ウクライナは2014年以前の国境線の奪還まで戦う。

<ウクライナ軍は東部戦線の一部でハリコフ州を越え、ルガンスク州に進軍するなど攻勢を続けている。ロシアが窮地に陥るなか、米国の元外交官らの一行がひそかに訪露した。プーチン大統領は戦闘の長期化も辞さない構えの一方で、11月のG20(20カ国・地域)首脳会議を前に「終了宣言」を出すのかも焦点だ。このタイミングでの米国からの訪露団について「米国の秘密の代表団」「停戦交渉の密使」との分析もある。

 CNNによると、元ニューメキシコ州知事で国連大使の経験もあるビル・リチャードソン氏らは先週、ロシアの首都モスクワを訪れ、同国の指導部メンバーらと面談したという。
 リチャードソン氏は非営利法人(NPO)を設立し、世界各地で拘束された米国人らの解放交渉に取り組んでいる。ロシアでは現在、女子プロバスケットボール選手のブリトニー・グライナー氏と、元海兵隊員のポール・ウィラン氏が拘束されており、2人の解放に向けた交渉が第一の目的とみられる。
 一方で、ウクライナ侵攻の終結をにらんだ「秘密の代表団ではないか」とロシア政治に詳しい筑波大名誉教授の中村逸郎氏は指摘する。

訪露が伝えられたリチャードソン氏(ロイター)
「休戦や停戦交渉の第一段階は人質解放交渉から始まるケースがある。軍の士気低下や国内の反政権の動きなどもあってプーチン政権に焦燥感もうかがえ、余力があるうちに交渉に臨む考えだろう。訪露団はG20を前にした米国の反応の一つで、今後、さらに踏み込んだ動きが出てくるのではないか」
 リチャードソン氏は民主党の下院議員やクリントン政権のエネルギー長官などを歴任。北朝鮮やイラクなどで軍人、政治犯など人質解放や各国での人道支援活動などの実績がある。
「バイデン政権のいずれかのレベルと連絡しながら行動しているだろう」とみるのは上智大の前嶋和弘教授(現代米国政治)。
「リチャードソン氏は現在は民主党の政策の中心にはいないが、野心家で危険な国にも足を踏み入れるなど『可能性を探る男』だ。外交交渉に通じているため、立場としては悪くない」という。
 ブリンケン米国務長官は8日、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談し、その直後にウクライナ軍の奪還が進展した。プーチン氏と電話会談した国連のグテレス事務総長は、戦闘終結には「まだ遠い」との認識も示している。
 前嶋氏は「米国側は、『本当は戦闘を終わらせたいと思っているか』『何が望みか』などロシアの腹の内を知りたいと考えている可能性がある。ロシア側に交渉の用意があるのかも注視される」と話した>(以上「夕刊フジ」より引用)




 「米露が極秘交渉〟窮地のロシアに停戦協定の密使派遣か 元米外交官ら謎の訪露 ウクライナ侵攻の終結にらみ「秘密の代表団では」中村逸郎氏」という記事が掲載された。ウクライナに攻め込んだロシア軍が苦戦して、東部や南部の占領地から撤退しているという。
 時恰も、米国の「特使」がロシアを秘かに訪問した、という情報が駆け巡り、停戦に向けたした下話をしているのではないかと観測されている。しかしどうしてそんなことをするのだろうか。

 以前、私は元治元年の年末から慶応元年にかけて長州藩内で起きた「正義派」対「俗論派」の戦いを例に引いた。総勢400名余りの高杉晋作率いる「正義派」が絵道・太田の戦いで萩政府軍に勝利し山口に本陣を構えて鶴翼の陣を強いた。それは萩城下に籠る「俗論派」椋梨藤太一味を戦わずして倒そうとする戦略だったが、萩城中に「調停員会」なる連中が現れて「調停工作」を始めた。
 その連中のことを司馬遼太郎氏は「世に棲む日々」で痛罵している。高杉晋作が僅か八十余名で功山寺に挙兵し「俗論派」が牛耳る藩に戦いを挑んだ当時、「調停員」たちは萩城下にあって体制側についていた。しかし高杉たちが連戦連勝するや、立場を変え「中立」を装って椋梨以後の長州藩の主導権を握ろうと画策した、と司馬氏は見た。だから「調停員会」たちを卑怯な連中だと批判した。

 結果として「調停員」の主力メンバー数名が山口で「正義派」たちとの面談の後、萩への帰路に萩往還路で椋梨藤太の倅が率いる一味によって惨殺された。その後、長州藩がどうなったかは歴史に明らかだ。椋梨藤太たちは秘かに萩から脱出し、第一次長征軍が陣を構えた浜田城下へ逃れようとした。しかし途中で捕らえられて斬首された。
 戦争の仲裁は「時の氏神」とも云われるが、簡単なものではない。相対立する当事者たちの利害調整する必要があるからだ。両方の顔を立てることは難しい。一方に「負け」を自覚させなければ妥協策など持ち掛けることは困難だ。

 この場合はロシアに「負け」を認めさせなければならないが、それは独裁者にとって死ぬほど辛いことだろう。彼は自らの地位ばかりか命さえ差し出すことになりかねない。そうしてでも彼が始めた戦争を治める義務が彼にはあるのだが、それほどの見識があれば、そもそも戦争など始めていない。
 ウクライナが「負け」を認めざるを得ない状況になって仲介に臨むとしたら、それは独裁者によって国境線が変更されたことになる。そしてプーチンは次なるウクライナを求めて軍を動かすだろう。そうしたプーチンの企みを粉砕する意味でも、先進自由主義諸国はウクライナを勝利させなければならない。ウクライナ戦争においても、調停員は不要だ。

 引用記事では「プーチン氏と電話会談した国連のグテレス事務総長は、戦闘終結には「まだ遠い」との認識も示している」という。戦争下良いから7ヶ月を経過しようとしている。既にロシアは兵隊も武器も払底して、継戦能力を著しく欠いている。撤退を重ねてウクライナの地から退くしかないだろう。
 プーチンが独裁者として体面を保ったまま停戦することなどあり得ない。また、彼を独裁者の地位に留めたままの停戦など断じてしてはならない。核使用にまで言及した独裁者は速やかに断罪されなければならない。さもなくば、第二第三のプーチンが現れて無辜の住民を理不尽にも殺害するだろうし、日本の周辺国にもそうしたことを口にする愚かな独裁者たちがいる。戦争などという人類の愚行はプーチンを最後にしなければならない。その決意こそ、先進自由主義諸国とその国民に必要ではないのか。

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