国民感覚から遊離した経営者とマスメディア。

物価上昇3年連続2%超ならバブル以来
 デフレとはモノやサービスの値段が継続的に下落している状態のことです。消費者物価指数(CPI)がそれをはかる物差しで、バブル崩壊以降の日本経済は低水準な状態が続いてきました。しかし、2022年度には前年に比べて3.2%上昇しました。政府見通しでは23年度に3.0%、24年度も2.5%上昇します。3年連続で2%を超す上昇が続けば1989〜91年以来で、デフレ脱却へと向かっています。

賃金の伸びは追いつかず
 しかし現状で政府はデフレ脱却宣言に踏み込んでいません。「再びデフレに戻る見込みがない」状況が確認されていないからです。本来は物価上昇で企業収益が増加し、賃金も上昇するはずですが、勢いを欠いています。企業が一定のモノを作るのに必要な賃金をみる単位労働コスト(ユニット・レーバー・コスト)は、7〜9月期に前の年の同じ時期より0.1%落ち込みました。記事では、来春の賃上げで所得増加率がインフレ率を上回るかどうかがデフレ脱却の第1の関門になると指摘しています。

人手不足による供給制約も壁に
 人手不足に伴う供給制約が第2の関門です。インバウンド(訪日外国人)需要が見込まれる宿泊・飲食サービスや、運輸などで人手不足感が強くなっており、新型コロナウイルス禍から回復する需要を取り込みきれていない可能性があります。日本経済の持続的な成長のためには、賃上げや人手不足の解消が喫緊の課題です。>(以上「日経新聞」より引用)




脱デフレ宣言、物価高なのになぜできない?」との見出しが日経新聞に掲載された。物価高でインフレ状態であることは確かだが、それでデフレ経済から脱却できたのか、と云うとそうではない。
 それは経済を名目で見るか実質で見るかによる。名目で見る限りインフレに違いないが、実質で見れば賃金は相対的に減少し日本は依然としてデフレ経済下にある。つまり景気が良くなっているわけではない。

 日経新聞氏は「消費者物価指数(CPI)が(デフレかインフレかを)はかる物差しで、2022年度には前年に比べて3.2%上昇しました。政府見通しでは23年度に3.0%、24年度も2.5%上昇します。3年連続で2%を超す上昇が続けば1989〜91年以来で、デフレ脱却へと向かっています」と主張する。しかしその消費者物価指数(CPI)を押し上げている原因は円安による消費者物価の上昇でしかない。
 そうしたコストプッシュ・インフレも経済成長に伴うインフレも同じではないか、という議論は乱暴に過ぎるだろう。デフレ経済を脱したから経済政策を緊縮型に切り替えて良い、という議論になれば、それこそ日本経済の舵取りを誤りかねない。

 果たして財界から消費増税15%論が噴出している。飛んでもない愚か者と批判するしかない。コストプッシュ・インフレで国民はどれほど貧困化しているか、「上級国民」には解らないのだろう。
 そして投資家と財界関係者の読者が多い日経新聞もまた、「上級国民」の意見を代表している。だから引用した論調を展開する。ただし、日経新聞は学問的に名目インフレと実質インフレの相違を知っているためか、後段で賃金上昇が必要だ、と締め括っている。つまり名目経済ではインフレだが、名目で高騰した物価を基準にして労働賃金を評価すれば大きく減少しているからだ。

 人手不足を招来しているのは人口減もあるが、企業が生産性向上のために投資して来なかったからだ。産業革命の例を引き出すまでもなく、蒸気機関の導入で稼働する百台の織機を一人で見廻るだけになった。それまでは百台の織機を百人が動かしていた。そのように生産性を向上させるのが投資であり、労働生産性を高め、労働賃金を上昇させる原動力でなければならない。
 現代の生産性向上が最も図られるべきは机に向かっている「一般管理部門」だ。AIを導入すれば業務報告書の作成や連絡署の作製は殆ど自動的に出来る。生産現場でも労働者が報告書作成に忙殺される場面があるが、そうした労働はAIに任せれば良い。そしてAIで最も生産性向上が図れるのは公務員だ。彼らの仕事の大半が文書作成と文書審査だからだ。官庁をAI化すればそこに努める公務員は劇的に減らせる。ただし、税務関係の職員数が、電算化以前と大して変わらないまま推移していることを考慮するなら、無駄に一日中PCディスプレイを眺めるだけの公務員が激増するだけかもしれないが。

 生産現場の合理化を最も怠っているのは経営者たちだ。数多くの取締役を抱える旧態依然の経営者たちに、生産現場や管理部門の合理化がAIの利用で簡単に実施できることを理解してないのではないか。
 むしろ減員できないのは人を相手にする部門だ。官庁なら窓口業務であり、企業なら顧客窓口だ。そこを自動アンサー電話に置き換えるなど、バカげた減員を実施している企業が多いが、そうした機器の導入で顧客がどれほど無駄な時間を浪費しているか、御存知ないのだろう。それを称して「顧客センター」などと呼ぶのは余りに人をバカにしていないか。

 バス運転手が不足する、というのならバス運転手の報酬を上げれば良い。無線バスの確保が困難だというが、殆ど空の大型バスを走らせているのは何故だろうか。大型バスが3,000万円以上もすることを考えれば、500万円くらいのワンボックスカーを運行すればどれほど経費が削減できるだろうか。
 ただし、山間部の路線バス運行した場合、国からほぼ全額の経費補助が出るため、大型バスを小型化しようとしない。そうしてもバス運行業者に何ら利益がないからだ。

 マクロ経済を語って国策の転換を促すのも良いが、国民感覚からズレた記事を満載していると、国民からソッポを向かれてしまうだろう。多くの国民は現状を好景気だとは思っていない。給料や年金が増えないで、物価だけが揚がって困ったものだ、と感じている。そうした国民感覚を忘れたマスメディアが国民をさらに貧困化させる。

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