恩を忘れたロシアに二度と手を貸す国はない。

<来月9日の対独戦勝記念日に向け、ウクライナ東部の制圧に注力しているロシア。記念日には国内でパレードを行うほか、ウクライナ南東部の要衝マリウポリでパレードの一環として住民を練り歩かせる計画も浮上している。ただ、メモリアルデーを“無事に”迎えられるかは疑問だ。

 主要金融機関が加盟する国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)は20日、今月4日満期のドル建てロシア国債を巡り「潜在的なデフォルト(債務不履行)」と認定。ロシアが元本と利子をドルではなく自国通貨のルーブルで埋め合わせ、ドル払いの約束を反故にしたからだ。
「今月上旬には、大手格付け会社がロシアを『部分的デフォルト』と認定していました。来月4日までの支払い猶予期間中にドルで払えなければ、契約違反で正式にデフォルトとなる見通しです。期限までに支払えば、デフォルトを回避できる可能性はありますが、そもそもドルで支払いたくても、経済制裁を受けているので支払えないでしょう」(金融ジャーナリスト・小林佳樹氏)

「鎖国経済」でますます弱体化
  ロシアがドル建ての支払いを迫られているのは、国債2本の元本・利子の計6億4920万ドル(約830億円)。ロシアの外貨準備高6065億ドル(今月1日時点)のうちドルの比率は約1割だ。数字上は約600億ドルを保有しているが、外貨準備は通貨ごとに各国の中央銀行に預けられている。ロシア中央銀行は欧米から資産凍結されているため、ドルで支払う術がないに等しい。
「主要格付け各社は、ロシア債の格付け評価を取りやめています。海外投資家向けの債券発行の窓口が閉まっている状態なので、ロシアは海外から資金を調達できない。中国やインドなどが制裁の抜け穴になっているとの指摘もありますが、そうした親密国がロシアから石油や天然ガス、金を買うことはあっても、ロシア国内に投資を続けるかは疑問です。事実上、国際金融市場から締め出されたロシアは『鎖国経済』にならざるを得ない。来月4日のデフォルトはある意味『既定路線』であり、ロシア経済はますます弱体化していくでしょう」(小林佳樹氏)
 ロシアの外貨建てのデフォルトは、ロシア革命で帝政が崩壊した1917年以来、ほぼ100年ぶり。
 ロシアのシルアノフ財務相は西側が国債をデフォルトに追い込もうとすれば法的措置を取るとの考えを示しているが、戦勝記念日の直前に“国家破産”となれば、何とも皮肉な話だ>(以上「日刊ゲンダイ」より引用)



 国家財政が破綻(デフォルト)に陥ったらどうなるのか。ロシアは1998年に国家破綻を経験している。1991年のソ連解体後のロシアでは92年から急激な経済改革が開始されたが、ハイパーインフレに見舞われるなど多くの混乱が生じた。その後インフレが鎮静化し、回復の兆しが見られたものの、97年のアジア経済危機の影響を受け、98年に金融危機が発生した。
 それまでロシア政府は国内の資金不足を補うため次々と国債を発行していたが、国際的にロシア経済への不安が高まるにつれ、ロシア国債の価値は下がり、その金利は100%を超えるほどに急上昇。ロシアは借金を返せる見込みがなくなり、それまでロシアを支援してきたIMF(国際通貨基金)からお金を借りることもできなくなったた め、「しばらく借金は返せません」とデフォルトを宣言した。

 1998年の経済破綻をロシアがいかにして乗り切ったのか。それはIMFが全面的にロシアを支援し先進自由主義諸国もロシア経済の再建に力を貸したからだ。つまりIMFがロシアのための再建策を作成し、それに従って政策を実施した。そして1999年に国際石油価格が高騰したことや、ルーブル切り下げの効果で国内の産業が復調し始めたことなどを背景に、経済は成長に転じた。
 ウクライナ侵攻開始前までは、BRICsの一角と して注目されるまでに至っていた。しかし、すべてはプーチン氏が台無しにした。ウクライナ侵攻により先進自由主義諸国は経済制裁を科し、進出していた自由主義諸国の企業は相次いで撤退した。1998年の経済破綻から二十数年が経過したはいえ、ロシアの先端技術や軽工業の基盤は弱いままだ。部品が入らなければ殆どの工業製品が製造できない、という点では中国経済と構造が酷似している。

 国家経済破綻に見舞われれば国民の暮らしをハイパーインフレが襲い掛かる。物価高騰により給与所得者や年金生活者の暮らしが破綻する。もちろん公務員も暮らしが成り立たなくなる。兵士や警察官も暮らせない報酬では不満が鬱積する。
 価格統制例を敷いて物価抑制を行ったとしても、政府の命に従っていては商売人も暮らせなくなる。社会不安が高まり治安が悪化する。そこにウクライナの戦争がプーチン氏が仕掛けた侵略戦争で、戦況は決して良くないという噂が駆け巡れば、プーチン氏から民心は離れるだろう。

 戦争遂行を支えるのは国民の政権支持と同時に国家の経済力だ。間もなくプーチン氏はその両方を失うだろう。ウクライナ戦争が10年戦争になるだろう、というのは戯言でしかない。
 水鉄砲で戦争しているとして、樽が用意できた陣営と洗面器しか用意できなかった陣営が水鉄砲で水の掛け合いをしている場面を想像して頂きたい。樽の溜水で水を掛けるのは当初は勢いが良くても樽の水は使えばなくなる。それに対して水を洗面器ほどしか用意できなくても、ホースから洗面器に水が絶え間なく注ぎ込まれれば、結局は洗面器の水の方が勝つだろう。ロシアの樽は間もなく空になる。
 しかも今回はIMFの支援は決して望めない。なぜならIMF(国際通貨基金)の最大の出資者は米国17.46%であり、次は日本6.48%だからだ。第三位は中国だが6.41%で一位と二位の決定を覆す力はない。ちなみに第四位はドイツで5.60%だ。

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