プロパガンダによる「EV」の宴の後。

<多国籍自動車メーカーのステランティスとトヨタが、米国環境保護庁(EPA)の自動車電動化推進計画を「甘っちょろい」と批判、非現実的でレアアースなどの採掘が大幅に増加するなど、多くの問題を引き起こすと警告した。

 4月12日、EPAは自動車排ガスに含まれる温室効果ガスやその他の汚染物質の削減を目的とした新しい規則を発表した。同庁はこの規則が承認されたことによって、2032年までに新たに販売される乗用車と小型トラックの67%が電気自動車(EV)になると推定している。さらに、バスの50%、短距離貨物トラクターの35%、長距離貨物トラクターの25%がEVになるとされている。
 トヨタとステランティスは、連邦政府に提出したコメントの中で、EPAの期待は「甘っちょろい、楽観的すぎる」と述べた。
 トヨタはコメントの中で、EPAの目標67%を達成するために必要とされるEVの製造には大量の緊要物質が不可欠であり、それを確保するためには、世界中で「何百もの新しい鉱山」を開発し操業する必要があると指摘した。
「鉱石からバッテリー製造に適した原料を抽出する処理が海外で行われているのと同様、これらの鉱物の山元も国内になく、ほとんどが海外である。即ち山元から鉱石処理までの工程を海外に依存しているのが実態である。さらに、EVの普及には充電インフラの構築や整備が必要であるが、国内外の両方で、必要なレベルからは程遠い」と同社は述べた。
 トヨタは、「EPA提案の中で、緊要物質の供給体制は十分であり、想定されるバッテリー・ニーズの拡大に対しても対応できる可能性が高いと述べているが、これはあまりに楽観的すぎ、誤解をもたらす見解である。EPAの提案には裏付けできる証拠が欠けている」と指摘、EPAに対して、段階的に電動化を進めるよう要請した。
 同社は、電動化への移行速度に関係なく、今後の数十年間、内燃機関(ICE)車を搭載した多数の車両が米国の道路を走行するだろうと付け加えている。

充電インフラ
 ステランティスは、コメントの中で充電器に係る課題を指摘している。同社は、2030 年までに最大 4 千万台のEVが道路を走行する可能性があり、580 万以上の公共充電器が必要になると報じた「Alliance for Automotive Innovation」のレポートを引用した。
 ステランティスは、その数字を35%程度削減して、EVは 2600 万台、充電器は 380 万と推定した。現在、米国全土には 20万の公共充電器しか設置されていない。
 超党派のインフラ法が提起した充電器50万を追加すれば、2030年までに70万の充電器が設置されることになるが、これはステランティスが推定したEV 2600万台に必要とされる380万台の充電器の5分の1にも満たないものである。
 同社は、「資金調達は新しいインフラを導入するための最初のステップにすぎない。皆が利用できるようにするために、不動産を購入し、充電器を設置する必要があり、それには時間がかかる」と述べた。
「これらの議論は小型車両を前提としたものである。EPA 規則からも劇的な増加が想定される中型車両の充電ニーズは、必要量をさらに大きくする可能性がある」
 同社は、「EPAが予想しているEVへの移行率は、バイデン政権が自動車業界とともに設定した野心的な目標をはるかに上回ったものだ」と指摘した。
「成熟したEV市場を支えるためには各種の対策が必要である。しかし、EPAが普及の根拠としているものは、対策の一部に過ぎない政策措置を適用した結果の『楽観的すぎる』絵姿である」大紀元はEPAにコメントを求めた。

車の処分、採掘のリスク
 専門家たちはEPAのEV目標を批判している。先月行われたヘリテージ財団のパネルディスカッションで、トランプ元大統領の副補佐官をしていたマイク・マッケンナ氏は、「EPAの提案は、実際には大量の車の廃棄、処分につながるだけだ」と述べた。
「車両の電動化を語っている人たちが意図するように、必要なリチウムの42倍を遠隔地で確保することなど明らかに不可能だ」とマッケンナ氏は語った。「アメリカ国民はこんなことを望んでいない」
 1月、プロビデンス大学とカリフォルニア大学デービス校の学者チームは、「米国がICE車からEVに移行すれば、バッテリーの製造に必要な重要元素であるリチウムが大幅に不足する事態を引き起こす可能性がある」と警告する報告書を発表した。
「現在のEV需要を2050年まで敷衍して予測する場合、米国EV市場のリチウム需要だけでも、現在世界市場全体で生産されるリチウム量の3倍が必要となる。この需要急増に対応するためには、採掘の拡大もやむを得ない」と報告書は述べている。
「大規模な採掘は、社会・環境的被害を伴い、多くの場合影響を受ける地域社会の同意もなく、景観を回復不可能なほどに破壊する。社会がゼロ・エミッションの新しいエネルギー・システムを構築するという緊急かつ変革的な課題に取り組む中では、ある程度の採掘は必要となる」
 世界の他の地域とは異なり、米国民は EV の購入について傍観者的な態度を取っている。消費者情報会社JDパワーの2023年4月のレポートによると、EVを購入したがらないアメリカ人が増えているという。3月の調査では、新車購入者の21%がEVを検討する可能性は「非常に低い」と回答したが、この数字は1月の17.8%から増加した。
「過去10か月間、EVの普及にとっては、充電インフラの不足と価格が最大の2つの懸念事項あり、それに、航続距離の不安、必要な充電時間、停電と送電網の懸念などの関連問題も続いていた」と報告書は述べている。

全国の販売店には、売れ残ったEVが山積みになっていると報告されている。
 2023 Cox Automotive Mid-year Review プレゼンテーションによると、2023 年第 2 四半期に、ディーラーの敷地にある電気自動車の平均在庫は 9万2千台を超えた。これは、2022 年の第 2 四半期と比較して 342% も増加している>(以上「大紀元新聞」より引用)




 中国ではEV製造メーカーがバタバタと倒産している。中には投資家から100億円以上の投資を募って、一台もEVを製造することなく破綻した会社まである。
 なぜそうなったのか。一つには中共政府がEV購入補助金を奮発したため、EV価格がガソリン車より安価になったことと、ガソリン車に割り当てるナンバープレートを削減して、EV車にナンバープレートを優先的に出したからだ。そのため中国のEV生産は年間1,000万台に達した。

 しかし中共政府がEV購入補助金を止めると、EVの売り上げは急速に減少した。しかも春節で帰省ラッシュでEVが高速道路のSEの急速充電所に長蛇の列を作ったことも大きな原因になった。中国という広大な国家ではEVの短い航続距離は当初から問題視されていた。
 さらに中国のEV製造企業を襲ったのはEU各国が中国製EVの豪雨的な攻勢に危機感を覚えたからだ。日本製のガソリンエンジン車を締め出して、EU市場にEU各国製のEVを走らせようと計画していたが、その市場を中国に奪われたのでは日本が中国に替わっただけで、EU各国の自動車メーカーにとって利益は何もない。そうしたことから、EUのEV化推進策が後退してしまった。

 現実に即して考えるなら、すべての内燃機関の自動車をEVに置き換えようとする試みは無謀というしかない。なぜならEV用の新たな社会インフラが広範に必要だからだ。その費用を誰が負担するのか、といった議論を始めなければならないが、そうした協議の場すら用意されてないのが現状だ。
 誰が費用を負担するのかという問題だけではない。EV製造に不可欠なバッテリー製造に必要なレアメタルの絶対的生産量に限界がある、という問題も解決していない。それは当初からトヨタの前社長が指摘していたEVに関する基本的な問題だ。さらに使用済みEVバッテリーの処理・リサイクルに関して、国際的な取り決めも何もないままだ。EVは確かに走行時にCO2を排出しないが、EVを走らすための製造段階に到るまでにもレアメタルの採掘や精錬、使用後のバッテリーの廃棄や再生に多大な環境負荷をかけCO2を排出することをEV推奨議論の中で全く議論されて来なかった。

 引用論評によると「(今年)1月、プロビデンス大学とカリフォルニア大学デービス校の学者チームは「現在のEV需要を2050年まで敷衍して予測する場合、米国EV市場のリチウム需要だけでも、現在世界市場全体で生産されるリチウム量の3倍が必要となる。この需要急増に対応するためには、採掘の拡大もやむを得ない」と報告し、「大規模な採掘は、社会・環境的被害を伴い、多くの場合影響を受ける地域社会の同意もなく、景観を回復不可能なほどに破壊する。社会がゼロ・エミッションの新しいエネルギー・システムを構築するという緊急かつ変革的な課題に取り組む中では、ある程度の採掘は必要となる」」と警告している。
 科学的に考えれば解ることだが、1トン以上もある自動車を走行させるには、動力源が何であれそれ相当のエネルギーが必要だ。EVは全般的にガソリンエンジン車より重いため、ガソリン車以上のエネルギーを消費している。CO2地球温暖化というドグマを展開する限り、人類はすべての交通機関を廃止して徒歩で移動する原始社会に回帰するしかなくなる。

 グーグルの吟遊詩人「bard」に聞くまでもなく、ブランケット効果のある気体の最大のものは水蒸気だ。台風やハリケーンの正体は気化熱という水蒸気だ。その一方でCO2の濃度は水蒸気の1%ほどでしかない。大気中のCO2濃度は僅かに0.04%でしかなく、その1%ほど濃度が上昇したといって大騒ぎしているのが現状だ。
 しかもCO2の大半は海水に溶け込み、海水中の植物プランクトンの生育を助け、光合成により大気中にO2を排出すると同時に、動物プランクトンの餌となり、動物プランクトンは小魚の餌となって自然の生態系を維持している。CO2は決した無駄で害悪をもたらす気体ではない。それを目の敵のようにCO2撃退のプロバガンダを拡散し、CO2さえ出さなければ「すべて上手く行く」などと非科学的なデマを好い齢をした政治家まで叫んでいる。そのための政府機関まで設けて国民の税金を無駄に支出している。日本ではポリプロピレンという石油精製の段階で出て来る物質を有効利用していたレジ袋を追放し、ビニール製のゴミ袋を有料で販売している。ビニールを燃焼すると硫化水素を発生して、それこそ環境に悪いと政治家諸氏は知らないのだろうか。

 さて、歓迎すべき事態として、EVブームは一服した。ことに中国では深刻な供給過剰となって、中国に巨額投資していたテスラ社は苦境に陥っている。一時は資産総額でトヨタを抜いたと、投資家たちはテスラを時代の寵児と持て囃したが、資産価値は急速に縮小している。つまりEVバブルでしかなかった。
 環境派と称する連中が仕掛けた環境運動は、それもまた一つの商品販売促進の広告宣伝行為でしかなかった。ゼロ・カーボン社会などと呼称しているが、それは石油資源消費と全く何も変わらない、ただ一点「タイム・スパン」という点を除けば。石炭や石油といった地下資源もまた、地球規模で自然が行ったゼロ・カーボンではないか。CO2がほかの物質に形を変えて循環する、という点では全く何も変わらない。

 ただ地下資源の枯渇という未来を想定するなら、人類が英知を結集してe-fuelを研究開発するのは人類に課された義務だろう。e-fuel生成に自然再生エネルギーを使用すれば、地球環境に負荷は掛からない。それこそ再生可能な循環社会の実現ではないだろうか。冷静に科学的な思考を人類はすべきであって、エモーショナルなプルパガンダに踊らされてはならない。

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