経済が崩壊する中国。
<先週7月13日未明に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領がモルディブに脱出し、大統領職を辞すという驚愕の展開を見せたスリランカ。日本では、「中国が借金漬けにした結果、『債務の罠』にハマって国家破綻した」という「中国悪者論」が主流になっている。
だが、スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめるとどうなるか。企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなるだろう。
同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。
威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに会っている。ラジャパクサ政権が中国と一蓮托生であることが窺い知れる。
「第二、第三のスリランカ」が現れれば中国経済も甚大なダメージが
7月14日には、威振宏大使が主催して、オンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」を開いた。参加したのは、スリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らである。
会議の詳細は伝わってこないが、ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いない。こうしたスリランカ在住の官民の動きを見ても、「銀行役」の中国が、大いに悩んでいることが窺い知れるのである。今後、8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休すだ。
そのようなスリランカの状況を見ていると、今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。
途上国への投資をストップできない中国の立場
それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。
だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。
昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。
その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。
中国による投資額がGDPの10%超となる国が47カ国も
そこで、この報告書を改めて読み込んで、中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみた。すると、計47カ国もあることが判明した。
それを「ハイリスク順」に並べ、中国の投資総額を示すと、以下の通りだ。
(GDP比)(投資総額/単位・億ドル)
1.ラオス 64.8% 122
2.コンゴ 53.4% 62
3.ギニア 49.7% 52
4.アンゴラ 49.5% 523
5.ジプチ 48.5% 15
6.モルディブ 40.3% 15
7.トンガ 35.4% 1.6
8.スリナム 34.0% 9
9.ザンビア 32.5% 79
10.キルギス 31.6% 23
11.モザンビーク 31.5% 41
12.サモア 29.9% 2.5
13.スーダン 28.3% 118
14.タジキスタン 27.0% 23
15.トルクメニスタン 24.7% 89
16.バヌアツ 22.5% 1.9
17.ベネズエラ 21.5% 910
18.ジンバブエ 21.0% 30
19.アンティグア・バーブーダ 19.7% 68
19.カンボジア 19.7% 48
19.シエラレオネ 19.7% 7.7
22.モンテネグロ 18.7% 10
23.モンゴル 17.9% 21
24.カザフスタン 17.5% 304
25.コンゴ民主共和国 17.4% 46
26.パプアニューギニア 17.2% 39
27.エリトリア 16.9% 9
28.エチオピア 15.5% 154
29.エクアドル 15.4% 150
30.ベラルーシ 14.6% 79
30.南スーダン 14.6% 21
32.ナミビア 14.5% 17
33.ガボン 14.4% 23
34.カメルーン 13.9% 54
35.ドミニカ 13.7% 0.6
36.ブルネイ 13.5% 17
36.イラン 13.5% 134
38.トーゴ 13.2% 9.8
39.ミャンマー 12.1% 81
39.スリランカ 12.1% 107
41.ウズベキスタン 11.6% 75
42.ジャマイカ 11.2% 15
42.ニジェール 11.2% 14
44.モーリタニア 11.0% 7.5
45.ケニア 10.7% 93
46.カーボベルデ 10.3% 1.7
47.セネガル 10.2% 24
以上である。47カ国で計3747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円!
特に、中国と国境を接するラオスは、昨年12月3日、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりであり、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えるだろう。
重ねて言うが、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、発展途上国は軒並み、経済危機に瀕している。だが同時に、「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずなのである>(以上「JB press」より引用)
同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。
威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに会っている。ラジャパクサ政権が中国と一蓮托生であることが窺い知れる。
「第二、第三のスリランカ」が現れれば中国経済も甚大なダメージが
7月14日には、威振宏大使が主催して、オンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」を開いた。参加したのは、スリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らである。
会議の詳細は伝わってこないが、ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いない。こうしたスリランカ在住の官民の動きを見ても、「銀行役」の中国が、大いに悩んでいることが窺い知れるのである。今後、8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休すだ。
そのようなスリランカの状況を見ていると、今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。
途上国への投資をストップできない中国の立場
それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。
だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。
昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。
その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。
中国による投資額がGDPの10%超となる国が47カ国も
そこで、この報告書を改めて読み込んで、中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみた。すると、計47カ国もあることが判明した。
それを「ハイリスク順」に並べ、中国の投資総額を示すと、以下の通りだ。
(GDP比)(投資総額/単位・億ドル)
1.ラオス 64.8% 122
2.コンゴ 53.4% 62
3.ギニア 49.7% 52
4.アンゴラ 49.5% 523
5.ジプチ 48.5% 15
6.モルディブ 40.3% 15
7.トンガ 35.4% 1.6
8.スリナム 34.0% 9
9.ザンビア 32.5% 79
10.キルギス 31.6% 23
11.モザンビーク 31.5% 41
12.サモア 29.9% 2.5
13.スーダン 28.3% 118
14.タジキスタン 27.0% 23
15.トルクメニスタン 24.7% 89
16.バヌアツ 22.5% 1.9
17.ベネズエラ 21.5% 910
18.ジンバブエ 21.0% 30
19.アンティグア・バーブーダ 19.7% 68
19.カンボジア 19.7% 48
19.シエラレオネ 19.7% 7.7
22.モンテネグロ 18.7% 10
23.モンゴル 17.9% 21
24.カザフスタン 17.5% 304
25.コンゴ民主共和国 17.4% 46
26.パプアニューギニア 17.2% 39
27.エリトリア 16.9% 9
28.エチオピア 15.5% 154
29.エクアドル 15.4% 150
30.ベラルーシ 14.6% 79
30.南スーダン 14.6% 21
32.ナミビア 14.5% 17
33.ガボン 14.4% 23
34.カメルーン 13.9% 54
35.ドミニカ 13.7% 0.6
36.ブルネイ 13.5% 17
36.イラン 13.5% 134
38.トーゴ 13.2% 9.8
39.ミャンマー 12.1% 81
39.スリランカ 12.1% 107
41.ウズベキスタン 11.6% 75
42.ジャマイカ 11.2% 15
42.ニジェール 11.2% 14
44.モーリタニア 11.0% 7.5
45.ケニア 10.7% 93
46.カーボベルデ 10.3% 1.7
47.セネガル 10.2% 24
以上である。47カ国で計3747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円!
特に、中国と国境を接するラオスは、昨年12月3日、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりであり、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えるだろう。
重ねて言うが、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、発展途上国は軒並み、経済危機に瀕している。だが同時に、「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずなのである>(以上「JB press」より引用)
だが、スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめるとどうなるか。企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなるだろう。
同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。
威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに会っている。ラジャパクサ政権が中国と一蓮托生であることが窺い知れる。
「第二、第三のスリランカ」が現れれば中国経済も甚大なダメージが
7月14日には、威振宏大使が主催して、オンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」を開いた。参加したのは、スリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らである。
会議の詳細は伝わってこないが、ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いない。こうしたスリランカ在住の官民の動きを見ても、「銀行役」の中国が、大いに悩んでいることが窺い知れるのである。今後、8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休すだ。
そのようなスリランカの状況を見ていると、今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。
途上国への投資をストップできない中国の立場
それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。
だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。
昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。
その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。
中国による投資額がGDPの10%超となる国が47カ国も
そこで、この報告書を改めて読み込んで、中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみた。すると、計47カ国もあることが判明した。
それを「ハイリスク順」に並べ、中国の投資総額を示すと、以下の通りだ。
(GDP比)(投資総額/単位・億ドル)
1.ラオス 64.8% 122
2.コンゴ 53.4% 62
3.ギニア 49.7% 52
4.アンゴラ 49.5% 523
5.ジプチ 48.5% 15
6.モルディブ 40.3% 15
7.トンガ 35.4% 1.6
8.スリナム 34.0% 9
9.ザンビア 32.5% 79
10.キルギス 31.6% 23
11.モザンビーク 31.5% 41
12.サモア 29.9% 2.5
13.スーダン 28.3% 118
14.タジキスタン 27.0% 23
15.トルクメニスタン 24.7% 89
16.バヌアツ 22.5% 1.9
17.ベネズエラ 21.5% 910
18.ジンバブエ 21.0% 30
19.アンティグア・バーブーダ 19.7% 68
19.カンボジア 19.7% 48
19.シエラレオネ 19.7% 7.7
22.モンテネグロ 18.7% 10
23.モンゴル 17.9% 21
24.カザフスタン 17.5% 304
25.コンゴ民主共和国 17.4% 46
26.パプアニューギニア 17.2% 39
27.エリトリア 16.9% 9
28.エチオピア 15.5% 154
29.エクアドル 15.4% 150
30.ベラルーシ 14.6% 79
30.南スーダン 14.6% 21
32.ナミビア 14.5% 17
33.ガボン 14.4% 23
34.カメルーン 13.9% 54
35.ドミニカ 13.7% 0.6
36.ブルネイ 13.5% 17
36.イラン 13.5% 134
38.トーゴ 13.2% 9.8
39.ミャンマー 12.1% 81
39.スリランカ 12.1% 107
41.ウズベキスタン 11.6% 75
42.ジャマイカ 11.2% 15
42.ニジェール 11.2% 14
44.モーリタニア 11.0% 7.5
45.ケニア 10.7% 93
46.カーボベルデ 10.3% 1.7
47.セネガル 10.2% 24
以上である。47カ国で計3747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円!
特に、中国と国境を接するラオスは、昨年12月3日、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりであり、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えるだろう。
重ねて言うが、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、発展途上国は軒並み、経済危機に瀕している。だが同時に、「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずなのである>(以上「JB press」より引用)
JB press紙が「巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ」という記事を掲載した。<先週7月13日未明に、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領がモルディブに脱出し、大統領職を辞すという驚愕の展開を見せたスリランカ。日本では、「中国が借金漬けにした結果、『債務の罠』にハマって国家破綻した」という「中国悪者論」が主流になっている。
だが、スリランカのケースを、銀行と企業の例に当てはめるとどうなるか。企業が銀行から多額の借金をしたが、経営破綻した。その企業はお気の毒だが、多額の資金を貸し付けた銀行の側も、借金を踏み倒されることで蒼くなるだろう。同様に、中国も蒼ざめているのである。4月にスリランカ危機が顕在化して以降、中国は5億元(約103億円)もの緊急援助を行って、何とかラジャパクサ政権を支えようとしてきた。内訳は、米2000t、51万回分のナトリウム注射液などだ。
威振宏(い・しんこう)駐スリランカ中国大使は、6月29日にペライラ投資促進大臣と、翌30日にはペリス外相と、立て続けに会っている。ラジャパクサ政権が中国と一蓮托生であることが窺い知れる。
「第二、第三のスリランカ」が現れれば中国経済も甚大なダメージが
7月14日には、威振宏大使が主催して、オンラインで「在スリランカ中国系企業安全活動会議」を開いた。参加したのは、スリランカ中国企業商会会長の江厚亮(こう・こうりょう)中国港湾スリランカ地域社長、中国が99年間の租借権を得たハンバントタ港を管理する劉恩懐(りゅう・おんかい)招商局集団駐スリランカ首席代表兼ハンバントタ港口集団CEOら、70数社の現地代表らである。
会議の詳細は伝わってこないが、ラジャパクサ政権崩壊後のスリランカ情勢の分析や、今後どうやって中国の権益を保持していくかについて、意見交換したに違いない。こうしたスリランカ在住の官民の動きを見ても、「銀行役」の中国が、大いに悩んでいることが窺い知れるのである。今後、8大臣を独占していたラジャパクサ一族が、こぞってアメリカに亡命でもしたら、中国は万事休すだ。
そのようなスリランカの状況を見ていると、今後「第二、第三のスリランカ」が出現することが考えられる。3年目に入ったコロナ禍や、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻で、発展途上国はどこも経済危機に陥っているからだ。
途上国への投資をストップできない中国の立場
それでも中国は、広域経済圏「一帯一路」を掲げている手前、投資をストップするわけにいかない。実際、今年1月から5月までに、前年同期比9.4%増の527億元(約1兆800億円)も、「一帯一路」沿線国に投資しているのだ。
だがそうなると、「世界の銀行」と化している中国の「貸し倒れリスク」も、自ずと増していくことになる――。
昨年9月29日、米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、中国の投資の実態をまとめた報告書を公表した。そこでは、中国が2000年から2017年までに世界145カ国で投資した計1万3427件のプロジェクトについて、166ページにわたって詳細に分析している。
その報告書によれば、中国からスリランカへの投資総額は107億6800万ドル(約1兆4900億円)で、これは2017年のスリランカのGDPの12.1%にあたる。つまり、GDPの10%強の投資でも、国家破綻を起こしてしまったのである。
中国による投資額がGDPの10%超となる国が47カ国も
そこで、この報告書を改めて読み込んで、中国の投資総額がその国のGDPの10%を超えるケースを洗い直してみた。すると、計47カ国もあることが判明した。
それを「ハイリスク順」に並べ、中国の投資総額を示すと、以下の通りだ。
(GDP比)(投資総額/単位・億ドル)
1.ラオス 64.8% 122
2.コンゴ 53.4% 62
3.ギニア 49.7% 52
4.アンゴラ 49.5% 523
5.ジプチ 48.5% 15
6.モルディブ 40.3% 15
7.トンガ 35.4% 1.6
8.スリナム 34.0% 9
9.ザンビア 32.5% 79
10.キルギス 31.6% 23
11.モザンビーク 31.5% 41
12.サモア 29.9% 2.5
13.スーダン 28.3% 118
14.タジキスタン 27.0% 23
15.トルクメニスタン 24.7% 89
16.バヌアツ 22.5% 1.9
17.ベネズエラ 21.5% 910
18.ジンバブエ 21.0% 30
19.アンティグア・バーブーダ 19.7% 68
19.カンボジア 19.7% 48
19.シエラレオネ 19.7% 7.7
22.モンテネグロ 18.7% 10
23.モンゴル 17.9% 21
24.カザフスタン 17.5% 304
25.コンゴ民主共和国 17.4% 46
26.パプアニューギニア 17.2% 39
27.エリトリア 16.9% 9
28.エチオピア 15.5% 154
29.エクアドル 15.4% 150
30.ベラルーシ 14.6% 79
30.南スーダン 14.6% 21
32.ナミビア 14.5% 17
33.ガボン 14.4% 23
34.カメルーン 13.9% 54
35.ドミニカ 13.7% 0.6
36.ブルネイ 13.5% 17
36.イラン 13.5% 134
38.トーゴ 13.2% 9.8
39.ミャンマー 12.1% 81
39.スリランカ 12.1% 107
41.ウズベキスタン 11.6% 75
42.ジャマイカ 11.2% 15
42.ニジェール 11.2% 14
44.モーリタニア 11.0% 7.5
45.ケニア 10.7% 93
46.カーボベルデ 10.3% 1.7
47.セネガル 10.2% 24
以上である。47カ国で計3747.3億ドルにも上る。邦貨にして、約51兆9000億円!
特に、中国と国境を接するラオスは、昨年12月3日、雲南省昆明-ビエンチャン間に高速鉄道を開通させたばかりであり、「第二のスリランカ候補」筆頭と言えるだろう。
重ねて言うが、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻の影響で、発展途上国は軒並み、経済危機に瀕している。だが同時に、「一帯一路」の大風呂敷を掲げている中国も、貸し倒れのリスクに、戦々恐々としているはずなのである>(以上「JB press」より引用)
JB press紙が「巨額貸し倒れリスクに怯える中国、これが「第二のスリランカ候補国リスト」だ」という記事を掲載した。別に驚くことではなく何を今更、という感がするだけだ。
なぜなら既にスリランカは国家破綻して、大統領が国外逃亡したではないか。スリランカは中国の過剰投資、いわゆる「投資の罠」に嵌められて国家破綻した第一号でしかない。
今後とも上記「中国がGDP10%以上もの投資をした国」リストにある国々はすべて国家破綻の有力候補だ。見てお解りの通り、スリランカの投資額はGDP12.1%でしかなく、ワースト39位と割とましな方だ。
スリランカは在中大使を通して中共政府に40億米ドルの追加投資をお願いしているようだが、中共政府は今のところyesともnoとも返事をしていない。スリランカの要求に応じても応じなくてもスリランカの国家破綻は既定の事実でしかないが、追加投資を拒否すれば中国への返済でアップアップしている国々が一斉に返済拒否するに違いない。
しかし中共政府は諸外国への「投資の罠」に拘っている場合ではない。国内の不動産ローン返済を国民が拒否し始めたからだ。千人や二千人規模の返済拒否デモなら武装警官隊の導入で蹴散らせるだろうが、全国数百ヶ所で大規模デモが起きている現状では武装警官を導入して政府がローン債務者との矢面に立つのは得策ではないと判断しているようだ。
しかし多くの国民が住宅ローンの返済を拒否すれば、銀行が破産の危機に見舞われる。銀行が破産すれば国営企業の運営に差し障りが出る。なぜなら国営企業の殆どが大赤字だからだ。赤字の国営企業が経営出来ているのは国営銀行から資金を借り入れているからだ。
さらに中国経済にとって致命的と思われるのは外国投資資金が撤退していることだ。中国投資信託銀行の第三位に当たる中信信託銀行が57億元(約1100億円)の返済が不能になり破綻したようだ。そのため信託銀行全体の信用が危ぶまれ、外国投機家たちが資金を引き上げているようだ。
つまり、中国は内外金融危機に見舞われ、国家破綻の坂道を転がり落ちている最中だ。しかも転がり落ちる速度は加速度的に速まっていて、もはや誰にも止められない。何を今更、という感がするだけだ。
なぜなら既にスリランカは国家破綻して、大統領が国外逃亡したではないか。中国の過剰投資、いわゆる「投資の罠」に嵌められて国家破綻した第一号でしかない。
今後とも上記「中国がGDP10%以上もの投資をした国」リストにある国々はすべて国家破綻の有力候補だ。見てお解りの通り、スリランカの投資額はGDP12.1%でしかなく、ワースト39位と割とましな方だ。
スリランカは在中大使を通して中共政府に40億米ドルの追加投資をお願いしているようだが、中共政府は今のところyesともnoとも返事をしていない。スリランカの要求に応じても応じなくてもスリランカの国家破綻は既定の事実でしかないが、追加投資を拒否すれば中国への返済でアップアップしている国々が一斉に返済拒否するに違いない。
しかし中共政府は諸外国への「投資の罠」に拘っている場合ではない。国内の不動産ローン返済を国民が拒否し始めたからだ。千人や二千人規模の返済拒否デモなら武装警官隊の導入で蹴散らせるだろうが、全国数百ヶ所で大規模デモが起きている現状では武装警官を導入して政府がローン債務者との矢面に立つのは得策ではないと判断しているようだ。
しかし多くの国民が住宅ローンの返済を拒否すれば、銀行が破産の危機に見舞われる。銀行が破産すれば国営企業の運営に差し障りが出る。なぜなら国営企業の殆どが大赤字だからだ。赤字の国営企業が経営出来ているのは国営銀行から資金を借り入れているからだ。
さらに中国経済にとって致命的と思われるのは外国投資資金が撤退していることだ。中国投資信託銀行の第三位に当たる中信信託銀行が57億元(約1100億円)の返済が不能になり破綻したようだ。そのため信託銀行全体の信用が危ぶまれ、外国投機家たちが資金を引き上げているようだ。
つまり、中国は内外金融危機に見舞われ、国家破綻の坂道を転がり落ちている最中だ。しかも転がり落ちる速度は加速度的に速まっていて、もはや誰にも止められない。