日本の未来への投資をケチるべきではない。

<文部科学省は2022年4月12日、次世代半導体の研究開発や人材育成に向けた戦略事業で東京大学など3大学を採択したと発表した。2040年ごろの社会で必要になる半導体技術を想定して、国内外のさまざまな組織が連携して研究開発ができる拠点を構築する。将来的には半導体技術を基にした付加価値の高いサービスを提供し、日本の競争力を高める狙いだ。

 今回の「次世代X-nics半導体創生拠点形成事業」で採択したのは東京大学と東北大学、東京工業大学の3拠点。大学を中心にさまざまな組織が連携できる開かれた拠点づくりを目指す。異分野の連携(掛け算)や新しい切り口の研究開発などを象徴する「X」を事業名に盛り込んだ。
 半導体の材料の探求からICチップの設計や試作、評価まで一貫した研究開発体制を構築する。新しいICの構想や半導体製造プロセスの幅広い知識をそなえた人材を育成することも想定する。

 採択された事業は次の通り。(1)東京大学の「Agile-X(アジャイルエックス)~革新的半導体技術の民主化拠点」では、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)との提携や、先端システム技術研究組合であるRaaSによる産学連携などを生かして開かれた拠点づくりを計画する。(2)東北大学の「スピントロニクス融合半導体創出拠点」では、スピントロニクスを中核に据え、新材料・素子の研究開発とその特性を引き出す回路・アーキテクチャー・集積化技術の研究開発、プロトタイプ検証までを行う。(3)東京工業大学の「集積Green-niX(グリーンニクス)研究・人材育成拠点」では、グリーンな半導体実現に向けて、システム・回路・デバイス・プロセス・材料の集積研究と人材育成を実施する。
 事業期間は2021~2031年度までの11年間で、2022年度は1拠点につき3億円ほどの研究開発費を投じる。さらに2021年度の補正予算では環境整備費として計30億円の補正予算を充当しており、これを繰り越す。
 日本の半導体デバイス産業は1990年代以降、家電メーカーの衰退とともに競争力の低下が続いている。一方、足元ではIoTや各種デジタルサービスの世界的な普及に合わせて、半導体の重要性は高まっている。政府は人材育成などを想定した長期的な支援に本腰を入れることで、半導体産業の再興に向けた歩みを進めていく考えだ>(以上「日経新聞」より引用)



 かつて日本は世界半導体生産の半分を担っていた。それを脅威と捉えた米国によって「半導体戦争(1985-1986年)」を仕掛けられ、日本は半導体製造から手を引き、台湾と韓国に技術移転した。
 それから約半世紀たって、米国はやっと日本の重要性に気付いた。あるいは台湾と韓国に日本の技術を移転させたかつての米国の半導体戦略が誤りだったと気付いた。米国以外のどの国が半導体を製造するのが米国にとって最も安全か、という米国の安全保障の観点から半導体戦略を考え始めた。

 韓国と中国と米国の間で揺れ動き、とても米国が頼りにすべき国ではない、と気付いた。台湾は地理的に中国と近すぎるため、いつ台湾有事が起きてTSMCが操業不能にならないとも限らない。
 しかも日本には半導体製造に欠かせない精密部品や開発・技術力がある。一貫してアジアの西側諸国のリーダーとして活躍して来た実績がある。唯一有色人種の国としてG7に参加しているのは日本だし、GDPにおいて米国、中国に次ぐ第三位の経済大国でもある。

 日本政府は恐らく米国からそうしたシグナルを受け取って、半導体製造への研究開発に本気で乗り出したのだろう。まずは研究者を育成すべく国内大学三ヶ所に研究予算を投じて半導体の基礎研究と戦端開発に乗り出した。誠に慶賀の到りだ。
 ただ一ヶ所年3億円は余りに少なすぎはしないだろうか。例えばオランダ製の半導体製造用の機器を一つとして買えない金額だ。それとも政府がそうした機器を購入して各大学に供与するのだろうか。日本の未来を託す産業の大きな柱の研究開発に予算をケチってはならない。三ヶ所の大学の研究所以外にも、半導体の開発に乗り出す大学があるなら、積極的に支援すべきだ。半導体関係の技術者を育成する裾野を広げるための予算こそ日本の未来への投資だ。

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