中国の経済崩壊を日本再生の好機とせよ。

地方政府が財政破綻
 最近、中国黒竜江省の鶴崗市が事実上の財政破綻に陥った。 
 これまでにも、中国の地方政府の財政状況を懸念する声はあったのだが、それが次第に現実味を帯びてきたということだ。 
 破綻の背景には、不動産市況の悪化とコロナ感染再拡大による景気減速によって、土地の売却収入や税収が減り財政運営の厳しさが増したことがある。 
 中国全体の経済成長を支えてきた地方財政悪化は、中国経済がこれまでのような高成長を達成することが難しくなっている現実を示すものといえる。 
 中国経済は、高度成長の曲がり角に差し掛かっている。 
 今後の展開として、短期間で不動産市況の悪化と感染再拡大が収束する展開を想定することが難しい。 
 また、共産党政権が強化している“ゼロ・コロナ対策”が失敗し中国経済に追加的な下押し圧力が加わることも否定はできない。 
 地方債の発行を増やして景気支援策のための資金調達を急ぐ地方政府は増えるだろう。  懸念されるのは、地方債に“暗黙の政府保証”があると認識する中国国内の投資家が多いと考えられることだ。 
 中国の地方債価格は財政悪化などのリスクを十分に織り込んでいない可能性がある。 
 今後、米国の利上げなどによって世界的に金利が上昇すれば、地方政府の財政悪化懸念は急速に高まり、中国から海外に流出する資金が増える恐れがある。

地方債発行を支える“暗黙の政府保証”
 当初、中国の共産党政権は市場メカニズムを重視して、地方政府の財政状況などが価格に反映される地方債市場の運営を目指した。 
 しかし、後に共産党政権の地方債市場の運営方針は転換し、政府の指導によって価格が形成される側面が強まっている。 
 ある意味、中国地方債市場は“御用金”市場としての性格が強まっていると考えられる。  2015年に中国では地方債の直接発行が解禁された。 
 そのタイミングは、中国の実質GDP(国内総生産)成長率が10%程度の高水準を維持することが難しくなり、経済成長率の低下傾向が明らかになり始めたタイミングと重なる。 
 その時点で共産党指導部は市場メカニズムの発揮によって各地方政府の財政状況や経済成長率を反映した地方債の価格形成を目指した。 
 しかし、不動産投資など投資に依存した経済運営が限界を迎えるにつれて、経済成長が遅れ相対的に信用力が低いと考えられてきた黒竜江省などの資金調達コストは上昇した。 
 2018年に入ると景気は急速に減速し、地方政府にとって景気下支え策としてのインフラ投資の必要性は一段と高まった。 
 その資金調達を支援するために中国の財政部(わが国の財務省に相当)は地方債の発行を増やすよう指示を出した。 
 その際、財政部は中国の商業銀行などに地方債を引き受ける際の金利水準を指導したとの見方が多い。 その後、内陸部と沿海部の地方債の利回りの格差は縮小した。 
 それは、地方債には暗黙の政府保証がついていると考える中国の金融機関や投資家の増加を示唆する。その結果として、地方政府が資金調達のために設立した投資会社(資金調達のためのビークル)である融資平台のデフォルトリスクが上昇する状況にもかかわらず、地方債の発行が増加した。

経済の減速傾向を鮮明化させる地方財政問題
 足許の中国では、デフォルトに陥る不動産業者が増加している。  ゼロ・コロナ対策にもかかわらず感染は再拡大している。 今後の展開として不動産市況はさらに悪化するだろう。  それに加えて、共産党政権のゼロ・コロナ対策が失敗するリスクも排除できない。 つまり、感染者がさらに増加して動線の寸断が深刻化し、消費や生産の減少、物流の停滞に拍車がかかる展開は否定できない。 
 その状況下、共産党政権はインフラ投資の前倒しを表明し、景気減速を食い止めようと必死になっている。一時的であるにせよ公共投資を打つことによって雇用を生み出さなければ社会心理が一段と悪化するとの習政権の危機感はかなり強いと考えられる。 
 迅速なインフラ投資実行のために地方債の発行は増える可能性が高い。 当面は、暗黙の政府保証が地方債の発行を支え、インフラ投資などの景気支援策は増加するだろう。 ただし、景気が減速する中で債務に依存した経済運営を続けることには限界がある。 今すぐではないにせよ、土地収入の減少などによって地方政府の財政はひっ迫するだろう。 
 財政破綻に陥る地方政府は増え、地方債を引き受けた商業銀行のバランスシートの棄損リスクも上昇するだろう。 鶴崗市の財政破綻は、氷山の一角だ。 世界的な物価上昇圧力の高まりや米国の複数回の利上げ実施の可能性上昇によって米金利が本格的に上昇すれば、中国国内の投資家や金融機関は地方債の購入に二の足を踏むようになるだろう。 そうした展開が現実のものとなれば“灰色のサイ”と呼ばれる債務問題は深刻化し、中国からの資金流出は急激に増加する恐れがある。
  不動産市況の悪化と新型コロナウイルス感染再拡大に加え、地方政府の財政悪化が中国経済の減速傾向をより鮮明化させるだろう>(以上「現代ビジネス」より引用)



 いうまでもなく中国の高度経済成長を支えて来たのは地方政府だ。各地方政府が出世競争を競うかのようにして、高度経済成長を演出してきた。その手法はインフラ投資だった。もちろん不動産民間企業に便宜を図って、マンション投資などを盛んにしていた。
 しかし地方政府が経済成長の目玉として推進して来たインフラ投資がついに行き詰まった。各地方政府が抱える債務は巨額に上り、既に有利子負債を賄える段階ではなくなった。昨年末に地方政府が公務員に支払った夏のボーナスを返還するように督励したのはそのためだ。

 夏のボーナスの返還だけでは済まない。多くの地方政府は公務員の給料カットを実施している。中国の公務員数は日本の約10倍だ。10人に一人は公務員だ。しかも地方の税収はすべて中央政府に抑えられ、地方政府の財源は中共政府からの交付金と地方政府の警察官が住民から取り立てる「罰金」などに限定されている始末だ。
 そのため中共政府の財源不足が地方政府を直撃し、地方政府がデフォルト状態に陥っている。公務員の遅配が起きている地方政府もあるという。鶴岡市はデフォルトして、市の行政が破綻しているという。深圳のある市では住民がストリートで「習近平、打倒」と書いた横断幕を掲げて叫びだし、即座に警察官によって身柄を拘束され、何処かへ連れ去られたという。その際、付近の住民から「良いぞ」「その通りだ」と声が上がったという。

 記事にある通り、地方政府は米国の「金融工学」に倣って、社会インフラ事業を債権化して金融市場からカネを集めようとしているが、おそらく成功しないだろう。国有企業も同様にデフォルトした民間不動産企業が所有する不動産を買収してそれらの資産を債権化し、海外投機家たちから資金を集めようとしている。しかし、その資金計画も思惑倒れになるのではないだろうか。
 リーマンショックで「金融商品バスケット」が決して「バスケット」として機能しない、一つでも不良債権が「バスケット」に紛れ込んでいたら「バスケット」そのものが信認を失いゴミ債権になる、との教訓を世界の投機家たちは学んでいる。中共政府の御用経済学者が米国のコピー政策を打ち出したのだろうが、それこそ一時的に借りたはずの国営企業の不動産買収資金が焦げ付き、銀行が抱える不良債権がさらに膨らむだけだ。

 記事に「そうした展開が現実のものとなれば“灰色のサイ”と呼ばれる債務問題は深刻化し、中国からの資金流出は急激に増加する恐れがある」とあるのは正鵠を得ている。"灰色のサイ"とは、アメリカの作家である「ミシェル・ワッカー」が、その著書「Gray Rhino」で示した言葉だ。 不動産バブルなどの金融マーケットが抱えるリスクを称した言葉に由来している。
 国内の資金調達はインフレに目を瞑れば元紙幣の増刷で帳尻を合わせることは出来るが、ドル建て負債の帳尻は元紙幣で支払うことは出来ない。だから中共政府は喉から手が出るほど外国からの投資が欲しいのだ。甘い言葉に釣られて、日本企業が何社か中国に新規工場の建設などの計画を発表しているが、中国に投資した「ドル」だけを奪われて追い出される結果になるのは目に見えている。しかし愚かな経営者諸氏にはそうした中共政府の思惑が見えないのだろう。未だに経団連などは親中派の塊だ。

 中国経済の崩壊は日本にとっては好機だ。モノ造り日本を蘇らすために、日本企業は中国からUターンすべきだ。それらの企業に政府は積極的な支援を行って、日本国内に雇用を取戻し、質の良い就職先を新卒学生に提供すべきだ。
 そうした政策による人手不足こそが生産性の向上の動機となり、労働賃金の引き上げ要因となる。ひいては日本経済の成長路線への転換の契機となりうる。世界経済を見据えた気宇壮大な構想力を持つ政治家が野党にいないものかと切に願望する。

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