社会インフラを潰す「民営化」。

<JR西日本は、路線の維持が困難なローカル線について、初めて路線ごとの収支を公表しました。

 収支が公表されたのは、1キロ当たりの1日平均乗客数、「輸送密度」が、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年度に2000人未満だった路線で、合わせて17路線、30区間です。 30区間すべてで、営業損益が2億円から34億円あまりの赤字でした。(2017年度から2019年度の平均) 
 特に対象となっている路線が多いのは中国地方で、岡山県や広島県の山間部を走る芸備線など、21の区間が対象になっています。 運輸収入を営業費用で割った収支率が最も低かったのが、芸備線の、東城~備後落合の区間で、営業損益が2.6億円の赤字、収支率は0.4%です。(2017年度から2019年度の平均) 
 営業損益で最大の赤字だったのが、山陰線の出雲市~益田間で、営業損益が34.5億円の赤字、収支率は22.4%でした。(2017年度から2019年度の平均) JR西日本の長谷川社長は、ことし2月の会見で、利用客の少ないローカル線について、「大量輸送という鉄道の特性を生かせていない」として、路線・区間ごとの収支などを公表する考えを示しました。 
 赤字路線の実情を知ってもらい、鉄道を存続させるのか、バスなど他の交通手段に転換するのか、沿線自治体などとの議論に生かす狙いですが、沿線自治体に波紋が広がるのは必至です。 JR西日本総合企画本部地域共生部の飯田稔督次長は11日の会見で、「コロナを通して人々の行動変容が一気に進み、当社がこのまま単独でやっていくというのは非常に難しい」と述べました。 公表された線区は以下の通りです。 (収支率は、運輸収入を営業費用で割ったもの。収支率と収支は2017年度から2019年度の平均) 
【小浜線】   ・敦賀~東舞鶴 (収支率)14.8%(収支)マイナス18.1億円(輸送密度)991人/日  
【越美北線】   ・越前花堂~九頭竜湖 (収支率)7.3% (収支)マイナス8.4億円(輸送密度)399人/日 
【大糸線】 ・南小谷~糸魚川 (収支率)3.7%(収支)マイナス5.7億円(輸送密度) 102人/日 
【山陰線】 ・城崎温泉~浜坂 (収支率)11.8%(収支)マイナス11.8億円(輸送密度)693 人/日 ・浜坂~鳥取 (収支率)11.8%(収支)マイナス8.5億円(輸送密度)921人/日 ・出雲市~益田 (収支率)22.4%(収支)マイナス34.5億円(輸送密度)1,177 人/日 ・益田~長門市(収支率)7,6%(収支)マイナス11.5億円(輸送密度) 271人/日 ・長門市~小串・仙崎 (収支率)8.3%(収支)マイナス9.5億円(輸送密度)351人/日 
【関西線】 ・亀山~加茂 (収支率)14.6%(収支)マイナス14.6億円(輸送密度)1,090人/日 
【紀勢線】 ・新宮~白浜 (収支率)19.0%(収支)マイナス28.6億円(輸送密度)1,085人/日 
【加古川線】 ・ 西脇市~谷川 (収支率)6.4%(収支)マイナス2.7億円(輸送密度)321人/日 
【姫新線】 ・播磨新宮~上月 (収支率)13.3%(収支)マイナス6億円(輸送密度)932人/日 ・上月~津山 (収支率)11.3%(収支)マイナス4億円(輸送密度)413人/日 ・津山~中国勝山 (収支率)16.4%(収支)マイナス4.1億円(輸送密度)820人/日 ・中国勝山~新見 (収支率)7.4%(収支)マイナス3.5億円(輸送密度)306人/日 
【播但線】 ・和田山~寺前 (収支率)29.4%(収支)マイナス7.3億円(輸送密度)1,222人/日 【芸備線】 ・備中神代~東城 (収支率)2.4%(収支)マイナス2億円(輸送密度)81人/日 ・東城~備後落合 (収支率)0.4%(収支)マイナス2.6億円(輸送密度)11人/日 ・備後落合~備後庄原 (収支率)2.4%(収支)マイナス2.6億円(輸送密度)62人/日 ・備後庄原~三次 (収支率)11.5%(収支)マイナ2.5億円(輸送密度)381人/日 ・三次~下深川 (収支率)14.9%(収支)マイナス13.2億円(輸送密度)888人/日 
【福塩線】 ・ 府中~塩町 (収支率)3.9%(収支)マイナス6.5億円(輸送密度)162人/日 【因美線】 ・東津山~智頭 (収支率)5.1%(収支)マイナス3.9億円(輸送密度)179人/日 
【木次線】 ・宍道~出雲横田 (収支率)7.6%(収支)マイナス7.2億円(輸送密度)277人/日   ・出雲横田~備後落合 (収支率)1.5%(収支)マイナス2.7億円(輸送密度)37人/日  
【岩徳線】 ・岩国~櫛ヶ浜 (収支率)25.4%(収支)マイナス5.4億円(輸送密度)1,246人/日 
【山口線】 ・宮野~津和野 (収支率)17.7%(収支)マイナス8.4億円(輸送密度)678人/日 ・津和野~益田 (収支率)14.7%(収支)マイナス5.5億円(輸送密度)535人/日 
【小野田線】 ・小野田~居能等 (収支率)9.3%(収支)マイナス2億円(輸送密度)444人/日 
【美祢線】・厚狭~長門市 (収支率)15.9%(収支)マイナス4.4億円(輸送密度)478人/日>(以上「関西テレビ」より引用)



 公共交通機関から民営化した時点でローカル線が切り捨てられるのは分かっていた。しかも「分割民営化」という悪手を使い、当然赤字となる北海道や四国などには一時金を出して「当分の間」路線が維持できるようにし、やがて限界を迎えたなら「廃線」を選択するように仕向ける戦略だった。
 そうした案に乗った与党国会議員(当然ながら与党国会議員を支持した国民)たちによって、国鉄が分割民営化され「社会インフラ」の民営化の先鞭をつけた。そして「公から民へ」という掛け声で社会インフラを担っていた公営企業が相次いで「分割」民営化された。

 そもそも社会インフラは国民生活にとって欠かせない共有資本財であって、「公」が税金で管理運営すべきものだ。それを事業体と捉え、利益が出なければ廃止すべき、などと云った乱暴な議論に置き換えたのが「構造改革」だった。
 それなら「警察」や「消防」は儲かっているのか、利益が断出ているのか。海保は儲かっているのか、自衛隊は儲かっているのか、国家として利益が出ているのか、という検証を国会はしていないだろう。なぜなのか、いうまでもなく「必要」だからだ。必要な社会インフラだから税金で維持しているのではないだろうか。

 同じ考えで行くならば、全国を分割民営化した高速道路にも云えるだろう。赤字路線は廃止して国道に戻せば良いのだが、そうすれば高速道路会社が損をするだけだから、決して「高速道路の廃止」は議論の俎上に乗らない。
 しかし鉄道の場合は廃止したら鉄道がとおらなくなり、道路としても使えないため鉄道会社は「安心して」廃線を決定する。なぜ地域の「道路」として利用できるようにしないのだろうか。少なくとも急勾配の少ない鉄道なら、サイクリング道路として整備可能ではないだろうか。だが社会インフラを「赤字」か否かだけで語ってはならない。それこそ均衡ある国土開発のためにも、鉄道は必要だ。

このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。