インドは第二の「中共政権」化しないか。

<インド統計・計画実施省(MOSPI)は5月31日、2022年度(2022年4月~2023年3月)の実質GDP成長率(2011年基準)推計値を前年度比7.2%と発表した(添付資料表1参照)。新型コロナウイルスの影響を受けた前年度からV字回復を果たした2021年度の成長率9.1%と比べると伸び率は鈍化したものの、年間GDP総額は160兆642億5,000万ルピー(約272兆1,092億円、1ルピー=約1.7円)となり、過去最高になった。

 2022年度の成長率を需要項目別にみると、前年度に引き続きほとんど全ての項目でプラス成長を維持した。特にGDP全体のうち最大の割合を占め、個人消費を示す民間最終消費支出が前年度比7.5%増で、次に大きな割合を占める企業の設備投資など投資活動を示す総固定資本形成が11.4%増と全体のプラス成長を牽引した。他方、輸出から輸入を差し引いた純輸出のマイナス幅は、3兆3,685億4,000万ルピーと前年度の1兆8,749億3,000万ルピーより増加しており、成長率を押し下げる要因となった。
 産業部門別の粗付加価値(GVA)成長率をみると、全部門でプラス成長を維持した(添付資料表2参照)。「貿易・ホテル・運送・通信・報道関連サービス」が前年度比14.0%増と最も高い伸びをみせ、次いで「建設」が10.0%増、「電力・ガス・水道」が9.0%増と続いた。なお、「製造」は1.3%増と最も低い成長率にとどまり、前年度の11.1%に比べると大きく低下した。
 なお、四半期ベースでは、2022年度第4四半期(2023年1~3月)のGDP成長率は6.1%(前年同期4.0%)と、10四半期連続でプラス成長を維持した。需要項目別でみると、特に総固定資本形成が8.9%増と前年同期の4.9%増から大きく拡大し、産業部門別では、全部門でプラス成長となった 〔添付資料「表3 2022年度第4四半期の需要項目別GDP成長率(2011年度基準)」、「表4 2022度第4四半期の産業部門別粗付加価値(GVA)成長率(2011年度基準)」参照〕>(以上「JETROホームページ」より引用)




 インドの経済成長は「インド統計・計画実施省(MOSPI)」によると「2022年度(2022年4月~2023年3月)の実質GDP成長率(2011年基準)推計値を前年度比7.2%」と発表したという。7%台というと日本の高度経済成長時代の成長率と同じだ。
 中国経済が実質マイナス成長に転落しているから、今後世界経済の牽引役になるのはインドだと衆目は一致している。しかし半導体産業がインドに進出するのを躊躇しているという。なぜだろうか。

 CNNは最新情報として以下のように伝えている。
電子機器の受託生産世界最大手、台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)は10日、インドの金属・エネルギー企業ベダンタとの194億ドル(約2兆7000億円)規模の合弁事業について、「これ以上前に進めない」方針を明らかにした。
 今回の発表はハイテク製造大国を目指すインド政府の計画にとって打撃になるとみられている。ただ、当局者はこうした見方に反論している。  米アップルの主要サプライヤー(供給業者)として知られる鴻海はCNNへの声明で、今回の決定は「相互の同意」に基づくものであり、「より多様な成長機会を模索」できるようになると説明した。  合弁事業は今後、ベダンタが100%所有することになる。  鴻海は11日の追加声明で、インドの半導体産業への投資に関与する方針を再確認し、半導体や電子ディスプレーの生産施設設立を補助する政府のプログラムに応募すると表明。「新しい場所でゼロからファブ(半導体製造工場)を建設するのは難題だが、フォックスコンはインド投資に関与する」と述べた。  鴻海は2022年2月の合弁発表以降、ベダンタと協力して半導体工場の立ち上げ計画に取り組んできた。  鴻海は工場への投資額を公表していないものの、インドのモディ首相は昨年9月、ツイッターで総投資額は1兆5400億ルピー(現在のレートで約2兆6000億円)に上ると明らかにしていた。  鴻海はすでに、インドのアンドラプラデシュ州やタミルナドゥ州に工場を持っている。多国籍企業が中国以外への供給網多角化を図る中、鴻海を含むグローバルIT企業の多くはインドで商機を探っている」(以上「CNN」より引用)

 躊躇しているのはFOXCONNだけではない。アラブ首長国に本部を置くISMC社や上海に本部を置くIGSS社もインドからの撤退を表明したようだ。後者の二社はFOXCONNがまだインドに1.8億ドルとか投資してなかったのに対して、ISMC社が30億ドル、IGSS社は40億ドルも投資している。それでも撤退を表明するには余程の事情があると見なければならないだろう。
 半導体産業が中国からインドへ移転するのを躊躇っていることを中共政府は大喜びしているようだ。インドを諦めて中国へ再進出して来るのではないか、と穿った予測しているようだ。しかし、中国に過度に集中したサプライチェーンの見直しをした結果として、インドへ移転することを一度は決めた生産工場を、再び中国に建設するとは思えない。

 実際にインドには得体の知れないところがある。西側に着くでもなく、人道主義を高く掲げるでもなく、人種差別を厳しく批判するでもない。その代わり利のある事なら誰でも相手する。西側諸国が対ロ経済制裁している中で、ロシア産原油を爆買いしたのは中国とインドだ。
 見方を変えれば、ウンライな戦争を長引かせているのは中国とインドだともいえる。ロシア産原油を中国とインドが爆買いしなければ、昨年の段階でロシアは戦費調達できなくなっていたはずだ。中国がロシアを支援するのは「仲間」だからだろうが、インドはロシアから兵器購入をして来た経緯があるものの、独裁専制国家とは相容れない国家体制のはずだが、「利」さえあれば何でもアリという国なのだろうか。そうした無節操な国ならFOXCONNなどが進出を躊躇するのも頷けるし、半導体サプライチェーンのハブにインドを据えるのは危険だ。

 経済界では中国が没落してインドがそれに代わるだろう、という見方が一般的だが、そうした常識を疑う必要があるようだ。実は、インドは厳格な階級社会だ。種々様々な宗教が地域ごとに社会を分断し、民族ごとに反目し合うような風潮が強い。そして何よりも女性の人権軽視は想像を絶するほどだ。
 そうしたインド社会の近代化がなされないうちはインド経済を躍進させることは危険ではないか。インドで新たな「オリガルヒ」を生むことになりかねないし、宗教指導者という独裁者が出現しないとも限らない。巨大な独裁専制国家・中国が没落したと思ったら、新たな独裁専制国家が世界に覇を唱えだす、というのは悪夢の再現でしかない。まず、インドの民主化と、人権意識の涵養こそが先決ではないだろうか。それは決して内政干渉ではない、巨大な中国帝国主義を育ててしまった西側先進国の反省に立つ施策だ。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。