泉氏は野党政治家として必要か。

「立憲民主党」はリベラル派と保守補完派に分裂した方がいい/そうでないと「岸田大軍拡」と戦えないでしょうに
 1月14日付「読売新聞」は「立民『現実路線』、左派系の壁」と題した大きな記事を掲げた。立憲民主党の泉健太代表や岡田克也幹事長ら同党主流は、岸田政権が推進する「反撃能力(という名の敵基地先制攻撃能力)」の保有を(条件付きで?)容認し、あるいは自民党が仕掛ける改憲論議に積極的に応じるため党としての改憲方針を取りまとめるなど「現実路線に転換」しようとしているが、党内の「左派系の壁」に阻まれている。
 その状況で泉の「乃木神社参拝」問題が炎上、泉が「何だか息苦しい。近所の神社で祈ることが『軍人を神と崇める行為』とされるとは」と反論するなど、左派との対立が次第に抜き差しならなくなっていることを指摘している。
 私の結論。ここまで来たら立民左派は、泉代表を叩き出すか、自分らが席を蹴って同党から分かれて新党を立てるか、どちらかしかないのではないか。

乃木大将の人物評価を巡る冷泉の指摘
 泉は批判者からの「軍人を神と崇める行為」「軍国主義に追随」といった指摘に対し、「『乃木神社に参拝したら軍国主義に追従すると批判されても仕方ない』とか、もう酷いもんだ。そうした考えの方がよっぽど危険。私は過去の歴史に学ぶし、教訓にもする。乃木神社創建の経緯もある程度は知っている。でも当然だが、軍国主義者ではない。本当に失礼な話」と反論している。
 しかし「過去の歴史に学ぶ」「乃木神社創建の経緯もある程度は知っている」というのは本当か。米国在住作家の冷泉彰彦は「まぐまぐ!」を通じて発行するメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』の1月10日号で、「乃木神社を『近所の氏神様』扱いで大炎上。立憲・泉代表の無知と無関心」とバッサリ斬り捨てている。
 冷泉は、乃木本人の評価をめぐって、明治9年に山口県萩で起きた士族反乱への曖昧な姿勢、同10年の西南戦争で政府軍として戦い西郷側に軍旗を奪われるという酷い不祥事、それらの心の傷を癒すためなのかその後の「放蕩」、そして日露戦争での司令官ぶりなど色々疑問がありながら、明治天皇に殉死したことから一気に神格化され、「『戦争における自己犠牲』という思想がどんどん美化され……行き着いた果ては、東條政権による『捕虜として捕縛されることの禁止』と『自決の強制』」に他ならなかったと指摘している。
 そして冷泉は、このように「乃木神社というのは、かなり、問題のある神社」なので、「仮に乃木という人物への畏敬の念を表したいのであれば、青山墓地にある夫妻の墓に詣でるのが良い」し、「漠然とした理由で神社に参詣したいのであれば、軍神を祀ったものではなく、もっと古来からの由緒のある神社にお参りするのが普通ではないか」と、泉の常識のなさを嘆いている。

「乃木神社」をこの時期に参拝する政治センス

 私が思うに、乃木自身の人物評価とは別に、まず大前提として、薩長藩閥政府が国民に天皇を一神教的な「現人神」と思い込ませて戦争に向かって総動員していくために作り上げた招魂社=靖国神社、楠正成の「七生報国」思想を広めるための湊川神社、後の乃木や東郷平八郎を「軍神」として祀った各社など、国家神道の人工的な装置としての神社に公人として参拝することと、「近所の神社で祈ること」とを同じことだと思う泉の知能程度が問題である。
 私は、古来からの本来の神道とそこに育まれてきたアミニズム的自然信仰に共感し、それこそ「近所の神社」にお参りもし祭祀にも参加するが、それと国家神道の道具として作られた“戦犯神社”とはもちろん峻別する。そんなことも分からないのでは「過去の歴史に学ぶ」「乃木神社創建の経緯もある程度は知っている」というのは嘘であると告白しているようなものである。
 しかもこのタイミングは、タモリが年末のテレビで新年について「新しい戦前になるんじゃないですかね」と言い放ち、岸田政権の防衛費倍増、敵基地先制攻撃能力の保有という剣呑な軍拡路線に不安を抱く多くの人々が「そうだよね」と共感を抱いている時である。その時に軍拡を条件付きで容認するかの態度をとっている野党第一党の党首が乃木神社に参拝することが、一体どういうハレーションを引き起こすのかが読めないというのは、致命的な政治音痴である。

旧民社党のような「是々非々中道政党」は不要
 ところで、泉や岡田は、党内の「左派の壁」を跳ね返して、「もう少し真ん中に軸を移さなければならない」「左に偏った姿勢のままでは、有権者から政権交代の受け皿と見てもらえない」と考え(上記の読売記事)、そのためには岸田の「敵基地先制攻撃能力」論を容認し、改憲論議促進にも応じ、「物分かりの良さ」を示そうとしているのだろう。これは、それこそ歴史に学ぶなら、1960年の安保動乱の最中に米CIAの秘密資金提供によって結成された民社党の「是々非々の中道」という名の自民党補完路線と何ら変わりはない。
 確かに、立憲民主党がそのように旧民社党化すれば、維新や国民民主党と組みやすくなるだろうが、それを人々は「政権交代の受け皿」とは認めまい。むしろ、公明党の神通力が地に落ちつつある中で、それに代わって「自立維国」連立政権が出来て、自民党政治をさらに延命させる役割を果たすだけだと見え透いている。
 しかも、60年前には政治の基本軸は右vs左で、その対立が激化する中で「中道」を掲げる意味はなくもなかった。しかし今では左右対立ではなく、保守vsリベラルが軸で、そこでは両者は背中を向け合うよりもむしろ歴史の同じ方向を向きながら知恵、政策、手法、速度等々を競い合うことになるので、そもそも「中道」という観念が成り立たない。そのことに気づかない人々が、まだ「中道」などという戯言を口にしている。
 さあて、立憲内の本当の立憲民主勢力は、泉・岡田執行部の中道フラフラ迷い込みの馬鹿げた路線にどこまで付き合っていくつもりなのか。キッパリと決別してリベラルの党を立て、社民、れいわ、沖縄の風、共産などとの反軍拡戦線を築くべき時ではないか>(以上「MAG2」より引用)




 久々に高野孟氏(ジャーナリスト)の「乃木神社参拝に「逆ギレ」反論。立憲・泉健太代表では岸田政権と戦えないワケ」という論評を取り上げる。
 日本国民には思想信条の自由が憲法で保障されている。いかなる思想を持とうと自由だ。しかし思想信条を同じくする人たちが集まって政党を結成しているのなら、泉氏が乃木神社に参拝したのは現在の政局と照らし合わせて、いささか見識を欠いているのではないだろうか。

 いうまでもなく、国民は岸田氏の「防衛費倍増」には一定の理解を示しているが、そのために国民負担を求める、という点に関しては猛反発している。しかも防衛費倍増した予算の使途に関して、米国から時代遅れの「敵基地攻撃」能力に疑問のあるポンコツ・トマホークを150機以上も購入することや、攻撃機用の高性能ジェット・エンジン開発に成功し、英国と協力して機体などの理開発を行うことになっている戦闘機を配備するのではなく、性能面で問題のあるF35を大量購入して自衛隊基地に配備しようというのだから、防衛論議が深まれば防衛費倍増に理解を示している国民の多くも反発するに違いない。
 ことにトマホークは40年も以前に開発した速度のノロい巡航ミサイルで、米軍ですら廃棄することになっているポンコツだ。マッハ1にも満たない鈍足巡航ミサイルなら、敵基地攻撃目的で発射しても、ノロノロと敵大陸内部へ飛行している間に敵の戦闘機によって撃墜されるのがオチだ。それでも戦術的に巡航ミサイルが必要だというのなら、日本が開発した巡航ミサイルを配備するべきだ。それなら自国の開発能力と戦術ミスだということで諦めもつく。だが米国に大枚を支払ってモノの役に立たないポンコツを大量に購入する、というのだから情けない限りだ。

 しかし野党国会議員が議論すべきは防衛費倍増論議そのものではないか。中国の軍事的脅威が「台湾進攻前夜」の状況にあるから早急な「敵基地攻撃能力」が自衛隊に必要なのだろうか。だが中共政府はそれどころではない未曽有の大混乱に陥っている。
 習近平氏は中共内部の引き締めを懸命に行って、自らのゼロ・コロナ策の大失敗による国民の批判を耐えようとしている。これまでなら、習近平氏は大量の武装警察を動員して批判デモなどを力で封殺してきた。しかし現状は、そうではない。習近平氏の退陣を求める「白紙デモ」に恐れをなして、デモ鎮圧に武装警察隊の投入を諦めている。それよりも春節の祝いを景気づけて、デモ隊を主として形成している学生や農民工たちを地方へ帰省させる方法を取っている。

 岸田自公政権が誼を通じている習近平政権が揺らいでいるのは間違いない。だからマスメディアが台湾海峡の波高し、と台湾有事を煽るのは何ら根拠のない絵空事だ。軍隊を動かすにも予算が必要となるが、中国は中央政府も地方政府も、そして国有企業もすべてと云って良いほど負債塗れだ。それらの負債の総合計は10兆元に達しているという。利益を出していた虎の子の民間IT企業は習近平氏が気紛れとしか云いようのない理不尽さで潰してしまった。
 日本政界で最も議論が必要なのは税に関する議論だ。自公政権が「増税」を口にしているが、日本経済を改善し経済成長させるつもりなら「減税」をしてデフレギャップを埋めると同時に、財政出動して生産性向上のための投資を果敢に行うべきだ。そり具体策は企業設備投資減税であり技術の研究。開発減税を行うべきだ。

 現行のコスト・プッシュ・インフレに対応するには消費税の廃止ないしは一時停止が喫緊に必要とされる政策だ。国民は物価高騰という、さらなる貧困に見舞われている。現在の物価高騰は国民に起因して起きたのではなく、円安に便乗した値上げと、原油価格高騰に便乗した値上げが主たる要因だ。しかも円安も原油価格高騰も一服したにも拘らず、未だに消費製品の値上げが続いているのは悪質と云わざるを得ない。
 さらに自己政権が30年来続けて来た「構造改革」と称するグローバル化政策により、国民は貧困化し少子化率は高まった。それ政策転換する役目を担わされたのが野党国会議員だ。それすら理解しない野党国会議員はさっさとバッジを外すか、何人かの先例もあることから自民党に懇願して入れてもらうが良い。野党にも不要な政治家たちだ。そして泉氏本人も不要な政治家の一人のような気がするが。

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