統領選挙で起これば、選挙結果に関わらず「第2次南北戦争」へとつながる可能性が高まる。
 そして、「たった一つの超大国」が力を失えば、昨年6月18日公開「国力下り坂の米国が没落して『世界戦国時代』がやってくるのか」と考えられる。
 また、昨年6月27日公開「世界が『西欧主導』から『非西欧の時代』へと向かうとき、日本人は『名誉白人』のままでいいのか?」の通り、これからは「非欧米の時代」である。
「非欧米」と言ってもあまりにも広いが、その中で共産主義中国は重要な役割を果たすと考える。
 経済面では、昨年8月31日公開「中国は崩壊か? それとも『失われる50年』か? いずれにせよ日本のバブル崩壊以上の惨劇が待っている」と考えており、ピークはすでに過ぎている。
 だが、政治面では「非西洋」の中でも強力な力を持っている。言ってみれば1991年に崩壊する前のソ連邦に似た存在になるのではないかということである。

ソ連の経済力は弱かった

 第2次世界大戦直後から始まり、1950年に勃発した朝鮮戦争以降に対立が明確になったのが「東西冷戦」である。1962年のキューバ危機の際には、あわや「第3次世界大戦か!?」と世界中が肝を冷やした。
 だが、冷戦時代、核兵器の数や軍事力で「米国と並ぶ超大国」とされたソ連であるが、経済力においては米国にかなり劣っていた。
 ニッセイ基礎研究所 2018月6月8日「図表でみる世界経済(GDP編)~世界経済勢力図の現在・過去・未来」の「図表5」によれば、1970年のGDPシェアは米国が第1位で31.6%、第2位のソ連の12.7%と3分の1程度しかなかった。ちなみに、第3位はドイツの6.3%、第4位は日本の6.2%であった。
 さらにベルリンの壁崩壊直後、ソ連邦崩壊直前の1990年においては、米国のシェアが26.0%に対してソ連が3.4%と8倍近い開きとなった。そして、高度経済成長とバブル経済のおかげで日本は13.7%の2位と大いに躍進した。ドイツも7.7%と堅実に成長している。
 つまり冷戦時代、ソ連は軍事力において脅威ではあったが、経済では恐れるに足らぬ存在であったということだ。

GDP米国超えは無いだろうが……

 中国の1990年におけるGDPシェアは、たったの1.7%であった。1978年の改革開放から10年以上が経過していたが、まだ吹けば飛ぶような存在であったといえよう。
 だが、数年前には「GDPで中国が米国を追い抜く」というような景気の良い話が新聞やテレビで盛んに報道されるまでになった。前記ニッセイ基礎研究所資料の2002年の予想においても、米国シェアが21.7%に対して、中国が18.4%と拮抗した数字になっている。
 結果的には、セカイハブ 昨年12月3日「【2023年10月最新】世界GDP(国内総生産)ランキング(IMF)」において、米国約27兆ドルに対して、中国約18兆ドルである。中国のGDPはまだ米国の約67%ということだ。
 確かに米国のGDPもバブル経済で膨れ上がっているが、前記「中国は崩壊か? それとも『失われる50年』か? いずれにせよ日本のバブル崩壊以上の惨劇が待っている」という状況を考えれば、GDPにおける中国の米国越えは無いだろうと考えられる。
 だが、今後、経済的に弱っていくであろうと考えられる中国が、1970年当時のソ連と比べて、(現在のところ)経済面において善戦していることには注意すべきだ。

ロシアの核

 旧ソ連と比べて経済的には(現在のところ)善戦している共産主義中国だが、核兵器では(国際平和拠点ひろしま「世界の核兵器保有数(2022年1月時点)」)米国の約5400に対して、350と15分の1以下しか持たない。今後、急ピッチで増強すると思われるが、今のところ米中の(少なくとも核における)戦力差は大きい。
 だが、経済力では取るに足らないともいえるロシアが、米国を上回る約6000もの核を保有している。これは重要な事実だ。
 共産主義中国の建国以来、ソ連は兄貴分として支援を行っていたが、「フルシチョフのスターリン批判」以降、スターリンと同じような独裁政治を行っていた(毛沢東の)中国とソ連との関係は冷えこみ、1969年には「中ソ国境紛争」も起こった。

「非欧米圏」のリーダになりえるのか?

 だが、特にバイデン政権成立以来「世界中の国々との関係を悪化させた米国」が、両国の仲を取り持った形になった。
 衰えたとは言え、世界第2位のGDPを誇る共産主義中国と核大国のロシアが結びつくことは恐ろしい。
 それだけではない。冷戦時代と比べて米国の国力は明らかに衰えている。さらに、1994年にはG7が世界のGDPの約67%を占めていたのに対して、日本経済新聞 2018年6月5日「G7の世界シェア5割切るGDP、人口は約1割」という状況である。それに対して、BRICSは、1994年の7.3%から2014年の21.9%(同年のG7は45.9%)へと大幅にシェアを伸ばしている。
 さらに、ジェトロ 昨年8月25日「BRICS拡大、6カ国の新規加盟に合意」のブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領の発言によれば、新加盟国を含めるとBRICSのGDPは世界の37%、世界人口では46%まで増えるとのことだ。やや誇張された発言かもしれないが、拡大BRICSのGDPシェアがG7を追い上げていることは間違いが無い。
 BRICSは、旧ソ連圏のように「共産主義」に類する「思想」でまとまっているわけでは無い。宗教も政治体制もバラバラである。「非欧米」というくくり方しかできないほど雑多な集団である。
 だが、それでも前記「国力下り坂の米国が没落して『世界戦国時代』がやってくるのか」中で、極めて重要な存在であることは間違いがない。
 我々は、経済的には苦境に陥っている中国が、影響力を増す拡大BRICSをはじめとする「非欧米」のリーダーシップをとれるのかどうかということについて、真剣に考えるべきではないだろうか>(以上「現代ビジネス」より引用)






 大原浩(国際投資アナリスト人、間経済科学研究所・執行パートナー)氏の分析はステレオタイプの積み重ねでしかない。崩壊前に旧ソ連のGDPを米国と肩を並べるくらい巨大ではないか、という思い込みがあった。しかし実際に崩壊して見ればソ連経済規模は米国の半分にも満たなかったことが判明した。
 ロシアのGDPは韓国程度でしかない。確かにロシアは軍事大国だが、ロシア独自の製造業は兵器産業以外には殆どなく、世界と肩を並べる科学技術の進歩も極めて限定された範囲内でしかない。

 大原氏は中国の実力を過大評価しているのではないだろうか。実力とは国力とも云うべきだろうが、経済力や軍事力、さらには国際的な影響力などの総合力を指している。
 そうした国力において、中国はどれ一つとってみても瞠目すべきものはない。確かにBRICKsの盟主を自認しているが、それは自認しているだけだ。経済力において世界第二位を確保しているといっても、国民総所得がGDPでもあるから人口が多ければ国のGDPが大きいのは当たり前だ。中国経済の指標とすべきは個人所得であって、その場合は中国国家統計局が2月28日に発表した2021年の国民経済・社会発展統計によると、1人あたり名目国民総所得(GNI)はドルベースで、1万2438ドル(約143万円)だった。御存知のように、中国国家統計局が発表する経済統計は水増しされているのが通例で、実態は半分程度(約80万円)と思われる。

 大原氏は最終章で「非欧米圏」のリーダになりえるのか?と自ら問い掛けている。そしてGDPを中心に据えて論理を進めているが、経済力がすなわちリーダーというわけではない。英国は未だに欧州の確たるリーダーだが、そのGDP は3兆3760億ドルで世界第6位だ。
 しかも中国の対外投資や支援はあくまでも自国への見返りを計算した上でのものでしかなく、そうした中国の投資や支援のあり方に後進国は冷めた目で見ている。去年のBRICKs国際会議で北京に首脳が赴いた国が極めて少なかったことからも窺われる。

 また核保有国のソ連が米国と並ぶ大国として君臨したことから、中国もそうなるのではないかと大原氏は論理を展開しているが、核保有国が必ずしも大国でないことは北朝鮮やイランが示している。しかも日本が実用試験クリアの段階まで完成させているレールガンは核兵器を無効化するエポックメイキングの兵器だ。
 あるいはゲームチェンジャーと云うべきもので、核兵器は無用の長物となる。なぜなら核兵器で敵国を殲滅するためには、その強力な破壊力からミサイルで撃ち込むしかないからだ。いかに超高速で軌道を変えようと、レールガンなら迎撃可能だ。核兵器は開発だけでなく、貯蔵し維持するだけでも莫大な予算を必要とする。その膨大な量の核兵器の維持・管理のためにソ連は国家財政が破綻して崩壊したといっても過言ではない。中国は核兵器を現在の200発程度から倍増させると習近平氏が宣言しているが、経済が崩壊過程に入っている中国にそうした余力はないのではないだろうか。

 大原氏は「国力下り坂の米国が没落して『世界戦国時代』がやってくるのか」と未来を見ているようだが、相対的に米国の国力が低下しているのは確かだが、だから戦国時代になる、というものでもないだろう。それこそ地球の未来は人類の叡智に関わっている。強者が弱者の領土を蚕食し独裁者が領民を搾取する国家が群雄割拠すれば「戦国時代」が展開するかも知れない。しかし人類はそれほど愚かではないだろう。独裁者が国家を統治する時代は21世紀を以て終わりにしなければならない。そのための戦いがウクライナで、中東で展開されている。自由と人権を尊重する民主主義国家が全地球に広まれば、戦争は地上から消え去るだろう。そのためにも日本は全力を尽くしてゲームチェンジャー防衛兵器の開発を急がなければならない。

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