円安の今こそ「円」は買いだ。

<今年ほど、いわゆる「有事」が意識されたことは、近年なかったはずだ。ロシアによるウクライナ侵攻から始まり、一気に石油や天然ガスなどの供給不足が起きてエネルギー価格が高騰。つれて小麦やとうもろこしなどの食料品や飼料の価格も上がり、食料危機が意識されるようになった。
 その影響もあってか、インフレが世界中で吹きあがり、アメリカの中央銀行であるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、これまでコロナ危機で異次元の金融緩和を続けていた金融政策を一転して金融引き締めに転換。日本を除いて世界中で金利が上昇するという事態が起き、為替市場ではドルが買われて歴史的な水準にまで円安が進んだ。加えて、台湾海峡の地政学リスクの高まりなどが続いている。
 こうした有事に対して、金やドルへの分散投資という定番は今でも有効なのか……。ロシアがウクライナに侵攻して以後、さまざまな資産がどう動いたのかを検証する。

安全資産「円」が投機対象に変わった?
 アメリカの有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が、8月15日付で「円は逃避先から投機対象へ変質か、値動き過剰」というタイトルの記事を配信している。円が、ヘッジファンド等の投機対象となり相場変動に拍車がかかっている、といった内容だ。
 日本人にはあまりピンとこないかもしれないが、世界の投資家の間で、円は「有事の際の投資先=逃避資産、安全資産」として知られてきた。それが今回の、ロシア・ウクライナ戦争といった「地政学リスク」によって安全資産ではなくなりつつある、という現実を示唆した。
 日本人の多くが、円建ての現金や預金で資産を保有していることはよく知られるが、国際的な視野で見れば、結果的に安全資産で防衛してきたことになる。そこが根本から変わってきている。
 もともと日本では、有事といえば「金(きん)」もしくは「ドル」への投資という考え方が一般的だ。金が有事の際の資産防衛に有効かどうかは、長い間証明されてきたことであり、実際に今回のロシア・ウクライナ戦争でも、金の国際価格は史上初めて1トロイオンス=2000ドルを超えるなど急騰した。
 その後、戦争や気候変動の影響により世界中で物価が上昇。とりわけアメリカでは数十年ぶりのインフレが猛威を振るい、FRBは金融政策を決定するFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)で今年11月2日に4会合連続となる金利引き上げを実施した。FF(フェデラルファンド)金利の誘導目標は3.75%~4.00%に引き上げられ、株式市場や債券市場は価格が下落し、金も2000ドル台から1700ドル台まで下落した。
 金融引き締めは地政学リスクではないのだが、株式市場にとっては大きなリスクになる。債券市場にとっても、既存の債券の価格が下落するため、短期的にはリスクになる。そして、中央銀行同士の金利格差が生まれたことなどを背景に、32年ぶりの円安が進行するなど為替市場が大きな影響を受けた。
 さらに、ドル価格と反比例して動くことの多い金にとっても、大きなマイナス要因となる。金価格上昇の要因となってきたロシア・ウクライナ戦争はいまだに続いているが、金利上昇で金価格にはブレーキがかかっている。金相場はアクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態だ。
 戦争開始により価格が急騰し、金利の引き上げで逆に下落したとはいえ、金は有事に強い資産のひとつであることは間違いないようだ。ただ、円ベースで金価格を考えると話はかなりややこしくなってくる。例えば、ロシアがウクライナに侵攻した2月以降の月平均の最高値と最安値を比較してみると次のようになる(金価格は田中貴金属工業調べ、騰落率はロシア・ウクライナ戦争以降の最安値と最高値の騰落率)。

<金価格(海外):騰落率=-17.02%>
・最高値……1947.83ドル/トロイオンス(3月平均)

・最安値……1664.45ドル/トロイオンス(10月平均)

<金価格(国内):騰落率=+14.56%>
・最安値……6913円/グラム(2月平均)

・最高値……7920円(10月平均)

 ロシア・ウクライナ戦争開始後、金の国際価格は最大300ドル程度下落したわけだが、円ベースでみると円安によって相殺されて、円安がピークに達していた10月には1g当たり=1000円程度上昇していることがわかる。国内の金価格は今も最高値圏に位置している。

下落したのは「アメリカ株」と「円」?
 一方、株価はFRBが金利を引き上げ始めた2022年3月以降、敏感に反応している。下記のデータを見るとわかるように、アメリカの平均株価は3割程度下落しているものの、日本の平均株価は上昇している。金利を引き上げなかった日本の株式市場としては当然かもしれないが、「遠くの戦争は買い」という投資格言を地で行く結果といえる。
 そして、最も大きな変動を見せたのが為替相場であり、とりわけ「円相場」は30.8%も円安となり、円の価値が大きく下落した。日銀が金利を引き上げられない現実を世界中の投資家が狙ってきた、と言っていいだろう。ロシアのウクライナ侵攻後の株式市場と為替市場の最高値と最安値で比較すると次のようになる。騰落率はロシア・ウクライナ戦争以降の最安値と最高値の騰落率。

<平均株価(S&P500、終値):騰落率=-29.48%>
・最高値……4631.60(3月29日)

・最安値……3577.03(10月12日)

<平均株価(TOPIX、終値):騰落率=+14.1%>
・最安値……1758.89(3月9日)

・最高値……2006.99(8月17日)

<為替(ドル円):騰落率=+30.8%>
・最高値……114.82円(3月5日)

・最安値……150.19円(10月20日)

<為替(ユーロ円):騰落率+18.02%>
・最高値……124.95円(3月6日)

・最安値……147.47円(10月26日)

 仮に、円だけで資産を保有してれば、今回の為替変動によって、ドルベースでは最大で3割も資産を減らしたことになる。日本に住んで円ベースだけで生きていくのであれば問題はなさそうだが、残念ながらそう単純な話ではない。食糧やエネルギーを輸入に頼っている日本にとって、円が下落すれば当然ながらインフレになる。将来的なインフレリスクにさらされるわけだ。

アメリカ株投資に「円安」はメリット?
 ただ、資産を円以外で保有していたなら、今回の円安はデメリットばかりでもない。円高時にアメリカ株に投資していた人は、株価の下落の割には日本円で換算した場合、かなり少ない損失で済んでいたはずだ。銘柄によっては、円安分のほうが大きくプラス圏にとどまっていたケースもあるに違いない。
 資産運用の基本は分散投資だが、やはりドルなどに分散しておいたほうが、急激な円安に襲われたときには、その効果が実感できる。こうした点からも、有事の際の資産防衛には「金」や「ドル」、そして「株式投資」が良かった、と言っていいだろう。それも、円高時代に海外の金融商品に投資しておくと、その効果はより大きいことがわかる。
 ロシアがウクライナに侵攻して9カ月が経過した段階で言えることは、今回の地政学リスクは戦争だけではなく、その結果として表面化した「インフレ」「食糧危機」「気候変動」といったさまざまなリスクが複雑に絡み合い、さらにアメリカ政府が積極的にインフレ対策に乗り出したために、急激な「金融引き締め=金利引き上げ」が加わったことが大きく関係している。
 今回のさまざまなリスクの顕在化は、ロシアによるウクライナ侵攻がきっかけになったものの、資源危機や食料危機は気候変動など長期的なリスクともオーバーラップしている。戦争が終われば、それらのリスクが一掃されるというものではない。極端な言い方をすれば、今後は長期にわたって、世界的な規模で「有事」が起こる可能性が高い。

「分散投資」は資産防衛の切り札ではない?
 さて、実際にこれからどうすればいいのか……。昔から有事の際の資産防衛には「金やドルなどを含めた分散投資」が定番と言われてきた。「籠に盛られた卵」がよくイメージとして使われるが、どれかひとつの資産が大きく下落して損失を出しても、ダメージは最小限に抑えられる、という考え方だ。
 ロシアがウクライナに侵攻した直後、ロシア国民はドル買いや暗号通貨の買いに走ったと言われており、さらに資産価値が簡単に目減りしないクルマや携帯電話に投資する人が多かったと言われる。1998年に起きた「ルーブルショック」と言われる通貨大暴落を経験しているだけに、有事への備えはできているのかもしれない。
 一方、今回の有事ではそれまで想定していなかった事態が起きた。戦争から世界的なインフレへと進み、FRBが短期的に金利を大幅に引き上げたために、ドルの「独歩高」という現象を引き起こしてしまった。その影響で、株式は下落し、金利の上昇によって「債券価格」も大きく下落した。
 アメリカの伝統的な分散投資手法は「株式60%、債券40%」とされる。本来であれば株が下落しても、債券が上昇する形でポートフォリオ全体の資産価値を維持させる機能が働いた。
 それが、今回はFRBの利上げがあまりにも急激で、かつ上げ幅が大きかったために、株式も債券も暴落してしまった。こうした状況はメディアでも指摘されており、「世界株・債券が同時安 欧州発インフレ・景気悪化懸念」(日経新聞 8月24日朝刊)、「『資金の逃避先なし』 6対4投資戦略が崩壊」(ウォール・ストリート・ジャーナル、11月15日配信)などでも指摘されている。
 株と債券の組み合わせだけでは、資産防衛のポートフォリオにならないということを物語っているわけだが、それ以外の資産というと「金」などの貴金属や絵画などの「美術品」、あるいは「不動産」ということになる。
 不動産といっても、実際に不動産投資をしなくても、最近ではREIT(上場不動産投信)など、流動性の高い投資商品が揃っている。実際に、東証REIT指数は、戦争が始まった2月24日には1862.86(終値)だったのが、現在では1952.82(11月18日終値)となっており価格は下落していない。
 富裕層であれば、ヘッジファンドや海外の銀行などに口座を作ってリスクヘッジ(回避)をすることも可能だが、現在では「暗号資産」という投資先もあるので、わざわざ最低数千万円といった大金を出して、ヘッジファンドや海外預金口座を開設する必要は少ないかもしれない。
 もっとも、暗号資産が有事に役立つかというと、やや疑問が残る。ビットコインの値動きを見ても、円ベースで2月には1ビットコインが400万円台だったのが、現在では230万円前後。半分近くにまで下落している。FTXの経営破綻もあり、暗号資産の自然淘汰が始まりそうだ。

それでも基本は「分散投資」、円資産だけでは貧乏になる?

 いずれにしても、今後はロシア・ウクライナ戦争、台湾海峡をはじめとする地政学リスクが当面続くだろうし、それらに起因する食料不足やエネルギー不足も当面は続くことになる。気候変動による天候不順などは今後の長いリスクのひとつだ。人類共通の課題と言っていい。
 そんな状況の中で、金融市場は常に不安定で、ボラティリティ(変動幅)の大きなマーケットになることが予想される。とりわけ、日本は金利を引き上げられないといった金融政策面での弱点もあり、今後長期にわたって円が弱くなっていく可能性が指摘されている。ベトナムから日本へ出稼ぎに来ている労働者が円安で賃金が目減りするために、一時的に現地への送金を止めているという話もあるぐらいで、日本は先進国から滑り落ちてしまうかもしれない。
 そんな状況の中で、少なくとも円預金や円の現金、日本企業の株式投資だけで資産を守ろうとするのはあまりにも無防備だ。物価連動型国債も日本政府が発行することを考えれば不安が残る。今後はドルベースで資産を考える時代になるのかもしれない。
 再び円高に振れることもあるはずだが、円高になったらアメリカ株をはじめとする外貨資産に、とりあえず資産の何分の1かはシフトしておくことをお勧めしたい。円高になれば、金の国内価格も下落する。ドルに投資するのが嫌なら、金価格が下落したときに金を買うのもひとつの方法だ>(以上「東洋経済」より引用)




 テレビを視聴するのはウンザリだ。連日Wカップの予選で日本がドイツに勝ったということで欣喜雀躍し、次の試合で負けたといってショゲ返る。それを同じビデオを繰り返し延々と流して元日本代表選手辺りが解説する、という画面を見せられ続ける身になって頂きたい。
 日の丸を背負ったサッカー選手たちを勿論応援するが、世界はサッカー一色で染まっているわけではない。ウクライナでは依然として泥沼の戦争が続いているし、五輪に関する贈収賄や汚職に関しての捜査は遅々として進まない。関心を寄せるべきニュースは他にも満載のはずだが、サッカーがなければ夜も日も明けられないほど騒ぐのはスポーツ・バカがそれほど多いのだろうか。

 さらに経済関係に関しても岸田自公政権は経済成長ではなく、資産倍増だという。岸田自公政権はバカなのか。資産を倍増させるには投資しかないが、何に投資するというのだろうか。「少額投資や積立投資」NISAを郵便局や銀行などの窓口で運用すれば利益に20%分離課税を課すが、証券会社の窓口で運用すれば非課税だ、と岸田自公政権は分かりやすく正体を現した。
 何のことはない、岸田自公政権は証券会社のポチだった。郵便局であれ銀行であれ、証券会社であれ、投資運用先として最も手堅いのは国債と相場が決まっている。この低金利時代に銀行や郵便局に預けているのは銀行員たちが不親切だからだ。日本国債なら日本が無くならない限り元利が保証される。

 しかし円安だから円で資産を持っていたら目減りする、と引用記事氏も書いている。しかし、それは外国の通貨との相対的な価値であって、国内にいる限りインフレで目減りする以上には目減りしない。だから外国へ観光旅行に出掛けようとする人以外には大した問題ではない。ただ外国通貨の先物取引(FX取引)をする者にとっては重大な関心事だろう。
 外国投資をする者は投資先の成長度合いと円との為替相場の推移と合わせ技で先を読まなければならない。ただ円安だから日本が終わった、とか日本の価値が下がった、というのは間違いだ。日本円は依然として強い通貨であって、為替相場が下がっているのは米国内がインフレに見舞われてFRBが金利を引き上げたからだ。ただそれだけのことだ、日本が店仕舞いして日本を叩き売る、というのではない。

 むしろ日本円は「買い時」ではないか。米国の景気が減速気味になり、岸田自公政権がバカな増税をしなければ、日本経済は順調な回復基調に移行するだろう。その動きを経済音痴の習近平氏がゼロ・コロナ策で後押ししている。
 日本企業は海外へ移転させた生産工場を国内へ回帰させる好機ではないか。ことに中国へ移転させた工場を国内へ回帰させるチャンス到来だ。なぜなら外国資産を売却して円に換えれば、それだけで為替差益が出る。日本政府も1ドル100円前後で購入した米国債を売却すれば50兆円ほどの為替差益が出る。それを財源として防衛費増を賄えば、増税も防衛債の発行も必要ない。政府が大胆に政策転換する好機到来だが、頑迷な「ザイム真理教」の呪文に縛られている政治家諸氏の無学なオツムでは無理だろう。なぜ学者などの専門家の知恵を仰がないのだろうか。ポチのような人物を「財政諮問委員会」に集めて喜んでいるようでは、国家運営を大所高所から見ることは出来ない。

 記事で「今後はドルベースで資産を考える時代になるのかもしれない」と書いているが、今後度はなく、この時点では、だろう。
 為替相場は絶えず動く。円安がいつまでも続くことはあり得ない。マトモな政治家がマトモな経済政策を行えば日本経済は必ず甦る。「ザイム真理教」に洗脳されているようではお先真っ暗だが、国民はそれほどバカではないだろう。もっとマシな政治家を選ばなければ「ザイム真理教」と心中することになる、と気付くだろう。それがいつになるのか。おそらく、マスメディアが「ザイム真理教」の呪縛から目覚めるのが先だろうが。

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