プーチン氏を助ける習近平氏を批判せよ。

じつは、プーチンは「焦っている」
 ロシアが昨年末からウクライナの国境に10万人規模の軍を集結させたことを警戒する欧米諸国は、ウクライナ周辺の東欧地域に派兵する準備に入った。
 米国とロシアの関係は冷戦期以来の緊張状態にあると言われている。 
 ロシアは天然ガスで世界第2位、原油では世界第3位の生産量を誇っており、同国への経済制裁は世界経済全体に悪影響が及ぶ「諸刃の剣」にもなるが、「プーチン大統領にとって欧米諸国の経済制裁も想定内であり、ロシアの攻勢を食い止めるためには強硬な措置が不可欠だ」とする論調が強まっている。
 果たしてそうだろうか。 
 筆者は「ロシア経済は危機に瀕しつつあり、欧米諸国から追加制裁を科されることを非常に恐れている」と考えている。 
 天然ガスが話題になることが多いが、ロシア経済の屋台骨は原油である。ロシアの石油産業は同国のGDPの15%、輸出の40%、連邦財政の歳入の30%を占めている。 
 「ソ連崩壊を招いた大本の原因は1980年代後半の原油価格の急落であり、21世紀に入り世界の原油価格が再び上昇したことでプーチン大統領はロシアを大国の地位に復活させることができた」とする説があるくらいだ。 
 だが、いまそんなロシアの命運を握る石油産業に異変が生じつつある。

ロシアの虎の子が「枯渇」…?
 ロシアの昨年12月の原油生産量は日量1090万バレルで前月と同水準だった。 
 OPECとロシアなどの大産油国で構成されるOPECプラスは毎月日量40万バレルの増産を計画しているが、ロシアは自国に課された生産量の目標に4万バレル届かなかった。 
 ロシアの昨年の原油生産量は前年比25万バレル増の日量1052万バレルだったが、ソ連崩壊後で最高となった2019年の水準(日量1125万バレル)に達していない。 
 ロシアのノバク副首相は「今年の原油生産量は日量1080~1120万バレルに増加し、5月までにコロナ禍前の水準に戻るとしている」が、「夏の終わりまでコロナ禍前の水準に戻らない」とする懐疑的な見方が出ている。 
 ロシアの原油埋蔵量自体が減少していることが明らかになりつつあるからだ。

「経済制裁はなんとしてでも回避したい」本音
 ロシアを石油大国の地位に押し上げたのは、西シベリアのチュメニ州を中心とする油田地帯だった。巨大油田が集中し、生産コストが低かったが、半世紀以上にわたり大規模な開発が続けられた結果、西シベリア地域の原油生産はすでにピークを過ぎ、減産段階に入っている(過去10年で約10%減少)。 
 ロシアが原油生産量を維持するためには東シベリアや北極圏などで新たな油田を開発しなければならないが、2014年のロシアによるクリミア併合に端を発する欧米諸国の経済制裁の影響で技術・資金両面から制約を受け、期待通りの開発が進んでいない。 
 ロシア政府が2020年に策定した「2035年までのエネルギー戦略」では「2035年時点の原油生産量は良くても現状維持、悪ければ現在より約12%減少する」と予測している。その後ロシア政府高官が相次いで「自国産原油の寿命は20年に満たない可能性がある」とする悲観的な見方を示している。 
 西シベリア地域の油田の枯渇が進み自国の石油産業がじり貧となるリスクが高まる中で、ロシアにとっての喫緊の課題は、現在欧米諸国から科されている経済制裁の解除だ。 
 「ウクライナ情勢のせいで欧米諸国から追加制裁を科されることをなんとしてでも回避しなければならない」というのが本音だろう。 
 さらに、ロシア経済のもう一つの悩みは深刻な人口減少だ。

ロシアを襲う「人口減少」は日本よりヤバい
 ロシア連邦統計局は1月28日に、「同国の人口が昨年に100万人以上減少した」と公表した。 
 減少幅はソビエト連邦崩壊以降で最悪であり、日本の年間の人口減少数をも上回っている。経済が悪化したことで出生率が低下し死亡率が上昇しているロシアに対し、新型コロナのパンデミックが追い打ちをかけた形だ。 
 ロシア政府は2020年夏に世界で初めて新型コロナのワクチン(スプートニクV)を承認したが、自国産ワクチンに対する国民の根強い不信感から接種率が低迷している(40%台)。このことも出生率に悪影響をもたらしている。 
 「ロシアはいつでもウクライナに侵攻できる」とする論調が高まっているが、人口減少が深刻化する国が大規模な戦争を遂行できるとは思えない。 
 それだけではない。 
 新型コロナ以上に国民生活を苦しめているのはインフレだ。 
 ロシアでは2020年から食料品を中心にインフレが進んでいる。昨年12月のインフレ率は8.4%と中央銀行の目標値(4%)の2倍以上となった。
  ウクライナ情勢の緊迫化により通貨ルーブル安も進み、「輸入品の価格上昇でインフレ率が2桁になる」との懸念が高まっている。

本当は戦争できないロシア
 ロシアの中央銀行は昨年12月、主要政策金利を7回連続で引き上げており、金利高による景気悪化も現実味を帯びつつある。 
 プーチン政権の長期化への不満がこれまでになく高まっている中で、インフレと不景気の同時進行(スタグフレーション)が起きるリスクが生じている。ソ連崩壊後の1990年代前半のインフレや経済の混乱は極めて深刻だった。 
 忍び寄るインフレの足音がソ連崩壊時の悪夢をプーチン大統領の脳裏に呼び覚ましていたとしても不思議ではない。 
 強面に映るロシアだが、経済は非常に脆弱なのだ。

窮地のロシア
 欧米諸国が追加の経済制裁を発動すればロシアは確実に窮地に追い込まれる。 
 経済制裁には「効果が強すぎるとその意図に反して相手の軍事行動を惹起してしまう」という深刻な副作用がある。 
 追い込まれたロシアが経済を度外視した行動に打って出ることがないよう、国際社会は冷静かつ慎重な対応を講じていくべきだ>(以上「現代ビジネス」より引用)



 日本だけでなく米国の主要マスメディアは「ロシアがウクライナに侵攻する」と戦争危機を煽り立てている。しかし誰が何と言おうが、プーチン氏が「破れかぶれ」にならない限りウクライナ侵攻はあり得ない。
 なぜならロシアにウクライナ侵攻を「維持する」戦費調達の目途が立っていないからだ。バイデン氏はロシア軍がウクライナ侵攻すれば二日でウクライナの政権は崩壊する、と主張している。確かに二日ほどで強大なロシア軍によりキエフを占領され、ゼレンスキー政権は崩壊するだろう。しかし戦争はそれで終わりではない。

 占領地の治安回復と占領地の国民生活の確保が必須の「仕事」としてロシア軍に担わされる。それにロシアが耐えられるのか。自国民の食糧確保だけでも青息吐息なのに、占領地のウクライナ住民の食糧の手配まで可能なのか。
 ロシア原油の「枯渇」が心配されている。まさに原油生産と天然ガスはロシア経済の基盤だ。それを失えばロシア経済はたちまち崩壊する。独裁者プーチン氏の命すら危うくなる。歴史上、独裁者の末路がどうなっているか紐解くまでもない。

 北京五輪の開会式にプーチン氏が唯一の大国の元首として出席したのは商売のためだった。例年の10倍に当たる約11兆円もの天然ガス取引を習近平-プーチン会談で成立させたという。IOCは国ぐるみのドーピングが発覚したロシアへの制裁として、ロシアの北京五輪参加を認めていない。ロシア人選手は個人の資格で出場しているが、プーチン氏は堂々と貴賓席からロシア選手に声援を送った。それをバッハ氏は咎めもしなかった。
 まさに今回の五輪開会式貴賓席の顔を揃えたメンバーは腐敗した五輪の象徴だった。そして繰り広げられるアクロバットのような各種競技にアナウンサーは熱狂的な実況を行っているが、アレがスポーツだろうか。クルクルと宙を舞う危険極まりない「競技」がスポーツだとは認め難い。失敗すれば重篤な後遺症が残るのは確実な「競技」を五輪競技種目として認知するのは如何なものだろうか。

 さてウクライナ情勢だが、プーチン氏が正常ならロシアの軍事侵攻はあり得ない。なぜなら戦争は占領しただけで終わらないからだ。その後の様々な治安維持やウクライナ国民の食糧確保などの「義務」を果たさなければならないからだ。
 そしてロシアが軍事侵攻で破壊した橋や建物や社会インフラの復旧をしなければならない。更に軍事侵攻で破壊され混乱し停滞したウクライナ経済を立て直さなければならない。それもロシアの責任だ。放置すれば国際的な非難を浴びることになる。それに加えて欧米からの経済制裁が科される。それらにロシア経済は耐えられるのか。耐えられなければ、今度はロシアが崩壊する。引用記事は「窮鼠猫を噛む」を心配して、プーチン氏を追い詰めないようにしなければならない、と警告しているが、ウクライナ侵攻はプーチン氏が隠匿した22兆円にも上る金融資産を欧米によって凍結される覚悟もしなければならないだろう。独裁者は蜜の味だろうが、いつまでも独裁者の地位に拘って全てを失っては何にもならない。そうした愚を犯すほど、プーチン氏は愚かではないだろう。
 むしろ国際社会はプーチン氏の戦費調達に協力した習近平氏を批判すべきではないか。

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