日本の防衛とは。

武力侵攻のリアルな可能性
 米国の2つの研究所が1月、台湾について興味深い調査とシミュレーション結果を発表した。1つは「中国が台湾を侵攻するかどうか」についての専門家アンケート、もう1つは「侵攻したとき、何が起きるか」の予測だ。どちらも、情勢の深刻化を物語っている。
 米シンクタンクの大西洋評議会は世界の専門家167人を対象に「2033年までに世界で何が起きるか」について、アンケート調査した。質問項目は「ロシア崩壊の可能性」など全部で10項目にわたっているが、その1つが「中国が台湾に侵攻する可能性について」だった。
 それによれば「今後10年以内に中国は武力で台湾を奪取しようとするか」という見方について「強く賛成する」が回答者の12.1%。「ある程度賛成する」が58.4%を占めた。両方合わせると、7割以上が「武力侵攻する」とみている。

 回答した専門家は民間人や政府関係者、学者、コンサルタントなど多岐にわたっているが、うち「政府に雇用されている人」に限れば、88%が「武力侵攻する」と答えた。「侵攻は起きない」とみているのは、全体のうち2割にすぎない(残りは「分からない」)。
 中国の習近平総書記(国家主席)は、3選を決めた昨年10月の中国共産党大会で、台湾との統一について「我々が武力(the use of force)の放棄を約束することは、けっしてない。我々は必要なあらゆる手段(all measures necessary)をとる選択肢を保持する」と強調した。
 この直後、米国のアントニー・ブリンケン国務長官はシンクタンクの講演で、こう語っている。
〈中国の台湾に対する姿勢は、この数年で変化している。彼らは、もはや現状維持は不可能とみて、統一へのタイムラインを早めるように決意している。平和的手段が有効でないなら、強制的手段に動くだろう。強制的手段が通じないなら、目的を達成するために、軍事的手段に訴えるだろう〉
 米軍関係者の間では、これまで「2027年までには侵攻がある」という見方が有力だった。これは、米インド太平洋軍のフィリップ・デイビッドソン前司令官が2021年に米議会で語った「今後6年間にあるだろう」という証言が根拠になっている。
 米インド太平洋軍のフィリップ・デイビッドソン前司令官[Photo by gettyimages]
 ところが、米海軍のマイク・ギルデイ作戦部長は昨年10月、大西洋協議会のシンポジウムで「我々が2027年問題(2027 window)を語るときには、22年問題や23年問題を考えなければならない。私はその可能性を排除できない。これは警告で言っているのではない。我々の希望を言っている場合ではないのだ」と語った。
 いまや、米国は国務省も軍も「台湾情勢が切迫している」とみている。22年は無事に過ぎたので、いまや23年に警戒を集中しなければならない。

台湾侵攻が本当に起こったら…

 そんななか、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が1月9日、中国の台湾侵攻シミュレーションを発表した。「次の戦争の最初のバトル〜中国による台湾侵攻の戦争ゲーム」と題された報告書は、全部で165ページもある分厚いものだ。
 シミュレーションは基本、楽観、悲観など5つのシナリオに基づいて、計24回繰り返した。ほとんどは日本の参戦を前提にしている。楽観シナリオは「米日台連合軍が圧倒的に勝利」、基本シナリオは「楽観ほどではないが、やはり米日台側の勝利」と想定した。悲観シナリオは中国のやや優勢を想定しているが、それでも中国は勝利できない。

問題は、双方の被害の大きさだ。

 基本シナリオでも、米国は航空機270機、艦船は2隻の空母を含めて17隻を失う。死傷者は開戦から3〜4週間の戦闘で6960人、うち死者は3200人に上る。1日当たりの死者を140人とすると、最悪期のベトナム戦争での30人、アフガニスタン戦争での3人に比べて非常に多く、第2次世界大戦当時の300人に迫る損傷になる。
 日本は航空機112機、艦船は26隻、台湾は航空機の半数とすべての艦船26隻を失う。中国は航空機155機、艦船は138隻、死傷者は地上と海上で計2万2000人に上る。悲観シナリオでは、米国が航空機484機、艦船14隻を失い、日本は航空機161機、艦船14隻を失う。一方、中国の損害も航空機327機、艦船113隻に上る。
 以上の結果をみれば、はたして、それほどの犠牲を出しても、米国は参戦するのか、ましてや日本が参戦するのか、という疑問が湧くのは当然だ。私は、いくら米日台連合軍が勝利して、台湾防衛に成功するとしても「あまりに現実離れしているのではないか」という感想を抱く。

 なぜ、こんなシミュレーションをしたのか。報告書はこう書いている。
〈このプロジェクトは台湾防衛のメリットがコストを上回るかどうか、またどのようにメリットとコストを計測するのか、という問題には触れない。そうではなく、我々の目的は国民に議論を促し、それによって、この死活的に重要な国家安全保障問題について、国民がよく理解したうえで決定を下せるようにするためだ〉
あくまで参考というスタンスである。このあたりが、いかにも米国らしい。中国との対決を前に、徹底的に事態の予想される推移を検討し「国民が判断を下す一助にしよう」というのだ。こんな悲惨な結果を知れば、国民の多くは「戦争になる前に、中国の侵攻をなんとしても抑止しなければならない」と考えるだろう。
 その結果、米国の軍事費や台湾支援の増加につながる効果も期待されているかもしれない。

米国民の反応は…?

 そこで、米国民が台湾への米軍派遣について、どう考えているのか、という調査結果も紹介しよう。
 米シンクタンクのシカゴ国際問題評議会は昨年8月、台湾侵攻に関するアンケート調査をした。それによれば、中国が侵攻したとき、台湾の政府を守るために米軍を派遣するのに、米国民の賛成意見は半数以下の40%にとどまった。中国の海上封鎖に対抗するため、米海軍の派遣については、賛成が62%だ。
 米軍派遣への賛成は4割にとどまる(下段、シカゴ国際問題評議会のアンケート調査より)
 中国が「ロシアのウクライナ侵攻を台湾侵攻の前例とみて、自らも台湾侵攻に傾くか」という質問に対しては、回答者の76%が「ありうる」と答えている。

 米軍の動員については、時系列でも調査している。
 それによれば、米軍派遣に対する賛成意見は1998年に27%にすぎなかったが、2021年7月に52%に跳ね上がった後、22年夏には44%に落ち込んだ。共和党支持者で見ると、昨年7月の60%をピークに、昨年夏は44%と16ポイントも低下している。
 これは、昨年2月から始まったウクライナ戦争の現実を目の当たりにして、中国との正面衝突に対する懸念が強まったためではないか。いずれにせよ、台湾問題がことしの最重要案件であるのは間違いない>(以上「現代ビジネス」より引用)



 長谷川 幸洋氏(ジャーナリスト)が書いた「中国・習近平による「台湾侵攻」は近い…その際に、日米台が受ける「リアルな被害」」と題する論評が掲載された。この手の「予測」は枚挙に暇がない。そして彼らは異口同音に「台湾有事(戦争)は近い」と騒ぎてる。
 しかし現在の中共政府が臨戦態勢を敷いているのか。今にも台湾へ侵攻する、というのなら台湾に上陸する大規模な軍隊を港湾近くへ移動させなければならない。もちろん大量の物資を台湾へ送り込む兵站基地を建設しておかなければならない。だが、現在の中国の何処にそうした台湾上陸作戦を見据えた準備がなされているというのか。

 習近平氏が台湾を統一する、と叫ぶのは朝起きて「おはよう」と云うのと同じだ。習近平氏だけではない。毛沢東の時代から「台湾統一」と彼ら中共政府幹部たちは叫んでいた。彼らにとって戦争こそが「正義」だから、彼らを「正義」の使徒ならしめるには戦争を叫び続けなければならない。
 そして米国は国民から「戦争支度金」と称して莫大な税金を巻き上げるために、絶え間なく戦争を続けることが必要だ。戦争支度金で武器開発を行い、日本の無能な政治家をカツアゲしてポンコツ兵器を云い値で叩き売ってポロ儲けしなければならない。そのためには台湾有事が近いと警戒警報を発し続けなければならない。もちろん米国主要マスメディアはDSの広報機関だから、台湾有事が近いと報道し続けなければならない。

 奇しくも四日前(1月11日)の夕刊フジに「「中国の台湾侵攻は失敗」米研究所が最新分析 日本は武力行使断念させよ 山下裕貴氏「中国に頼らぬ経済安全保障態勢の整備を」
」との見出しの記事が掲載された。「赤勝て、白勝て」の運動会ではないが、彼ら専門家と称する連中の結論はほぼ一致している。
 つまり「中国に武力行使を断念させるため、外交力の裏付けとなる防衛力強化や、有事に備えた日本と台湾の防衛協力を進めるべきと提言した。」というものだ。すなわち現行岸田自公政権は43兆円で米国製のポンコツ兵器を爆買いせよ、と云うものだ。彼らは米国の軍産共同体の強い影響下にあると見なければならない。

 日本の本当の防衛とは先ず食糧自給率を高めることだ。日本の自給率はカロリーベースでは37%ほどでしかなく、価格ベースでも67%ほどでしかない。なぜこんなに自給率が低いままなのか、それは農業を軽視する傾向が日本の官僚、ことに財務官僚にあるからだ。
 食糧自給率170%のフランスでは農家の所得に占める補助金の割合は実に90%を超えている。しかもフランス国民に「農業は公共事業」という認識が浸透している。米国では農家への補助金支出はないが、その代わり農家から買い取る価格補償を政府が行なって、逆鞘を税金から支出している。それは輸出補助金ではないかと日本政府は抗議しているが、米国政府は日本の抗議など無視している。米国政府にとって食糧自給率を100%以上にしておくことは国家存立にかかわる重要事だと認識している。

 さらに日本の防衛に欠かせないのは日本国民の愛国心ではないだろうか。日本を祖国とする国民が日本に愛国心を持たなくなれば、いかに防衛軍備を行おうと、国家は内部から崩壊する。若者が日本国内で生活するよりも海外へ移住した方が良いと考えるようになると、国力は一気に低下する。武田信玄は「人は石垣、人は城」と云った所以だ。
 防衛費倍増の為に国民負担(増税)を求める、というのは本末転倒だ。防衛のためにはまず国民所得を倍増することだ。そのためには経済成長がなければならないから、まずはデフレギャップを埋める財政出動と、コストアップ・インフレによる可処分所得減を埋めるための消費税廃止が喫緊に必要な政策だ。

 まずは日本国民を富ませよう。そして若者たちが自分たちの未来に自信を持って生きていける社会を創ろう。さらに「構造改革」による失われた30年で安定雇用を奪われた就職氷河期世代の国民に光を当てて、彼らを正規社員として迎え入れる雇用環境を政府が創らなければならない。
 補助金を出すべきは外国人労働者移民ではなく、日本の非正規労働者や引籠り・ニートの未就労人口の社会参加促進にこそ予算を支出すべきだ。50歳に達した就職氷河期の非正規労働者を放置していれば、膨大なホームレスや生活保護者を日本社会は抱えることになる。今こそ政府は彼らを正規社員として雇用するための的確にして有効な政策を実施すべきだ。それこそが日本の防衛に最も資する政策ではないか。

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