新興宗教は悪しき「家元制度」が宗教の「意匠」を纏っているだけだ。

<奈良市の近鉄大和西大寺駅前で7月8日、参院選の応援演説をしていた安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件。
 逮捕された山上徹也容疑者(41)は、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)に母親が多額の献金をして破産したことから、教会を恨んでいたという内容の供述をしているという。
 さらに、旧統一教会の教祖夫妻が設立した団体のイベントに安倍氏がメッセージ動画を送っていたことから、安倍氏が家庭連合とつながっていると思い狙った、という主旨の同容疑者の供述を、複数のメディアが報じている。
 旧統一教会の被害者を支援する弁護団は、かねて教会と「政治」とのつながりを問題視をしてきた。今回の参院選でも、関連団体の支援を受けたことを認める「賛同会員」の自民党候補も。改めて状況を振り返った。
 
「家庭連合(旧統一教会)」とは
 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は1954年に教祖の文鮮明氏が韓国で設立した。日本支部は59年にでき、64年に宗教法人として登録された。
 60〜70年代から、国内各地の大学などで関連団体「原理研究会(現CARP)」による勧誘活動が活発になった。
 当時から、宗教法人としての統一教会とCARPは別組織だと教会側は主張してきた。創設者は同じ文鮮明氏夫妻だ。
 創設者を同じくする教会と各団体との関係は、その後も様々なかたちで取り沙汰されることになる。
 80年代以降は、関連会社などが「先祖の霊を救える」などと持ちかけて高額なツボなどを買わせる「霊感商法」や、教会側の決めた見ず知らずの相手と結婚する「合同結婚式」、以前から続く大学での勧誘などが、社会的に問題視されるようになった。
 BuzzFeed News記者のひとりも、1980年代後半から90年代前半にかけて、通っていた高校の前や、その後進学した大学で、「孤独を感じないか。さまざまな事を学べる場所がある。ビデオを見ないか」などと勧誘され、断った経験がある。

弁護士ら「被害総額1200億円超」
 2009年には警視庁が、不安を煽って高額な印鑑を売りつけたとして、特定商取引法違反(威迫・困惑)容疑で、統一教会の関連企業とみられていた東京都内の印鑑販売会社の社長らを逮捕した。
 当時の統一教会長は「道義的責任を感じる」と辞任を表明した。一方でこの時も「問題の企業と教会は別」と主張した。
 東京地裁は同年11月、この会社の従業員全員が統一教会の信者で「信者を増やすことを目的に違法な販売を行った」「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」とし、社長らに有罪判決を言い渡した(2009年11月11日付朝日新聞)。
 教祖の文氏は2012年に死去。統一教会(世界基督教統一神霊協会)は2015年、現在の「世界平和統一家庭連合」に名称を変えた。
 旧統一教会を巡る被害の救済活動などを行ってきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)によると、2021年末までの約35年で、弁護士や消費生活センターが受けた教会に関する相談は3万4537件。
 被害総額は約1237億円で、ここ5年間に限っても、相談約580件、総額約54億円にのぼるという。

政治家とのつながりは
 教会をめぐっては、政治とのつながりも指摘されてきた。
 教祖の文氏が1968年に創設した政治団体「国際勝共連合」は、当時の冷戦構造と朝鮮半島の南北分断のなかで「反共産主義」を掲げ、韓国の朴正熙政権とのつながりを強化。日本の保守系政治家とも連携し、韓国保守層との繋ぎ役ともなっていたからだ。
 勝共連合がつくられた60年代、日本では安保闘争と学生紛争が盛んだった。左翼勢力の勢いが増す中、「反共」を掲げる組織は、当時の自民党保守層にとっては利用価値があった。
 安倍氏の祖父の岸信介元首相は、日本船舶振興会(現・日本財団)創設者の笹川良一氏らと並び、勝共連合との関係で名前があがる政財界関係者のひとりだ。

 岸氏は1973年には統一教会本部を訪問。文教祖と握手している写真が知られている。
 翌年に来日した際の文氏の講演会で名誉実行委員長を務めたなどとして、その関係が国会でも複数回、取り沙汰されている。

「勝共連合」の訴えは
 勝共連合はソビエト連邦の崩壊(1991年)で冷戦構造が崩れた現在も、「反共」を掲げつつ、教団の教義に重なる「伝統的な家族観」に基づいた政策の主張を続けている。
 選択的夫婦別姓や同性婚に対し、「日本の家族制度を根本的に破壊する」「家庭の価値が失われる」などと強く反対。
 フェミニズムやジェンダーフリー、性教育などについても「行きすぎた個人主義」などと反発している。これは、自民党保守派の主張と重なる部分がある。
 いまの勝共連合の梶栗正義会長は、2012年に死去した日本統一教会長の長男だ。なお、勝共連合について教会側は「友好関係のある別組織」としている。

安倍氏のメッセージ内容とは
 政治家とつながりを持つ関連団体のひとつに、「天宙平和連合」(UPF)もある。
 UPFのホームページによると、旧統一教会教祖の文鮮明夫妻が2005年に創設した、「国連経済社会理事会の総合協議資格(カテゴリー1)を有する国際NGO」という。
 団体としては家庭連合とは別組織だが、韓鶴子総裁は文教祖の妻で、家庭連合の現総裁。
 UPFジャパンの会長は、勝共連合の梶栗会長が兼務している。事務所のある東京都新宿区のビルには、家庭連合の教会や、世界平和教授アカデミーなど複数の関連団体が入居している。
 この団体が2021年9月に開いた集会に、動画で出演したのが安倍氏だった。公式動画によると、安倍氏は以下のようなことを述べている(抜粋)。

「ご出席のみなさま、日本国・前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPFの主催のもと、より良い世界実現のための、対話と諸問題の平和的解決のために、およそ150カ国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う、希望前進大会で、世界平和をともに牽引してきた盟友のトランプ大統領とともに、演説の機会をいただいたことを光栄に思います」
「こんにちに至るまで、UPFとともに世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁(*文教祖の妻)をはじめ、みなさまに敬意を表します」
「UPFの平和ビジョンにおいて、家庭の価値を強調する点を高く、評価します。世界人権宣言にあるように、家庭は社会の自然かつ基礎的集団単位としての普遍的価値を持っています。偏った価値観を社会革命運動として展開する動きに警戒しましょう」
 なお、この会にはトランプ元米大統領もメッセージを寄せ、潘基文・元国連事務総長らを含む海外の政治家も出演しており、安倍氏もそのひとりだった。

全国弁連は安倍氏ビデオに抗議文
 全国弁連はUPFについて、「友好団体」として距離を置く教会側の説明とは異なる認識を示し、UPFを教会と密接な関連性を持つ「フロント組織」(抗議文より)とみている。
 安倍氏がUPFの動画に出演した数日後の2021年9月17日、全国弁連は抗議文を出し、以下のように訴えた(要旨)。

「政治家が統一教会やそのフロント組織の集会・式典などに出席し祝辞を述べたり、祝電を打ったりするという行為が目立ち、統一教会がそれを自分達の活動が社会的に承認されているという『お墨付き』に利用している。これまでも全国会議員に要望書を出してきた」
 そのうえで、安倍氏がUPFの韓総裁に「敬意を表します」などと述べたことに対し、こう指摘した。
 集会において、安倍晋三前内閣総理大臣の基調演説が発信される事態が生じました。これを統一教会が広く宣伝に使うことは必至です。上記要望書の要望を全く無視したものというほかなく、当連絡会としては深く失望し、今後の被害の拡大に強く憂慮しております。
 安倍先生が、日本国内で多くの市民に深刻な被害をもたらし、家庭崩壊、人生破壊を生じさせてきた統一教会の現教祖である韓鶴子総裁(文鮮明前教祖の未亡人)を始めとしてUPFつまり統一教会の幹部・関係者に対し、「敬意を表します」と述べたことが、今後日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたいと存じます。
 安倍先生が今後も政治家として活動される上で、統一教会やそのフロント組織と連携し、このようなイベントに協力、賛助することは決して得策ではありません。是非とも今回のような行動を繰り返されることのないよう、安倍先生の名誉のためにも慎重にお考えいただきますよう強く申し入れます。
 安倍元首相とUPFをめぐっては、官房長官時代の2006年にも福岡の集会に祝電を打ち、全国弁連が公開質問状を提出。安倍氏側はメディアに「私人としての立場で地元事務所から『官房長官』の肩書で祝電を送付したとの報告を受けている。誤解を招きかねない対応であるので、担当者にはよく注意した」とコメントを出している(2006年6月20日付朝日新聞)。
 当時は一定の距離を置いている様子もうかがえるが、なぜ今回の動画出演に至ったのか。UPFジャパンはBuzzFeed Newsの取材に「当該宗教法人と弊団体はその活動と目的において別団体」と強調。

「事実に反する内容、憶測に基づいた記事を発見した場合は法的措置を取らせていただくことがあります」としつつ、安倍氏の動画については「主催者であるUPF-International(米・ニューヨーク)およびその友好団体であるワシントン・タイムズ財団から安倍元首相に依頼をし、承諾されたと聞いています」と回答。
 安倍氏が2022年2月の韓国における集会にも祝電を打っていたことを明かしたが、「UPFが組織として安倍元首相ならびに自民党を支援・応援したことはありません」とし、こうコメントした。
「『自由で開かれたインド太平洋構想』の推進などを訴えておられた指導者の1人である安倍元首相からも弊団体の運動にご賛同いただいていたものと思います」
「UPFの会合に安倍元首相がビデオメッセージを寄せたことが、容疑者の犯行動機となったということは、それが事実であれば常識的には考えられないことですが、遺憾であります。いかなる動機であれ、犯行を正当化することはできないと考えます」

教会側の見解は
 家庭連合の田中富広会長が開いた7月11日の会見では、政治との関係に関する質問が飛んだ。
 田中会長は「私たちの友好団体が主催する行事に安倍元首相がメッセージなどを送られたことがございます。安倍元首相は、韓鶴子総裁が推進する世界平和運動に賛意を示してくださった」とする一方、安倍氏が教会の会員や顧問になったことはない、と述べた。

「(政治運動への協力は)安倍元首相に関してはございません。こちらが組織的にやることはないので、各候補を教会員の個人が応援することはあるかもしれませんが、それでも安倍元首相に関することを聞いたことはありません」
 また、岸信介氏と統一教会の関係については「創設者・文鮮明総裁と韓鶴子総裁が推進する平和運動に強く理解を深めてくださったと理解している」とした。
「岸元首相が特別な計らいをした、影響を与えていたことはまずない(教会側とは)深く関わっていないと思います。ただ平和運動で関わっていることはあるかもしれません。そのへんは友好団体とも確認してみたいと思います」
 自民党と教会との金銭面の関わりについては、全面的に否定した。さらに田中会長は、こうも述べた。

「教会の対する恨みや、そこから安倍元首相の殺害に至るというのはとても大きな距離があり、その理解に困惑をしております」
 また、容疑者がなぜ、安倍元首相と教会がつながっていると考えたのかという点について、以下のように語った。
「おそらく当法人と友好団体の区別がついていなかったのではないかと思います。どちらも創設者はご一緒なので、そういう観点からは全てが同じと見えていたのかなと感じています」
「それぞれの団体は目的とビジョンをもってつくられているので、それを理解してもらえていれば、ここまで私たちとつながっているととらえられることはなかったと感じています」
「(文夫妻は)政治や経済、あるいは芸術、文化、あらゆる分野での組織をたくさん作ってこられております。その中で宗教分野における大きな主導的役割を担ってるのが、世界平和統一家庭連合というふうにご理解いただいたら良いかと思います」
 宗教法人としての教会と各団体は、創設者は同じでも、あくまで別物、という立場だ。
 また、高額献金の問題については「過去の献金でトラブルがあったのは周知の事実と思います」としたうえで、「2009年に当時の会長が会見して声明文を出し、コンプライアンスを徹底するようになった。以降、トラブルはない」と語った。2009年の会見とは、警視庁の捜査を受けた当時のことを指すとみられる。

弁護団が見る政治と教会と各団体の関係
 一方、全国弁連は翌7月12日夜に会見を開いた。
「山上容疑者がやったことは断じて許されないこと」と何度も強調しつつ、旧統一教会による被害はいまも続いていると主張した。
 コンプライアンスを強調したり、政治家との関係性を否定したりした田中会長の会見での発言について、代表世話人の山口広弁護士は「あまりにも事実に反すると言わざるを得ません」と述べた。
 教会側は勝共連合やUPFなどを「別組織」としているが、渡辺博弁護士はこれらを教会と一体の存在とみたうえで、「歴史的に統一教会は国会議員と関係を持ってきた」と指摘。
 また、山口弁護士はこうした状況について「利用し、利用される関係があった」と表現。
 そうした動きが近年、活発化したことから、全国弁連としてもイベントへの参加や賛同、選挙で信者らの支援を受けないよう、要望や抗議をしてきたとした。
「反社会的団体である統一教会にエールを送るような行為はやめていただきたいと、私どもは政治家のみなさんに何度もお願いをしてきました」
「今回の選挙でも、あるいはその前の選挙でも、(教団側が)特定の自民党の候補者を組織推薦候補として応援し、信者組織が動員をかけてきたことも事実として認識しています」

「統一教会はコングロマリット」
 さらに山口弁護士は「文鮮明(教祖)が岸信介さんと握手している写真は、いかに統一教会が世界的に広く認知させているか認めさせるために使われてきた。こういう写真が繰り返し信者の皆さんに見せられた」とも指摘。
 実際、会見に参加した2世信者だったという女性も「(岸さんと教祖の)写真は見せさせられたことがある」と証言。海外の政治家との写真もあったといい、「大物政治家と通じている(教祖は)すごいな、メシア(救世主)なんだな」と感じる動機付けになると語った。

 一方、全国弁連の紀藤正樹弁護士は、こう述べた。
「統一教会というのは、正体を隠して政治や学問、国連にも食い込み、政治経済、芸術、学問、そして朝鮮半島を統一するという発想で成り立つコングロリマット宗教団体で、多くの被害を生んできました」
「そのことをわからないで政治家が近づいてしまっていた。政治家の皆さんは、反社会的団体との付き合い方の問題を真剣に考えてもらいたい」
「オウム問題で反省をしたにもかかわらず、統一教会問題でこの事件が引き起こされたとすると、日本社会は総括が必要なのではないか。カルトについて、与野党問わず真剣に考えないといけない時期が来たんじゃないかと私は思います」

関連団体の支援を受けた候補も
 今回の参院選でも教会の関連団体による政治家支援の動きはあった。
 自民党比例区から立候補し、当選した井上義行氏だ。国鉄職員から内閣府に転じ、第一次安倍政権で首相秘書官を務めた。
 選挙期間中、性的マイノリティの人々への差別的発言が問題視された井上氏は関連団体のオンラインセッションに登壇。また、教会系の集会に出席して「信徒になりました」と紹介されたとTBSなどで報じられた。
 BuzzFeed Newsの取材に対し井上氏は、「世界平和連合からこのたび、参院選で応援をいただき、同団体の青年らとのオンラインイベントに参加をし、YouTubeを通じて投票を呼びかけました」と、文書で回答した。
 公式サイトによると、世界平和連合(FWP)は国際勝共連合の兄弟団体で、日本では1996年に創設大会が開かれた。勝共連合の梶栗会長がFWP会長を兼務。中国の脱共産化、格差の是正、家庭の再建が3本柱だという。
 井上氏は取材に、「子育て家庭を守る」といった自身の政策に賛同を得られることから、世界平和統一家庭連合の信者ではなく、「賛同会員」になっているとした。
 会費や寄付などのやり取りはないとしている。なお、全国弁連の政治家への要望に関する見解も質問したが、答えはなかった。
 BuzzFeed Newsは井上氏が支援を受けたと回答したFWPにも取材を申し込んでいる。回答があり次第、追記する>(以上「BuzzFeed」より引用)



 統一教会と安倍氏、及び統一教会と国会議員との不適切な関係に関して、既存大手マスメディアが殆ど何も報じないのはなぜだろうか。マスメディア関係にも統一教会の影響が深く及んでいるのではないかと勘繰らざるを得ない。
 政治家との「深い」関係だけでなく、統一教会と宣伝業界やマスメディアとの繋がりをジャーナリストは積極的に暴く義務があるのではないだろうか。それとも暴くために取材していると、ジャーナリストに害が及ぶとでもいうのだろうか。

 国民の世論形成に影響力があるマスメディアや宣伝企業などに特定の宗教団体が浸透しているとしたら、由々しき問題だ。安倍自公政権下でマスメディアが政権に忖度して、安倍政権に歯に衣着せない発言していたコロンテータが相次いでテレビ画面から消えた。
 マスメディアに登場するコメンテータとして残っているのは、例えば安倍暗殺事件に関しても一人の異常人物による襲撃事件だと主張して、安倍暗殺事件を統一教会とは関係ないかのように世論誘導している。そしてマスメディアも、なぜ山上某容疑者が安倍氏に向かって自作銃の引鉄を引くことになったのか、統一教会と安倍氏との深い因縁を殆ど何も報じない。

 統一協会教祖文鮮明氏が韓国内では「日本はカルマの国だから、滅ぼしても良い。日本人から財産をすべて奪っても、それは徳を積むことだ」と発言していたという。そして自由恋愛は「サタンの所業」として厳禁し、教祖が決めた相手と結婚すべきとして「合同結婚式」を毎年のように挙行していた。どちらが「サタンの所業」か明らかではないか。
 政治家に擦り寄り影響を与えている「宗教法人」は統一教会だけではない。様々な新興宗教団体が選挙で信者の票を取りまとめて投票する代わりに、宗教団体への便宜を図ってもらうのを常としている。

 新興宗教法人に対する法人所得非課税の「非課税所得の対象範囲」を限定しようとする動きは新興宗教によって阻まれて来た。山上氏の母親が統一教会に1億円も寄付したのは決してレア・ケースではない。そのような巨額寄付は家元制度の茶道や華道などでは想像すらつかない。だが茶道や華道といった家元制度と新興宗教と何処が異なるというのだろうか。
 新興宗教は様々な「意匠」を纏った「家元制度」そのものではないだろうか。家元制度がその道の師匠として伝統文化や伝統的な作法を教授するのに対して、新興宗教は様々な脅しや脅迫で洗脳してマインド・コントロールしているに過ぎない。集金システムとしての形態は家元制度よりも格段に悪辣だ。むしろ「ネズミ講」に近いといわざるを得ない。

 共産主義が国家統制の仕組みとして用いられた「意匠」の一つだが、民主主義もまた国家統制の仕組みの「意匠」の一つだ。どちらの「意匠」がより多くの人々を不幸にしないか、という観点で見れば、歴史的に民主主義の方が勝っていると証明されている。
 「意匠」とは 工業生産物に,型や模様等を付し,人の嗜好に合うように工夫したものを指すが、それを形而上学的な「思想」にまで及ぶ概念として解釈したのは私ではない。詩人中原中也の親友で評論家だった小林秀雄氏だ。彼は「様々な意匠」という著書の中で国家支配体制までも「様々な意匠」の一つでしかない、と説いた。小林秀雄氏の伝で解釈するなら、新興宗教こそ「様々な意匠」の一つでしかない。それも世界的な宗教の名を騙り、脅迫や恫喝で成り立つ悪しき現代の「家元制度」の一つでしかない。新興宗教が宗教を隠れ蓑にした「家元制度」の一つなら、宗教団体に与えられる特権の非課税を適用するのは不適切ではないだろうか。

 それは信仰と寄付の問題は統一教会だけに限ったことではない。新興宗教のすべてに見られる問題だ、と云っても過言ではない。もちろん公明党という政党を事実上支配している創価学会も例外ではないはずだ。新興宗教団体が政治に関与している事態を許していることを日本国民は恥ずべきだ。
 新興宗教の最大の罪悪は「現生利益」を教義の基本に据えていることだ。信仰すれば「事業が成功する」とか、「信仰すれば恵まれた人生が送れる」などと、現生での利益を勧誘する道具にする。しかし宗教の本質は「魂の救済」であり「後世の平安」だ。その目的は信仰することにより社会規範の向上やモラルの向上を目指したものだ。新興宗教とは大きく異なる。たとえ葬式宗教であろうとも、在家宗教であろうとも、伝統的な宗教は根本的に新興宗教とは異なる。新興宗教団体を国家公安が監視対象とすべきは勿論のこと、宗教法人に与えている非課税特権に関して、もう一度根底から議論し直してはどうだろうか。

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