ロスで見せた習近平氏の気色悪い笑顔の正体は。

平和的統一を目指す中国・習近平政権
 米国のサンフランシスコで11月15日(現地時間)に開かれたジョー・バイデン米大統領と習近平中国共産党総書記(国家主席)の首脳会談は「中国の苦境」を裏書きしている。中国は国内がガタガタで、米国との対決を「先送り」する以外に選択肢はなかったのだ。
 習氏は会談冒頭、こう切り出した。
〈私は、いまも「主要国の競争が現代の潮流とは言えず、中国と米国、世界全体が直面している問題を解決することはできない」とみている。地球は2つの国が成功するのに十分、広い。1つの国の成功は、もう一方の側のチャンスなのだ〉。
 この「地球は2つの国が成功するのに十分、広い」という台詞は、習氏が2013年6月に国家主席として初めて訪米し、当時のバラク・オバマ大統領に告げた「太平洋は米中両国を受け入れるのに十分、広い」という有名な台詞を思い出させる。
 当時は「中国は太平洋の縄張り分割を提案した」と世界で波紋を広げた。今回は「太平洋」から「地球」に、舞台を一段と大きくした。習氏は「オレたちは、いまや太平洋どころか、地球全体を分割すればいいじゃないか」と大風呂敷を広げてみせたのだ。
 これだけ聞くと、表面的には自信満々のように見える。だが、一皮むけば、内実はまったく違う。
 習氏は台湾について「米中関係でもっとも重要で、もっともセンシティブな問題だ」と強調し、米国に台湾への武器供与を止めて、中国との平和的統一を支持するよう求めた。いまさら「台湾統一の旗」を降ろすわけにはいかないのは当然だが、平和的統一に言及したところがミソだ。
 歴代の米政権は1972年の上海コミュニケなど3つの共同声明と79年の台湾関係法、および6つの保証に基づいて、台湾政策を進めてきた。
 このうち、台湾関係法は「台湾の将来を平和的手段以外によって決定しようとする試みは、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威」と位置づけている。言い換えれば「平和的統一であれば、米国は反対しない」という話になる。

中国の「手詰まり状態」が露呈する

 ところがバイデン政権のイーライ・ラトナー国防次官補は2021年12月、議会で「台湾は主要な貿易レーンに沿って位置している台湾は、米国の利益を守るうえで、決定的に重要」と証言し、台湾の戦略的な重要性を強調した。
 習氏は、そんなバイデン政権に対して「原点に戻って、米国は平和的統一に反対するな」と要求したのである。その理由は、いまの中国には、武力侵攻に踏み切るだけの余力がないからだ。
 不動産バブルの崩壊と新型コロナに対するロックダウンの後遺症で、国内の経済はガタガタであるのに加えて、肝心の政府と人民解放軍は外相と国防相を更迭したばかりで、とても人民解放軍を動員して、戦争に踏み切れるような状態ではないのである。
 逆に言えば、いまの局面で、習氏に残された選択は「平和的統一」しかない。
 習氏は「オレは武力侵攻できない。だから、平和的統一を支持してくれ」とバイデン大統領に本音を打ち明けた、と言ってもいい。表面的には「地球分割」のような大ボラを吹いていても、現実には、平和的統一への支持を米国に嘆願しつつ、首脳会談に応じて「時間稼ぎ」するしか手がなかったのだ。
 国内向けには、いくら「オレはバイデンに堂々と要求したぞ」と空威張りしてみても、首脳会談に応じた事実そのものが、中国の「手詰まり状態」を示している。
 中国の国民が「米国をどう見ているか」を示す興味深い世論調査もある。
 米メディア、アクシオスが報じた米調査会社モーニング・コンサルトの調査によれば、米国を「敵対的」とみる中国人の割合は、80%を超えていた2022年4月に比べて、23年10月には48%に急落した。逆に「友好的」とみる中国人は、45%に急増した。
 険しい米中対立を考えれば、意外な結果だ。中国で実施した調査がどこまで信用できるか、という問題はあるが、私は「中共が米国にラブコールを送っているのではないか」とみる。苦し紛れに、当面は「仲良くしよう」と言っているのだ。習体制に対する「中国人の幻滅」を反映している可能性もある。
 どちらにせよ、「中国の自信喪失と行き詰まり感」が色濃くにじみ出ている。
 逆に「米国人が中国をどうみているか」と言えば、米ギャラップ調査で、23年には1979年以来、最低の15%を記録した。こちらは「中国人は大嫌い」という米国人の気分を反映している。
 それでも、習氏がヤケクソになって、台湾で暴発する危険は残る。中国と正面から向き合う日本は、冷静かつ着実に防衛力を強化すべきなのは間違いない。岸田文雄政権の支持率急落は、「親中」路線からの決別を求める国民の意向も反映している。>(以上「現代ビジネス」より引用)




 長谷川幸洋(ジャーナリスト)氏がバイデン氏と習近平氏の首脳会談後に「習近平が大焦り…台湾統一に中国が「手詰まり状態」の今、米中国内で起きている「意外な変化」」と題する論説を掲載した。まさに習近平氏は行き詰まった内政の打開に、バイデン氏との会談を利用しようとした。
 習近平氏は独裁者だ、とバイデン氏が対習会談後の記者インタビューで語ったとして中国側は反発していたが、何も怒ることはない。厳然たる事実ではないか。中国は中国共産党の一党独裁体制の国で、国民に人権も自由もない。今では出国の自由すら奪われている。中国は巨大な檻と化して、国民を閉じ込めている。

 習近平氏は「平和的統一」を目指すと語ったというが、統一ではないだろう。かつて同一国で、分裂したのなら「統一」と云うべきだが、台湾が中国領土だったことはない。だから統一と云わないで「侵略」と云うべきだろう。そして侵略による占領に「平和的」という接頭辞は決してつかない。
 それにしても武力統一も辞さじと息巻いていた習近平氏のかつての勢いは何処へ行ったのだろうか。おそらく諸般の事情から平和的統一をするしかなくなった、と云うべきなのだろう。武力による統一は困難だ、と習近平氏が認識したとしたら、彼も成長したと云うべきだろうか。

 武力による統一は不可能だ。米国がスパコンを使って各種シュミレートした台湾進攻で中国対日米軍が戦った場合、結果は中国軍の軍事力がカタログスペック通りだとしても、中国軍が敗退すると出ている。しかし中国の軍事力はカタログスペックよりも遥かに劣る。それはウクライナ戦争で実証されている。
 中国の軍事装備の大半はロシア製兵器の劣化コピー版だ。先日も中国軍哨戒機が台湾南方沖で墜落して搭乗していた兵員11名全員が死亡している。その前には中国の原潜が海中爆発して100名以上の乗組員の全員が殉職している。さらに習近平氏がロケット部隊の司令官に任命した将官が兵士たちの冬服コートを大量に横流ししていたのが露呈して、彼は失脚した。いやロケット部隊の司令官だけではない。大勢の軍幹部が相次いで姿を消している。劣化コピー版の兵器と軍幹部による横領横流し手により、中国軍はマトモに戦争できる状態ではない。

 しかし無腰の中国市民相手なら自動小銃で制圧できる。台湾に武力侵攻するよりも、台湾の将官を買収して弱体化する方が台湾侵略に効果的だ、と習近平氏は自国の将官たちの腐敗ぶりから学習した。だから中国は台湾の将官に様々なトラップを掛けて篭絡し、中国側に寝返らせている。習近平氏が平和的統一を口にした背景にはそうした戦略があることを忘れてはならない。
 習近平氏はロスに降り立つと喜色満面の笑顔を見せた。それは不気味なほどの笑顔だった。彼はそれほど追い詰められているのだろう。米国は対中制裁の手を緩めてはならない。「超限戦」戦略の下、日本や米国のあらゆる機関に大勢の中国人戦闘員が送り込まれている。決して油断してはならない。

 中国経済の視察に訪れたIMF幹部たちは中国のGDPが2023に5%成長すると発表した。余程手厚い持て成しを受けたのだろうか。誰がどう見ても、中国経済は崩壊過程にあって、今年のGDPは明らかに対前年比マイナスだということは明らかだ。中国の製造業中心地の深圳ですら、今月から「春節の休暇」に入った企業が散見されるという。つまり来年3月末まで仕事がないから出社に及ばず、ということだ。もちろん、その間は給与の支払いはないし、来年4月になって操業再開する保証もない。
 地方政府は国道を相次いで有料化して通行車両から料金を巻き上げている。そうしなければ地方政府は公務員の給与すら支払えなくなっている。こうした状況で物流が活性化し経済が上向くだろうか。もはや中国経済は崩壊しつつあり、習近平氏は経済の素人ばかりを側近にしたため打つ手がない。不動産業界の不良債権処理を先延ばしし、金融機関の債務超過を招いてしまった。人民銀行は懸命に元の為替相場の維持を図っているが、中央銀行当局も既に打つ手はなくなっている。

 習近平氏は何をしに米国を訪問したのか。崩壊する中国を攻撃しないでくれ、と命乞いに来たのではないだろうか。間もなく、中国はハイパーインフレに見舞われ、中国社会は大混乱に陥る。台湾進攻どころではなく、習近平氏は国内の社会秩序維持すら困難になろうとしている。現在、若者たちの半分近くが職もなく寝そべっているが、いつまでも静かに寝そべっているわけにはいかない。彼らにも「生きる権利」があり、文化的な暮らしを送る権利がある。社会主義国で国民の半数近くが失業していることなどあり得ない。何のための経済統制主義社会だろうか。そういった疑問を中国の若者たちが持ち始めたら、中南海は蜂起した中国民によって取り囲まれるだろう。

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