バイデン政権は何を焦っているのか。

<中国の対外関係が新たな局面を迎えている。国内外における人々の往来が再開する一方で、コロナの流行や国際地政学の大きな変化などが国際関係の改善において障害となっている。関係改善に向け、中国は規範意識と契約精神に対する意識を向上させることが必要だ。
 実際、最近の中国上層部は、高水準の対外開放を推進し、制度型開放を拡大する決意を表明し続けている。2018年の中央経済工作会議(年に1度開催される中国の経済政策関連の最高レベル会議)、22年10月の中国共産党第20回全国代表大会の報告書、22年末の中央経済工作会議で、制度型開放の重要性が強調された。これは中国経済回復のカギである。

ルール順守の制度改革が必須

 制度型開放とは、ルールに基づいた開放であり、国際的な経済・貿易規則を順守することが条件となる。中国は世界貿易機関(WTO)加盟条件を満たすために、2300以上の法律や法規など、9万以上の地方法律、地方政府規則、その他の政策や措置の整理、修正、廃止を行った。WTO加盟を経験した多くの関係者や学者は、規範意識の向上が最大の収穫であると見なす一方で、その水準は依然として不十分だと反省した。
 環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)は、新世代の貿易協定の最高基準であり、電子商取引、政府調達、環境保護などさまざまなルールについて、WTOや他の自由貿易協定よりも厳しい条件を定めている。また、デジタル貿易協定(DEPA、中国が加盟を申請中)は、デジタル貿易の分野で最も早い単独協定であり、デジタル経済の制度的取り決めの雛型となっている。中国は両協定の要件を満たすために関連する制度を改革する必要がある。
 国際ルールと聞くと、先進国が途上国を搾取し、発展を制限するためのツールにすぎないと捉える人も少なくない。だが、それは偏った固定観念である。中国は40年以上にわたり、国際秩序に積極的に適応し、恩恵を深く受けてきた。中国政府が一から新たなルールを作るつもりはないと繰り返しているのは、単なる外交上の修辞ではない。中国の姿勢は、「約束を守り、実行する」ことである。

改革開放に向けグローバル化を推進すべき

「中国は強くなったから、既存の国際ルールを捨て去ることができる」という考え方は、中国の制度型開放の拡大にとって極めて有害である。極端な民族主義的傾向やむやみな外国人排斥の拡大をとくに警戒する必要がある。
 中央政府は最近、改革開放に向けた市場参入の拡大、法律にのっとった財産権と知的財産権の保護などを掲げている。国際基準のビジネス環境整備は、制度型開放拡大の姿勢と合致している。これらの政策が実践され、外資や民間などすべての企業間で平等な競争が促進されることが期待される。
 中国が質の高い経済発展を遂げられるかは、基本的に改革開放の深化に懸かっている。中国はグローバル化を推し進めるべきである。制度型開放の拡大は、長きにわたって中国や他国の利益となる。制度開放を進めるためにも、中国は主要貿易相手国との関係を積極的に改善することが必要である>(以上「東洋経済」より引用)




 1月18日イエレン財務長官は、アフリカ諸国訪問に先立ちスイス・チューリヒを訪れ、中国の劉鶴副首相と会談した。つまり米・中は関係改善を目指すための環境作りをしている、と見られている。東洋経済に「中国は国際ルールを順守し、対外開放を進めよ改革開放の徹底が国際関係の改善につながる」という論評が掲載されたが、両国にそのような動きがあるのは確かだ。
 米国財務省が会談後に発表した声明によると、今回の会談は、ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席による2022年11月の首脳会談を受け、両国の意思疎通を深める取り組みの一環として行われた。両首脳は同会談で、気候変動や国際的なマクロ経済の安定など国境を越える課題について、両国政府の担当高官によって建設的な努力を深めることで合意していた。イエレン財務長官は会談前の発言で、米中両国が綿密に対話する重要性を強調し、「特に対話の欠如による誤解が、両国の経済・金融関係を不必要に悪化させないようにしなければならない」と述べた。

米国はWTOから離れようとしていた習近平氏をWTOに繋ぎ止めようとしているのだろうか。それとも米中関係だけの改善を試みようとしているのだろうか。確かに中国の貿易輸出国で第一位を占めるのは米国だ。2020年以降武漢肺炎の影響で中国の貿易額は減少している、と思っているかも知れないが、2021年の中国から米国への輸出額は前年比27.6%増の5,766億434万ドル、中国の米国からの輸入額は32.9%増の1,794億6,563万ドルで、輸出入額ともに過去最高だった。
 その結果として米国の去年1年間の貿易赤字は初めて1兆ドルを超え、過去最大を更新した。米国の貿易赤字は前年より18.3%増えて1兆906億ドルとなり、国別で貿易赤字が最も多かったのは中国で赤字額全体の3分の1を占めている。トランプ前大統領が対中デカップリング策を実施して、中国からの輸入が米国人労働者を圧迫している現状の打開を勧めていたが、バイデン政権は口先で国産品を優遇する政策を進めているかのように装っているが、その実態は中国と乗り貿易取引を優先する「売国政権」でしかない。

 そして最も肝心なのはトランプ前政権がウォールストリートにも中国最優先の株式上場基準の特別扱いを止めるように勧告し、中国企業にも会計原則に基づく財務諸表の開示及びSEC監査の受け入れを求めていたが、バイデン氏はその両者とも有耶無耶にしてしまったことだ。
 自由主義諸国の貿易協定にタダ乗りし、ウォールストリートの株式上場や社債発行に特別の便宜を図っているのは一握りのハゲ鷹たちが中国で「一儲け」するためでしかない。その対価として経済発展により力を蓄えた中国が世界の覇権取りに乗り出し、米国の安全が脅かされている。

 なぜバイデン政権は「中国との良好な関係」を必要としているのだろうか。良好な関係が先進自由主義諸国にとって不要だというのではない。しかし放埓な強盗集団でしかない中共政府が全世界で大金顔をしてのさばるのを許して良いことなど何もない。
 まず中共政府は国内の法整備を断行して、法治国家に脱皮すべきだ。バカげた独裁体制を止めろと注文するのは内政干渉になるが、少なくとも外国企業が投資し進出するに際して指針となるべき商法や登記法、並びに各種知的所有権や意匠登録法といった保護法などを「国際基準」のものにすることだ。そうしなければ安心して「お付き合い」することなど不可能だ。もちろん人権保護法も国際基準に合致したものにし、外国人の身柄拘束なども中共政府の独断で行われないようにする必要がある。そうした法整備の後に、中共政府とのマトモな話し合いが始まるのではないか。バイデン政権は何を焦っているのか。

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