崩壊する中国。

将来を見限った人々
 経済成長の足かせになっているのは、長引く不動産不況だ。恒大集団をはじめとする多くの不動産デベロッパーが資金繰りに窮し、住宅の完成と引き渡しが滞る事例が各地で発生。これに対抗する形で、住宅購入者たちがローンの支払いを拒否する動きも頻発している。直近10月の不動産販売は前年同月比23・2%減と、不調ぶりが著しい。
「不良債権処理の市場となる競売すら機能していない」と語るのは、ジャーナリストの姫田小夏氏だ。
「これまで、ある程度の不動産はアリババなどが運営するオークションサイトといった競売市場に出せば、買い手がつく傾向にありました。ところが昨今は、市場が動かず、在庫が積みあがっている状況です。
 たとえば、破産した巨大民営企業が手放した、上海の一等地にある、建築面積1万㎡を超える20戸の高級戸建て群が'21年8月に競売にかけられました。査定額は総額16億元(約320億円)と、上海競売史上、屈指の高額案件です。昔なら投資物件として人気を集めそうなものですが、誰一人入札者は出ませんでした」  
 当然、国も低迷する不動産市場に対して金融面の救済措置に動いた。11月21日には、政府の指示により国有銀行が相次いで不動産会社向け融資枠を設定。その額は3兆1950億元(約63兆円)とケタ違いの規模に上った。しかし、これで市場が回復するかといえば、そう簡単な話ではない。中国の不動産大手幹部は弱音を漏らす。
「今回の支援策の対象は最大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)など有力な企業に限った話。恒大集団など過剰債務に陥っている企業はことごとく対象外です。習近平は問題を先送りにしたに過ぎませんよ。実際、支援策発表後も住宅販売は相変わらず低調です」

科学的分野の危機

 せっかくのテコ入れも空振りに終わってしまいかねない不動産市場。同様に危機感を抱いているのがテクノロジー市場だ。習近平が夢見た「科学技術立国」も昔の話、今やその道は閉ざされている。
 決定打となったのは、アメリカ・バイデン政権による対中輸出規制の強化だ。そこには先端的な半導体を製造するのに不可欠な米国製の装置や人的資本が含まれていた。この輸出規制が続けば、それだけハイテク分野の技術も発想力も削がれていく。科学的技術で世界をリードするという野心の実現も難しくなる。
 経済が停滞し、これ以上の技術発展も見込めないとなれば、もう中国に将来はない—先見の明がある者ほど、こう考えて祖国を見限り、国外に脱出していくという。ITベンチャー企業を経営していた深圳から'21年に日本に移住してきた40代男性はこう語る。
「'22年は『中国を脱出する』という意味の『潤』という単語がSNSで流行し、資産をシンガポールや日本などに移し、脱出を図る富裕層が急増しました。さらに最近、企業レベルでも将来性の乏しい国内での事業を切り捨て、海外に出て行こうとする向きがあります。
 その一つが、民間企業の海外視察ブームです。12月6日には、浙江省が1万社以上の企業を率いて、6日間の欧州視察ツアーを行ったことが報じられました。表向きは省レベルの海外投資戦略の一環ですが、経営者の中にはこれを機に、拠点の海外移転を決める者も多いと聞きます」
 中国人経営者たちの憂いの目は、急速な少子高齢化の波にも向けられている。国連が発表した最新の中国の人口予測によれば、2047年までの人口の減少幅は総人口の6%にあたる約9000万人に上る。また、平均年齢も現在の38・5歳から50歳に急上昇する。

党内部もバラバラ

 それでいて、これから有望な働き手となるであろう16〜24歳の若年層の失業率が高止まりを続けているのも問題だ。背景には求職者と求人側とのミスマッチがある。
「10月の失業率は5・5%とほぼ横ばいですが、一方で若年層は17・9%と高い水準にあります。原因は、1000万人の大台を超えた大卒者にあります。彼らには『大学に入った以上、こういう仕事に就きたい』という希望がある。特に習近平政権下の教育政策によって、『ブルーカラー=社会の底辺』という固定観念が根付いてしまったばかりに、仕事を選別するようになってしまった。結果として、ミスマッチが常態化しているわけです」(前出・阿古氏)
 ゼロコロナ、経済、そして教育。習近平が主導したあらゆる政策がことごとく裏目に出ている。それが今になって様々な問題を引き起こしているのは明らかだ。にもかかわらず、習近平の暴走は止まらない。最高指導部を構成する党政治局常務委員や下部組織の政治局員は、自らの側近とイエスマンで固められている。習近平が「これをやれ」と言えば、拒否できる者などいない。
 中国問題グローバル研究所所長で筑波大学名誉教授の遠藤誉氏は、共産党指導体制内の信頼関係の欠如が、中国の地殻変動の根底にあると指摘する。
「ゼロコロナ政策の規制緩和も、実際には'21年1月には出されていました。しかし、現場を指揮する地方政府の役人たちは、『お上の指示に従って失敗したら自分が感染再拡大の責任を取らされる』と、自分自身が処罰される可能性に怯え、自らの保身のために2年近く動かなかったわけです」
 そこで、中央は「規制緩和を守らない者は処罰する」と宣言。ここでようやく、各地方政府は「逮捕されるくらいなら」と緩和を実行に移したのだ。もはや信頼関係など存在しない。遠藤氏が続ける。
「そこにあるのは恐怖心です。恐怖による強権統治をやめないかぎり、どんな政策も現場との連携は取れないままで、中国は救われません」
 幾多の危機に直面する中国。この国の地下で煮えたぎるマグマが噴出する日は近い>(以上「「週刊現代」2022年12月24日号より」より引用)



 米国の主要マスメディアは2023年の中国経済成長を5%台だと楽観的に報じているが、日本の「現代ビジネス」はかなり悲観的に見ている。そのどっちが正しいか、来年になれば結論は出るが、今年中に占うとすれば以下の通りだ。
 中国から外国企業は相変わらず撤退している。それは製造業に止まらず、物販大手も撤退の流れは止まらない。そして国営製造業も半導体不足から人員削減に動いている。そこで中共政府は半導体製造2025を掲げて、国内半導体事業の創設と製造に乗り出そうとしているが、なかなか上手くいかないようだ。つまりゼロコロナ策を止め、現在のパンデミックが三ヶ月程度で収束したとしても、基本的な「世界の工場」は著しく空洞化している。

 有能な若者たちは祖国を見限って100万人単位で海外へ渡航しているという。ジャックマー氏が東京にいるのが象徴的ではないか。習近平氏は原則的に民間企業を認めない。ただ外国投資と外国企業の進出は歓迎しているが、その方針がいつ変わるか疑心暗鬼だ。
 習近平氏が気にしているのは中共政権の安定維持と、自身の独裁政権が永遠に続くことだけだ。しかし習近平氏が不死身でないのは生物学的な事実だし、いつかは誰かに後継を託さなければならないのは自明の理だ。しかし彼の第三次政権への人材登用を見ても、後継者らしい人物は見当たらない。

 中共政府が必死になって崩壊する経済を支えようとしているのは分かるが、それは問題をさらに膨らませて崩壊を先送りしているに過ぎない。過剰な不動産投資より債務超過した不動産企業を早く整理する方が金融機関が背負い込む債務が少なくて済むが、中共政府はデフォルトさせないように金融緩和策を打ち出している。それでは何ら解決策にはならない。
 外国企業が相次いで撤退しているのは中国の安価な労働者がいなくなりつつあるからだ。そして中共政府が「改革開放」策から「戦狼外交」に転じたことも大きく投資マインドを冷え込ませた。外国送金に対する制限というより禁止措置も外国企業に大きな脅威となった。自由な企業行動を著しく制限する中共政府は自由主義諸国の経営者たちに恐怖を与えた。彼らの恐怖とは「損失」を出すことだ。それが中共政府の気紛れな経済政策で「損失」を背負い込まさせるのでは堪ったものではない。中国に進出した企業がいかに利益を上げていても、それを本社へ送金できないのなら利益はないのと同じではないか。

 ここに来て、中国の民間企業経営者たちが外国に企業拠点を移し始めたという。中国人が祖国を信用していないのに、外国企業経営者が中共政府を信用して企業進出するとしたらどうかしている。それと同じで、新たに中国に投資する外国投資家もどうかしている。1990年から2000年にかけて中国の魅力だった安価な労働力と国民の平均年齢の低い躍進する国家、という魅力が殆どすべて失わりてしまった。没落する中国に期待する米国主要マスメディアはどうかしている。彼らもまた中共政府のエージェントに成り果てているのだろうか。

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