タコ足経済の足(=国民の資産)を食い尽くしたタコが今の中国だ。

習近平、自信を失ったのか
 12月11日、12日の両日間、中国共産党政権が年に一度の「中央経済工作会議」を開いた。毎年の年末に開かれる恒例の会議として、翌年の経済運営の方針を打ち出す重要会議として位置付けられているが、今年の場合、中国経済が崩壊最中の状況であるから、どのような「救命措置」が打ち出されるのかは当初ら大変注目された。
 その中で、大きな注目を集めたのは、会議に対する習近平主席の姿勢である。会議開幕の11日、習主席は最高指導部メンバー全員を率いて出席し、恒例の「重要講話」を行なったが、12日の会議には完全に欠席したことは判明されている。
 12日、習主席はベトナムへの国事訪問を始めたわけだが、新華社通信の報道によると、彼がハノイに到着したのはその日の正午頃であるという。この到着時間から逆算すれば習主席が出発したのは12日の朝であるはず、2日目の「中央経済工作会議」を完全に欠席していることが分かる。
 2012年11月に習近平政権成立以来、毎年恒例の「中央経済工作会議」に習氏自身が途中から欠席するのは初めてのこと、最高指導者が中央の重要会議を途中欠席するのもやはり異例なことである。今回の場合、「ベトナム訪問出発のために会議を途中欠席」と解釈することもできようが、それなら習氏自身の一存で会議を1日早めに開くこともできるから、「ベトナム訪問」は途中欠席の必然な理由にならない。
 結局、習氏は、党総書記・中央財経委員会主任として中国経済運営の司令塔でありながら、会議が来年の政策方針・経済救済措置を最終的に打ち出す場面を意図的に回避することで、自らの責任回避を図ったのであろう。そしてそれはまた、習氏自身が来年の経済運営に自信を失っていることの証拠であると見て良い。

当然、株価は下落

 最高指導者はこのようないい加減な姿勢であれば、民間と経済界は当然、「中央経済工作会議」の結果に完全に失望している。それは、会議閉幕翌日の13日の株市場の反応を見れば分かる。
 12日、上海総合指数は依然として3000ポイントの大台を維持していだか、13日、取引開始の時点からいきなり3000ポイントを割ってしまい、前日比34.68ポイント(1.15%)安の2968.76ポイントで取引を終える。同じ日の深圳市場でも、深圳総合指数は1.21%安となった。そして14日、15日の両日とも上海株が下がり続け、15日には2942.55ポイントの終値で今週の取引を終えた。
 来年の経済運営の方針を大々的に示したはずの中央経済工作会議はこのようにして、株市場には完全に見放されたのである。
 こうなったことの最大の理由は、「中央経済工作会議」が来年の経済運営の方針に関しては、空疎なスローガンの羅列や今までの常套文句を並べる以外に、内実の伴った政策措置はほとんど打ち出せなかったことにある。だからこそ習近平自身も途中欠席という異例な対応を取ったのだが、民間の反応はやはり失望の一色である。

注目の「中国経済光明論」

 こうした中で、会議が打ち出した来年の経済運営の方針、あるいは「経済救助策」のうち、一つ大変注目されるものがあった。それは、「経済宣伝を強化し世論を導き、中国経済光明論(楽観論)を高らかに唱えよう」、というものである。このような「経済運営の方針」が中央会議によって打ち出されたのは前代未聞のことだから、中国国内では大変な注目を集め、一部のメディアはそれを関連ニュースのタイトルにもしている。
 今まで、隠蔽や粉飾を常套手段とする「宣伝工作」というのは、中国共産党政権が慣用する「伝家の宝刀」であるが、それが「経済措置」として使われるのは初めてのこと。しかしそれは裏返しで言えば要するに、今の習近平政権が「宣伝工作」「世論工作」を展開していく以外に、中国経済を救助するための有効なる措置をもはや何も打ち出せない。それこそは中国経済が救いのない絶望的な状況に陥っていることの証拠である。
 上述の前代未聞の「経済方針」に従って、中国の国内メデイアは早速、「中国経済光明論を唱えよう」との宣伝キャンーペンを開始、ネット上でも「光明論一色」の世界が出現しているが、彼らは今後おそらく、「経済宣伝=粉飾工作」を行い、深刻な経済状況を覆い隠して嘘八百の「中国経済楽観論」を唱えていくこととなろうが、経済の実態と国民の実感からあまりにもかけ離れる「経済宣伝」は経済状況の改善にどれほどつながるのかが全く疑問。

国家統計局が「数字の解釈良くする」?

 こうした中で、12月13日、国家統計局は康義局長の主宰下で、「中央経済工作会議の精神を伝達・学習する会議」を開いた。その中で康局長は「全局員が思想・行動の両面において習近平総書記と党中央との高度なる一致を保たなければならない」と訓示した上で、「数字の公布と解釈を良くし、社会の予測と期待を正しく導く」ことを、統計局の今後の「工作方針」として発表した。
 そしてそれはまた、国内では大変注目を集めて一部のネットニュースのタイトルにもなっているが、よく考えてみれば、本来、経済運営の職能担当部門ではなく、数字の統計を専門とする統計局が、経済救助策を打ち出した「中央経済工作会議の精神を学習する」こと自体はそもそもおかしい話であろう。その上で、局長によって示された「数字の公布と解読を良くし、社会の予測と期待を正しく導く」はさらに怪しい。
「数字の公布と解釈を良くする」というのは、要するに統計局が肝心の「数字の統計」よりも「数字の公布と解釈」に主眼を置き、それらを「良くする」ことによって、中国経済に対する「社会の予測と期待を正しく導く」としている。だが、ここでの「正しく導く」は今の中国では要するに、政権あるいは政府の望む方向へと導くとの意味であり、まさに「中央経済工作会議」が打ち出した、「経済宣伝を強化し世論を導き、中国経済光明論を称えよう」との方針に合致しているのである。
 つまり国家統計局はここで、今後は中央の「経済宣伝」に呼応して、国内世論を「経済光明論」へと導くための「数字の公布と解読」を行っていくことを宣言している。それは理解するようによってはまさに「嘘の数字の偽造宣言」そのものであろう。「世論」を「中国経済光明論」へと「正しく導く」ためには、国家統計局は今後、嘘の数字でも平気で発表していくことを自ら示唆しているのである。
 中国の国家統計局今まではずっと「数字偽造の常習犯」ではあるが、今回のように、遠回しの言い方でありながらも堂々と「数字捏造宣言」を出したのは初めてのこと。今後、その数字偽造はおそらく、より一層のやりたい放題となるのであろう。

「中国衰退」と言えば秘密警察が取り締まられる

 そして統計局と並んで、本来、国家の経済運営とは全く無関係の国家安全部(秘密警察組織)も動いた。12月15日、国家安全部はその公式アカウントで「経済安全を守る壁を築こう」という論評を掲載。「中央経済工作会議の精神」を受けて、国家安全部としては「全力をあげて中国経済の安全を守る」ことを誓った。
 その中で国家安全部は、「中国経済をおとしめるさまざまな常とう句が後を絶たない。その本質は『中国衰退』という虚偽の言説を作り上げ、中国の特色ある社会主義体制を攻撃し続けることにある」として、国家安全部としては今後、こうした論調を「国家の経済安全を危害するもの」として徹底的に取り締まることを宣言している。
 つまり国家安全部はここで、「経済宣伝を強化し世論を導き、中国経済光明論を称えよう」という中央経済工作会議の方針に従って、それに反する「中国経済衰退論」を秘密警察の力で封じ込めていくことを宣しているが、今後、中国国内ではおそらく、中国の経済状況に対して否定的意見を呈する全ての言論はその取締りの対象となり、「中国経済光明論」だけは許されるのであろう。
 こうしてみると、習近平政権が考えている今後の「中国経済救助策」の全容が何となく分かってくるのである。つまり、宣伝部門を総動員して「中国経済光明論」を唱えながら、統計局を動員して「光明論」を支持する嘘の数字を乱発する。その一方においては、秘密警察を動員して「光明論」に反する声を徹底的に封じ込める。これで中国経済はまさに「前途光明」であって薔薇色の一色となっていくのである。
 つまり今後、中国経済の成長を背負って「支える」のはまさに習近平政権ならではの「三種の神器」、中央宣伝部、国家統計局、そして国家安全部なのであるが、このような「経済振興策」の下では、中国経済は崩壊しない方がおかしいであろう。>(以上「現代ビジネス」より引用)





 中国評論家の第一人者・石 平氏が「習近平政権の経済危機対策の柱は「中国経済の未来は明るい」キャンペーンだ!~数字は捏造、懐疑的言論には秘密警察の取り締まり」と今の中国の惨憺たる状況を紹介している。もちろん中国経済が暗転している原因は習近平氏の経済政策が悉く失敗しているからだ。
 2015年に上海株式市場が大暴落した時に、自由市場の原理に任せて株式の暴落を放置していれば良かった。そうすれば今頃は投機熱に浮かれていた一部株式投機家たちが損をして、株式市場は冷え切っているだろう。しかし株式支持うが冷え切ったところで、中共政府にとって何が不都合だろうか。

 上海株式市場の大暴落の原因は、その日に発表された「2015年12月の中国製造業景況指数(PMI)」で鉄鋼、造船などの業界が10カ月連続で減速したことで中国経済の減速が鮮明になってきたからだ。 さらに対ドル相場での人民元安が5年ぶりの水準に達したことから暴落したが、それは経済成長期に現れる一時的な需給ギャップの調整によるものだった。だから中共政府は株式売買を停止して、強制的に株の暴落を抑えることなどしてはならなかった。
 製造業に対する株が高止まりしていたから、一般投資家たちは株式市場から撤退して、次の投機利益を求めて不動産投資へと向かった。地方政府は不動産企業の地上権購入により巨額な資金を手に入れ、道路建設などインフラ投資に大盤振る舞いをするようになった。

 それは危険な「タコ足経済」に陥っている危機的状況だが、地方政府にも国民にも中共政府にもそうした自覚は皆無だった。いや当時だけでなく、現在もタコが自分の足を食ってしまった、という自覚すらないだろう。
 つまり国民は投機の手段として不動産を購入した。それも一人で二軒三軒と。そうすると不動産業者は不動産投機が続くものと勘違いして、客が支払った不動産代金を他の投資へと回し、自分のポケットへ捻じ込んだ。もちろん地方政府は地上権という紙切れを不動産業者に売るだけで、巨額資金を手に入れて自分たちのポケットも膨らんだ。しかしそれらのカネは国民がナケナシの頭金を支払って、後は巨額な住宅ローンを組んで支払ったカネだ。本来なら個人消費に回って経済を活性化させ企業の売り上げになるはずだった。しかし個人資金は巨大なブラックホールのような不動産投資に投じられ、個人消費に回るどころか、住宅ローンの焦げ付きで不良債権の山を築いてしまった。

 そうした事態に追い打ちをかけるかのように、習近平氏が威張り腐って「戦狼外交」を展開してしまった。先進諸国の投資と企業進出があってこそ成り立つ「世界の工場」を習近平氏は中国の実力だと勘違いしてしまった。だから尊大にも米国大統領に対して「世界を二分して、西半分を米国が支配し、東半分を中国が支配する、というのでどうか」と持ち掛けた。
 こんな愚かな申し入れをするような相手を、さすがのバイデン氏も「習近平は独裁者だ」と記者団に云うしかなかった。西側諸国の信用を失った中国は「世界の工場の廃墟」になるしかない。習近平氏は根本のところで判断を誤ってしまった。

 今月11日と12日に北京で「中央経済工作会議」が開かれて、中国の経済方針が決められたが、翌日には上海株式市場が下落した。それは「中央経済工作会議」で具体的な経済打開策が語られることはなく、ただ「中国経済が悪い、と批判したものは逮捕しよう」といったバカげた経済対策しか打ち出せなかったからだ。しかし「腹は空いてない」と云えば腹が満腹になるわけがないことは幼児だって知っている。
 デマゴーグで騙せるほど、中国経済は安穏ではない。中国経済を回復したいなら、まず習近平氏を更迭して、経済政策の基本を「改革開放」政策に復すべきだ。もちろん中共政府の民主化の道筋を国民に示し、外交では協調・協力を前面に打ち出すべきだ。

 経済政策では不良債権処理と金融安定化のために公的資金を注入すべきだろう。もちろん国民の貯金は全額保証し、保険制度も立て直さなければならない。そうすると莫大な資金が必要となり、「元」は大暴落する。だがそれは習近平氏が前後の考えもなく国家財政を浪費したツケだ。浪費したツケは国家と国民が支払うしかない。
 10人に1人が公務員、という官僚国家である限り、中国は立ち直れない。警察が国民を監視し、警察を公安が監視し、その公安を誰かが監視する、といった監視社会で何が防止され、何が生まれると云うのか。「世界の工場」が工場を追い出したら、タコ足経済しか残らないが、その「足」も食い尽くしてしまった。多くの国民は借金を抱え、地方政府も天文学的な借金を抱え、そして中央政府も外貨を食い潰して負債超過に陥ろうとしている。

 バブルに踊った記念碑が全国各地に林立する摩天楼だ。その摩天楼ももちろん負の遺産でしかない。維持管理や解体撤去にも巨額費用が掛かるが、それをどうするのか。
 摩天楼建設のために潰してしまった田畑は元に戻らないから、国民は飢えるしかない。高速鉄道も毎年兆円を超える赤字を垂れ流している。損益計算などの経済予測をしないで、世界一の鉄路延長距離数だ、と大きさだけを誇るという経済原則無視の鉄道建設には呆れるだけだ。中国民は地道に国家再建に邁進するしかないが、そのためには愚にもつかない国家体制を改めなければ始まらない。

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