社会主義体制の限界点。

<緊迫化するウクライナ情勢で、ジョー・バイデン大統領の米国とNATO(北大西洋条約機構)諸国との足並みがそろわない。ドイツは、ウラジーミル・プーチン大統領のロシアに宥和的だ。

 足元を見てロシアは米国への要求をつり上げている。「相互安全保障のための条約案」を突き付けたのだ(産経新聞、1月14日付)。米国にNATOをこれ以上、東方展開させないと確約させたうえに、旧ソ連構成国との同盟の拒否を求めるものだ。
 NATO加盟を望むウクライナやジョージア(グルジア)を念頭に置いたものとされるが、すでにNATOに加盟しているバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)との同盟関係解消を迫っているとも解釈できる。すべての核兵器はそれぞれの本土に引き揚げる―ともしており、欧州への米国の「核の傘」を弱体化させる狙いだ。
 米国がNATO非加盟の旧ソ連構成国と軍事協力を行うことを禁じ、「いかなる枠組みの下においてもロシアの脅威となり得る地域への軍事力の配備」を禁じるとの条項もある。実現すれば、NATOは形骸化し、東欧諸国やバルト三国は事実上、ロシアの影響下に入る。
 「ロシアの脅威となり得る地域」に極東が含まれる可能性もある。在日米軍は極東ロシアへの脅威だと言い出しかねない。そうなれば、日本の安全保障に大きな影響を及ぼす。それを歓迎するのは中国の習近平国家主席だ。

 中国の魏鳳和国務委員兼国防相と、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は昨年11月、軍事協力強化の方針を確認した。会談では「中露は山のように団結し、友情は揺るぎない。戦略協力を継続的に深め、演習や合同巡航などの分野を強化する。両国の核心的利益と地域の安全を守る」と確認した。
 すでに両国海軍は昨年10月、「海上合同パトロール」と称して、軍艦10隻が日本列島をほぼ一周する合同演習を実施している。11月には両国空軍の共同爆撃機が日本海や太平洋上空を共同飛行している。米軍や自衛隊の出方を見たとされる。
 中国のいう「核心的利益と地域」には台湾が含まれる。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は昨年10月、「ロシアは台湾を中国の一部とみなしている」と発言した。中国の台湾侵攻の際にはロシアは中国を支持するとの意味だ。
 「台湾有事」は人ごとではない。中国は、日本の固有の領土である沖縄県・尖閣諸島を、中国台湾省の一部と主張している。「台湾有事は日本有事」(安倍晋三元首相)であるゆえんだ。有事の際には沖縄県の先島諸島も巻き込まれる。日本はそれに向けての備えが十分ではない>(以上「夕刊フジ」より引用)



 中露が連携を取っている欧米先進諸国を威圧しているのではないか、とも思える昨今の国際状況を、八木秀次(、麗澤大学国際学部教授)氏が分析している。八木氏によると中露は友好国として連携を取って欧米先進諸国と対峙している。
 しかし現実は中露共に日本も含めた欧米先進諸国との取引なしには国家が成り立たない。彼らがいかに強気で臨もうと、決定的な対決にならないのはそのためだ。だが中露共に、したたかに軍事力により国境線を変更しようとの下心を隠しもしない。

 ロシアはソ連時代の国土を復活させようと躍起になっている。中国は台湾を支配下に治めようと何度も気勢を上げている。両者は似た者同士だ。
 しかし現代国際社会でそうした企みは決して支持を得られない。弱肉強食の人類史は前世紀でピリオドを打ったはずだ。強いものが弱いものを切り従えて文化や民族まで死滅させ、富を奪い自国を繁栄させる、というのは現代社会では「英雄」として称賛されるどころか、侵略者として批判の嵐を浴びせられるだけだ。

 中露は似た者同士だ。中露の軍艦が隊列を組んで「海上合同パトロール」と称して日本近海の公海を周回航海した。しかしロシア側は頑なに「軍事同盟」を締結することを拒んでいる。
 ロシアには歴史的にユーラシア大陸の東南端へ進出しようとする願望がある。日露戦争では朝鮮半島の支配を巡って、朝鮮半島の黄海側の付け根にある「旅順」港の奪還を巡って激戦を演じた。満州事変ではソ連軍が日本が支配していた満州国(現「中国東北部」)へソ連軍が侵攻して起きた。隙あらば朝鮮や中国の領土を奪おうと、ロシアは今も虎視眈々と狙っている。

 昨年のこと、ロシアは中央アジアの中国国境近くに10万もの軍を集結させて中国侵攻の機会を窺っていた。しかし実行しようとしていたのかは疑わしい。おそらくプーチン氏の国民向けのパフォーマンスではなかったかと思われる。
 しかし1億4千万人もの国民を擁し、ヨーロッパからシベリア太平洋岸に到る広大な版図を有する大国にしては、GDPが韓国にすら劣る経済力しかない非力さは何故だろうか。軍事技術では米国と覇を競う大国でありながら、民生工業品で「ロシア製」が幅を利かす製品はない。そして中露とも「国民福祉」に主眼を置くはずの社会主義国でありながら、国民は貧弱な社会保障しか享受していない。社会主義国家体制を維持し、世界で覇を競うために国民からどれほどの富を収奪すれば気が済むのだろうか。

 同病相哀れむ、という。中露は社会主義体制を名乗る独裁専制主義体制が行き詰っているように見える。国民もそれほどバカではない。これほど発達した情報化社会で、自国の社会保障制度がいかに先進自由主義諸国に比して劣っているか、いつまでも知らないわけがない。
 知ってしまえば社会主義とは何だろうか、との疑問が湧くはずだ。疑問が湧けば独裁政権に対する懐疑心が起きるだろう。独裁専制主義体制が百年以上体制を維持した歴史はない。中露とも社会主義体制の制度疲労が限界点に達しつつあるのではないだろうか。

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