一つの独裁国家が消える日。

< ロシアのプーチン大統領は16日、米国およびその同盟国とひそかに協力していると自身が見なしている「くずどもと裏切り者」をロシアから一掃すると警告した。

 大統領はテレビ放映されたビデオ会議で、西側諸国がロシアを破壊することを望んでいると主張した。ウクライナ軍事侵攻から3週間経過し、ロシアは西側の制裁で経済破綻のリスクに直面している。
 プーチン氏は「どのような人、特にロシアの人々は、くずどもと裏切り者を愛国者と常に見分けることができ、誤って口の中に飛び込んだ小虫のように吐き出すことができる」と発言した。
 大統領はさらに、「この自然で必要な社会の自浄が、わが国とわれわれの連帯、団結、課題対処への準備を強めるだけだと私は確信している」と述べた。
 2日前にはロシア国営テレビのニュース番組の生放送中に女性プロデューサーが乱入し、ウクライナでの戦争に反対を訴える異例の出来事があった。ロシア国営テレビで反戦訴えた女性に罰金3万円、さらに厳格な処罰も>(以上「Bloomberg」より引用)



 ついにプーチン氏は発狂したか。ウクライナ侵攻を「正義の戦争」だと国民に散々嘘を吐き、独裁者の名誉欲だけのためにウクライナ侵略戦争を始めたことを、西側諸国がロシアに攻め込むのを防ぐための緩衝地帯が必要だ、と詭弁を弄してきた。それだけでは足らず、国内に潜む裏切り者をいつでも追放するぞ、と被害妄想を全開にして叫びだした。
 なんとも哀れな男だ。ウクライナへ攻め込まなければならない必然性も、ゼレンスキー政権を倒さなければならない論理性も何もないまま、ウクライナに軍事侵攻して多大なる損失を祖国ロシアに与えただけではなく、ロシア国民に国家破綻の塗炭の苦しみを味あわせている。

 ウクライナ侵攻の動機として、プーチン氏は国土防衛を主張しているが西側諸国がいつロシアに攻め込む謀議をしたというのか。NATOが存在するのはソ連が「世界共産主義革命」を標榜して革命家を世界へ潜入させていたからだ。当時はソ連もワルシャワ条約機構を設立して対抗していたではないか。
 現に前米国大統領はNATOの存在意義に疑義を挟んで、米国はNATOから抜けようとしていたではないか。そうした緊張緩和の歴史の流れに棹差して、チェチェン紛争を起こしたり、ジョージア侵攻したり、と旧ソ連当時の版図をロシアが取り戻す野望を勝手に掲げて、既に独立している東欧諸国にチョッカイをかけていたのはプーチン氏の方ではないか。

 ウクライナのゼレンスキー大統領が不人気であろうとなかろうと、ロシアのプーチン氏が関与すべき問題ではなかった。いや、むしろロシアは数百年に亘りウクライナの地を狙っていた。過去の帝政ロシア時代からせっせとウクライナの地にロシア人を入植させて、ロシア化の既成事実を百年以上に亘って積み重ねて蚕食していたのはロシアではなかったか。
 2014年にクリミア半島を強引な住民投票で「ロシアへの帰属」を決議させて併合し、さらにウクライナ東部のロシア人が多く入植している地域の併合に野心を滾らせた。いや、それだけでは物足りない、この際全ウクライナを併合してやる、と2月24日に軍事侵略の挙に出た。

 プーチン氏は欲を搔いたばかりに元も子もなくしたようだ。確かにウクライナはロシアと比較すればGDPは155.3万ドルとロシアの1/10ほどで世界55位の国だ。人口も4,4413万人とロシアの1憶4千万人とは比較にならない。
 だからプーチン氏はロシア軍が攻め込めばウクライナは戦わずして降参すると考えた。しかし、そうした甘い考えが誤算の始まりだった。プーチン氏のウクライナ侵略に関する計画に誰も異を唱えなかったのではないか。なぜなら異を唱えれば忽ち独裁者プーチン氏によって粛清されるからだ。だからプーチン氏の周囲はイエスマンばかりとなっていた。

 ロシアの苦境に最もショックを受けているのは習近平氏ではないか。おそらくプーチン氏は北京五輪開会式に訪中した際、習近平氏に「二面作戦」を持ち掛け、習近平氏は応諾していたのではないだろうか。「二面作戦」とはロシアがウクライナへ攻め込み、中国が台湾に侵攻する、という米国の戦力を「二面」に分割する作戦だ。
 しかしロシアがウクライナで手こずり、苦境に陥っているのを目撃して、習近平氏は青くなっているだろう。なぜなら軍事力で米国と対峙できる軍事大国はロシアだと信じていたからだ。中国軍が装備している近代兵器は殆どすべてロシア製兵器のコピーだ。しかもオリジナルから性能の劣る劣化コピー兵器ばかりだ。陸続きのウクライナでロシア陸軍が簡単に勝利できないのに、渡海して戦わなければならない中国が台湾で簡単に勝利することが出来ないのは明らかだ。

 ウクライナは最新携帯兵器の見本市になってしまった。いかに重装備の戦車といえども、一発の携帯式のミサイルで撃破される。ドローンを使えば高度から敵の陣形を知ることも簡単だ。ロシアは最新式の兵器開発を行っていたが、全軍装備にまでは到ってなかった。ロシア兵の装備品は前世紀の遺物のようなものでしかない。
 軍事予算の多くが将軍や軍官僚たちによって分け取りされていた。ロシアの腐敗は凄まじいものだと知れたが、中国の腐敗もロシアに負けず劣らずではないか。習近平氏は軍の先端兵器の性能の再点検の必要を痛感しているはずだ。この秋にも台湾進攻があるだろう、と推測する軍事評論家がいるが、その可能性は極めて低いとみなさなければならない。
 先進自由主義諸国はプーチン氏の横暴を許したこともウクライナ侵攻の一因になったことを反省し、中共政府の「一つの中国」というプロパガンダを明確に否定すべきだ、と気付いたはずだ。台湾は独立国だ、と世界が認めて、むしろ中國こそが民主化すべきと勧告すべきだ。

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