経済成長こそが喫緊の課題だ。

人口減少で各業界に何が起きるか
『未来の年表 業界大変化』は、累計95万部の大ベストセラーとなった河合氏の代表作『未来の年表』シリーズの最新刊だ。
 各ネット書店に注文が相次ぎ、売れ筋商品の書籍部門で総合ランキング1位を記録するなど、発売前の書籍としては驚異の売れ方をしている。実際、すでに2度の「発売前重版」が決まった。
 出版不況といわれる中で、何がヒットにつながっているのだろうか。気になるのはその内容だが、発売前ということで詳細は不明である。
 そこで担当編集者の佐藤慶一氏に尋ねてみると「一言で説明するなら、『未来の年表』のビジネス版です。『業界大変化』とタイトルにある通り、人口減少で製造・金融・自動車・物流・医療など各業界に起きることを克明に予測しています」との回答が返ってきた。

人口減少問題を解決するには

 表紙には「30代が減って新築が売れなくなる」、「IT人材80万人不足で銀行トラブル続出」、「運転手不足で10億トン分の荷物が運べない」など、衝撃的な見出しがいくつも並んでいる。
 河合氏といえば、人口問題の第一人者であり、未来に対する分析力の高さにはファンが多い。だが、佐藤氏は、注文が殺到している理由について別の要因を挙げた。
「『未来の年表 業界大変化』は、未来予測だけにとどまった本ではありません。むしろセールスポイントは、人口減少社会を乗り切るための対応策を丁寧に説明している点です。河合さんが先日テレビ番組でお話された内容が詳しく書かれており、ネット書店の説明文を読んだ方々の予約につながっているのかもしれません」
 確かに、人口問題の実態を分析する書籍は増えてきているが、現実的な解決策にまで踏み込んだものはほとんど見かけない。
 河合氏が出演したテレビ番組とは、林修氏が司会を務める人気番組「日曜日の初耳学」(12月4日放送)のことである。番組内で河合氏は、人口減少は止まらないと断言する一方、「決して日本は間に合わないわけではない。発想さえ変えれば、勝ち残ることはできる」と人口減少対策に言及していた。
 その具体策として説明したのが「戦略的に縮む」ことの必要性であった。ネット書店の『未来の年表 業界大変化』の紹介文にも、「『戦略的に縮む』という成長モデルの手順を深掘りし、『未来のトリセツ』として具体的に示す」と書かれている。
 河合氏によれば、今後の日本は実人数が減るだけでなく、高齢消費者が増えるため消費量も落ち込む「ダブルでのマーケットの縮小」に見舞われるという。
 こうした状況を打開するため、番組内では「日本は比較的幅広い産業がある。この先、市場が縮むのであればゼロベースで見直して、捨てるものは捨てましょう。残すものは徹底して良くしましょう」と述べ、残す産業を決めてそこに集中的に資本や人材を投下することの重要性を訴えた。
 さらに、「(人口減少で)この先、生産量は確実に減っていく。その代わり、必要とするものを必要とする人のところに満足するよう提供し、それによって高く売れる状況を作っていく」とも語り、今後の日本が目指すべき道として、大量生産の品を安価で売って利益を上げる薄利多売をやめ、ヨーロッパの高級自動車ブランドのように品質の良いものを必要数作って利益率を上げていくビジネスモデルへの転換を促した。
 マーケットも労働者も激減する日本においては、量をたくさん売らなければ利益が得られない薄利多売は人口減少社会では通用しなくなるということである。

「地方分散」は意外と危うい

 河合氏はそのための方策として、働く一人ひとりの意識改革とスキルアップも欠かせないともしている。
 河合氏はこれまでの著書でコロナ禍においてテレワークが普及し、削減できる通勤時間をスキルアップに使うべきだと主張している。番組内でも時間の有効活用を例に挙げ、「通勤時間って実にムダですよね。都市圏が大きいところは、下手すると往復3時間。本当に"死んだ時間"です。これを開放するだけで色んなことができるんです」と述べている。
 同時に、河合氏に唱えたのが、「地方分散」の危うさだ。商圏人口の重要性を説き、最低10万人の商圏を維持できれば、民間事業の撤退を防ぐことができるとして、「地方集住」を求めている。河合氏はベストセラーとなった著書『未来の年表』において、人が住む地域と住まない地域を明確に分けることを提言しており、これを念頭に置いたものとみられる。
 佐藤氏は、「テレビ番組の場合、時間の制約があってどうしても断片的な説明にならざるを得ないですが、『未来の年表 業界大変化』では戦略的に縮むための手順をゼロから体系的に明らかにしています」という。
 日本の人口減少は年々深刻になってきており、ビジネスの現場だけでなく、われわれの日常生活においてもさまざまな影響が出始めている。『未来の年表 業界大変化』が異例のヒットとなっている背景には、人口減少問題への「答え」を求めている人が増えてきていることがあるようだ>(以上「現代ビジネス」より引用)





新刊本の宣伝のような記事だが「防衛増税や人口激減で“衰亡の危機”に陥る日本が勝ち残るための「答え」」とはタイムリーな見出しだ。そこにあるのは以下の羅列だ。
 川合雅司氏の「近未来予測」は現在の経済や社会システムが固定されたまま進歩しないと前提したものだ。例えば運転手不足で10億トンの荷物が運べない、というのは現在のトラック輸送を前提としたものだ。
 今後運転手不足が深刻になれば輸送コストが上昇し、運転者への待遇も改善されるだろう。そうすれば運転手の人手不足も解消されるだろうし、輸送コストが上昇すればフェリーなどの海上輸送やコンテナ列車の利用などと、コスト削減に経営者は知恵を絞るだろう。

 「多死社会なのに寺院消滅」や「水道料金が月1,400円上がる」なども現状から何も変化しないで人口だけが減少する、という前提だ。それは住宅や公務員の項目も全く同じ「前提」で描かれている。
 そもそも日本の人口は有史から1億人以上いたわけではない。縄文時代は30万人程度しかいなかったと推測され、江戸時代ですら2,500万人から3,000万人で推移した。1億人を超えたのは1967年で、2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じた。つまり日本の人口が1億人を切って減少しても、それほど驚くようなことではない。

 IT人材が80万人も不足して銀行トラブルが多発する、というのも杞憂でしかない。なぜなら1967年以前も人口は1億人以下でしかなかったからだ。ただ高齢化しているではないか、という指摘はあるだろうが、かつての高齢者と現在の高齢者を同列に扱うのは如何なものだろうか。
 高齢者は個人差が激しい。飲酒習慣のある人は少なからず内臓に疾患を抱えているし、若い頃に激しいスポーツなどで無理を重ねた人は膝や腰や体の節々の不具合に悩まされている。しかし人生で無茶な飲酒や特別な運動をしない限り、前期高齢者で体力の衰えを覚える人は少ない。ただ社会が年寄り扱いして、社会から排除しているだけだ。私は間もなく後期高齢者に仲間入りをするが、日常生活で肉体的に困ることはないし、頭脳活動でも衰えを感じることはない。

 人口減社会は悲劇的な部分が少なからずある。ことに地方は悲惨で、若者のいない地域から活力が失われ、商店街などの地方が寂れていく。人の棲まなくなった集落は十年と経たずしてツタに覆われて森と化す。
 地方の田畑は資産価値を失い、耕作放棄地として荒れ果てている。そうした実態を東京生まれで東京育ちの地方政治家たちには判らない。また東京人の評論家も「地方分散」は意外と危ういと暴論を展開する。だが、実際には一極集中こそが日本を危うくする。
 すべての機関が東京に一極集中して、首都直下型大規模地震が東京を直撃すれば、日本の政治・経済機能の大部分が失われる。本当の危うさは地方を蔑ろにする政治だ。

 人口減社会は必然的にIT化社会をもたらす。IT技術者が減少すれば、少ない技術者でシステム全体をカバーすべくAIを導入せざるを得なくなり、AI技術の飛躍的な進歩を促すだろう。必要は発明の母と云われる所以だ。
 江戸時代はマックスで3,000万人だった。ロシアに侵攻されているウクライナの人口が5,000万人だから、日本の現在の人口は国土に見合わないほど過剰だというべきだろう。人口毛を嘆く必要など何もないし、GDPが人口に比例することもない。それは生産性と比例する。人口減社会で経済成長など出来ない、と主張する人たちは生産性の向上を度外視する、経済成長をハナっから否定している人たちだ。それでは明るい未来は拓けない。

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