再「消費税廃止」のススメ。

減税なのに失敗…?
 岸田首相は所得税の減税を打ち出したが、支持率は下落している。国民のためのはずの減税はなぜ評判が悪いのか、支持率下落の原因であるというのは「真実」と言えるか。
 支持率低下の理由として、マスコミは減税を取り上げている。その理由として、今回の減税政策は明らかに「選挙対策」というのが見え透いているからだという。
 そして、別に国民も必ずしも減税を望んでおらず、集めた税を正しく使って欲しいと思ってるだけともいう。
 その意見を補足する意味で、過去にも減税で支持率を回復しようとした政権はいくつもあるが、どれもうまくいっていない、と俎上に乗せる。
 例えば1998年の橋本龍太郎内閣は4兆円の定額減税政策に失敗して橋本氏は退陣。99年の小渕内閣も20%の定率減税政策を引き継ぐもうまくいかなかった。2008~09年の福田内閣・麻生内閣において福田政権が定額減税を検討したが批判を受けて、麻生政権では定額給付金に変更するかっこうとなった。
 このように、減税政策には失敗が多いというが、その指摘は本当だろうか。
 時事通信が10~13日に実施した11月の世論調査で消費税減税の賛否を尋ねたところ、「賛成」が57.7%、「反対」が22.3%だった。支持政党別では、自民党支持層で賛成48.2%、反対33.9%。賛成は立憲民主党支持層で71.0%、日本維新の会支持層で58.5%。反対はいずれも22.6%だった。ほぼ全ての政党で賛成が反対を上回った。この調査はマスコミの説明と大きく異なっている。
 さらに、過去の減税で失敗したというのは財務省がネガティブキャンペーンをした結果である。財務省はこうしたことを繰り返すことで、政治家に対して「減税は命取りになる」と警告するわけだ。

補正予算とセットで見てみると

 一方、給付金は「ギリギリセーフ」というメッセージも同時に出す。減税はダメで給付金がいいというのはわかりにくいが、制度変更で減税は複雑だが給付金は簡単であるという説明に政治家は騙されてしまう。定額減税などの制度設計は極めてシンプルだ。
 経済政策としては、減税も給付金も経済効果は大差ない。減税は国民から税を集めず、給付金は国民から税を集めて配るので、減税のほうが事務コストは低く、執行のムダがない。したがって、先進国ではまず減税のほうが選択されやすい。
 ちなみに、OECDの経済政策を分析すると、日本は減税がほとんどないが、他の先進国では減税のほうが多い。その理由をある研究者に質問されたことがあるが、日本では官僚が「仕事熱心」で税を集めて給付金として配るのが好きだと説明したら、笑われてしまった。
 今般のコロナ危機でドイツや英国などOECD加盟目38ヵ国中30ヵ国において飲食、宿泊、娯楽業界の付加価値税の時限的引き下げなど軽減措置が行われている。さらに、OECDの調査によれば、非OECD加盟国においても23ヶ国で同様な軽減措置がとられている。日本はコロナの直前に消費増税をした「珍しい国」だ。
 今回の減税は、補正予算とセットで見なければいけない。13兆円の補正予算が衆院予算委で可決されたが、真水はどの程度で、国債発行の規模は妥当なのか。財務省のフレームにそって見てみよう。
 

 歳出では、経済対策関係経費として、「物価高から国民生活を守る」 2兆7363億円、「地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する」1兆3303億円、「成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する」3兆4375億円、「人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する」1兆3403億円、「国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する」4兆2827億円で小計13兆1272億円だ。
 その他として国債整理基金特別会計の繰入など3兆5818億円、既存経費の減額▲3兆5098億円で、合計13兆1992億円となっている。

もはや皮肉でしかない

 真水の正確な定義はない。ただ、ただちにGDP増加につながる財政支出と考えれば、経済対策関係経費はもちろんだが、その他はただちにGDP増加になると思えない。既存経費の減額は、本来であればGDP増加分になっていたものが減額されているので、おおよそ10兆円程度ではないだろうか。
 それでも、フレームの注には、「経済対策関係経費と、定額減税による『還元策』及びその関連経費とを合わせると17兆円台前半程度と見込まれる。」と書かれている。
 定額減税の根拠となる所得税法改正等が本臨時国会で、補正予算と一緒に処理されていれば、筆者の試算するGDPギャップはほぼ満たすことができ、経済対策としてはまずまずだった。
 しかし、定額減税が来年度予算送りとなり、その実施は早くても来年6月以降となると、今回の補正予算は「ショボい」といわざるを得ない。しかも、定額減税がないので、「遅い」とも言わざるを得ない。
 なお、細かい話だが、鈴木俊一財務大臣は、定額減税は税収還元でないと国会答弁しているのに、予算フレームではわざわざ「還元策」と括弧付きで記しているのは、もはや皮肉でしかない。
 一方、歳入を見てみよう。「税収」1710億円、「税外収入」7621億円、「前年度剰余金受入」3兆3911億円、「公債金」8兆8750億円、合計13兆1992億円となっている。

税収見積もりも酷すぎる

 まず予算の原則を述べておこう。予算は歳出権を国会が政府に付与するもので、この意味では歳出が重要だ。つまり、支出の限度とともに内容を制限する政府への拘束力をもっている。一方、歳入は見積りに過ぎず、収入の限度や内容を制限する拘束力はない。この意味で、税収が結果として間違っても、それほど政府は非難されない。
 しかしだが、この税収見積もりは、あまりに酷い。2021年11月26日の補正予算では税収増を6兆4320億円と見込み21年度税収を当初57兆4480億円から63兆8800億円とした。最終的には税収はさらに3兆1579億円増加し67兆379億円だった。
 2022年11月8日の補正予算でも税収増を3兆1240億円と見込み22年度税収を当初65兆2350億円から68兆3590億円とした。最終的には税収はさらに2兆7784億円増加し71兆1374億円だった。
 23年度の政府の中期財政試射の名目成長率は4.4%だ。となれば、税収弾性値を手堅く1.1としても税収は4.8%増で、74兆5400億円だ。当初が69兆4400億円なので、税収増5兆1000億円でもおかしくない。
 通常の税収弾性値は2~3なので、税収増はもっとあってもいいくらいだ。そう考えると、補正予算の国債8兆8750億円はもっと減額できる。国債発行額が多いように見せて、来年度に予定されている所得税減税を牽制しているかのようだ。
 11月13日の本コラム〈岸田首相、打つ手なし…!財務省の「ハシゴ外し」で支持率回復どころか「党内分裂」へ〉で、財務省のハシゴ外しを指摘した。定額減税は国債発行しないできないと財務省はいうが、それもデタラメであることはこれまでの本コラムを見ればわかるだろう。
 それに加えて、補正予算でも岸田政権のデタラメがある。これでは政権支持率は改善するるはずがない。>(以上「現代ビジネス」より引用)




 元財務官僚の髙橋 洋一(経済評論家)氏の毒舌にかかれば「財務省もデタラメばかり」と散々な言われようだ。もちろん財務省洗脳された「ザイム真理教」の信者。岸田自公政権も「デタラメな数字だらけ…岸田政権、減税しても支持率が上がらない「本当の理由」」とこの度の補正予算に関してもメッタ斬りだ。
 何がデタラメかというと、そもそも補選予算に計上した財務省の税収見通しが一桁少ないという。だから真水の少ない補正予算しか立てられず、国債発行で減税措置を行う、などとトンチンカンな話になる。

 なぜ財務省はドル債の評価替えをしないのだろうか。それは常々高橋氏も「埋蔵金」と指摘している。円高当時に購入した米国債を一旦売り払い、同額を購入するだけで50兆円前後の為替益が転がり込む。米国債を売り払えば米国が顔色を変えて怒るのではないか、と危惧しているようだが、日本が国家利益を確保して何が悪いのか。円安のために日本は輸入物資に多額の円を支出しているではないか。物事には表と裏が必ずある。表の輸入物資の円安による高騰があるのなら、裏には輸出物資の為替差益がある。
 岸田氏は日本国民の所得倍増を図るつもりはサラサラないようだ。低所得者に給付金をばら撒くのも結構だが、経済成長させるための原資として使うつもりのないのか。それは一時流行った「俵百票」の精神だ。

 低所得者個々人に給付金を出すよりも、消費税を廃止する方が効果がどれほど大きいか、岸田氏は判らないようだ。かつて「給付金の大半が貯金に回ったではないか」と批判したのは麻生氏だが、今回の岸田氏の判断に対して自民党内でそうした議論がなぜ起きなかったのだろうか。
 消費税廃止なら貯金に回ることはない。日本のGDPに占める個人消費は54.2%だ。成長なき30年から脱却するには経済の主力エンジンたる個人消費を刺激する政策こそが求められる。なぜそうした簡単な理屈が分からないのだろうか。それとも国民は財務省の資金源たる消費税を死守して貧困化すれば良い。とでも考えているのだろうか。国家が衰亡しようともプライマリーバランスが取れれば良い、とでも考えているのだろうか。

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