仁徳天皇が高殿に登られた故事を忘れるな。

<最近の中国については、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)による経済の悪化が懸念されるほか、ロシアのウクライナ侵攻による影響も注目されている。

 中国の経済を語るときに避けられないのは統計の問題だ。かつて筆者の研究では、中国の統計システム・組織はソ連から移植されたもので、本家のソ連は各種経済統計を国家創設の1922年から崩壊する91年までごまかし続けたという史実を指摘した。70年にわたる改竄(かいざん)により、国内総生産(GDP)は3倍に水増しされていた。これらの事実は、ソ連が崩壊したので明らかになったが、著名なノーベル経済学賞受賞者もだまされていた。
 今の中国でも、GDP速報の時期が先進国と比べて非常に早いという不自然さもある。統計を改竄しにくい貿易統計から推計すると、GDP水準にも疑義が出てくる。GDPの変動も、国際経済の激動から見ると不自然なほど緩やかだ。
 何よりまともな失業率統計がないのでマクロ経済統計をキチンとチェックできないのは、統計の信頼性以前の問題だ。
 そうした前提のうえで中国の現状を想像するに、かなり苦しいはずだ。これまでロシアを擁護してきたが、国際社会の風当たりも強く、表向きは支援しにくい。
 ただし、後述するように、世界は、民主主義国と専制国家のデカップリング(切り離し)が進行していくので、結果として、中国経済が影響を及ぼすのは主に非民主主義国にならざるを得ない。
 デカップリングは、財やサービスの貿易だけでなく、カネの資本取引でも進むだろう。民主主義の先進国は資本取引の自由があるが、専制国家の中国では資本取引が規制されてきた。しかし、中国は資本取引を規制しつつ外資を導入し、「技術」をうまくかすめ取ってきた。
 日本もお人よしで、中国への投資を行ってきたが、まともな投資の果実が少ない中、日本からの技術移転を中国は享受してきた。
 それが今後は資本のデカップリングで、中国もうまい汁を吸えなくなる。となると、成長のエンジンがなくなるわけで、1人当たりのGDPが1万ドルを長期に超えにくいという理論が現実味を帯びてくるかもしれない。その理論では、民主主義国だと資本取引が自由で、その際、技術移転がなされることが前提になっている。
 中国のゼロコロナ政策はやり過ぎだが、専制国家ではしばしばある極端なことだ。ウクライナ問題で忘れられているが、不動産不況も出口は見えない。
 世界各国で注目されている経済安全保障の点からも、安全保障で民主主義国と専制国家で分かれるだろうから、経済でも分かれるはずだ。かつてのように「安全保障と経済は別」とはいえなくなったのだ。
 中国は、日本へのインフラ投資をしてきており、日本はコスト面だけの観点で受け入れてきたが、今から見れば甘い考え方が前提だった。となると、この点からも中国は日本でのインフラ展開は苦しくなるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)




 中国経済がおかしくなっている。習近平氏が始めた「戦狼外交」と「武漢肺炎」時の医療物資を人質に取った中国の横柄な態度により、日本をはじめ先進自由主義諸国で対中デカップリングが進行している。
 そこにロシアのウクライナ侵略戦争により「経済安保」という思想が瞬時にして先進自由主義諸国に広がってしまった。先進自由主義諸国の対ロ経済制裁は、これまでに例を見ないほど見事に先進自由主義諸国が足並みを揃え、自国に不利益が及ぶにも拘らず整然と進められている。そのため「安売りのロシア石油」に飛びついたインドは恥ずかしそうに、後ずりするしかなくなった。

 高橋氏は引用論評に「中国が失う〝成長のエンジン〟 民主主義国と切り離し進み…日本でのインフラ投資困難に」と見出しを付けているが、高橋氏は中国の日本でのインフラ投資が欲しいのだろうか。中国が日本でインフラ投資して何を仕出かそうとしているのか、高橋氏は知っているのだろうか。
 中国はまず土地投資をしてきた。既に全国で静岡県に相当する面積の土地を買収しているという。ことに北海道の原野や水源地周辺の土地買収は常軌を逸している。そして今度は日本企業や投資信託を装った日本の企業買収に乗り出そうとしていた。ことに資本規模の小さな特殊技術を誇る中小企業に触手を伸ばしていた。そこは中小企業の選別を図る「構造改革論」の旗手・竹中氏やアトキンス氏たち金融再編論者たちとタッグチームを組んでいるかのような連係プレーぶりだった。

 安倍氏も岸田氏も外国投資家たちに「安倍を買え」だの「岸田を投資しろ」と保険のおばさん並みに勧誘しているが、果たして外国資本を入れなければならないほど国内資金は枯渇しているのだろうか。日本企業は投資するのに資金たる内部留保がゼロなのだろうか。
 外国投資家を勧誘すれば「配当所得への税制優遇」を維持しなければならなくなる。果たして「財産課税の重課」を目指そうとしていた「税制改革」を頓挫させている。それは国内富裕層への課税強化に逆行するものだ。バカな富裕層優遇税制を維持してでも、外国投資家を優遇しようとするのは米国DSの指示なのか、と疑わざるを得ない。

 日本は日本の金融資本と技術力で経済成長すべきだ。製造部門を海外移転させないで国内投資して生産性を向上させればGDPは確実に拡大する。しかも現在は円安という願ってもない条件まで整っている。米国の金利引き上げから、今後円安基調は変わらないから日本の輸出産業には追い風だ。
 あとは政治が経済成長を確実なものにする政策を実行するだけだ。無能・無力の政治が長く続き、GDPの約半分を占める経済の主力エンジンたる個人消費を消費税にブレーキをかけて来た。円安により消費者物価が上昇している今こそ、消費税を廃止すべきだ。今の日本は政治が国民の暮らしを良くするために機能するのか、それとも財政収入を優先して国民を貧困化させるのかの岐路に立っている。バカな財政審議会が「財政黒字化目標を堅持する」との提言を出しているが、国債発行残を縮小するためにこそGDPの拡大が必要だ。政治は財政黒字化のためにあるのではない、国民を豊かにするためにある。仁徳天皇が高殿に登られた故事を忘れてはならない。

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