独裁者・習近平氏の行く末は。

【中国】共産党大会の人事が示す「自力更生」路線へ逆戻りした中国の悲惨な未来

 10月22日、中国共産党大会第20回大会が閉会し、習近平政権の3期目続投が確定しました。新華社通信は、1万8,000字を費やして、習近平がいかに3期目のトップとしてふさわしいかを恥ずかしげもなく紹介したそうです。

● 新華社萬字長文介紹習近平 打造連任合法性
 閉会を前にして、胡錦濤前国家主席が、会場から係員に脇を抱えられて無理やり退場させられるというショッキングな光景が、全世界に配信されました。
 この胡錦濤退場について、中国メディアは健康上の理由としていますが、その動画を見てもふらついている様子もなく、自分の足で歩いて退出しているところを見ると、健康面によるものでないことは明らかでしょう。胡錦濤自身のコメントも出ておらず、しかも、この場面の動画は中国国内では見られないようになっています。一部では、机にあったファイルを見た胡錦濤は、党人事への不満を募らせ、そのために習近平によって退場させられたとも言われています。

● 胡錦濤氏退席前の新動画が拡散 ファイルに不満?
 その噂を裏付けるように、翌日明らかになった党内人事は、あからさまに習近平の側近によって固められたものでした。胡錦濤が率いた共産主義青年団(団派)である李克強や汪洋は中央政治局常務委員から外されて引退に追い込まれ、さらには将来のホープとされた胡春華副首相も中央政治局から外され降格されました。

● 胡春華・副首相が降格 政治局員から外れる
 そして政治局も常務委員も「習家軍」といわれる習近平一派に牛耳られることになったのです。
 党中央常務委員会の7人、いわゆるチャイナ・セブンは、習近平、李強、趙楽際、王滬寧、蔡奇、丁薛祥、李希。習近平、趙樂際、王滬寧の3人は留任で、残り4人が新人です。
 李克強の後任として李強が国務院総理、趙楽際が全国人民代表大会主席、王滬寧が中国人民政治協商会議全国委員会主席、蔡奇が中央書記局第一書記、丁薛祥が国務院常務副総理、李希が中央紀律検査委員会書記に就任が確定しています。
 台湾の聯合報にはドイツ国際放送「ドイツの声」(Deutsche Welle)の分析として、この人事に込められた4つのポイントを紹介しています。

1.なによりも忠誠心
 中国共産党では「七上八下」といわれるように、67歳以下は留任、68歳以上は退任というのが長年のルールでしたが、今回の党大会では、前述したように67歳の李克強と汪洋が中央政治局常務委員会のみならず、中央委員会のメンバーにも残れず、引退に追い込まれました。習近平に忠誠心を誓うイエスマンばかりが集められたといえます。

2.権力の頂点に立ち続ける危険性
 かつて独裁権力を手にした毛沢東がそうだったように、誰も習近平に対して逆らえず、またさまざまな情報を上げない、チェックやバランスを保つような政治を行わないことで、独善的な政策が行われる可能性があるとしています。
 また、習近平が権力の座から降りたときに生じる権力の空白は、ナショナリズムの高まりの下で激烈な権力闘争となり、それが他国との関係やアジア地域の安定に非常に悪い結果をもたらす可能性があるとしています。

3.安全保障と外交が経済より優先される
 上海市党委員会書紀の李強が序列2位になり、来年3月の全人代において国務院総理に選出されることがほぼ確定しました。国務院総理といえば、経済政策を担うポストでもあります。李克強や温家宝、朱鎔基など、歴代の総理が経済政策を指揮してきました。
 しかし李強は、汪洋や胡春華のように、経済・社会統治でこれといった実績がありません。むしろ新型コロナで上海をロックダウンした当局者として、非常に評判が悪い人物です。
 一方、69歳の王毅と72歳の張又侠が政治局員に残りました。王毅は「戦狼外交」の代表的人物で、非常に好戦的な外交を行ってきました。その彼が、楊潔篪から外交部長を引き継いだわけです。
 また、張又侠は軍事委員会副主席に留まりました。これは、経済面よりも安全保障や外交に重きを置いており、しかもかなり好戦的に他国と渡り合うつもりであることが読み取れます。

4.台湾に対してより強硬姿勢となる
 軍事委員会副主席に、中越戦争を戦った経験のある張又侠将軍を残留させたことに加えて、前東部戦区司令官で台湾に精通する何衛東を新たに軍事委員会副主席に任命したことで、台湾に対する軍事的な圧力が高まると見られています。
 また、国務院台湾事務弁公室の劉継儀主任(64歳)が任期満了を迎えていないにもかかわらず、新しい中央委員会の名簿に載っていませんでした。国務院の比較的穏健な台湾政策について習近平は「失敗した」と明言したとも言われています。

この4つのポイントのうち、習近平政権がもはや中国経済をあまり重要視していないということは、非常に大きなことだといえるでしょう。

在中国欧州連合商工会議所のウッドコック会頭は、李克強の後継者は全国政協主席の汪洋か副総理の胡春華のいずれかだと考えており、「私のリストに李強は入っていない」と述べています。
 また、ワシントンのシンクタンク、ジェームズタウン財団の上級研究員・林和立氏は、上海で市場重視の改革を導入していない平凡な業績の李強が選ばれたことは、これまでの共産党の常套手段から外れていると指摘しています。

● 跟對主子 「搞封城」李強可望接總理
 しかも李克強や汪洋のみならず、経済ブレーンとして通商問題でアメリカとわたりあった劉鶴も「習家軍」の何立峰と交代し、さらには中国の中央銀行総裁である易綱も定年で退職するといわれており、これまで経済政策を担ってきた高官がこぞっていなくなることになっているのです。
 その一方で、経済の素人を重要ポストに就かせているわけで、これはつまり、習近平政権は中国経済をもはや成長させるつもりがなく、西側の市場経済ともコミットすることを断念したということの現れなのだと思います。
 毛沢東時代の中国は「自力更生」の掛け声の下、イギリスやアメリカに追いつけ追い越せとハッパをかけ、その結果、毛沢東が大躍進政策を提唱したことで無理な生産体制を組まれると同時に、政府高官は成果をでっち上げたため、中国全土が飢饉に陥り、大量の餓死者を生むことになりました。
 その反省から、鄧小平は西欧諸国の資金を招き入れるという改革開放路線に舵を切りました。このような「他力本願」によって、中国経済は大きく飛躍したのです。それを習近平政権は再び「自力更生」の時代へと逆戻りさせようとしているのです。
 したがって、習近平時代に中国経済がボロボロになることはもはや確実だと言っていいでしょう。たとえ経済がどうなっても、国内の統制を強め、台湾統一を実行し、対外的には強硬姿勢を崩さないという意志が見て取れます。
 これからの中国が毛沢東時代同様、大きな動乱と恫喝外交へと戻っていくことは必至です。日本はこれがどれだけ危険な状況か理解しているのでしょうか>(以上「MAG2」より引用)




 MAG2に黄文雄氏の「三期目の習近平政権」予測論評が掲載されていた。いかにも中国の内情に精通した黄文雄氏の論評で正鵠を得ている。
 習近平氏の三期目独裁体制の確立は日本にとって歓迎すべき慶事だ。むしろ鄧小平氏が中共幹部に訓告した「「改革開放」は百年続けよ」と「香港の一国二制度は50年続けよ」という教えを守った方が、日本をはじめ世界にとって悪夢が到来していただろう、と考える。

 つまり鄧小平氏が遺言として残した「改革開放を百年続けよ」というのは「韜光養晦」策でしかなく、その実態は「才能を隠して、内に力を蓄える」という鎧を衣で隠して、国力を付けよ、という百年にわたる長期的軍事戦略でしかなかった。
 しかし習近平氏は50年経たずして鄧小平氏の遺言を捨て去った。まだ中国経済は「改革開放」策の途上にあって、見せかけの国力は大きくなったが、中国の実態は「ハリボテ経済」でしかない。中国経済を大きく見せているのは中国への外国投資と中国へ進出した外国企業によるもので、それらの経済活動を差し引けば、中国経済は実に貧弱な砂上の楼閣でしかない。

 黄文雄氏が冒頭に記した通り「共産党大会の人事が示す「自力更生」路線へ逆戻りした中国の悲惨な未来」が中国に訪れるだろう。それは上述したように「ハリボテ経済」の水膨れ部分が「自力更生」により中国経済から失われるからだ。
 「改革開放」以前の中国がいかに貧困な国家だったか、習近平氏は知らないのだろうか。人民解放軍の「軍事訓練」に招待された防衛庁幹部が「少林寺拳法」の模範演技を見せられた、というのは有名な話だ。軍備らしい近代化軍備は何もなく、もちろん碌な軍艦すら保有してなかった。

 中国経済は習近平氏が主席に就任した10年前は確かに日の出の勢いだった。しかし習近平氏が「戦狼外交」に転じ、2020年武漢肺炎の世界的な蔓延に際して、「世界の工場」になっていた中国が医療製品の禁輸措置を講じたため、先進自由主義諸国の店頭からマスクやアルコール消毒液などの医療製品が姿を消す事態を招いた。
 習近平氏は「してやったり」とほくそ笑んだだろうが、それにより「韜光養晦」策の本質が透けて見えた。未だにドイツ首相だけが中国で一儲けしようと考えているようだが、他の先進自由主義諸国の企業の多くは中国から徹底し、自由主義諸国の政府は中国と距離を置くようになっている。習近平氏が「自力更生」を宣するまでもなく、中国は「自力更生」で経済を回さざるを得ない状況になっている。よって習近平氏が今後5年間の主席延長を確立したのは日本及び先進自由主義諸国にとって慶賀の到りだ。なぜなら中国経済は衰退し、従って軍事予算も削減せざるを得なくなるからだ。

 ただ、この場合には前提条件がある。それは習近平氏が5年間の任期を全うすることだ。既に中国民の「習近平離れ」が起きているが、それが「反・習近平運動」にならない、という保証はどこにもない。中国が衰退するには習近平氏が「自力更生」策を執り続けることが必要だ。
 黄文雄氏は台湾進攻が現実のものになるのではないか、と危惧しているが、決してそんなことはないと断言できる。なぜなら習近平氏は主席として5年間を約束された身分だ。これほど「美味しい話」はない。彼は独裁者の栄耀栄華を存分に味わうだろう。ただ国民統制の一環として「目に見える戦争の危機」を煽り続ける必要があるだけだ。現実に戦争を仕掛ければプーチンの二の舞にならないとも限らない。習近平氏も愚かな独裁者だが、プーチンほど暗愚ではないだろう。むしろ中国民の憤懣圧力の測定を誤らないで独裁者の地位を今後5年間保てるのか、という一点だけを危惧する。

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