ロシアの空威張りを許すな。

<ウクライナ情勢をめぐり12日に開かれた北大西洋条約機構(NATO)とロシアの「NATOロシア理事会」で、ロシアは10日に協議した米国に続き、NATOに対しても東方不拡大の確約やウクライナへの支援停止を強硬に要求。軍事力を行使する可能性を示唆しつつ、要求を受け入れるよう圧力をかけた。

 タス通信によると、露代表団を率いたグルシコ外務次官は同理事会後に記者会見し、ロシアはNATOに「国の安全を守るため、あらゆる軍事的・技術的措置を取りうると伝えた」と強調。「外交的手段がなくなれば、軍事的手段で脅威を排除する」とも警告した。
 ロシアは「軍事的・技術的措置」の内容について具体的な言及を避けている。露専門家の間では、欧州向けミサイルの増強などを意味し、即座にウクライナ侵攻を意味するものではない-との見方が支配的だ。経済低迷が続くロシアに、侵攻時の軍事費増大や欧米による経済制裁に耐えられる余力はないとの観測も強い。
 ただ、ロシアは「自国民保護」や「自衛権行使」などの名目でウクライナ侵攻を正当化する余地を残しており、あえて「措置」の内容を明確にせずにNATO側の疑念を拡大させ、交渉を有利に運ぶ思惑だ。
 グルシコ氏は、ウクライナ情勢の緊張緩和には、ウクライナ東部紛争の解決に向けた和平合意で、ロシア側に有利な「ミンスク合意」をウクライナ政府が履行することが不可欠だとも主張した>(以上「産経新聞」より引用)



 記事を読んで驚いた。「グルシコ外務次官は同理事会後に記者会見し、ロシアはNATOに「国の安全を守るため、あらゆる軍事的・技術的措置を取りうると伝えた」と強調。「外交的手段がなくなれば、軍事的手段で脅威を排除する」とも警告した」というではないか。
 強盗が刃物を振り翳してフェンスを乗り越えようとしているのに「家宅侵入してはいけない」と警告した者に対して、強盗が「お前たちが手物を持たなければ、危害は加えない」といいつつ、刃物を持つ手に力を込めているのがロシア・強盗だ。

 NATO軍がロシア国境に近いウクライナ領内に展開している、というのならグルシコ外務次官の言い分にも耳を傾ける必要があるが、ウクライナはNATOに加盟すらしていない。しかしロシアがウクライナ東部に「自国民保護」のために軍事侵攻する「余地を残している」という。
 これがロシアの「やり口」だ。ロシア国民を大量に入植させて、実質支配を目論み、やがて「住民に帰属を選択させる」という「民主的手法」により、クリミア半島を併合した手法の繰り返しを行おうとしている。ロシア人を一人でも入れたら国を奪われる、という経験に世界は学ぶべきだ。

 記事に「グルシコ氏は、ウクライナ情勢の緊張緩和には、ウクライナ東部紛争の解決に向けた和平合意で、ロシア側に有利な「ミンスク合意」をウクライナ政府が履行することが不可欠だとも主張した」とある「ミンスク合意」とは2014年9月5日にウクライナ、ロシア連邦、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国が調印した、ドンバス地域における戦闘(ドンバス戦争)の停止について合意した文書で、これは欧州安全保障協力機構(OSCE)の援助の下、ベラルーシのミンスクで調印された。
 議定書の項目は12個である。
1,双方即時停戦を保証すること。
2,OSCEによる停戦の確認と監視を保証すること。
3,ウクライナ法「ドネツク州及びルガンスク州の特定地域の自治についての臨時令」の導入に伴う地方分権。
4,ウクライナとロシアの国境地帯にセキュリティゾーンを設置し、ロシア・ウクライナ国境の恒久的監視とOSCEによる検証を確実にすること。
5,全ての捕虜及び違法に拘留されている人物の解放。
6,ドネツク州及びルガンスク州の一部地域で発生した出来事に関連する人物の刑事訴追と刑罰を妨げる法律。
7,包括的な国内での対話を続けること。
8,ドンバスにおける人道状況を改善させる手段を講じること。
9,ウクライナ法「ドネツク州及びルガンスク州の特定地域の自治についての臨時令」に従い、早期に選挙を行うこと。
10,違法な武装集団及び軍事装備、並びに兵士及び傭兵をウクライナの領域から撤退させること。
11,ドンバス地域に経済回復と復興のプログラムを適用すること。
12,協議への参加者に対して個人の安全を提供すること。

 その後にも協議は続けられ、議定書に続く覚書が2014年9月19日に調印された。この覚書は議定書の履行を明らかにした。調停の手段の中で合意されたのは次のとおりである。
1,両国の国境線から15kmまで範囲から重火器を撤去し、30kmの緩衝地帯を作ること。
2,攻撃行動の禁止。
3,セキュリティゾーン上での軍用機での戦闘の禁止。
4,全ての外国人傭兵を紛争地帯から撤収させること。
5,ミンスク議定書の履行を監視するためOSCEの作戦を開始すること。
 覚書は以上の5項目からなっている。

 ロシア・強盗が覚書を守っているか否かは詳細なニュースがないため判然としないが、少なくとも国境から30㎞の緩衝地帯をロシアは厳守すべきではないか。
 プーチン氏が強気で交渉に臨んでいるようだが、米国は一歩も譲歩してはならない。ミンスク議定書の遵守をロシアに求めれば良いだけだ。そして議定書と覚書に反した行動を取ったなら、直ちにOSCEの作戦を実施するとともに、最大レベルの経済制裁を課すべきだ。ロシアは空威張りしているが、実際に作戦行動を維持する財政余力はない。議定書の遵守を迫り、冷たく突き放すべきは米国の方だ。

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