いえいえ、私が落としたのは黄金の斧ではありません、鉄の斧です。
<1世帯10万円の新型コロナ関連の給付金を、山口県阿武町が誤って全世帯分の4630万円を男性に振り込み町が返還を求めている問題です。男性(24)は「金をネットカジノで全部使った」と説明していることがわかりました。
この問題は、1世帯10万円の給付金について、町が振り込みの作業を誤り、対象の全世帯分4630万円を町内に住む男性の個人口座に振り込んだものです。男性は返還を拒み連絡が取れなくなったことから、町は金の返還と、弁護士費用など5100万円あまりの支払いを求める訴えを起こしました。 男性の弁護士は16日会見で、男性は「金を使い切った」「一銭も返せない」と説明し、具体的な金の使い道は明らかにしませんでした。 JNNのその後の取材で、男性は関係者に「数社のネットカジノに全部使った」と説明していることが新たに分かりました。
男性の説明に対し、山口県阿武町の花田憲彦町長は5月17日、 「あれだけの大きなお金がいっぺんに消費されるということはなかなか考えにくかったわけですが、そういうこともあったのかなと」としたうえで、「今ここでそうですか、断念しますというふうなことは全く思っておりません」などと話しました。 花田町長は、裁判などを通じて金の流れを明らかにしていきたいとしています>(以上「テレビ山口」より引用)
この問題は、1世帯10万円の給付金について、町が振り込みの作業を誤り、対象の全世帯分4630万円を町内に住む男性の個人口座に振り込んだものです。男性は返還を拒み連絡が取れなくなったことから、町は金の返還と、弁護士費用など5100万円あまりの支払いを求める訴えを起こしました。 男性の弁護士は16日会見で、男性は「金を使い切った」「一銭も返せない」と説明し、具体的な金の使い道は明らかにしませんでした。 JNNのその後の取材で、男性は関係者に「数社のネットカジノに全部使った」と説明していることが新たに分かりました。
男性の説明に対し、山口県阿武町の花田憲彦町長は5月17日、 「あれだけの大きなお金がいっぺんに消費されるということはなかなか考えにくかったわけですが、そういうこともあったのかなと」としたうえで、「今ここでそうですか、断念しますというふうなことは全く思っておりません」などと話しました。 花田町長は、裁判などを通じて金の流れを明らかにしていきたいとしています>(以上「テレビ山口」より引用)
町職員が誤って463人分の給付金4630万円を一人に送金したために山口県の町が全国ネットのニュースに毎日のように取り上げられている。なぜ町が送金ミスに気付いた段階で、直ちに送金口座の「仮差押え」をしなかったのだろうか。
あるいは町のミスにより、男性の口座を「仮差押え」することに躊躇する気持ちがあったのかも知れない。しかし公金を扱う者としての自覚があるなら、一時的とはいえ公金が間違って処理されれば直ちに公金の所有権を最大限主張するのが責務ではないだろうか。
口座差し押さえに対して男性が異議申し立てを行えば、誤って送金した公金の返還を条件に差し押さえ解除すれば良かっただろう。仮差押えの間に男性に迷惑がかかったのなら、男性側からの訴えにより、然るべき賠償を町が行えば良かったのではないか。
いずれにせよ、公金に対する責任感が欠如しているとしか思えない町の対応により、男性の「4630万円の返還拒否」と「ネットカジノで失った」とする馬鹿げた言い訳が罷り通ってしまった。男性が立てた弁護士が「(男性に)返還する気はあるが、(ギャンブルでスッてカネがないから)返還できな」という男性の口上を記者会見で述べていたが、本当にネットカジノで使い果たしたという証拠を確認したのだろうか。
男性の申し立てを鵜呑みにして弁護士が記者会見で述べた、というのならお粗末な弁護士だということになる。なぜならネット取引は必ず事後検証が出来るからだ。これから町の返還請求事件として裁判が始まるが、町側の弁護士は必ず男性のアカウントとネットカジノの電子記録をサーバーから取り寄せて検証するだろう。
そうすると何月何日の何時何分に××に幾ら賭けて幾ら損したか、といった詳細な記録がすべて明らかになる。4630万円すべてを一週間ほどの間にスッたと立証されれば隠匿罪は問われないが、幾らかでも残っていると実証されれば、町へ返還しないで隠匿して詐称しようとした罪が成立する。決して軽くはない判決が下される可能性があるし、男性の口上をそのまま記者会見で述べた弁護士はポンコツの烙印を貼られることになる。
テレビで愚かな評論家が「普通に暮らしていた24歳の男性を犯罪に走らせた責任は誤って4630万円を振り込んだ町にある」とシタリ顔で言っていたが、誰にでも誤りや失敗はある。もちろん誤って振り込んだ町に責任はあるが、返還要請に訪れた町職員に対して銀行まで行って「返さない」と翻意した青年に問題がないのだろうか。
そしてネットカジノで全額スッたと言い張る青年は清廉潔白なのだろうか。公金の扱いに関して町職員や町長の責任は問われるだろうが、問題が発生したのは誤って送金された公金を返還しないと決めた青年の行動がすべてだ。彼は泉に鉄の斧を落とした樵が、泉の女神が金の斧を差し出して「これは貴方が落とした斧か」と問われ、「いえいえ、私が落とした斧は鉄の斧です」と返答した童話を読み聞かせてもらったことがないのだろうか。
正直者が損をする社会にしてはならない。労せずして大金を手に入れるのが「成功者」だとする風潮は決して良くない。まだ24歳と若い青年には酷かもしれないが、彼には黄金の斧を自分のだと言い張った樵がどうなったか、童話の続きを読むことをお勧めする。