ASEAN諸国との付き合いは「淡交会」で行くべきだ。

日本ASEAN友好協力50周年
 12月17日と18日、日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の友好50周年を記念した特別首脳会議が、ホテル・オークラ東京で開かれた。共同議長を、岸田文雄首相とインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が務めた。
 他の参加者は、ブルネイのハサナル・ボルキア国王、フィリピンのフェルディナンド・マルコスJr.大統領、シンガポールのリー・シエンロン(李顕龍)首相、ベトナムのファム・ミン・チン(范明政)首相、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相、ラオスのソーンサイ・シーパンドーン首相、カンボジアのフン・マネット(洪瑪奈)首相、タイのセター・タウィーシン首相である。
 2年前に軍事クーデターが勃発し、今なお内戦が続くミャンマーは、招待しなかった。オブザーバーとして東ティモールのシャナナ・グズマン首相、それにASEAN事務局のカオ・キムホン事務総長も加わった。
 先週は自民党安倍派の政治資金問題で、4大臣を交代させるという異常事態に陥った岸田首相だったが、今年後半最大の「岸田外交」を成功させるべく奮闘した。
 日本政府関係者によれば、今回特に意識していたのが、「中国への対抗」だったという。同日発表された共同声明「日本ASEAN友好協力に関する共同ビジョン・ステートメント 信頼のパートナー」には、「自由で開かれたルールに基づくインド太平洋地域を促進するとの共通の考えを確認し、それにより、以下につき重点的に取組む」とし、合意した6項目を明記した。
1)海洋安全保障協力を含む安全保障協力を強化する。
2)軍縮・不拡散に関する協力を強化し、核兵器のない世界に向けて取組む。
3)法制度整備支援等を通じた法の支配の推進に加え、人権、民主主義及びグッドガバナンスの推進に係る対話及び協力を強化する。
4)女性・平和・安全保障(WPS)アジェンダを含むジェンダー平等を推進する。
5)平和、紛争管理及び紛争解決のための協力を強化する。
6)サイバーセキュリティ並びにテロ、国境を越える犯罪及び偽情報対策等の分野における協力を強化する。
 要は、日本とASEANが共同で、東シナ海・南シナ海における「中国の脅威」に対抗していこうということだ。

「ASEAN=発展途上国」はもう古い

 そもそもASEANという組織自体が、1967年に共産主義勢力の南下を防ぐべく、アメリカのテコ入れによって作られたものだ。同年8月、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5ヵ国が「バンコク宣言」を発表して発足した。
 日本とASEANは、1973年11月に日本ASEAN合成ゴムフォーラムを開催したのが交流の嚆矢(こうし)だ。その後、1977年8月に、福田赳夫首相がマニラで発表した「福田ドクトリン」(ASEANの平和と繁栄に貢献、ASEANとの相互信頼関係構築、ASEANと対等なパートナー関係構築)が、日本のASEAN外交の基軸となった。
 交流開始から半世紀を経た現在では、日本にとってASEANは、貿易額で中国(20.3%)に次ぐ2番目(15.4%)の相手である(2022年)。しかも、前年比で輸出が24.8%増加、輸入が42%増加という最も有望な貿易相手だ。昨年の日本からASEANへの直接投資額も、中国への投資額の約2.3倍に上り、昨年末時点での直接投資残高も中国の約2倍だ。
 注目すべきは、ASEANから日本への直接投資が、このところ急増していることだ。昨年はついに1兆563億円と1兆円の大台を超え、トップのアメリカの81%まで来た。この趨勢で行けば、まもなくアメリカを追い抜いて、ASEANが日本に対する最大の投資相手となる。
 思えば、ASEANは日本と比べて、人口で5.4倍、GDPで85%、貿易額で2.3倍(いずれも昨年)と、成長著しい。日本が数年内にGDPでASEANに追い抜かれるのは確実だ。「ASEAN=発展途上国」という、日本人が長年持ち続けてきた固定観念は、もはや崩れつつある。
 私は2015年4月に、バンドン会議(アジア・アフリカ会議)60周年記念会議をジャカルタで取材した際、ショックを受けたことがある。ASEANの大臣たちが内輪の会議で、日本のことを「オールド・ゴールドメダリスト」(年老いた金メダリスト)と呼んでいたのだ。ASEANは、すでに日本がアジアのリーダーでないことを、とっくに見抜いているのだ。
 特に現在は、岸田政権の支持率が16%(12月17日『毎日新聞』発表)などという末期的な状況だ。それだけに今回、日本としてASEANに対して、強い立場に出にくかったのは事実だ。
 それでも前述のように、岸田政権にとってASEANとの連携を深めることで、東シナ海や南シナ海での中国の台頭を抑え込みたいという思いは強かった。そのため岸田首相は、各国首脳との個別の首脳会談でも、安全保障分野での連携強化を強調した。

日本にとって「最も身近な外国」
 ASEAN10ヵ国の中で、日本が最も重視すべきなのは、ASEANの本部があり、2.8億人の人口(ASEAN全体の約4割)を抱え、世界16位のGDP(ASEAN全体の約36%、2022年、IMF発表)を誇るインドネシアだ。今回の会議でも、同国のジョコ大統領に、共同議長をお願いした。
 だが、インドネシアは来年2月に大統領選挙を控えている。まもなく政権交代するため、いまは大きな取り決めがしにくい状況なのだ。そんな中、前出の日本政府関係者はこう語る。
「ASEAN10ヵ国中、いま日本が一番力を入れているのは、対ベトナム外交だ。中国への対抗、中国からの工場代替地などとして、ベトナムはまさにベストの存在だ」
 岸田政権は今回の特別首脳会議に先駆けて、11月27日から30日まで、ベトナムのボー・バン・トゥオン(武文賞)国家主席を日本に招待した。訪問初日に日越首脳会談を行い、両国関係を最高位の「包括的戦略的パートナーシップ関係」に格上げした。
 これでベトナムにとって日本は、中国、ロシア、インド、韓国、アメリカに次ぐ6ヵ国目の「包括的戦略的パートナーシップ関係国」となった。
 日本政府観光局の資料によれば、ベトナムはいまや、ASEAN10ヵ国中、日本への入国者の4割以上(2021年に41.8%)を占める。また文部科学省の資料によれば、2022年5月現在のベトナムからの留学生は、3万7405人で、全体の約16%。これは中国に次いで多い。
 さらに、出入国在留管理庁の資料によれば、2022年末における在日外国人のうち、約17%にあたる48万9312人がベトナム人だ。やはり中国人に次いで多く、しかも前年比5万6378人と、増加数・増加率が最大だ。
 東京都心を一周する山手線の北側に位置する大塚駅を降りると、北口も南口も、ベトナムタウンとも言える光景が広がっている。ベトナムレストラン、ベトナムスーパー、ベトナムバー……。日本のコンビニからスーパー、ラーメン店まで、店員の多くはベトナム人。どこでもベトナム語の看板を見かけ、ベトナム語が聞こえてくる。
 このように、いつのまにかベトナムは、日本にとって「最も身近な外国」の仲間入りをしたのである>。

世界に「ベトナムの敵」はいない

 ベトナムの人口は、今年4月に1億人を突破した。このペースで行けば、いずれ日本の人口を追い抜くのは確実だ。
 経済力は、IMF(世界通貨基金)の2022年世界GDPランキングで37位。だが年々順位を上げていて、やはりまもなくタイ、マレーシア、シンガポールを抜き去る勢いだ。すなわち、ASEANでインドネシアに次ぐ大国となる。
 ベトナム政府関係者が語る。
「昨今のベトナム外交の最大の特長が、真の意味での全方位外交だ。共産党書記長・国家主席・首相・国会議長という4首脳のトロイカ体制を取っており、常に首脳の誰かが、世界各国を訪問したり、世界の首脳を迎え入れたりしている。
 日本、アメリカ、中国、ロシア、EU、インド、韓国、中東諸国……。いまや世界に『ベトナムの敵』はおらず、どの国とも友好関係を結んでいる。こうした結果、ベトナムはいま、世界の多国籍企業の投資ブームに沸いている」
 ベトナムの外交を、同じ社会主義システムを取る中国の外交と比較して考えると分かりやすい。
 中国は、周知のように習近平政権が「人類運命共同体」「一帯一路」などの外交スローガンを掲げているが、やっていることは「上から目線」で狼のように吠える「戦狼(せんろう)外交」だ。その結果、アメリカ、日本、韓国、オーストラリア、インド、フィリピン、台湾……と、中国と距離を置く周辺国・地域は増えている。
 日本のこのところの「中国離れ」は顕著だ。10月10日、言論NPOが、「第19回日中共同世論調査」の結果を発表した。
 それによると日本人の中で、「中国に対して良い印象を持っている/どちらかといえば良い印象を持っている」と回答したのは、わずか7.8%。逆に、「良くない印象を持っている/どちらかといえば良くない印象を持っている」と回答したのは92.2%! もはや日本人にとって、中国は「最も嫌いな国」と化していることが判明した。
 同様に、10月12日に北京の中国日本商会が、中国に進出している日系企業1410社に行ったアンケート調査によれば、「直近四半期と比べた売上が上昇した」と回答したのは25%で、「低下した」と答えたのは55%だった。すなわち過半数の日系企業が、もはや「中国ビジネスは儲からない」と回答したのだ。
 ちなみに、中国海関(税関)総署の統計によれば、今年1月~11月の日中貿易は、前年比11.5%減の2737億ドル。内訳は、日本→中国が14.1%減で、中国→日本が8.6%減だ。

「中国に代わる代替地」として

 周知のように、8月下旬から、福島第一原子力発電所のALPS処理水を巡って、中国は日本産の水産物とその加工品の輸入を禁止している。そのため、日本→中国の貿易が減っているのは当然と言える。
 だが、水産物の一件を横に置いても、日本企業の間で中国ビジネスに対する幻滅感が、このところ広がっているのは事実だ。その理由は大別して、「3つの中国リスク」に集約される。
 すなわち、1)中国経済の悪化により中国市場の価値が低下していくリスク、2)日本人がスパイ容疑で捕まるなど習近平政権の政治リスク、3)米中関係悪化による経済安全保障リスクである。
 そうした中、日本企業の間で「中国に代わる代替地」としてにわかに脚光を浴びているのが、中国と国境を結ぶベトナムというわけだ。
 興味深いのは、当の中国企業さえ、中国を脱出してベトナムに工場を建設するのがブームになっていることだ。
 これは表向きは、ベトナム工場の生産物は「メイド・イン・ベトナム」となるため、アメリカの対中制裁に引っかからないという理由からだ。だが実際には、「泣く子も黙る」習近平政権の軛(くびき)から逃れ、自由な風土で経済活動をしたいということもあるのではないか。
 ベトナム外国投資庁によると、今年1月~9月の対内直接投資件数及び投資額は、次の表の通りだ。
 このように、日本も含めた近隣諸国の間で、「ベトナム争奪戦」とも言える状況が起こっているのだ。

アメリカ企業のベトナム進出

 今年、ベトナムが世界を驚かせたのが、9月10日、11日のジョー・バイデン米大統領の電撃的なハノイ訪問だった。
 アメリカとベトナムは、前世紀の60年代から70年代にかけて、ベトナム戦争を戦った仇敵同士である。アメリカ軍に守られた南ベトナムの最後の砦・サイゴン(現ホーチミン)が、1975年4月に陥落し、北ベトナムが勝利してからは、両国の国交は途絶えた。
 だが、私はいまから30年前に初めてベトナムを訪問し、当時の副首相やホーチミン市長らにインタビューしたが、先方から一番多く出された質問が、「どうやったらアメリカと国交正常化できるか?」だった。一般に発展途上国では、「アメリカへの憧憬」と「反米感情」とが交錯しているが、ベトナムほどそのどちらも強烈な国はない気がした。
 その時、ベトナム政府の幹部たちは言った。
「われわれは世界で唯一、日本、フランス、アメリカ、中国という世界の4つの大国と戦争し、勝利してきた国だ。それだけに大国への理解は、どこの国よりも深い。21世紀には、すべての大国と友好関係を結んでいるだろう」
 実際、ビル・クリントン政権下の1995年に、米越は国交正常化を果たした。そこからは堰を切ったように米越友好時代を迎え、いまではベトナムにとって、アメリカは最大の輸出相手国となっている。
 バイデン大統領は9月10日、ハノイでグエン・フー・チョン(阮富仲)共産党書記長とがっちり握手を交わして、両国の関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に引き上げた。そして長文の共同声明とファクトシートを発表した。
 共同声明には、半導体分野を始めとする経済協力、アメリカ主導のIPEF(インド太平洋経済枠組み)の推進、気候変動対策やベトナム戦争の処理問題などが明記されている。
 またファクトシートには、米アムコーの北部バクニン省工場の稼働、米シノプシスとサイゴンハイテクパークの提携、米エヌビディアと越FPTとのAI提携……と、アメリカ企業のベトナム進出計画が盛りだくさんだ。

習近平主席が3度目の訪越

 これに対して、中国は9月5日、劉建超共産党中央対外連絡部長(中国共産党の「外相」)が訪越。米越関係に釘を刺した。
 ベトナム側も同様に、中国に気を遣っている。10月に行われた第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムに合わせて、ボー・バン・トゥオン(武文賞)国家主席が訪中。10月20日に人民大会堂で習近平主席と会談し、揺るぎない中越関係を謳った。
 だが、現在の中越関係を見ると、より相手の力を必要としているのは、むしろ中国の方だ。その証拠に、日本ASEAN50周年特別首脳会談を直前に控えた12月12日、13日に、習近平主席が訪越した。
 8月の南アフリカBRICS(新興5ヵ国)首脳会議では一部の重要会議を欠席し、9月のインドG20(主要国・地域)首脳会議では訪問そのものをドタキャンした習近平主席だったが、暮れの多忙な時節にベトナムをわざわざ訪問したのである。過去11年近くで、日本への公式訪問は一度もないが、ベトナムへはすでに今回が、3度目の公式訪問である。
 12月16日、新華社通信は、「習近平総書記・国家主席のベトナム国事訪問記録」と題した長文の記事を発表した。
〈(中国共産党のベトナム共産党の)両党と(中国とベトナムの)両国の関係は、新たな定位を確立した。深化する中越の全面的な戦略的パートナーシップ関係の基礎の上に、手を携えて戦略的意義を持った中越運命共同体を構築していく。(中略)
 世界の変化、時代の変化、歴史の変化という前代未聞の状況展開に直面して、二つの「天下のマルクス主義を胸に抱いた政党」は、二つの「国際社会の責任の追ったメンバー」は、いかに人類の進歩の推進という事業において、さらなる大きな役割を発揮していくか。(習主席の)ベトナム訪問は、一つの答案を打ち出したのだ…… 〉
 以下、長文には、いかに両国がマルクス主義や社会主義の「同志」かということが、大仰に書かれている。
 一方、ベトナム側の対応を見ると、「中越運命共同体」などとは表現していない。実際、いまのベトナム社会は、「習近平新時代の中国」よりはるかに自由度が高いので、両国を同一視するのには無理がある。しかし、「ホーチミン(胡志明)と毛沢東の同志関係」をことさら強調することで、毛沢東元主席を崇拝する習近平主席を心地よくさせているのだ。

ベトナムのしたたかな外交姿勢

 実はベトナムは、中国を見習って、南シナ海の実効支配地域で島の埋め立て工事を強行し、中国を激怒させている。だが「習主席を心地よくさせること」で、中国側の怒りをうまく鎮めることに成功している。「中越運命共同体」などと中国が言いたければ言わせておけというわけだ。
 これぞ「名を捨てて実を取る」ベトナムのしたたかな外交と言えよう。
 加えて、グエン・フー・チョン書記長にとって、習近平総書記は「恩人」である。2016年1月の第12回ベトナム共産党大会で失脚寸前だったが、前年11月に習近平総書記が急遽訪越して、「全面的支持」を表明したことで息を吹き返し、長期政権につながったのだ。
 そのため、2022年10月の第20回中国共産党大会で、習総書記が異例の3期目再選を果たすと、真っ先に北京へ駆けつけて祝福している。
 ともあれ、同じく中国と南シナ海の領有権問題で揉めているベトナムとフィリピンが、中国との関係では対照的というのは興味深い。そこに、「尖閣諸島問題」をうまく日本の国益に導いていくヒントがあるかもしれない。
 岸田首相は、自己の政権存続のことで頭がいっぱいかもしれないが……。>(以上「現代ビジネス」より引用)




 近藤大介(『現代ビジネス』編集次長)氏はどうしても日本を頼りない方針の定まらない国だと日本国民に宣伝したいようだ。「「尖閣諸島問題」を日本の国益に導くためのヒントは、ベトナムの「全方位外交」にあるのかもしれない」と題する論評を発表して対中ベトナム外交を持ち上げ、その反作用として日本を貶めたいようだ。
 しかし、何処をどう見ても日本の方がベトナムより何倍も対中外交では強い立場にある。現に西沙諸島のディスカバリー礁(華光礁)周辺で操業していたベトナムの漁船が、3月6日、中国船に衝突されて沈没したではないか。

 アジア諸国の中で中国に対抗しうる国は客観的に見て日本だけだ。軍事力だけではなく、経済力や科学技術力など、どれを取っても一つとして中国が日本に勝てる要素はない。
 習近平氏はそれが癪に触ってか、国内では猛烈な反日政策を展開している。それでいて、日本企業に「中国へ進出して下さい」と叩頭している。何を血迷っているのか、と習近平氏に訊きたい。

 近藤氏はASEAN諸国はもはや後進国ではない、と表現している。しかし先進国か後進国かの線引きは一般的に国民所得が年間1万ドルを超えるか否かだ。そうした側面で見るなら、アジアで先進国に入るのは日本と韓国だけだ。
 近藤氏はベトナムを推奨株として持ち上げているが、ベトナムもまた中国と同じく共産党一党独裁国家だ。独裁体制国家は方針が定まれば動きは早く「一気呵成」という側面がある。そのため「躍進著しい」と見えるだろうが、独裁者の裁断で明日はどうなるか分からないのが独裁体制国家の危うさだ。たとえば「改革開放」策で外国からの投資と企業進出で経済発展した「原理」を忘れて、10年前に登場した習近平氏は「戦狼外交」に転じて世界を中国の下に平伏させようとした。

 ベトナムに過度に期待するのは危険だ。それと同じく、異常にインドを持ち上げる評論家がいるが、インドも苛烈な階級社会で民主主義国家とは程遠い。安定的な国家体制とは云い難い。それらの国が安定した民主主義国家になるには何が必要かと云えば、それは「自由」と「人権」が保障され、その上で報道と学問の自由が国民共通の認識にならなければならない。
 そうした意味ではASEANで真の民主主義国家は日本とオーストラリアだけだ。韓国には学問の自由はなく、義務教育において韓国が捏造したファンタジー建国史を教えているようでは後進国そのものと云うしかない。

 米国はプラグマティズムの国で、利をもたらす立つ国とは付き合うが、役に立たない国は弊衣のように捨てる。ただ民主主義国家に存在する腐敗と独裁体制国家に蔓延る腐敗とではレベルが異なる。国民の平均所得が1万ドルもない中国で、習近平氏が蓄財している金融資産は1兆円を超えているという。プーチンは金融資産だけで22兆円以上を私有しているというから驚く。ハンター・バイデン氏が中共政府から彼の関係する企業に投資してもらった金額は10億円程度だから、独裁者たちと比べれば可愛いものだ。
 そのように独裁体制国家では腐敗が蔓延っている。インドネシアは共和制に基づく大統領制だが、インドネシアが高速鉄道を導入する際に日本でほぼ決定していた契約が、突如として中国ら乗り換えた不自然さは多分に賄賂の存在を窺わせるものだった。だから民主主義体制を採用していても、報道や学問の自由が確立されていない国は信用ならない。

 ASEANアジア諸国と連携を図ることは重要だが、まず日本が経済的な基盤を再構築して、名実ともにアジアの盟主にならなければならない。そしてアジア諸国が国民の自由と人権を尊重する国になるようにあらゆる機会を捉えて「布教」すべきだ。
 国民が自由と人権を尊重するようになれば、一人の独裁者によって国家が暴走することもなくなる。政権が国民の表現の自由を抑制し、報道機関が政府の広報機関に堕落したなら、それは国家が危うくなる前兆だ。なぜなら政府は報道機関を使って国民を先導するのが常だからだ。かつて戦前の日本もそうだった。最も強く「鬼畜米英」を叫んだのは朝日新聞だったことを忘れてはならない。当面、ASEAN諸国との付き合いは「淡交会」で行くべきではないか。急いては事を仕損じる。

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