G20に見る全会一致の限界。

<20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が16日、共同声明を出せずに閉幕した。ウクライナに侵攻したロシアへの対応を巡って意見が対立した。議長国のインドネシアは全会一致を原則とする共同声明に代わって議長総括を出す。インフレや新興国の債務問題などの課題に対し、世界の主要国は合意形成ができない機能不全ぶりを見せた。

 共同声明をまとめられないのは前回4月にワシントンで開いた財務相会議に続いてとなる。夏の財務相会議は首脳会議(サミット)を前に声明を出す例が多く、11月のG20サミットに向けて不透明感が強まった。
 ロシアのウクライナ侵攻に対して日米などが「最も厳しい言葉で非難する」と訴えた。日米欧など先進国は資源・食料価格の高騰は「ロシアのウクライナ侵攻によるものだ」と批判した。ロシア側は「米欧の制裁が物価高騰を招いた」と反論した。
 インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相は閉幕後の記者会見で「食料の問題に多くの注意と政策介入が必要な点に全ての大臣が同意した」と述べた。食料不足への対応や農産物の生産能力の強化で世界銀行や国際通貨基金(IMF)と連携することを話し合った。
 インフレに対応するため米欧などが進める金融引き締めで新興国や低所得国で対外債務の負担が重たくなっている。スリ・ムルヤニ氏は記者会見で「先進国の金融政策が新興国からの資金流出や債務の増大につながる。低所得国の債務問題を議論する共通の枠組みが必要だ」と強調した。
 会議では巨大IT企業などを念頭に課税逃れを防ぐデジタル課税も議論した。2023年中の導入を目指しているが、各国の調整が難航している。鈴木俊一財務相は記者会見で「迅速な実施に向けてG20としてのコミットメントが改めて示された」と話した>(以上「日経新聞」より引用)



 G20蔵相会議が機能不全を起こしているようだ。「共同声明を出せずに閉幕した」のは前回4月のワシントン会議に続いて二度目だという。
 世界各国の蔵相が一堂に会して、国際的な問題の「調整」を行うとして設置された会議だが、利害関係が対立する問題に関しては無力な一面をさらけ出している。

 世界が直面している大問題は「他国を軍事侵略してはならない」という、既に人類の共通認識になっていると思われる事項ですら合意できない点だ。ロシアがいかにウクライナ侵略戦争を正当化しようと三百大言を弄そうとも、侵略戦争は正当化できるものではない。ちなみに「三百」とは「低級な」という意味だ。
 そしてロシアの戦争により、世界的な食糧危機が現実のものになろうとしている。既に戦争がもたらすインフレが世界中を駆け巡っている。インフレとは需要に対して供給が追いつかない状態で起きる。石油や食糧がそうなっているし、それらは国際的な取引物資だから、経済力格差によって後進国により深刻な影響を与えることになる。

 しかし先進自由主義諸国よりも、後進諸国にロシア贔屓が多いのはなぜだろうか。後進諸国は国民が飢えに苦しむ事態に陥っているのはロシアが世界の穀倉・ウクライナに攻め込んで穀物倉庫を荒らしたからだ、という簡明な事実関係すら認識・理解できないのだろうか。
 G20で共同声明を採択して、ロシア非難と国際協調を世界に表明すべきだった。もちろん出席しているロシア財相は承服できないだろうが、それなら「反対一」と添記してでも、良識ある声明を発表すべきだった。全会一致でなければならない、とする愚かな規定は止めるべきだ。世界が目指すべき方向性すら示せない「国際会議」など時間の無駄でしかない。

 それはG20だけではない、国連安保理もそうだ。拒否権などという民主的でない優越した権利を五ヶ国に認めるなど、国際機関としてのあり方に重大な欠陥がありはしないだろうか。国際紛争や侵略戦争に対処できない国連に存在意義があるのだろうか。
 戦勝国クラブが成り立ちの原点である国連は限界が見えている。未来に向けていかなる「カタチ」が国際機関のあり方として有効・有益なのか、世界各国は議論すべきではないだろうか。もちろん独裁国家や軍事力で隣国を恫喝する国家などは議論の場から排除すべきだろう。民主主義と自由主義に基づく世界各国だけで議論すべきではないか。価値観を共有しない者が集まっても、生産的な結論など得られるはずがないからだ。

 世界各国の格差やIT企業がもたらす弊害などが引用記事の最終章に「インフレに対応するため米欧などが進める金融引き締めで新興国や低所得国で対外債務の負担が重たくなっている。スリ・ムルヤニ氏は記者会見で「先進国の金融政策が新興国からの資金流出や債務の増大につながる。低所得国の債務問題を議論する共通の枠組みが必要だ」と強調した。会議では巨大IT企業などを念頭に課税逃れを防ぐデジタル課税も議論した。2023年中の導入を目指しているが、各国の調整が難航している」として二点ほど提起された。今後世界が取り組む問題として「国家間の投資と債務」、「国境を越えたIT課税のあり方」を議論すべきだろう。

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