ミスを許容しない人たちは何だろうか。

<山口・阿武町で4630万円が誤送金された問題で、逮捕された田口翔容疑者は「数社のネットカジノに全部使った」としていましたが、少なくとも約3500万円が町の口座に戻ったことがわかりました。元東京地検特捜部の若狭勝弁護士は、「仮に嘘をついていた場合、別の犯罪に問われる可能性がある」と指摘します。今後の捜査のポイントを含めて詳しく聞きました。

■「数社のネットカジノに全部使った」はずが…

井上貴博キャスター: 
 これまでの経緯を振り返ります。4月8日、阿武町が田口容疑者に誤って4630万円を送金。町の職員が戻して欲しいと交渉しましたがそれを拒否。田口容疑者は「金は全て動かした、戻せない。罪は償う」と話していました。5月18日に逮捕され、送検、家宅捜索されました。お金については「数社のネットカジノに全部使った」と話していました。 これまで弁護士が明らかにしたところによると、4630万円を数社に分割して送金していたということですが、最も額が大きかったのがA社へ27回にわたって送金された約3590万円です。最終的に田口容疑者の口座に残っていたのは7万円弱でした。

■弁護士「別の犯罪に問われる可能性」

井上キャスター: 
 関係者によりますと今回、決済代行業者から阿武町の口座に少なくとも約3500万円が送金されたということです。一体どんなケースが考えられるのでしょうか。 
元東京地検特捜部の若狭弁護士:
 二つの可能性を指摘します。▼まず一つは、容疑者が本当に全額使い切ったということであれば、決済代行業者が保険などに入っているだろうから保険または自費で送金したのではないか。▼もう一つが、全部使い切ったというのは嘘で、多額の資金が存在していて、ただ単に隠すためにそこに送金していたという可能性です。 スピード感として保険で払ったというのは考えにくいので、やはり可能性としては、「全て使ったというのは嘘で多額の資金が残っていた」ということではないか、というところです。 
元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士: 
 決済代行業者としては、こうした犯罪に基づいたお金だということを知りながら保管するということが、刑法で処罰の対象になるので、早々に戻してきたという可能性が一番あると思います。やはり元々決済代行業者のところにこのお金が残っていたというのが一番自然ではないかと思います。 
田中ウルヴェ 京 スポーツ心理学者(博士): 
 残っていた資金を送金したとすると、田口容疑者の処罰が軽くなることはありますか。 
元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士: 
 少なくとも、嘘をついていたということになると、嘘をついて犯罪で得た金を隠匿していたということで、田口容疑者がまた別の犯罪に問われる可能性があります。ですから、これが嘘だったのか、あるいは勘違いだったのか、などが今後の捜査のポイントにはなると思います。 井上貴博キャスター: 
 これまで決済代行業者などが海外の会社だとお金の動きを追いにくいのではないか、と言われている中でお金が戻ってきたということは、海外の会社ではなかったということが推察されるわけですか。 
元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士: 
 そうですね。おそらくまだ海外には行ってないで、国内の代行業者のところだった可能性があると思います。警察からいろいろ捜索が入ったり聞き取りが入る過程で、代行業者において自ら返した方がいいという判断がなされたという可能性が一番あると思います。

■阿武町に批判の声も…

井上貴博キャスター: 
 ここからは阿武町としても“しっかりとチェック体制を構築するべきじゃないか”という点についてです。 山口・阿武町の花田憲彦町長は今回の問題について「発端が我々のミスということで、いろいろな方々からお叱りの電話やメールなどがたくさんくる。職員もその対応に本当に疲弊している」と話しています。 職員1人が悪かったということではないと思いますが、システムとして、組織として、もう少しダブルチェックやトリプルチェックなどやり方があったのではないかというところです。 SNSでは「20代前半の若者(田口容疑者)の人生を狂わせ、未来を奪ったことは重く受け止めるべき」「町長や関係部署の職員の責任を明らかにするべき」などの声もあがっています。 この点について花田町長は「我々のミスから起こったことなので、耐えていかなければならない」としています。 
ホラン千秋キャスター: 
 こういったことが起きた時に、自治体としてはどういうシステム作りをしておけば次から防ぐことができるのでしょうか? 
元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士: 
 やっぱり送金する際はダブル、トリプルでチェックするとか、あるいはこういう誤送金が起きたときに素早くどういう対応をするかということを、あらかじめマニュアル的にきちんと浸透させておくということが大事だと思います。 いずれにしても町の責任、行政責任というのが大きいと思うのですが、今回お金が相当戻ってきたことを踏まえると、町の責任が大きいということで場合によっては田口容疑者に執行猶予という可能性が出てきているのではないかと思います。 
ホラン千秋キャスター: 
 それはお金が返ってきているから、ということですか? 
元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士: 
 “財産犯”というのはやはり被害金が戻ったかどうかというのが量刑において一番大きな要素です。今回、自分から戻したわけじゃないにせよ、かなりの金額が町に戻ったということは田口容疑者には非常に大きな情状になろうかと思います。 
井上貴博キャスター: 
 田口容疑者が“嘘をついていた”というここだけを見ると悪い心象になるのですが、結果的に容疑者は何もしていないけどお金が戻ってきたということは、容疑者にとってプラスに働くという理解でいいのですか? 
元東京地検特捜部副部長 若狭勝弁護士: 
 ただ、嘘をついていたということで犯罪収益を意図的に隠匿していたという別の犯罪が今後問われるかどうか。その辺は田口容疑者の供述がどうなっているのかというところにかかっていると思います>(以上「TBS news」より引用)



 阿武町の誤送金4,630万円事件はAネットカジノ代行業者から3,590万円が町に返還された。田口氏は「すべて使い果たした」と主張していたが、国内のA代行業者の田口氏口座にソックリ残っていたことになる。つまり使い果たしてなかったのだ。若狭弁護士は「保険金で補填したケースもあり得る」と慎重な姿勢を見せているが、そんなことはまずありえない。
 つまりA代行業者は田口氏から振り込まれたカネがカジノ資金ではなく、誤送金4,630万円の大部分で、A社のカジノ資金口座をマネーロンダリングとして田口氏が利用しているのではないかと考え、このまま口座の金銭をA社が預かったままでいたなら、マネーロンダリングの共犯者になりかねない。そのことを危惧して自発的に阿武町へ返還したのではないだろうか。

 捜査は必ずネットカジノ代行業者に及ぶのは明らかで、資金をプールしたまま田口氏のカネを保有していたならマズイことになる、と判断したのは明らかだ。ここで問題になるのは田口氏の弁護士が田口氏の説明を鵜呑みにして「4,630万円はネットカジノで全額使い切った」と報道陣に説明していたことだ。弁護士ともあろう者が、田口氏の説明を鵜呑みにして「使い切った」と説明するのはマネーロンダリングの幇助になりかねないではないか。なぜ弁護士は田口氏が送金した複数のカジノ代行業者に田口氏口座残金の有無を調査してから記者会見で発言しなかったのだろうか。
 若狭弁護士が「嘘をついていたということで犯罪収益を意図的に隠匿していたという別の犯罪が今後問われるかどうか」が問題となる、と発言しているが、「犯罪収益を意図的に隠匿」しようとしていたのは明らかではないか。それも委任した弁護士を欺いてまでも。

 ただ問題なのは他人のミスを許さない、他人の失敗に寛容でない日本国民の「感性」ではないだろうか。花田町長は「発端が我々のミスということで、いろいろな方々からお叱りの電話やメールなどがたくさんくる。職員もその対応に本当に疲弊している」と話しているという。「お叱りの電話」や「お叱りのメール」を阿武町に送っている人たちは誤送金4,630万円の被害者なのだろうか。そうだとすれば、彼らはいかなる被害があって、いかなる賠償を阿武町に求めているのだろうか。
 何度でも書くが、町職員は誤送金というミスをした。もちろん仕事でミスがあってはならない。厳重なミス防止策が常日頃から取られて然るべきだ。が、ミスは犯罪ではない。今回のケースでは賠償責任が生じるかも知れないが、犯罪ではない。だが誤入金した町のカネを隠匿しようとした田口氏は明らかに犯意を持った犯罪者だ。それも「フとした出来心」から行った犯罪行為ではない。町職員が家を訪れて誤送金を詫び、返還を懇願してから後の「犯罪収益を意図的に隠匿」した極めて悪質な犯罪だ。
 阿武町に批判電話やメールを送り付けるのもほどほどにすべきだ。公務妨害の犯罪にならないとも限らないことを銘記しておくべきだろう。

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