第八波の山を高くする旅行補助金。

<新型コロナの第7波がようやく落ち着きを見せてきた。インフルエンザとの同時流行も想定される冬に向けて、反省し教訓とすべきことは依然多い。

 第7波では、重症者の割合は低かったものの死者の数は1万人を超え、第6波を上回りそうだ。入院などを望まない高齢者もいたようだが、十分な医療を受けられぬまま亡くなったり、容体が悪化したりした例がなかったか、検証が必要だ。
 医療態勢の再構築が引き続きの最重要課題だ。今回も、発熱外来に患者が殺到して予約がとれず、検査キットもなかなか手に入らない状況に陥った。医療従事者の感染が相次ぎ、病床が空いていても使えないということも起きた。
 岸田首相は8月下旬の会見で「発熱外来のさらなる拡充」に言及したが、その後、特段の手は打たれていない。このまま症状が似たインフルエンザの季節を迎えれば、再び混乱を招くのは想像に難くない。きょうから感染者の全数届け出が見直されるが、これによって医療機関や保健所の事務作業が減っても、根本的な解決には遠い。

 コロナ疑いの患者を診療する病院やクリニックの裾野をどうやって広げるか。コロナを「普通の病気」(尾身茂・政府分科会会長)とするために、政府・自治体は医療界や専門家と協議し、必要な措置をすみやかに講じなければならない。
 気がかりなのは両者のコミュニケーション不全だ。春以降、第7波に備えるため専門家が分科会を開くように求めても岸田政権は応じず、有志で独自に提言を発表する事態となった。今月16日に約2カ月ぶりに開催され、今後の議論の方針を確認したが、こんなことでは国民の不安と不信は深まるばかりだ。
 濃厚接触者の待機期間や感染者の療養期間を見直した際も、その狙いや、短縮がもたらすリスクに関する説明が尽くされたとはとても言えない。

 情報を隠さず、議論の過程をガラス張りにし、それぞれの施策がもたらすメリットとデメリットを示して、幅広い理解を求める。民主政治の基本に立ち返って、必ず来るであろう「第8波」に備えてもらいたい。
 オミクロン株対応ワクチンの接種が始まっているが、さらに新たなワクチンが投入される話もあり、前回接種との間隔をどれだけとる必要があるかなど、不確定な要素が残る。
 いつ打てばいいか迷う人は少なくないだろうし、住民への広報や会場・スタッフの確保といった実務を担う自治体の準備にも影響する。政府には、早めに見通しを示して混乱の回避に努めることが求められる>(以上「朝日新聞」より引用)



 第七波よりもこの冬に大流行すると予想される第八波の方が感染患者数は増えるだろうと「予想」されている。しかし「予想」はしても厚労省も政府も対策らしい対策は何もしていない。それどころか旅行補助金を出し、外国人入国規制撤廃を行っている。何を考えているのか、自公政権と与党国会議員の見識を疑わざるを得ない。
 朝日新聞は「コロナ疑いの患者を診療する病院やクリニックの裾野をどうやって広げるか。コロナを「普通の病気」(尾身茂・政府分科会会長)とするために、政府・自治体は医療界や専門家と協議し、必要な措置をすみやかに講じなければならない」と書いているが、「コロナを普通の病気」とするのは検査体制と特効薬の備えがあってこそ「普通の病気」になる。コロナが無毒化するわけではない。

 記者会見した尾身会長の能天気ぶりには驚く。彼の説明では65歳以上と10歳以下は発熱したら「発熱外来で受診する」が、基礎疾患のない11歳から64歳までの人たちは発熱したなら「自宅で様子見」をして、検査キットなどでコロナ感染か否かを検査し、4日を経過しても熱が下がらなければ保健所に相談して発熱外来で受診する、ということのようだ。
 まさに大失敗した第七波の対応を繰り返すだけではないか。無能、無策の医療対応を繰り返すだけの厚労省の方針と分科会の対応に怒りすら覚える。感染拡大の下拵えをしているとしか思えない旅行補助金策には呆れてモノも言えない。そして行楽に繰り出す人たちを報道するマスメディアの政権への協力振りにも危機感のなさに腐り切ったモノを感じる。

 インフルエンザ流行の半年遅れの北半球の指標となっているが、オーストラリアなど南半球で大流行している。この冬は間違いなくインフルエンザが大流行する。そこにコロナ感染の第八波が重なれば医療機関対応がどうなるのか、火を見るよりも明らかではないか。
 加藤厚労大臣はかつて安倍自公政権下でも厚労大臣として無能ぶりを遺憾なく発揮した御仁だ。医系技官出身の尾身氏も医療専門家とは思えない無能ぶりを発揮した「専門家会議」の委員長だった。同じ顔触れで、またしても無能な対策を展開して感染患者を自宅待機という「自宅放置」を決め込むつもりだろうか。「検査と隔離」なくして感染症の蔓延防止は出来ない、というのは永遠の真理だ。そうした簡明な真理すら無視する日本の医療行政を転換するには政権交代しかないのではないか。

 経済を回す、という言葉が人流を促す免罪符のように使われているが、旅行促進策が経済を回すことになるのだろうか。それは観光業者の「経済」を回すことになりはするが、感染拡大を招くことに繋がれば経済を回すことにはならない。
 基本的に感染症対策を捨て去ったかのような岸田自公政権は第八波の山を高くするだろうし、それはこの冬の経済を「凍結」させかねない。この二年余の「人流抑制」に対する鬱憤を晴らすかのような人出は多分に政府の「人流」促進策が関係しているのではないだろうか。まだまだ武漢肺炎は収束したわけではないし、武漢肺炎による犠牲者が皆無になったわけではない。そして何よりも特効薬が開発されたわけでもない。国民の命と健康にかかわる問題である限り、政府は慎重の上にも慎重を期すべきで、安易に「経済を回す」などというべきではない。

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