中國は「張子の虎」ですらなくなりつつある。

今年も米中対立は続く さらに激化する恐れも
 バイデン政権が発足してからちょうど1年となるが、バイデン政権になっても中国への厳しい姿勢は続いた。バイデン政権の発足当初、一部にはバイデン政権になって米国の対中姿勢が軟化するのではないかとの指摘もあったが、同政権はトランプ政権同様に厳しい姿勢を貫いている。異なるところがあるとすれば、バイデン政権が新疆ウイグルの人権問題を前面に押し出す形で中国に迫り、昨年は人権デューデリジェンスへの意識が世界企業の間で拡がった。その影響で企業の中には輸出入制限や調達先変更など経済活動で大きな制限を受ける動きも多く見られた。

 対中国で米国と他の欧米諸国が接近し、米国主導の対中有志連合なるものが表面化したことも大きな特徴だ。たとえば米国と英国、カナダやEUは昨年3月、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル族に対するジェノサイドや人道に対する.罪を続けているとして関係当局者らに対する経済制裁を発動した。また、バイデン政権は自由で開かれたインド太平洋を実現すべく日本とオーストラリア、インドとの多国間協力クアッド(QUAD)の動きを加速化させ、英国とオーストラリアとは新たな安全保障協力枠組みオーカス(AUKUS)を創設するなど対中で各国との連携を強化した。さらに、昨年は英国やフランス、ドイツやオランダ、カナダなどの海軍が北東アジア海域にプレゼンスを示し、米軍や自衛隊と合同軍事演習などを実施するなど、欧州のインド太平洋へ関与する姿勢も鮮明になった。

 一方、台湾情勢を巡っては、フランスやオーストラリア、リトアニアなど欧米諸国の政治家が相次いで台湾を訪問しては蔡英文政権と関係を緊密化させたことで、中国の不信感が高まっている。それによりいつか台湾有事が発生する恐れがあるとして、台湾有事における邦人保護という議論も国内で活発化するようになった。たとえば、自民党の高市早苗政調会長は12月19日、都内で開催された講演会の席で台湾有事に言及し、どのように邦人の保護や非戦闘員の退避を行うのか、日本と台湾で早く協議しておかないといけないとの見解を示した。また、年明けの7日に行われた日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で米国のブリンケン国務長官は冒頭から中国を名指しで非難し、共同声明では中国による一方的な現状変更政策に対して日米がいまだかつてなく統合された形で対応することが表明された。

バイデン政権が中国批判を強めざるを得ないウラ事情
 今年も基本的には去年の延長となる。米中対立が続き、バイデン政権は独自に中国へ制裁などを強化する一方、同盟国や友好国との連携を強化していくことだろう。米中は地球温暖化では協力できる可能性も示唆しているが、バイデン大統領も習主席も台湾や香港、新疆ウイグルなど核心的な部分では全く歩み寄る姿勢は見せていない。
 今後の米中関係の行方の占う上で大きなポイントになるのは北京五輪だ。既に米国と英国、オーストラリアとカナダ、リトアニアなどは閣僚などを開会式・閉会式に派遣しない外交的ボイコットを表明しているが、中国はそれを強く非難している。このような中、具体的に北京五輪に参加する米国や英国など欧米諸国の選手団からは自らへの影響を懸念する声も少なくない。たとえば、中国へ懸念を強めるオランダの地元メディアは1月中旬までに、同国オリンピック委員会が中国国内でのスパイ活動に強い懸念を抱き、北京五輪に参加するオランダ選手たちに自らが所有する携帯電話やノートパソコンを持ち込まないよう助言したという。オランダ選手たちは未使用の携帯などを用意するとも報道されている。外交的ボイコットを高々に宣言している国々の選手団もそれを警戒しているとみられ、今後は北京五輪最中における情報搾取などのスパイ活動を巡って問題が大きくなり、それが北京五輪後の米中対立に影響を与えることが考えられる。

 米中対立は既に後戻りできないところまで来ている。昨年12月、米国のシンクタンク「Ronald Reagan Presidential Foundation and Institute」が公表した世論調査によると、「米国にとって最も脅威となる国はどこか」とのアンケートに対し、ロシアが14パーセント、北朝鮮が12パーセントとなった一方、回答者の52パーセントが中国と回答した。
 2018年に実施された同じ調査で中国を脅威と回答した割合が21パーセントだったことから、3年間で大幅に増加したことになる。要は、中国への警戒姿勢が共和党民主党を問わず米国議会のコンセンサスになっているなか、それを支える米国民の間でもそれが浸透してきているのだ。そうなれば、中国に厳しい姿勢を貫くこと自体が支持拡大に繋がることになり、支持率低下が続くバイデン政権はこれまで以上に中国批判を強める可能性がある。今年も予期せぬ出来事で米中対立が一気に高揚するだろうが、まずは北京五輪が試金石となる>(以上「mag2」より引用)



 MAG2に掲載されたアッズーリ氏(専門分野は政治思想)の論評を引用させて頂いた。米中問題を扱った論評は概ね「中国脅威論」を煽り立てるのが通り相場だが、アッズーリ氏もその類から外れていない。
 評論家諸氏の多くは中国が盤石な軍事大国であるかのような認識しか示さないが、中国の実体経済はボロボロの状態に陥っていることを殆どの評論家は無視している。なぜなのか不思議でならない。

 中国の地方政府も多くがデフォルト状態だ。今年初め、前年中に公務員に支給したボーナスの返還を求める地方政府が続出している、というニュースが伝わった。現在では支給する給与を多くの地方政府で二割から三割カットしているという。
 中国では10人に1人が公務員だ。これまで公務員は高給取りということ以外にも、恵まれた年金や「袖の下」などの賄賂を取り放題で、国民の羨望の的だった。そして公務員は習近平氏を頂点とする中共政府の政権維持に欠かせない組織だ。なにがあっても公務員が離反するような措置は取り難いはずだ。しかし公務員も恵まれた職でなくなりつつある。

 去年高校や大学や大学院を卒業した新卒者の就職率は50%を切ったという。大勢の新卒者たちは田舎にも帰らず「柔軟性」のある職に就いている、と政府は説明している。「柔軟性」のある職種とはウーバーイーツやアルバイトなどのことだ。
 中国の若者の間で「横たわり族(躺平 タンピン)」という言葉が流行っているという。働かない、結婚しない、何もしないで横たわっているという意味だ。そうした若者が増えている社会とはどういう社会だろうか想像して頂きたい。少なくとも絶好調の経済で高度成長を続けている社会でないことは確かではないか。

 東北部の国境の町・鶴崗市が破綻したという。新築不動産取引は低調となり、中古住宅(主としてマンション)は投げ売り状態で、政府は最低価格を提示してそれ以下の値引きを禁じているが、国民は秘かに所有不動産を処分している。その主たる原因は不動産税(日本の「固定資産税」に相当する)の導入が確実だからだ。投機目的で所有しているに懸命状の不動産には価格の5%もの不動産税を毎年徴収される。5,000万円のマンションなら250万円もの税金になる。庶民はそれほどの税負担に耐えられない。それなら損をしてでも早く処分しなければ暮らしが成り立たなくなる。
 IT企業を狙い撃ちした中共政府は来月から海外株式市場に民間企業の株式上場を認める、というお触れを出したようだが、政府の胸先三寸で政策が「朝令暮改」するようでは、外国の株式市場が上場を歓迎するはずがない。決定的に不足している外貨獲得のために「鵜」を放って外貨を釜得しようとしているのだろうが、経済実態のない企業に投資するほど外国投機家たちはお人好しではない。

 中共政府が発表している経済統計は全く信用ならないため、確実な数値を列挙して説明できないもどかしさはあるものの、表面化している中共政府の困窮ぶりは痛々しいほどだ。しかし、それも中共が国民の富を収奪して来たツケというべきだろう。
 中共政府の中国は日本が歩んできた「失われた30年」をこれから経験するだろう。国民から信頼もなく、先進自由主義諸国からも見放された中共政府の中国が「失われた30年」を無事に乗り切ることが出来るのか。私には無理ではないかと思える。北京五輪の開会式に臨席した発言力のある国はロシアのプーチン氏だけだった。それが中国の今の現実だ。

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