もはやプーチンは権力の座から転がり落ちるだけだ。

<6月24日、「ロシアに混乱を招いた原因を見つけ出す」「死ぬ覚悟はできている」などとして突如「モスクワへの進軍」を宣言した、民間軍事組織ワグネルと創始者プリゴジン。
 その後またたく間にモスクワの南、約500kmのボロネジの軍事施設を制圧。さらに北上を重ね、200kmあまりのリペツク州に迫っているかと25日の時点で世界各国の報道機関に報じられた。モスクワでは25日および月曜日の26日にも市民に対して外出禁止や仕事・学校を休むことなどが発令され、ロシア正規軍の都市防衛部隊も急遽展開するという、緊迫の情勢を見せていた。
 しかしその直後、プリゴジンは一転して「ロシア人の血が流れることの責任の大きさを認識」と宣言してベラルーシへ転進。その後、同国のルカシェンコ大統領が仲介役を買って出たことや、プーチン大統領もプリゴジンへの捜査を停止し出国を認めること、ルカシェンコ大統領への謝意などを示したことが矢継ぎ早に報じられた。一方で、その後プリゴジンの消息が聞こえないことなども取り沙汰されている。
 ロシアで今いったい何が起きているのか? なぜ前例のないほどの「プーチンの弱腰」という例外状況が生じているのか、発端となったプリゴジンとプーチンの蜜月が生まれた背景、そして確執の経緯について、本誌が報じた記事を改めてお送りする。

5月の時点でプリゴジンを切り捨てていたプーチン

 なぜプーチンは、5月の時点でそんなプリゴジンを容赦なく切り捨ててしまったのか。一説には、プリゴジンの政治的野心と反乱を抑えるためと考える向きがある。前出の中村氏が語る。
「プリゴジンに弾薬を渡すと、ウクライナとの戦争のために使わず、ロシアに攻め上がってくるのではないか、といった報道が出ています。それによれば、プリゴジンの目的は、自分がロシアの大統領になること。ここへきて、ウクライナと手を組み、軍事クーデターに動く可能性が出てきています」
 実際、5月14日には、プリゴジンがウクライナ政府に対してロシアの侵攻部隊の位置情報提供を提案した、と米ワシントン・ポストが報じている。
 だが一方で、プリゴジンの粛清はあまりにも合理性に欠ける、という意見もある。前出の名越氏もそう考える一人だ。

ワグネルとプリゴジンは一部では英雄的存在

「このままワグネルが前線地帯から撤退すれば、ロシアはより敗色濃厚になります。それにプリゴジンは今や愛国勢力の英雄的存在で、彼を支持する軍事ブロガーたちにもフォロワーが100万人ほどいる。それらを敵に回すと考えれば、プリゴジンを粛清することなど正気の沙汰と思えません」
 はたして「皇帝」は何を考えているのか―おそらくは、この戦争泥沼化の失態の責任を誰に押しつけ、自らの身をいかにして守るかということだ。前出の中村氏はこう指摘する。
「現在の戦況は、完全にロシアがウクライナに負けている状態です。そこで、プーチンはプリゴジンに失敗の責任を取らせようとしているのではないでしょうか。まさに『トカゲの尻尾切り』です」
 権力を掌握し、恒久的に維持しようとする独裁者は、けっして自分の非を認めようとはしない。それどころか、「どうせ代わりの者などいくらでもいる」と、下の者に責任を被せて追放し、追及から逃れるのが常だ。
 プーチンがプリゴジンにそうするように、独裁者が、かつて盟友だった者に罪を被せ、粛清した事例は過去にも存在する。
 ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーが、親友エルンスト・レームを粛清した「長いナイフの夜事件」がそうだ。
 レームは、ヒトラーが党首になる前からの数少ない友人であり、互いに「俺」「お前」で呼び合う間柄だったという。そんな彼が率いる軍事組織「突撃隊」は、ナチ党の集会の警備や護衛に加え、反対党の襲撃などの実行部隊を担う、いわばヒトラー子飼いのテロ組織でもあった。
 だが、ヒトラーが国のトップに立ち、権力を得ると、徐々に突撃隊が邪魔な存在になっていく。
「突撃隊による過激な暴力活動は、ナチスの暗黒面として批判されている。このままでは自分も糾弾され、権力の座を追われかねない。ならば幕僚長のレームに責任をなすりつけ、一掃すれば、大義名分にもなる。そうとなれば粛清するしかない」
 こう考えたであろうヒトラーは、1934年、レーム率いる突撃隊関係者ら1000人以上を処刑。親友をも殺して、トカゲの尻尾切りを完遂したのである。

肥大するナルシシズム

 普通の人間であれば、人格を疑われるような責任逃れはそうできない。だが、独裁者は良心の呵責なく尻尾を切り取り、「すぐにまた生えてくる」とばかりに平然としている。そこには、どんな心理が働いているのか。
 軍事心理学が専門である同志社大学教授の余語真夫氏が解説する。
「多くの独裁者に共通するのは、サイコパシー(精神病質)、マキャヴェリズム(権謀術数主義)、そしてナルシシズム(自己陶酔症)の3つの特性で構成される『ダーク・トライアド』というパーソナリティ特徴を持つということです。この3つの特性はすべて、他者への無関心や冷淡さに向かう傾向があり、自分の行動で他人に不利益が生じようとも、罪悪感を持つことは一切ないのです」
 心理学の世界では、「悪の3大気質」とも呼ばれるダーク・トライアド。中でも、ナルシシズムという特性だけは、時代を問わず、ほぼすべての独裁者が有している。そう指摘するのは、早稲田メンタルクリニックの精神科医・益田裕介氏だ。
「独裁者は自分の目的を達成するため、部下を捨て駒のように扱うのが常です。その結果、次第に周囲は本音を言わなくなっていき、孤独感が募ります。すると、その寂しさを紛らわす心理作用として、自己暗示的に『ナルシシズムの強化』が行われるのです」
 こんなプレッシャーに耐えられるのは自分しかいない。周囲は無能な人間ばかり。自分は運命に選ばれている。こうしたナルシシズムは、重度の人間不信と背中合わせだ。
「こうなると、もはや猜疑心の塊となり、誰も信じられなくなってしまう。だからトカゲの尻尾切りも平気で行えるわけです。この精神状態に一度なってしまうと、元に戻ることはほぼありません。プーチンも今、そういった状態にあるのでしょう」(益田氏)
 すでにプーチンは、プリゴジンに次ぐ新たな「トカゲの尻尾」を探しているかもしれない>(以上「週刊現代」より引用)




 
「プリゴジンの反乱」を招いてしまった「プーチンの狂気」とこれからロシアを待つ「ヤバすぎる展開」という見出しが気になって引用した。
 一読してみて「軍事心理学が専門である同志社大学教授の余語真夫氏が解説する「多くの独裁者に共通するのは、サイコパシー(精神病質)、マキャヴェリズム(権謀術数主義)、そしてナルシシズム(自己陶酔症)の3つの特性で構成される『ダーク・トライアド』というパーソナリティ特徴を持つということです。この3つの特性はすべて、他者への無関心や冷淡さに向かう傾向があり、自分の行動で他人に不利益が生じようとも、罪悪感を持つことは一切ないのです」という個所が気になった。
 独裁者とはそういうものなのだろう。「サイコパシー(精神病質)、マキャヴェリズム(権謀術数主義)、そしてナルシシズム(自己陶酔症)の3つの特性で構成される『ダーク・トライアド』というパーソナリティ」が色濃く彼を支配しているから自身を偶像化して国民に崇拝させたり、自身の取るに足らない戯言のような「語録」を配布し、その暗記を国民に強要したりするのだろう。

 プーチンは早稲田メンタルクリニックの精神科医・益田裕介氏が唱える「独裁者は自分の目的を達成するため、部下を捨て駒のように扱うのが常です。その結果、次第に周囲は本音を言わなくなっていき、孤独感が募ります。すると、その寂しさを紛らわす心理作用として、自己暗示的に『ナルシシズムの強化』が行われるのです。プレッシャーに耐えられるのは自分しかいない。周囲は無能な人間ばかり。自分は運命に選ばれている。こうしたナルシシズムは、重度の人間不信と背中合わせだ。こうなると、もはや猜疑心の塊となり、誰も信じられなくなってしまう。だからトカゲの尻尾切りも平気で行えるわけです。この精神状態に一度なってしまうと、元に戻ることはほぼありません。プーチンも今、そういった状態にあるのでしょう」という説には深く同意する。
 プレゴジン氏はプーチンによって排除された。ワグネルを失ったプレゴジン氏はただの老人だ。彼の殺生与奪権はプーチンの手の中にある。プーチンにとって最もマイナスの少ない時点を見計らって「トカゲの尻尾」として切り取るだろう。

 だがプーチンに近しいと思われていてプレゴジン氏が離反し、プーチンがプレゴジン氏を粛正したなら、プーチンの側近たちも気が気ではないだろう。次は自分の番かも知れない、とプーチンの狂気を恐れるようになるだろう。
 ダーク・トライアド(ダークトライアド とは、心理学において自己愛症 、権謀術数主義、精神病質 の3つのパーソナリティ特性の総称である)に陥ったプーチンは既に「腫物」になっているだろう。今後、戦況の悪化とともに彼のダーク・トライアドは益々強くなり、偏執狂へと傾斜していくだろう。正常な判断が出来なくなり、側近たちはプーチンから距離を取るようになるだろう。いや既にプーチンの方から距離を置いている。それはプリゴジン氏が姿を晦ましてから最初に15分の音声を発表したのと前後して、プーチンが側近たちを前にして5分の演説をした際のプーチンと演説を聞く側近たちの距離を見ればプーチンの尋常でない精神が良く解るだろう。演題の前に立つプーチンと居並ぶ側近たちとの間は20メートル近く離れていた。かつてクレムリンを訪れたマクロン氏とプーチンの会談で二人の距離は細長いテーブルの端と端とに分かれていたが、その漫画のような距離感が演説するプーチンと側近との間にもあった。

 プリゴジン氏が進軍していたワグネルをモスクワまで200㎞の地点で止めたのか。それはプリゴジン氏の妻や子供たち家族が捕縛され、プーチンの命により逃亡していたトルコからベラルーシへ移送されていたからではないか。プリゴジン氏は反乱を起こす前に秘かに家族をトルコへ逃亡させていた。しかしそうした企みをプーチンは知っていた。プリゴジン氏は震え上がったのではないだろうか。
 震え上がったのはプレゴジン氏だけではないだろう。プーチンの取り巻きや側近たちも震え上がったことだろう。明日は我が身、と思ったのではないか。もはや全面的にプーチンを支える側近は誰もいない。彼らは恐々と「腫物」に触るようにしてプーチンを支えているだけだ。もはや戦況は好転しないし、プーチンは追いつめられるだけだ。戦況だけでなく、国内経済も断末魔を迎えている。もはやプーチンは権力の座から転がり落ちるだけだ。

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