ローカル線を「上下分離方式」として「下」を揮発油税で賄え。一般道路使用料はタダではないか。

<「一橋大学で政府税制調査会長を務められた石弘光ゼミで税制について学んだお弟子さんだけのことはある」

 民主党政権の社会保障と税の一体改革を手掛けた元民主党幹部がこう評価するのは滋賀県の三日月大造知事だ。その三日月知事が打ち出したのが地元・琵琶湖東部を南北に走る近江鉄道を県民の税で支えようとする「交通税」の導入。実現すれば国内初となる。
 全長約60キロの近江鉄道を運営するのは西武鉄道が100%出資する私鉄「近江鉄道」だが、20年以上にわたり営業赤字が続き、老朽化した施設の更新負担に耐え切れず2016年に県に支援を要請した。私鉄ながら県民の生活に不可欠なインフラであるため、県はこの要請に応え、沿線自治体と協議し、24年度から「上下分離」方式で支援することを決めた。
 この方式は、駅や線路などの鉄道施設は県や沿線自治体が保有・管理し、鉄道会社は列車の運行に専念する仕組みだ。これにより鉄道会社は、設備の維持費負担から解放されるメリットがある。
 しかし、その分、県や沿線自治体に新たな負担が生じる。このため従来の上下分離方式では、利用者の負担増や自治体が補助金を拠出するケースが一般的だ。だが、滋賀県はこれを交通税でカバーしようというわけだ。

■県民全体に広く薄く課税する仕組み
「具体的な徴税方法や税率は未定ですが、滋賀県では既存の県民税や固定資産税に上乗せする超過課税という方式が想定されています。すでに4月に県の税制審議会は交通税の導入を促す答申をまとめており、7月の知事選で交通税の導入を掲げた三日月氏が再選され、実現に弾みがついている」(地元金融機関幹部)という。
 だが、交通税は県民全体に広く薄く課税する仕組みだが、近江鉄道は県庁所在地の大津市には通っておらす、沿線に居住していない住民の反発も予想される。公共交通を巡るこうした地域間の利害をどう調整するのか、三日月知事の手腕の見せどころだ。
「三日月氏は一橋大卒業後、JR西日本に就職した、いわば鉄道の専門家だ。民主党政権下で国土交通副大臣も務めている。公共交通の使命や存在意義について誰よりも分かっている」(冒頭の元民主党幹部)という。
 三日月知事の革新的なボールを県民はどう受け止めるだろうか>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)



 引用記事によると「滋賀県では既存の県民税や固定資産税に上乗せする超過課税という方式が想定されています。すでに4月に県の税制審議会は交通税の導入を促す答申をまとめており、7月の知事選で交通税の導入を掲げた三日月氏が再選され、実現に弾みがついている」という。しかし赤字地方鉄道の上下を分離しようと、結局は県民負担をお願いする、というのは少しおかしくはないだろうか。
 そもそも国鉄分割民営化で全国一社を分社化した折に北海道や四国、更には九州や貨物などは赤字になることは当初から危惧されていた。それに対して「基金」を持参金として新JRに与え、その基金の運用益で赤字を埋めるという経営構想を示したが、その構想は現在の低金利時代で破綻している。
 今後益々赤字ローカル線を多く抱えるJR各社は赤字ローカル線を維持する体力を失って、赤字ローカル線を廃線するしかなくなるだろう。赤字ローカル線の通過地域が存続を願うなら、地方自治体かあるいは地域住民が赤字を負担するしかなくなる。つまり地域住民のコストが高くなり、地域住民が流出する切っ掛けにならないだろうか。

 解決策の一つとして滋賀県は一つのあり方を示したが、それでは赤字ローカル線の「赤字」を地方自治体住民が負担することに他ならず、つまりは県民の暮らしのコストが上昇することでしかない。なぜ道路と同様に上下分離した「下」を国が責任を持つべきだと主張しないのだろうか。
 ローカル線の多くは機動車が列車を牽引している。つまり軽油を燃料としているから、揮発油税を負担している。それなら道路がまさしく「上下分離方式」で、道路は揮発油税で建設及び維持・管理している。だからローカル線を廃止してバス運送に転換する、というエネルギー効率の逆流が起きている。鉄道運送の方がバス運送よりもエネルギー効率が良いのは常識で、バス運送の方が原価が安いと考えられているのは道路経費がゼロ負担からだ。

 ローカル線の鉄道負担、つまり上下分離した「下」の部分に揮発油税を入れて、道路と同様に鉄路負担をゼロにして、赤字ローカル線の再生を考えるべきではないだろうか。現在は揮発油税は本来の「道路財源」という目的税から一般財源化され、さらに「暫時」増税した部分に関してもトリガー条項すら適用しなかった自公政権は「公約破り」もいいところだ。
 揮発油税を「道路財源」ではなく、「交通インフラ財源」として赤字ロール線の「下」部分に入れるという考えを国会で議論すべきだろう。 交通インフラが充実している都会に比して、田舎は交通インフラ投資からますます縁遠いものになろうとしている。滋賀県のように「広く県民に負担を求める」というのは最終手段であって、まずは一般財源化した揮発油税を「道路財源」ではなく「交通インフラ財源」として全国の均衡ある発展を図るべきではないだろうか。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。