プーチン氏は愚かな戦争から撤退せよ。
<ウクライナ東部の制圧に苦戦しているロシア軍。プーチン大統領は長期戦を覚悟しているといわれるが、最前線で戦う軍の装備は耐えられるのか。ロシア兵たちは現地で「家電」を漁って、半導体を軍事転用しながら、「プーチンの戦争」に付き合わされている。
◇ ◇ ◇
米国のジーナ・レモンド商務長官は11日、上院公聴会で「ウクライナ側からの報告によれば、ロシア軍の装備に食洗機や冷蔵庫から取り出した半導体が使われている」と指摘。ウクライナ軍が、接収したロシア軍の戦車を調べた際、入手困難な部品が冷蔵庫などの部品で補われていたという。そもそも、家電に使われている半導体を軍事転用できるのか。
「半導体の処理能力によります。例えば、戦闘機の自動操縦用に代替できなくても、ミサイルやロケットを着弾させる誘導装置には使える可能性があります。家電とひと口に言っても、『スマート家電』のようにさまざまな機能を備えていれば、それだけ高性能の半導体を使っていると考えられる。軍事転用できないこともないでしょう」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)
まさか家電を漁って兵器を補修しているとは、苦戦しているにも程がある。なぜ、こんな窮地に立たされているのか。
軍事通信技術も10年以上改善せず
「軍事侵攻前から続く世界的な半導体不足に加え、ロシアは半導体の大部分を輸入に頼っていました。ほとんど自国生産しておらず、そもそも電子部品に弱い国なのです。戦車や戦闘機といった軍事兵器は数年おきに『近代化改修』、つまりバージョンアップをしなければ戦場で使い物になりません。装甲を厚くするなどの物理的なアップデートだけではなく、当然、操縦に欠かせないソフトウエアの更新も必須です。ロシアもウクライナも主力戦車として旧ソ連製の『T-72』を使っていますが、同じ設計でも、改修しているかどうかで性能に大きな差が出ます。半導体不足と近代化改修の遅れによる影響が、西側諸国からの制裁によって顕著に表れているのでしょう」(世良光弘氏)
米国からロシアへの半導体やアビオニクス(航空電子機器)などの輸出量は前年比85%減。制裁がロシア軍の苦戦に拍車をかけているのは間違いない。
英国防省が13日公表した戦況分析によれば、ウクライナ軍の孤立化を狙うロシア軍は渡河作戦に失敗。ウクライナ軍に阻止され、少なくとも1つの大隊戦術群(BTG)が装甲機動部隊を失ったという。
「特殊作戦の得意なプーチン大統領は、総力戦で戦う軍隊の整備を怠ってきたのではないか。戦闘機や長距離ミサイルといった見てくれの良い大型兵器にこだわるばかりで、通信や電子技術への軽視がうかがえます。2008年にグルジア(ジョージア)へ侵攻した南オセチア紛争では、通信妨害に遭ったロシア軍の前線部隊が現場の特派員記者に携帯を借りていたといいます。その頃から10年以上、軍事通信の技術は改善していない。見てくれに力を入れてきたロシア軍は、まるで『ハリボテ』です」(筑波大名誉教授・中村逸郎氏)
ウクライナ軍の反転攻勢がささやかれ始めた。プーチンの“虚勢”はいつまで続くのか>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)
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米国のジーナ・レモンド商務長官は11日、上院公聴会で「ウクライナ側からの報告によれば、ロシア軍の装備に食洗機や冷蔵庫から取り出した半導体が使われている」と指摘。ウクライナ軍が、接収したロシア軍の戦車を調べた際、入手困難な部品が冷蔵庫などの部品で補われていたという。そもそも、家電に使われている半導体を軍事転用できるのか。
「半導体の処理能力によります。例えば、戦闘機の自動操縦用に代替できなくても、ミサイルやロケットを着弾させる誘導装置には使える可能性があります。家電とひと口に言っても、『スマート家電』のようにさまざまな機能を備えていれば、それだけ高性能の半導体を使っていると考えられる。軍事転用できないこともないでしょう」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)
まさか家電を漁って兵器を補修しているとは、苦戦しているにも程がある。なぜ、こんな窮地に立たされているのか。
軍事通信技術も10年以上改善せず
「軍事侵攻前から続く世界的な半導体不足に加え、ロシアは半導体の大部分を輸入に頼っていました。ほとんど自国生産しておらず、そもそも電子部品に弱い国なのです。戦車や戦闘機といった軍事兵器は数年おきに『近代化改修』、つまりバージョンアップをしなければ戦場で使い物になりません。装甲を厚くするなどの物理的なアップデートだけではなく、当然、操縦に欠かせないソフトウエアの更新も必須です。ロシアもウクライナも主力戦車として旧ソ連製の『T-72』を使っていますが、同じ設計でも、改修しているかどうかで性能に大きな差が出ます。半導体不足と近代化改修の遅れによる影響が、西側諸国からの制裁によって顕著に表れているのでしょう」(世良光弘氏)
米国からロシアへの半導体やアビオニクス(航空電子機器)などの輸出量は前年比85%減。制裁がロシア軍の苦戦に拍車をかけているのは間違いない。
英国防省が13日公表した戦況分析によれば、ウクライナ軍の孤立化を狙うロシア軍は渡河作戦に失敗。ウクライナ軍に阻止され、少なくとも1つの大隊戦術群(BTG)が装甲機動部隊を失ったという。
「特殊作戦の得意なプーチン大統領は、総力戦で戦う軍隊の整備を怠ってきたのではないか。戦闘機や長距離ミサイルといった見てくれの良い大型兵器にこだわるばかりで、通信や電子技術への軽視がうかがえます。2008年にグルジア(ジョージア)へ侵攻した南オセチア紛争では、通信妨害に遭ったロシア軍の前線部隊が現場の特派員記者に携帯を借りていたといいます。その頃から10年以上、軍事通信の技術は改善していない。見てくれに力を入れてきたロシア軍は、まるで『ハリボテ』です」(筑波大名誉教授・中村逸郎氏)
ウクライナ軍の反転攻勢がささやかれ始めた。プーチンの“虚勢”はいつまで続くのか>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)
さすがにプーチン氏は長期戦を覚悟していないだろう。電撃作戦が頓挫し、5月9日までに東部二州を制圧すべく軍部督励し、最高指揮官を交替させたにも拘らず、戦況は捗々しくない。おそらく現場からは損耗した兵器や兵隊の矢のような要求が連日届いているだろう。
二ヶ月半に及ぶウクライナ侵攻で、ロシア軍の装備も兵員も払底してしまった。いかに強気のプーチン氏が号令を掛けようと、強気や脅しで戦況は動かない。西側諸国がウクライナに支援した最新デジタル兵器の前には、ロシア軍の鉄の塊に過ぎない兵器は破壊される獲物でしかない。現代兵器と近代兵器の戦争がどんなものかを日々、私たちは目撃している。
日本政府は技術的に完成させたゲーム・チェンジャーとなるレールガンやレーザー砲の兵器としての完成精度を上げるべく、研究開発を急ぐべきだ。レールガンが発電機車とレールガン装備車の二台編成で移動できるように完成されれば、実戦で使用できるだろう。
いつまでも前近代的な陣取り合戦で占領地を広げる戦法を実施していては、今後とも多くの犠牲者が出るだろう。何とかして早期に「ゲーム・セット」に持ち込む必要がある。そのためのゲームチェンジャー兵器が必要だ。日本には、それを開発する能力も実績もある。実戦に使用できる兵器として完成を急ぐべきだ。
ロシア政府はプーチンの戦争に勝利できないことを悟るべきだ。いかに膨大な数の戦車をウクライナへ投入しようと、それらは精密誘導弾の餌食になるだけだ。今後はウクライナの防空システムが整備されれば、ロシアが長距離ミサイル攻撃しようと撃墜されるだろう。
ロシアはウクライナの穀物を奪って、世界的な食糧危機を招こうと画策しているが、それがどんな結果を招くか冷静に判断すべきだ。既にロシアは1,2ヶ国の友好国を除いて、世界に孤立している。ロシアのウクライナ作戦により食糧危機を招来すれば反ロシアの声を大きくするだけだ。既にロシアは自国が産出する石油や天然ガスを戦時物資として利用して、国際的な価格暴騰を演出している。いかに戦争とはいえ、世界を巻き込むのは尋常な所業とはいえない。
ロシアは兵器開発に勤しんできたが、基本となる科学技術や基礎素材の開発・生産を蔑ろにして来た。それがプーチン氏の命取りになった。国内では90nmチップしか造れないため、占領したウクライナの民家から家電品のチップを抜き取り、壊れた戦車などにチップの代用に使っているという。おそらく28nmチップを代用に使っているのだろうが、戦車に使えても精密誘導ミサイルには使用できない。
骨董品のポンコツ兵器をあてがわれて、戦場へ送られるロシア兵はまさに「死地へ赴く」ことになる。戦争はすべて愚かしい殺人行為だが、これほど自国の若者たちを殺害するバカバカしい戦争は前代未聞だろう。先の大戦末期を行った日本の学徒動員に勝るとも劣らない。
プーチン氏は一日も早く自身の愚かさに見切りをつけて戦争終結を宣言して引退し、戦後処理を後任に託すべきだ。これ以上晩節を汚して、世界史に「愚かな独裁者」の汚名を記さないためにも、引退すべきだ。