同性婚の制度化に反対する。

<わずか40日ほど前の12月27日、年末のドサクサに紛れる形で、「政治とカネの問題のデパート」と呼ばれていた秋葉賢也復興相と「差別発言の量産店」と呼ばれていた杉田水脈総務大臣政務官を事実上の更迭とした岸田文雄首相でしたが、今度は自分の右腕であり、演説や答弁書のスピーチライターをつとめていた荒井勝喜(まさよし)首相秘書官(55)を、LGBTに対する差別発言で更迭することになってしまいました。
「(同性愛者など)僕だって見るのも嫌だ。隣りに住んでいたらちょっと嫌だ」
「(同性婚制度の導入には)他の秘書官も皆、反対している」
「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」
 これらの発言は、2月3日、首相官邸でのオフレコ前提の囲み取材の中でのもので、各紙、各局の官邸担当の記者が10人ほどいました。こうした首相秘書官のオフレコ取材は、平日はほぼ毎日行なわれており、秘書官側も「首相の意向を伝える場」として活用して来ました。しかし今回は、政権の中枢で政策立案に関わる首相秘書官が、このような時代錯誤も甚だしい人権感覚だという点を重大な問題だと判断した毎日新聞が、事前に実名報道する旨を荒井秘書官本人に伝えた上で報じたのです。そして、各社が後追い報道をしたという流れでした。
 各社の報道を受け、荒井秘書官は3日深夜、記者団の取材に応じ、謝罪と発言の撤回をしました。しかし、それは「やや誤解を与えるような表現をしまして、大変申し訳ありませんでした」という、いつものパターンでした。こちらは誤解など1ミリもしておらず、発言内容を正確に理解した上で問題視しているのに、あたかもこちら側の誤解による解釈違いであるかのような物言い、どうしてこれほどまでに往生際が悪いのでしょうか?謝罪するなら潔く自分の非を認めて謝罪する。誤解だと言い張るなら謝罪などせずにきちんと説明する。本来は、この二択のはずです。
 ま、それはともかく、この深夜の取材では、とても重要なことが分かりました。それは、まだ報じられていなかった荒井秘書官の発言です。当初は、毎日新聞の担当記者が、オフレコ取材でメモした発言の中で、特に問題だと感じた部分を断片的に報じる形でした。しかし、この深夜の取材では、荒井秘書官本人の確認のもと、その前提の発言も明らかになったのです。それは、以下の発言です。
「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう。社会に与える影響が大きい。(同性婚制度の導入は)社会にとってマイナスだ」

 荒井秘書官は、この発言に続ける形で、「他の秘書官も皆、反対している」「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などと発言したのです。この報道を受けて、多くの人は「あれ?」と思ったでしょう。そう、一番初めの「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう」という前提です。これって、2日前の2月1日の衆議院予算委員会で、同性婚の法制化について質疑を受けた岸田首相が、官僚の作った原稿を見ながら答弁した内容と同じじゃないですか。
 岸田首相 「(同性婚の法制化は)家族観や価値観、そして社会が変わってしまう課題であり、社会全体の雰囲気や全体のありようにしっかりと思いを巡らした上で、判断することが大事だ」
 この岸田首相の答弁は「同性婚の法制化に否定的」と報じられ、ネットでも炎上しました。岸田首相は、バカ息子の外遊観光問題で絶賛炎上中だったため、自ら燃料を継ぎ足した形となってしまったのです。そして、その2日後、首相官邸でオフレコの囲み取材を受けた荒井秘書官が、岸田首相の「社会が変わってしまう」という答弁について首相秘書官としての見解を求められ、「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう。社会に与える影響が大きい」と発言したのです。
 これはどう見ても、炎上中の岸田首相の答弁をフォローするための発言であり、この発言に続く「(同性婚制度の導入は)社会にとってマイナスだ」「他の秘書官も皆、反対している」「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などの問題発言も、岸田首相の答弁の方向性を補完するための援護射撃に他なりません。
 それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…と、このコーナーでも五七五の俳句調で嘆いてしまいますが、荒井秘書官の発言の報道を受けた岸田首相は、「言語道断だ」と述べ、「政権の方針と相いれない」として、マッハのスピードで荒井秘書官の更迭を決めたのです。この素早さは、杉田水脈政務官の更迭を年末まで引き延ばしたことで、低い支持率をさらに下げてしまった経験から学んだことだと思います。
 しかし、荒井秘書官にしてみれば、岸田首相の時代錯誤発言を正当化するために、必死に同調したわけであり、「首相秘書官」としての任務を遂行しただけなのです。そもそもの話、岸田首相が「社会が変わってしまう」などと答弁しなければ、荒井秘書官もこんな発言をする必要はなかったのです。もちろん、荒井秘書官の発言内容は決して許されるものではなく、たとえ謝罪・撤回しても更迭は免れられないレベルでした。でも、岸田首相を守るために岸田首相と同じことを言ったのに、その岸田首相から「政権の方針と相いれない」と言われてしまうなんて、ハシゴを外されるにもホドがあります。

 2月6日の文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』にレギュラー出演した経済評論家の森永卓郎さんは、「岸田首相も同性婚を法律的に認めらたどうですかって聞かれて、社会が混乱するからイヤだって言ってるんですよ。荒井秘書官の方がはるかにストレートに差別発言してるけど、やってることは岸田首相も同じじゃないですか」と指摘しました。一方、メインパーソナリティーの大竹まことさんは、「性的少数者は、G7の中で唯一日本だけが同性婚に反対しているのをどう思ってるんだろう?」と、先進7カ国の中での日本の人権意識を低さを問題視しました。
 もう少し詳しく説明すると、G7の日本以外の6カ国は、イタリア以外は同性婚を認めており、イタリアも同性カップルに異性間の結婚と同様の法的地位を保障する「シビル・パートナーシップ」を定めています。今回の問題は海外でもこぞって報じられましたが、多くの報道に「日本はここまで人権意識が遅れているのか」という論調が目立ちました。
 英国のBBCニュースは、「最近の世論調査では、ほとんどの日本人が同性婚を支持している」と補足した上で「伝統的なジェンダーの役割と家族の価値観に大きく縛られている日本は、G7で同性婚を認めていない唯一の国だ」と報じました。
 米国のAP通信は、「LGBTQの人々、人種、女性、国籍などに対する偏見が強い保守派の自由民主党に統治されている日本では、人権よりも政権の面目を保つことが重要視されており、日本はG7諸国で唯一、同性婚を認めていない」と報じました。
 米国のABCニュースは、「長年、保守的な自由民主党によって統治されてきた日本とは異なり、G7の他の国々はすべて、同性婚またはシビル・パートナーシップを認めている。今回の事件は、5月にG7諸国の首脳を迎える準備をしている岸田首相にとって、日本がとても恥ずかしい国であることを証明した」と報じました。
 英国のロイター通信も、「今回の事件は、5月にG7サミットを迎える岸田首相にとって、頭を悩ませる問題になった」と報じました。
 もともと岸田首相は、性的少数者にも理解を示し、演説でも「多様性社会」という言葉を繰り返して来ました。しかし、自民党内で未だに統一教会と癒着している安倍派の議員らの圧力に屈し、「こども庁」が「こども家庭庁」に名称変更され、与野党で合意していた「LGBT理解増進法案」が棚上げされたあたりから、岸田首相の発言は大きくブレ始めたのです。そして、その極めつけが、今回の「(同性婚を法制化したら)社会が変わってしまう」という、これまでの自身の主張とは真逆のトンデモ発言でした。
 そして、あたしが何よりも呆れたのが、この状況下での松野博一官房長官の対応でした。荒井秘書官の発言によって再炎上してしまった岸田首相の「社会が変わってしまう」という答弁の火消しをするために、松野官房長官は次のように述べたのです。
「当事者からのお話を伺うことは重要であると考えています。具体的に誰がどのような場で話を伺うかについては、なお検討を要するものの、できるだけ速やかに話を伺う場を設けることとしたいと思います」
 今からかーーーーい!…というわけで、これは、1年前に「子育て対策は喫緊の最優先課題」と言っておきながら、1年後の今になって「まずは私が全国をまわり、子育て中のお父さんやお母さんなど、当事者の声を聞くことから始めたいと思います」と抜かした岸田首相と何ひとつ変わりません。英国のBBCニュースが「最近の世論調査では、ほとんどの日本人が同性婚を支持している」と報じたように、昨年の世論調査でも「同性婚に賛成」は7割を超えており、若者の世代では「同性婚に賛成」が9割に達しています。さらには、日本以外のG7諸国は、とっくに法整備が終わっているのです。
 時代はすでに「同性婚は当たり前」になっているのに、今から「当事者のお話を伺う」って、おいおいおいおいおーーーーい!その上「できるだけ速やかに」と言いつつ「なお検討を要する」って、お前も「検討使」かーーーーい!…と、最後は髭男爵のようになってしまいましたが、首相も首相なら首相秘書官も首相秘書官、そして、官房長官も官房長官です。
 G7の中で唯一、同性婚を認めていない日本は、G7の中で最も子どもの貧困率が高く、G7の中で最もひとり親世帯の貧困率も高く、G7の中で最も子どもの教育予算の割合が低い国です。そして、昨年2月のロシア侵攻以来、G7の首脳の中で一度もウクライナを訪問していないのも、日本の岸田首相だけなのです。このガラパゴス感、時代錯誤感、その場しのぎ感、チグハグ感‥‥、もう岸田政権は完全に閉店ガラガラでしょう>(以上「MAG2」より引用)




「きっこのメルマガ」に「今から「当事者のお話を伺う」岸田首相のガラパゴス感、その場しのぎ感、チグハグ感」と題したLGBT(LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの3つの性的指向と、トランスジェンダーという性自認の各単語の頭文字を組み合わせた表現である。後述の通り、LGBTQなど多くの派生形も存在する)にかんする論評が掲載された。
 確かに日本はG7の中で唯一同性婚が法的に認められていない酷かもしれない。おそらくG7の中でも唯一「死刑」が存在している国かも知れない。だから「世界の非常識」かというと、そうでもないと思う。

 日本国憲法には「婚姻は両性の合意により~」とある。両性とは男性と女性のことだ。性別はどうであれ婚姻を認める、となれば社会秩序は乱れるとは思わないが、そのうち「同時に二人の女(男)性を好きになって何が悪い」と宣う人が現れ、「世界の常識では一夫一婦制は非常識だ」ということになるのだろうか。
 男性が男性を溺愛するのは現代になって始まったことではない。500年前の織田信長ですら小姓の森蘭丸を傍に置いていた。江戸時代になれば一般庶民の間に「陰間」が存在した。同性を熱愛するのは別に珍しいことではない。現代ではオカマを大っぴらに告白して、むしろ芸能界の一分野にすらなっている。だから同性同士の恋愛を否定はしない。

 だが同性婚となると話は別だ。法的な裏付けを得て、同性恋愛カップルは何をしたいのか。恋愛以上の関係が彼らにとって必要なのか。男女の恋愛であれば婚姻関係を法的に認めることによって出産・育児を法的に補助し援助する制度が整備できる。両性の婚姻は出産・育児が予定されるため、その負担を国家や地方自治体が少しでも軽減する必要がある。
 しかし同性婚には出産・育児はあり得ない。端的にいえば同性の独身者が同棲しているだけだ。そこにいかなる法的な制度支援が必要だというのだろうか。むしろ性別を超えた自由な恋愛を謳歌したいのであれば、制度的な婚姻関係の実現を望む方がどうかしている。それともどちらかが片方の扶養者となって、主夫をしたいというのだろうか。それならお門違いで、現行の配偶者扶養制度こそが時代錯誤でしかない。その制度こそが女性の自立を妨げているため、廃止すべきだ。130万円の壁を取り除くために云々と議論しているが、国民年金加入者は専業主婦でも国民年金掛け金を支払っている。

 世界の潮流が同性婚を認めているから~という議論は低俗に過ぎる。決して欧米の文化が日本より進んでいるわけではない。むしろ日本には日本の婚姻文化があって良いではないか。なぜ何でも欧米化すべきと考えるのだろうか。
 それにしてもテレビに登場するオカマやハーフ・タレントの数が多過ぎはしないだろうか。なぜ普通の日本国民はテレビから疎外されるのだろうか。人種差別はしないが、逆差別が横行してはいないだろうか。そういえば国会議員の40%を女性にすべき、と叫んだ女性国会議員がいた。それこそが差別だと、なぜ分からないのだろうか。現行制度でも有権者に選ばれれば男女に関係なく国会議員になれるではないか。その何処に問題があるというのだろうか。

 男女差別には断固として反対するが、男女に差異があるのは決して揺るがない事実だ。男女に差異があることを承知した上で、両性が人として自由に能力を発揮するのが社会本来のあり方ではないだろうか。
 夫婦別姓に関しても同様なことが云える。どうしても夫の姓に変えるのが嫌なら変えなくて、夫が変えれば良い。それだけの話ではないか。別に天地がひっくり返るようなことではない。ただ戸籍制度として、日本は夫婦別姓制度を採用していない。それがどうしても嫌だという国民が過半数になれば、法律を変えれば良い。同性婚よりも根は浅い。

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