手詰まり習近平氏の笑顔。しかし彼は「超限戦」を捨ててはいない。

<アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席は日本時間の16日、1年ぶりに首脳会談を行い、両首脳は去年11月以降行われていない国防相会談を再開させるほか、両国の軍の制服組トップや司令官どうしが対話を行うことなどで合意しました。

 1年ぶりとなった米中首脳会談はAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせて、アメリカ西海岸のサンフランシスコ近郊でおよそ4時間にわたって行われました。
 会談のあと、バイデン大統領は単独で記者会見し「これまでで最も建設的で生産的な議論ができたと思う」と述べたうえで「私と習近平主席の間を含む、ハイレベルでの外交を維持し、追求していくことになった。私たちは、すぐに電話で直接、連絡をとれるようにすることで合意した」と明らかにしました。
 そして「われわれは軍どうしの直接の連絡を再開させる。大きな進展があった」と強調しました。
 これについてバイデン政権の高官は両首脳が去年11月以降、行われていない国防相会談を再開させることで合意したと明らかにしました。
 また、米中の軍の制服組トップや司令官どうしが軍事演習や軍の展開について対話を行うことでも合意したとしています。
 また、中国外務省も、米中両国の間で軍のハイレベル対話や防衛当局による会談、それに海上軍事安全協議のメカニズム会合を再開させることなどで合意したとしています。
 一方で、台湾をめぐっては、バイデン大統領が中国による台湾海峡周辺での軍事的な活動を抑制するよう求めたのに対し、習主席は「アメリカは『台湾独立』を支持しないという態度をはっきりと具体的な行動で示し台湾を武装することをやめ、中国の平和的な統一を支持すべきだ」と強調し、議論は平行線のまま終わりました。

会談冒頭 バイデン大統領「競争が衝突へ転じないように」
 バイデン大統領は習近平国家主席との首脳会談の冒頭、「去年、G20にあわせてインドネシアのバリ島で私たちが会って以来、われわれのチームの主要なメンバーはさまざまな問題について重要な議論を交わしてきた。対面での話し合いにかわるものはない。私たちの話し合いはいつも率直であり、感謝している」と述べました。
 そして、「わたしは今回の会談を重視している。指導者どうしが互いに誤解をしないことは最も重要だと考えているからだ」としたうえで、「私たちは競争が衝突へと転じないよう責任ある形で競争を管理していかなければならない」と述べました。

会談冒頭 習国家主席「新しい合意に達すること期待」
 習近平国家主席は、会談の冒頭「世界は新型コロナウイルスの感染拡大からは抜け出したが、大きな影響はまだ残っている。世界経済は回復し始めたが力強さに欠け、産業のサプライチェーンは妨げられ、保護主義が台頭するなど、これらの問題が非常に際立っている。世界で最も重要な二国間関係として、中米関係は人類の進歩のために責任を果たさなければならない」と述べました。
 そして、「この50年余り、中米関係は順風満帆ではなく紆余曲折(うよきょくせつ)の中で前に向かって発展してきた」としたうえで、「この地球は中米両国を受け入れることができる。それぞれの成功は互いのチャンスだ。私は中米関係の将来は明るいとかたく信じている」と述べました。
 また、習国家主席は「両大国が関わり合わないことはいけないことで、お互いのことを変えようとすることも現実的ではなく、衝突と対抗の結果には誰も耐えることはできない」と述べたうえで、「私と大統領は中米関係をかじ取りする者として人々、世界、歴史に対し、重い責任を背負っている。きょう、私は大統領と中米関係の戦略性、方向性、それに世界の平和と発展の重大な問題について、突っ込んだ意見交換を行い、新しい合意に達することを期待している」と述べました。
 さらに、「大国による競争はこの時代の潮流ではなく、両国と世界が直面する問題を解決することもできない」としたうえで、「両国の歴史、文化、社会制度、発展の道が異なることは客観的な現実だ。しかし、双方が相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力を堅持するかぎり、完全に相違を乗り越えて、正しくつきあう道を見つけることができる」と述べました。

習主席 台湾の平和的統一への支持や一方的制裁の撤廃求める
 習近平国家主席は、バイデン大統領との首脳会談で、台湾の平和的な統一への支持や、一方的な制裁の撤廃を求めました。
 中国の国営メディアによりますと、習主席はバイデン大統領との首脳会談で、台湾について取り上げ、「台湾問題は常に中米関係において、最も重要で敏感な問題だ」と指摘しました。
 そのうえで「アメリカは『台湾独立』を支持しないという態度をはっきりと具体的な行動で示し、台湾を武装することをやめ、中国の平和的な統一を支持すべきだ」として、みずからが強い意欲を示す台湾統一について強調しました。
 また、習国家主席は、アメリカが実施している中国向けの輸出規制について、「中国の正当な利益を著しく損なっている。中国の科学技術を抑圧することは、中国の質の高い発展を封じ込め、国民の発展の権利を奪い取ることだ」と強く反発しました。
 そして「アメリカ側が中国側の懸念と厳粛に向き合い、一方的な制裁を撤廃し、中国企業に公平かつ公正で、差別をしない環境を提供することを望む」として、アメリカ側に制裁の解除を求めました。

“5本の柱築くべき”習主席が会談で示す 中国外務省
 中国外務省によりますと習近平国家主席はアメリカのバイデン大統領との会談で「中国とアメリカは新たなビジョンを持ち、共に努力して中米関係の5本の柱を築くべきだ」として両国がともに取り組むべき5つのことを示しました。
 それによりますと、1つ目は「共に正しい認識を確立すること」で、両国がパートナーとなり、互いに尊重し平和共存することを望むとしています。
 2つ目は「共に意見の隔たりを効果的に管理すること」で、より多くの意思疎通と対話を行い意見の隔たりや予想外のできごとに冷静に対処しなければならないとしています。
 3つ目は「共に互いに利益のある協力を推進していくこと」で、経済や貿易、農業などの伝統的な分野だけでなく、気候変動やAI=人工知能などの新たな分野も含め、さまざまな分野で協力すべきだととしています。
 4つ目は「共に大国としての責任を果たすこと」で、人類が直面している困難を解決するには大国の協力が欠かせず、米中両国は率先して、国際社会や地域の問題で協調と協力を強化すべきだとしています。
 そして5つ目は「共に交流を促進すること」で、両国の直行便の増加や観光協力の促進、地方の交流拡大、それに教育分野の協力を強化して両国民の往来と意思疎通を奨励し、支援しなければならないとしています。

“各領域の対話と協力強化で合意” 中国 新華社通信
 中国国営の新華社通信は、習近平国家主席とバイデン大統領の首脳会談の結果について、「両国の首脳は各領域の対話と協力を推し進めて、強化することで合意した」と伝えました。
 具体的には、「平等と尊重に基づく」として米中両国の間で、軍のハイレベル対話や防衛当局による会談、それに海上軍事安全協議のメカニズム会合を再開させることなどを合意したとしています。
 このほか米中両首脳は、AI=人工知能についての政府間対話の立ち上げや中国とアメリカの薬物の取り締まりをめぐる作業部会の設立も合意したとしています。
 さらに、来年の早い時期に航空便を大幅に増加させることや、教育やスポーツ、ビジネスなどの分野で交流を拡大させることにも合意したとしています。
 また、中国とアメリカで気候変動対策を強化するための作業部会を立ち上げることも明らかにしました。

会談では2人で散歩の様子も
 今回の会談ではバイデン大統領と習近平国家主席が2人で並んで、言葉を交わしながら、会場の敷地内の庭を散歩する様子も見られました。
 会談の状況について記者団から質問されると、バイデン大統領は両手の親指を立て「うまくいっている」という身ぶりを示して応じました。そして、習主席も記者団に向かって手を挙げて、呼びかけに応じていました。

アメリカ  ロシアとも接触あるか注目
 一方、ロシア外務省のザハロワ報道官は15日に行った会見の中で、APECの首脳会議をめぐり、「アメリカから水面下ではあるが、われわれと現実的で非公式な対話を行う用意があるというシグナルがでている」などと述べ、アメリカ側から何らかの対話の打診が内々にあったと主張しました。
 APECの首脳会議にはロシアからはプーチン大統領は出席せず、代わりにオベルチュク副首相が出席することになっています。
 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によってアメリカとロシアの対立が深まるなか、両国の間で何らかの接触が見られるか注目されます。>(以上「NHK」より引用)




 NHKは4時間に及んだ米中首脳会談を「1年ぶりの米中首脳会談 国防相会談の再開などで合意」との見出しで報道した。見出しをその通りに解釈すれば、国防大臣のホットラインを再開するので合意した、という程度の会談だったのか。実際に両首脳後に共同会見がなかったのが、二人の会談が擦れ違いで終始したのは明らかだ。
 それにしても気色悪い習近平氏の笑顔だった。これほど満面の笑顔の習近平氏を見たことがない。失業者が全国に溢れ、民間業のみならず地方政府の財政破綻と中央政府の外貨枯渇、さらには不良債権処理を一切しないことによって起きている金融機関の債務超過状態という国家破綻に直結する異常事態にある中国経済に対して、経済専門家を側近から一掃した政権は成す術がない。そして外交も習近平氏が描いた「一帯一路」や「新シルクロード」が破綻しつつある現実に直面している。せめては米国との外交改善だけでも果たしておかなければ、という切羽詰まった気持ちの現れがアノ気色悪い笑顔だったのではないだろうか。

 しかし忘れてはならない。10/7ハマスの対イ多発テロはイランの差し金で、その背後に習近平氏の中国がいる。ガザ地区からイラン国内へ伸びる幾つものトンネルや病院地下の巨大な地下壕などの掘削工事は人民解放軍が直接協力した疑いが濃厚だ。未確認ながらある情報によると2017年から人民解放軍の兵士たちがガザ地区に延べ一個師団(2万人)も派遣されたという。中国は「一つの戦術」をハマスを使って試したと思われる。しかしイスラエルの圧倒的な軍事力によって潰され、習近平氏の「ある試み」は失敗した。
 イスラエル軍がガザ地区を制圧すれば未確認の情報が物証やハマス戦闘員の証言によって確認されるだろう。それによって米国内に秘かに侵入したと云われる万人単位の人民解放軍戦闘員の目的が明らかにされる可能性が高い。これは決して陰謀論ではない。米国と米国民の安全を脅かす現実だ。それこそが習近平氏の採った「超限戦」の正体だ。

 習近平氏がバイデン氏に突き付けた要求は以下の五項目だったという。
1つ目は「共に正しい認識を確立すること」
2つ目は「共に意見の隔たりを効果的に管理すること」
3つ目は「共に互いに利益のある協力を推進していくこと」
4つ目は「共に大国としての責任を果たすこと」
5つ目は「共に交流を促進すること」

 かつて日本は世界第二位の経済大国だったが、米国に対してこれほど厚かましい要求を突きつけたことはなかった。「共に正しい認識」とは何だろうか。民主主義国と独裁専制国家が「正しい認識」を共に確立することなどあり得ない。「共に意見の隔たりを効果的に管理すること」や「共に互いに利益のある協力を推進していくこと」は中国が推進する(既に破綻しているが)「元」経済圏の確立を邪魔するな、ということだろう。4項目の「共に大国としての責任を果たすこと」に到っては噴飯ものだ。中国のGDPが「大国」並みに膨れ上がったのは先進自由主義諸国からの投資とそれらの国の企業群が中国に移転進出したからだ。「世界の工場」として中国の土地と膨大な国民を借りたからに他ならない。
 欧米と日本が認識を新たにして中国から手を退けば、中国は瞬時にして「改革開放」前の後進国に転落する。トランプ氏が始めた対中デカップリングが効いて、中国は膨れ上がったGDPの空気が抜けて皮だけになろうとしている。彼らは高度経済成長の20余年の間、自ら研究開発することなく、先進諸国から技術や研究の成果だけを剽窃してきた。それでは中国内に研究者は育たない。たとえ研究者の若い芽があったとしても、外国から最新技術や研究成果が持ち込まれれば、彼らの日々の研究はすべて水泡に帰すからだ。

 中国は既に経済大国ですらない。マトモは国家財政運営では金融機関が回らなくなり、国民の預金残高は国によって盗まれてゼロになっている。国家全体が債務超過となり、財政破綻は一刻の猶予もならない事態に迫っている。失業者が巷に溢れ、富裕層は先を争って国外へ脱出しようとし、政府は国民すべてに外国渡航を禁じて監視している。まさに中国は国民を閉じ込める「檻」と化した。
 バイデン氏は賄賂を贈ってくれたとって中国と「共に交流を促進する」ことが必要かも知れないが、米国に必要だろうか。確かに米国にとって、貿易相手国として中国の存在は大きいかも知れないが、それは米国人の失業を輸出しているに過ぎない。トランプ氏が掲げた米国民の雇用のためにも対中デカップリングを止めるべきではない。それは同時に米国と先進自由主義諸国の安全保障のためでもある。

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