IT化は民間では既に出来上がっている。

<企業の経理のデジタル化を巡り、国税庁は電子データで受け取った請求書などの電子保存義務を2年間猶予する際に企業からの事前申請を不要にする方針だ。2022年1月に改正電子帳簿保存法が施行され、違反により税制上の優遇が取り消されるとの懸念が出ていた。先送りになり、紙の保存が事実上、温存される。

 電子保存の猶予を決めた背景には企業の準備期間の短さがある。政府は20年12月の与党税制改正大綱で見直しを決めてから1年ほどで実施する想定だった。法改正で要件を厳しくする場合、3年程度の時間を設けるのが一般的だ。企業からも「準備が間に合わない」との声が相次いだ。官民ともにデジタル化への備えが足りなかった。
 10日に決定した与党税制改正大綱に2年の猶予を明記。税務署長が「やむを得ない事情がある」と認める場合などに紙の保存も容認すると記していた。どういう場合に紙の保存が容認されるか注目されていたが、事前の申請が不要との見解を国税庁が示すことにした。
 財務省が同法に関する省令を27日付で改正し、国税庁が28日に対応方針を示した一問一答を更新する。具体的には、間に合わない場合に「どう対応すればいいか」との問いに「書面に出力して保存し、税務調査などの際に提示できるようにしておけば差し支えない」と回答する。
 税務職員から事情を聞かれた場合、具体的ではなくても今後の見通しなどを伝えれば問題ないと記載する。企業側の負担は当面、生じないことになる。


 企業にとって便利になる部分は予定通り1月1日から施行する。例えば紙で領収書を受け取った場合にスキャナーで読み取って電子保存するのは簡単になる。これまで税務署長の事前の承認が必要だったのが不要になる。3日以内にタイムスタンプを付与しなければいけなかったのも2カ月程度に延ばす。
 データでもらった書類の印刷保存を禁止する部分に猶予期間を設けるのは、政府の見通しに甘い部分があり、企業が対応するのに一定の時間がかかるためだ。菅義偉前首相が「脱ハンコ」などデジタル化の推進を政権の柱に掲げたのを踏まえ改正を急いだ面がある。

 会計ソフト大手コンカー(東京・中央)の船越洋明戦略事業推進室室長は「中小企業はIT(情報技術)人材が不足し、大企業は社内の取引の全容を把握しきれない背景があった」と指摘する。
 一部企業からは電子取引は電子で保存する改正だったため「取引先に紙だけで書類を発行するよう要請する」とデジタル化に逆行する意見すら出ていた。
 猶予期間後の24年1月以降は電子保存が義務付けられる。その前の23年10月には消費税のインボイス(税額票)制度も始まり、企業にデジタル対応を迫る。
 今は保存義務がかかっていない3万円未満の領収書も保存する必要が出る。クラウド会計フリーの小泉美果氏は「紙とデータが混在すると事務が回らなくなる。デジタル化は必須だ」と話す。同社の試算によると、中小・中堅企業の3万円未満の取引の領収書は1事業所あたり平均で年632枚ある。
 新型コロナウイルス下でテレワークが広がり、経理業務のデジタル化の流れは不可逆的だ。企業の契約管理に詳しい酒井貴徳弁護士は「2年間の猶予期間を生かして電帳法で義務付けられる最低限の対応をするだけではなく、生産性向上につながるデジタル化を各企業が進める必要がある」と語る>(以上「日経新聞」より引用)



 企業会計の電子化が急速に進んでいることと、税務申告の電子化は無縁ではない。むしろ「紙」を「原始データ」とする方がどうかしている。
 「紙の原始データ」の保存義務を決めるなど、電子会計そのものを理解していない。請求書や領収書のやり取りを、企業はすべてメールで実施したい。そうすれば一々紙データをスキャンしたり、電子データ化する必要がないからだ。

 若者たちは写真を印画紙の「写真」にしてやり取りなどしていない。電子データの写真を直接やり取りしている。その方が保存や加工に適しているからだ。
 原始データは「紙」だと拘るのは、電子データが万が一の場合消去されてしまうのではないか、という恐れではないか。或いは電子データを改竄された場合、紙の領収書を改竄した場合のように何等かの痕跡が残らないのではないか、という恐れではないか。

 しかし取引には必ず相手がある。電子データを改竄した場合には、相手側の電子データも改竄しなければならない。電子メールで領収書などを送信した場合にはメール履歴が残る。だから電子データの「原始データ」はメールを保存させれば良いことになる。
 調査を行う場合はメールをコピーして、相手企業のメールと突合すれば簡単に判断できる。いかに膨大なデータ量があろうとも、現在のIT技術なら大企業の100年分のすべてのデータですら家庭用PCで管理できる。それほどPCの性能は私たちの想像を超えて進んでいる。

 ただ注意すべきはファイル形式だ。現在は官庁などの「申請用紙」書式をネットからダウンロードする場合、ファイル形式はPDFかdocxに限定されている。アップルのPagesは変換ソフトを使えばPDFやdocxに変換することは可能だが、事務処理に一手間かかることになる。
 それぞれの文書ファイルは一長一短あるが、日本国内で広範に行き渡ったファイル形式を使うとなればマイクロソフト社のdocxだろう。しかしword文書は改竄がいつでも誰でも行える。しかも文字位置の設定など面倒な側面があることも否めない。視覚的に使えるのはPDFだが、相手の電子機器と相性が悪いと文字化けすることがある。しかも各ファイル形式はIT企業の経営戦略とも相まって熾烈なシェア争いを繰り広げている。将来的にもwordが文書ソフトの主役であり続けるかは誰にもわからない。

 文書ファイルもさることながら写真ファイルは何を使うのか、図などのファイルには何を使うのかを政府は決めなければならない。いわばファイル形式の「国際規格化」を、そろそろ世界は国際会議を開催して決めなければならない時期に来ているのではないだろうか。
 その場合、企業戦略もさることながら、かつて日本人が開発していたトロンが日米協議で潰され、windowsが政府標準となった悪夢を繰り返さないように、充分に国家戦略を持って、日本政府はファイル形式標準化国際会議に臨むべきだ。

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