バスそのものの性能は改善されていたのか。

<13日、静岡県小山町の富士山の5合目から下る県道で、日帰りツアーの乗客を乗せた観光バスが横転して乗客1人が死亡、35人がけがをした事故で、現場までのおよそ400メートルにわたって、スリップしてついたとみられるタイヤのあとがあったことが、捜査関係者への取材で新たに分かりました。

 13日昼前、静岡県小山町の富士山の5合目から下る県道で、日帰りツアーの乗客と乗員、合わせて36人が乗った観光バスが横転し、バスの乗客で埼玉県入間市の74歳の女性が死亡し、35人がけがをしました。
 この事故を受けて警察は14日、バスの運行会社で埼玉県飯能市にある「美杉観光バス」の本社と営業所を過失運転致死の疑いで捜索し、関係資料を押収しました。
 これまでの調べに対し、逮捕された運転手の野口祐太容疑者(26)は「ブレーキがきかなくなった」などと供述しているということですが、警察が路面の状況を調べたところ、現場までのおよそ400メートルにわたり、スリップしてついたとみられるタイヤのあとが残されていたことが捜査関係者への取材で新たに分かりました。
 警察は、運転手がフットブレーキを使いすぎてブレーキが効かなくなり、制御できずに横転した可能性があるとみて、事故の状況をさらに詳しく調べています。
観光バスの関係者「初めて運転するのは怖いかも」
事故が起きた静岡県小山町の富士山の5合目から下る県道を通るルートで、観光バスを運行している会社の関係者がNHKの取材に応じ、現場の道路について、「初めて運転するのは怖いかもしれない」と述べました。
 この関係者は、バスの運転の経験が20年以上あり、現場の県道についても運転したことがあるということで「アップダウンが激しく、なだらかな坂や、急な坂があるうえ、急なカーブや緩やかなカーブがある。その場その場で適切に対応しなければならず、初めて運転するのは怖いかもしれない」と述べました。

 また、バスと乗用車との違いについては、「車体の長さや重量が全く異なり、特に下り坂は前に前に押そうとする力がでるので、ブレーキが非常にききにくくなる」と指摘しました。
 そのうえで、大型のバスを運転する際の注意点について「山道の下り坂でフットブレーキを多用すると急にブレーキがきかなくなる現象が起きるおそれがあるので、使用を最小限にするべきだ」と話していました。
現場の「ふじあざみライン」とは
今回の事故で横転したバスが通っていたのは、富士山中腹の須走口五合目から小山町須走に向かう県道、通称「ふじあざみライン」です。
 およそ11.5キロの区間で1100メートル余りの標高差があり、富士山から車で下りるほかのルートよりも勾配が急になっています。
 また、道の曲がりくねりが多いのも特徴で、急なカーブが30余り続きます。
 今の時期は富士山は閉山していますが、県によりますと、景色を眺めたり、ハイキングをしたりするために「ふじあざみライン」を通って須走口五合目を訪れる人も多いということです。
ブレーキがききづらくなり事故発生 過去にも
静岡県内ではこれまでにも、下り坂を走っていた観光バスがフットブレーキを使いすぎたためブレーキがききづらくなり、事故が起きています。
 このうち2002年6月には、熱海市の県道で観光バスが道路脇の石垣にぶつかる事故があり、乗客1人が死亡、32人が重軽傷を負いました。
 業務上過失致死傷の罪に問われた元運転手の裁判で、静岡地方裁判所沼津支部は、「急な下り坂でフットブレーキを使いすぎてブレーキのききが悪くなったことに気付きながら運転を続け、事故を引き起こした」と指摘し、執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しています。
 また、2003年1月には、同じ熱海市の県道で観光バスが道路脇に転落する事故があり、乗客45人が重軽傷を負いました。
 この事故で、業務上過失傷害の罪に問われた元運転手の裁判で、静岡地裁沼津支部は、「急な下り坂で低速のギアに切り替えず、フットブレーキを使いすぎたためブレーキがきかなくなり、バスが暴走した」と指摘し、執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しています。
 これらの事故を受けて、県は当時、事故現場周辺の坂道にブレーキがきかなくなった車両のための避難所を増設するなどの対策を講じました>(以上「NHK jp」より引用)




 なぜ同じような事故が起きるのだろうか。何年か前にもスキーバスが曲がりの続く下坂道でコースアウトして十数名もの若者たちが命を失っている。その時にバスの構造的な欠陥が指摘されていたはずだ。
 エンジンを後部座席下に配置しているため、極端に偏った荷重配置になっていること。乗客を車体上部に乗せるため、満席状態では重心が高くなり操縦性能が落ちること。さらにブレーキが15tもある自重に乗客40人(一人平均50㎏として2t)を加えると17tもの車両を停止させるに十分な制御性能があるのか、という点だ。

 そうしたバス本体の改善がなされたと寡聞にして聞かないが、国交省が適切な指導を行ってこなかったとしたら、スキーバス事故の教訓は何も生かされてないことになる。政治家諸氏の鈍感さもさることながら、官僚たちの「バス型式認証」を行う際の基準の見直しを行ってこなかったとしたら、彼らの怠慢が今回の事故を招いたといえなくもないだろう。
 車両には「万全の安全性」が求められる。万全の安全性の肝は「制御性能」だ。エンジン出力は安全性とはあまり関係ない。現行バスの制御性能に問題があるとしたら、なぜ前輪ダブル化をしないのだろうか。構造上問題があるのなら、乗車定員を犠牲にしてでも、安全性能を優先すべきではないか。

 ブレーキが過熱して制御性能が落ちたとするなら、加熱しないブレーキを開発すべきではないか。なぜ、そうした試みがなされなかったのか。
 下り坂道で急カーブが続く道は日本全国に有名どころだけでも十指に余るだろう。それらのコースを運行するバス運転手は危険と背中合わせにあることを官僚や政治家は承知しているのだろうか。そしてバス製造企業はバスのこうした構造的な欠陥に対して、改善を試みて来なかったとしたら、これまで起きたバス事故の検証と分析を怠って来たと批判せざるを得ない。

 今回のバス事故が起きた下り坂道は「およそ11.5キロの区間で1100メートル余りの標高差があり、富士山から車で下りるほかのルートよりも勾配が急」だという。そり区間を走るバスが制御性能に問題が起きないような改善をバス製造企業は施すべきではないか。
 安全性を見込めば12キロの区間で高低差1.2キロで急カーブ30ヶ所を想定した坂道を想定した路線を走るバスの安全性を確保する必要がある。つまり12㎞にわたる1/10勾配の坂道を下っても30の急カーブを安全に曲がれる操縦性能と、いつでも止まれる制御性能が落ちないバスが必要だ。26歳の運転手の未熟さもさることながら、誰でも初めて通るコースは未経験なコースだから、未熟な運転手でも事故を起こさないバスを開発すべきではないだろうか。

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