3歳まで脳は超多忙。

<いわゆる「人の言うことを聞く、いい子」ではなく、好奇心と意欲が旺盛で穏やかで温かい。おっとりしているが決断は早い。集中力があり、質問力が高い。そんな「しあわせ脳」をつくるには?
これからの子育てへのヒントだけではなく、自分の脳のメンテナンスにも最適な『子どもの脳の育て方』より、3歳までの睡眠についてご紹介。

3歳までは自由にしていていい
 ところで、私は、4歳未満の幼児に「早寝、早起き」を言わない。理由は、彼らは、自分のペースで生活すべきだからだ。そもそも、眠りの時間依存性は6歳から始まる。6歳まではメラトニンいらず。いつでも、上質の睡眠ができる。
 幼児の脳は、頻繁に睡眠を必要としている。脳は、起きている間の新たな経験を、眠っている間に整理して知識にしているのだが、幼児というのはいつも新しい体験をしているので、頻繁に眠たくなるのである。
 新しい体験をする(生まれて初めてうどんを食べる)、眠って知識にする(咀嚼した感覚を脳に植えつける)、起きてまた新しい体験をする(レースのカーテン越しにゆれる春の光を見る)、眠って知識にする(その光の美しさと、お母さんが「春ね」と語りかけてくれたことばを反芻する)、そうやって、どんどん知識を構築しているのだ。
 よく「知識を吸収する」という言い方をするが、あれは違う。知識は寝ている間に構築されるのである。起きている間の学習や体験は、脳に「データとして記録されている」にすぎない。その場で吸収されるわけじゃない。
 眠りのリズムには、けっこう個人差がある。起きている間の体験の、脳にとっての密度によって、眠りのリズムは微妙に変化するし、軽い眠りを頻繁に必要とする子と、深い眠りで一気にすましてしまう子がいる。これは脳の性質によるものなので、どちらがいいとも言えない。
 ただ言えるのは、昼であろうと夜であろうと、彼らの脳が睡眠を必要とすれば、彼らは勝手に眠る。その自発的なペースが、幼児期の脳にはとても重要だということだ。早寝が必要というより、「自然に眠くなり、そのつど寝られること」が重要。早寝させようとして、あえて夕方寝を阻止する必要はない。
 しかし、大人たちが、夜に煌々と部屋の電灯を照らし、大音量でテレビをつけていたりすれば、彼らの脳のペースそのものがくるってしまう。自然に眠くなるはずのシーンで、変に覚醒してしまうことになる。同じ理由で、4歳未満の子に、お稽古事の忙しいスケジュールを押しつけるのも疑問である。
 夜は暗く静かに、朝は朝日を部屋に入れて、昼間は陽だまりでゆったりまどろむ。人類の子どもたちが何千年も繰り返してきた自然な暮らしの中で、自分の脳のペースでもって、自分という存在を知り、自分を包み込んでいる「世界」というものがあるのを知ること。それが、人生最初の3年間にすべきことなのだ。

3歳までの脳は超多忙!
 たった3年で、自我と外界の認識の基礎を作るのは意外に忙しい。やわらかな春風に人々の気持ちがほどけることや、夏には木々に生命力が吹き出して、人々の気持ちが開放的になること。そんな情緒の基礎の基礎も、この時期に獲得する。一見「ほえ~」としているようだけど、寝ても覚めても幼児脳はフル回転なので、幼児というのは基本的に暇でなくちゃいけない。「早寝、早起き」でさえも、外部からの操作である以上、あまり強制はしないほうがいい。
 このような脳の出来事を知る者としては、3歳までの超多忙な幼児脳に、英才教育を施す理由が、皆目わからない。
 先ほど、ちらりと言ったが、眠りの時間依存性は6歳から。ということは、6歳までは、ちょっとは大目に見てもいいってことだ。
 とはいえ、6歳までには生活習慣が身についていることが好ましいので、4歳くらいからは、早寝、早起きが生活のメインテーマになってくることは間違いがない。ただ、たまの夕方の寝落ちに、鬼の母にならなくていい、って話。大人の都合で起こすのは、その家の流儀でやればいいが(夕方の寝落ちをたたき起こしたからって、脳の進化が全部止まるわけじゃない)、「黒川先生が夜中に寝させろって言ったから」と、寝せてあげたいのに涙を呑んで起こさなくていいからね。
 というわけで、3歳までの幼児期と、13歳以上の思春期は、彼らの脳のペースを優先してやるとき。そう考えると、親が子どもの脳に、能動的かつ意図的に、しっかり何かしてあげられるのは、4歳から12歳までの9年間にすぎない。しかも、脳には自分で育つ力が備わっているため、実際に親ができることは、脳の成長のサポートにすぎず、その最良の手段は「早寝、早起き、朝ごはん、適度な運動、そして読書」に尽きる。これは、子どもの脳にとっては最上の黄金ルールであり、親たる者の最低限の義務である。

リラックス、リラックス

 これから、生活習慣の重要性を、さらに明確にしていく。
 すると、真面目なお母さんは、「早寝、早起き、朝ごはん」教の信者みたいになっちゃうことがある。「今夜は12時まで起きていたから、子どもの脳を2時間分ダメにした」とか「朝ごはん食べなかったから、今日の授業は無駄になる」とか、できなかったことを数え上げて、ノイローゼみたいになってしまう方が、たまにいる。
 そこまで思いつめる必要はないので、どうかリラックスしてほしい。脳は意外にタフな装置なので、たまにできなかったことくらい、いつの間にか挽回している。知っているのと知らないのでは、累積ではずいぶん違う。それで十分。
 人間だから、機械のタイマーのようなわけにはいかない。眠れない日もあれば、食欲のない日もある。子どもも自分も、追いつめないでほしい。>(以上「現代ビジネス」より引用)




 


 世間には様々な専門家がいるものだと感心する。黒川伊保子氏は人工知能研究者だそうで「3歳までの脳は超多忙! 英才教育も、早寝早起きも必要ない!」という論評を著している。私が生まれる前から黒川氏の理論を知っていたら、もう少しマシな人物に育っていたのではないか、と思う。
 しかし自身の三歳までの育て方を両親に伝授する子など不可能だ。それなら、せめて自分の子供を持つ前に知っておきたかった、と嘆かざるを得ない。だが、それも過ぎ去ったことで知識として黒川氏の論評を読むしかない。

 3歳までの脳はヒトとして基本的な生存知識を周辺環境から吸収して脳内に構築するのに超多忙だという。未熟児として生まれたヒトがPCの初期設定をするように、3歳までに初期設定をしているという。だから幼児教育など無用だそうだ。
 親は育児で何事も急ぎ過ぎるのを抑制すべきようだ。また「親が子どもの脳に、能動的かつ意図的に、しっかり何かしてあげられるのは、4歳から12歳までの9年間にすぎない」という。12歳を過ぎたら本人の独自性に任せるしかないようだ。それは馬に水を飲ませる格言に似ている。人は水の近くに馬を連れて行けるが、水を飲むか飲まないかの判断は馬がする、というものだ。

 英才教育は12歳までだという。それ以降は親の惰性でしかない。むしろ親が子供に影響を与えようとすれば、親に依存性の高い大人を作り上げてしまう危険性の方が高いかも知れない。「あまりに多く手を入れられた子の哀しさよ」と詠んだのは中原中也だったか、太宰治だったか。
 いずれにせよ、引用した論評は一読ではなく、二読三読すべき価値ある内容だ。

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