プーチンの断末魔の悲鳴が聞こえる。

「F-16戦闘機供与サミット」と化したG7広島サミット
 5月に入り、ロシアのプーチン大統領の「精彩のなさ」に歯止めがかからない。ウクライナのゼレンスキー大統領がほのめかす大規模反転攻勢に備えるためか、プーチン氏はロシア侵略軍に対し攻撃から守備に転じて、最前線に長大な戦車壕を構築するよう命じた。
 またウクライナ東部のバフムトでは、ウクライナ軍とロシアの民間軍人会社「ワグネル」 の傭兵部隊との間で何カ月にもわたり攻防戦が続いている。
 おそらくプーチン氏は5月9日の対独戦勝記念日までにバフムトを完全占領し、当日の式典の冒頭演説で戦果を高らかに謳い、軍や国民を鼓舞し、自分の偉大さもPRしようと考えていたはず。そのため、ワグネルの創設者で「プーチンの料理番」と呼ばれるプリゴジン氏に、「何が何でも式典までにバフムトを攻略せよ」と厳命したと言われている。
 だが残念ながらそれは叶わず、国民へのサプライズも不発となり、式典でのプーチン氏の演説にも覇気が感じられなかった。
 対照的にゼレンスキー氏は実にパワフルかつ活動的で、5月19~21日に広島で開かれた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)には、当初リモート参加を予定したが、間際に“リアル参加”を決意して世界をあっと言わせた。
 ゼレンスキー氏は全面支援する西側主要国の首脳たち一人一人にひざ詰め談判を展開、悲願の米製F-16戦闘機の供与についても、最後まで難色を示すアメリカのバイデン大統領に、パイロットの訓練や欧州各国が保有する機体の譲渡を認めさせた。
 イギリスなども並行してF-16供与のためのお膳立てに動いており、広島G7サミットはまさに「F-16戦闘機供与サミット」そのものだった。

対独戦勝記念日の式典が大幅縮小された「本当の理由」
 前述した対独戦勝記念日は第2次大戦でヒトラー率いるナチス・ドイツに勝利したことを祝うロシアの祝日で、モスクワの赤の広場で盛大に行われる軍事パレードが有名だ。
 隊列には最新兵器が並び、旧ソ連/ロシアの威厳や強大さを内外にアピールする意味も大きい。情報戦・謀略戦が得意のスパイ組織「KGB(旧・国家保安委員会、現・FSB=ロシア連邦保安庁」OBのプーチン氏が特に重要視するイベントの1つでもある。
 例年であれば、祖国を侵略したドイツ軍を打ち負かした立役者で傑作戦車でもある自国製T-34戦車を10台ほど車列の先頭に置き、その後に最新鋭のMBT(主力戦車)「T-14アルマータ」や各種装甲車・ミサイルなどが大名行列のように連なる。「世界に冠たるロシア軍ここにあり」の真骨頂だ。
 だが今回は「保安上」の理由でパレードは大幅に縮小され、花形の戦車も“骨董品”のT-34が1台のみ。現用MBTは皆無で上空をかすめる戦闘機も見られず、観客も例年の数分の1に抑えるなど、何とも寂しい限りだった。
 大手メディアや専門家はウラ事情として、次のような見立てをする。
「多くの人が集まる式典を台無しにしてプーチン氏のメンツを潰そうとたくらむ抵抗組織のテロを防ぐため」
「パレードに戦車を出す余裕があるなら、武器・弾薬が足りない前線に送れ、という不満が軍部や国民から出かねず、MBT参加は特に控えた」
「戦闘で失ったMBTが想定以上に多く、パレード常連の現用戦車が本当に足りない。半世紀以上昔のT-55、T-62といった旧式MBTはいまだに豊富にあるようだが、まさか埃をかぶった骨董品を倉庫から引っ張り出して参列させるのは無茶。『兵器不足はここまで深刻なのか』と世界に知らせる結果になる」
 だが一部では「保安上はプーチン氏暗殺の危惧では」と深読みする声もある。プーチン氏が抱く「偉大なるロシア帝国・ソ連邦よもう一度」の個人的な夢想のために、戦う意義も不明のまま戦場に赴き、しかも史上まれに見る“お粗末作戦”でロシア侵略軍は大損害を被った。先鋒を務めた戦車部隊の被害は特に甚大だが、ロシアではナチス・ドイツの侵略から祖国を救った「戦車兵」は、国民の尊敬を集めるエリートだ。
 ある軍事専門家は、こう分析する。
「ロシア軍の中でも一目置かれプライドも高い戦車部隊が、今回の戦争では全滅する例すらあり、MBTの損失は3000台に達するとの説もある。部隊を指揮し将来ロシア軍の中核をなす貴重な将校(士官学校を出た軍幹部)も多数戦死している。
 軍の最高指揮官で無謀な侵略戦争を命令したプーチン氏に彼らの怒りの矛先が向くのはむしろ自然。戦勝パレードはプーチン氏暗殺にとっては絶好のチャンスで、行進する多数のMBTがプーチン氏のいるひな壇に目掛けて一斉に砲身を向け射撃し殺害、という計画も否定できない。
 しかも防御が強力な現役MBT相手では、警備部隊は応戦しても全く歯がたたず、まさかMBTの反乱を警戒して対戦車ミサイルを所持しているとも思えない。こうなるともはや軍事クーデターで、この最悪のシナリオを察知したのではないか」
 プーチン氏には「影武者」が複数存在し、「式典に出席の人物がホンモノか否か不明」との指摘もある。だが、プーチン節とも言うべき、独特の堅苦しい演説を長々と話さなければならず、さすがに本物の可能性は高い。

クレムリンのドローン攻撃は国内超保守派による“警告”か

 実はパレードを舞台にした暗殺事件の前例がエジプトにある。1981年10月、第4次中東戦争でイスラエルに勝利したことを祝う軍事パレードで、行進する戦闘車両から飛び出した暗殺部隊が、機関銃と手榴弾でサダト大統領を殺害している。
 アメリカの仲介で仇敵・イスラエルとの和平条約を電撃締結したサダト氏だが、国民や周辺のアラブ諸国からは「裏切り者」と反感を買い、これに呼応したイスラム過激主義組織による犯行だと言われた。だが冷戦という時代的背景から裏にはKGBの影もちらついているとも言われ、もちろんプーチンも同暗殺事件は知っているだろう。
 翻って、戦勝記念日パレード直前の今年5月3日には前代未聞の事件も起きた。クレムリンが複数のドローン攻撃を受け、プーチン政権に衝撃が走った。
 ドローンは全機撃墜され人的被害はなかったようで、「国民を総動員態勢に引きずり込む自作自演」「ウクライナによる長距離ドローン攻撃」「国内の反プーチン組織(パルチザン)のテロ攻撃」といった犯人像の憶測も飛び交った。
 だが自作自演の場合、クレムリンへの直接攻撃はあまりにもリスクが大き過ぎ、また他の2つの説も、首都モスクワの厳重な防空態勢やクレムリン周辺の厳重な警備を考えると現実的ではない。
 特にウクライナ犯人説の場合、クレムリンへの直接攻撃は、プーチン氏に国民総動員の口実を与えかねず、ロシアとの全面戦争を憂慮する欧米の反感も買ってしまい、デメリットのほうがはるかに大きい。
 加えて、その後この事件に対しロシアはなぜか話題を避け、もちろん戦勝記念日の式典でもプーチン氏はこれについて言及していない。このため、「戦争の仕方が生ぬるいとプーチン氏を指弾する、国内超保守派の“警告”のサインでは」との観測のほうが的を射ているとの指摘もある。
 ところが5月24日のニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナが関与していると米情報機関が疑っており、ゼレンスキー氏本人が把握していたかは分からないが、同国特殊部隊や情報機関が実施したのでは、と報じるなど混沌としている。

防衛面でも中央アジアで存在感を見せつける中国

 自分が種をまきながら順調に進まないウクライナ侵略戦争に腐心する間に、プーチン氏がロシアの勢力範囲だと強調する旧ソ連圏の中央アジアで、“脱ロシア”を予感させる動きが着々と進んでいる点も注視すべきだろう。
 まずは中国の動きだが、対立の度を深める西側主要国の首脳が集まるG7広島サミットにぶつける格好で「中国・中央アジア・サミット」を5月18~19日に開催した。カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの中央アジア5カ国との間で経済・金融・貿易面で広範な協力関係を築こうというものだ。
 主導した中国の習近平国家主席は5カ国に、総額約5200億円の経済援助を約束し、お得意の“札束外交”で魅力をアピールする。
 ここで気になるのがプーチン氏の動向で、この地域は旧ソ連圏でいわばロシアのテリトリーだ。西側との対抗上中国との“蜜月”を維持したいプーチン氏としては、「一帯一路」戦略など以前から中央アジアに触手を伸ばす中国との間で、「経済的支配は仕方ないが、軍事進出は許さない」という暗黙の了解がなされているという。
 だが今回の中国の動きは、防衛に関する協力強化も盛り込まれている模様で、プーチン氏にとっては内心穏やかではないだろう。

肝心なときに助けてくれないロシアを見限ったアルメニア

 もう1つは、コーカサス地方のアルメニアでの一連の動きだ。この国も旧ソ連に属し、ロシアは自分の勢力圏だと考える。この地方は民族・宗教分布が複雑に入り組み、アルメニアと隣国のアゼルバイジャンでは民族、言語、宗教が異なる。
 加えてアゼルバイジャンには、アルメニア系住民が多数派の「ナゴルノ・カラバフ自治州」が飛び地のように存在し、この帰属をめぐり両国がソ連邦崩壊直前の1980年代後半ごろから軍事衝突を続けている。
 2020年には「第2次ナゴルノ紛争」と呼ばれる大規模な軍事衝突が起き、豊富な石油資源と歴史的・民族的に近いトルコの軍事援助でアゼルバイジャンが勝利する形で停戦となったが、この時のロシアの振る舞いがアルメニアを失望させた。
 ロシアは旧ソ連圏諸国を加盟国とする「集団安全保障条約(CSTO)」という軍事同盟をつくり盟主を自負するが、前述の紛争ではCSTO加盟国のアルメニアは集団的自衛権の名のもとでロシア軍が介入し、アゼルバイジャン軍を撃退することを期待した。
 だが、結局プーチンは軍事介入をためらい、劣勢に陥ったアルメニア側が大幅譲歩する形で和平案を受け入れ停戦せざるを得なかった。
 肝心な時に助けてくれないロシアに不信感を抱くアルメニアは、今年5月に入るとCSTO脱退の意向を公言、代わって欧米への接近を目論む始末で、プーチン氏にとっては何とも頭の痛いところだろう。
「前門の虎・後門の虎」に陥ったプーチン氏。無二の親友とも言われウクライナ侵略戦争を支持する数少ないロシアの隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ここ最近体調を崩しているようで、健康不安による引退も噂され始めている。
「欧州最後の独裁者」とも揶揄され、西欧志向が強いベラルーシ国民から不人気の大統領だけに、彼の失脚後に万が一親欧米の人間が同国の大統領に就任したとしたら、それはプーチン氏にとって「悪夢」以外の何ものでもないだろう。
 ロシア国民からは最近「引きこもりのお爺さん」と嘲笑されていると言われるプーチン氏だが、八方塞がりの果てに「一打逆転には核兵器しかない」と考える可能性も否定できず、注視が必要だ>(以上「JB press」より引用)




 いよいよウクライナ軍による反攻作戦が始まるのか、あるいは始まっているのか。ロシア軍は早くもウクライナ軍の攻勢の前に、拡大した占領地を放棄して撤退している。
 題して「内憂外患で追い込まれるプーチン、高まる国内軍事クーデター・暗殺の可能性」との見出しの記事がJB pressに掲載された。書いたのは深川孝行氏(評論家)で、「西側の「戦闘機供与」や中国の中央アジア囲い込みなど“四面楚歌”の動きも」との小見出しを付けている。

 もちろんG7で怒り心頭なのは習近平氏ではなく、プーチンだろう。ソ連当時の支配地域の中央アジアに手を突っ込んで、ロシア抜きの経済圏を形成しようと企む習近平氏に抗議一つできないプーチンは哀れというべきだろう。
 習近平氏は火事場泥棒的に「中央アジア・サミット」と銘打って中央アジア五ヶ国首脳を招聘して、総額約5,000億円ものバラ撒きをした。国内的には中共政府は日本に負けない「中央アジア・サミット」を主宰している、と演じて見せたが、それでも腹の虫が収まらなかったのだろう、G7が中国包囲網を敷いたとカンカンに怒っている。だが、中国の凋落は誰の目にも明らかだ。

 先日北東部ウクライナ国境からロシア領内へ「自由ロシア軍」や「ロシア義勇軍」と称する千数百人規模の軍が攻め込んだ。数日で撤退したようだが、プーチンにとっては国内で最初の反・プーチン軍事行動だった。
 それがロシア領内へ飛び火して、燎原の火のようにロシア全土を焼き尽くさないとも限らない。その下地は充分にある。ウクライナで戦死した家族や親族、経済制裁で生活困窮状態に陥った多くの国民にとって、プーチンが英雄から「諸悪の根源」に転落するのは時間の問題だ。

 習近平氏は全く当てにならないどころか、「水に落ちた犬を叩く」人物だと明らかになった。もはお習近平氏を頼ることはないだろう。むしろ沿海州を取られはしないか、と心配しているのではないか。だが、沿海州を守備すべき軍の大半はウクライナへ送り、そこで消耗してしまった。1860年に清国から掠め取った沿海州を習近平氏が取り戻しに来たとしても、プーチンに文句を言う資格はない。なぜなら「軍事力で国境線を変更する」論理を信奉するプーチンが「武力で国境線を変更してはならない」と中国を叱る資格などないからだ。
 中国が沿海州を奪取する軍を送ったなら、日本も北方領土を取戻す自衛隊を北方領土へ派遣すべきだ。もはや北方領土にも碌な守備隊はいないし、艦艇もポンコツばかりだ。北方領土を包囲して海上封鎖すれば戦わずしてロシアは手を上げるだろう。

 深川氏は「(プーチンは)「一打逆転には核兵器しかない」と考える可能性も否定できず」と書いているが、その可能性は限りなくゼロに近い。たとえプーチンが核ミサイル発射を決断したとしても、核ミサイルサイトの将官がプーチンの発射命令を無視する。将官たちにも家族があり、親族がある。核を戦争で使用すればどうなるか、報復核攻撃があることを彼らは百も承知だ。
 そうした核戦争を起こすよりも、プーチンを「狂人」として捕らえてウクライナ戦争を終結する方がロシアの国益にかなう。軍人は案外冷静だ。なぜなら、彼らは常に命懸けだからだ。軍人が冷静でなければ戦闘に負ける。すべての状況を読み切った上で、最善の手を打つのが軍人だ。

 ちなみにジョイグ国防省に軍隊経験はないそうだ。だから無謀なプーチンの戦争に追従するしかなかったのだ。生え抜きの軍人なら、ウクライナ戦争を止めたはずだ。
 核ミサイル部隊にいる将官は生え抜きの軍人たちだ。彼らは戦況がどうなっているか承知している。負け戦で核使用に踏み切るとは、自殺行為以外の何物でもない。しかも首都モスクワですら防空システムは笊のように穴だらけだ。その反対に極超音速ミサイルと銘打っていたキンジャールですらパトリオットに撃墜された。ロシアの誇る核ミサイルがどの程度の代物か、彼らは周知しているはずだ。決してロシアの核部隊は核ミサイルを発射しないだろう。

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